マルチジョブホルダー制度とは?制度の目的・手続き方法を徹底解説 |HR NOTE

マルチジョブホルダー制度とは?制度の目的・手続き方法を徹底解説 |HR NOTE

マルチジョブホルダー制度とは?制度の目的・手続き方法を徹底解説

  • 労務
  • 社会保険

申請書類を作成している

マルチジョブホルダー制度は、令和4(2022)年1月に新設された制度です。この制度では複数の事業場に勤務する65歳以上の労働者が一定の条件を満たしたときに雇用保険の被保険者となることが可能です。

本記事ではマルチジョブホルダー制度の内容や手続き方法について詳しく解説いたします。

関連記事:雇用保険とは?加入条件や手続き方法・注意点をわかりやすく解説!

「社会保険の手続きガイドを無料配布中!」

社会保険料の支払いは従業員の給与から控除するため、従業員が入退社した際の社会保険の手続きはミスなく対応しなければなりませんが、対象者や申請期限、必要書類など大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。

当サイトでは社会保険の手続きをミスや遅滞なく完了させたい方に向け、「社会保険の手続きガイド」を無料配布しております。

ガイドブックでは社会保険の対象者から資格取得・喪失時の手続き方法までを網羅的にわかりやすくまとめているため、「社会保険の手続きに関していつでも確認できるガイドブックが欲しい」という方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

社会保険ebook

ダウンロード

【社労士監修】HR関連法改正トレンドBOOK 2024年版

2023年は一部企業を対象に人的資本開示が義務化されたほか、HR関連での法改正に動きが見られました。
2024年では新たな制度の適用や既存のルールの変更・拡大がおこなわれます。
人事担当者として知っておきたいHR関連の法改正に関する情報ですが、その範囲は幅広く、忙しい業務の中でなかなか網羅的に把握することは難しいのではないでしょうか。

  • 忙しい中でも要点をまとめて情報収集をしたい
  • 社労士が監修した正確な情報を知りたい
  • HR関連の法改正を把握しておきたい

という方はぜひご確認ください!

1. マルチジョブホルダー制度の基本知識をおさらい

赤青黄色のはてなが3つある

マルチジョブホルダー制度とは、複数の事業場に勤務する65歳以上の労働者が特定の条件を満たして働いているときに、特例として雇用保険に加入できるという制度です。

これまでの雇用保険法では、週の労働時間が20時間以上であり、さらに31日以上継続して雇用される見込みがある場合に雇用保険の加入が可能とされていました。そのため短時間勤務を希望するなどの事情でこの加入条件に合致していない場合には、雇用保険に加入することができませんでした。

しかし、令和2(2020)年の雇用保険法改正により、令和4(2022)年1月以降にはマルチジョブホルダー制度が適用となりました。

そのため、2つ以上の企業に勤めたときに労働時間を合算して条件を満たせば65歳の労働者に限り雇用保険に加入できることになりました。

ここからは、マルチジョブホルダー制度における基本知識について、多角的に解説していきます。

1-1. マルチジョブホルダーの意味は?

マルチジョブホルダーとは、複数の事業場にて勤めている労働者のことを指します。

雇用保険マルチジョブホルダー制度においては、加えて65歳以上であり、特定の条件を満たしている労働者に限定して、制度の対象としています。

このマルチジョブホルダー制度の被保険者は、マルチ高年齢被保険者とよばれます。

1-2. マルチジョブホルダー制度の背景・目的とは?

マルチジョブホルダー制度は少子高齢化によって労働人口が減少する中で、高齢者の就業を促すために制定されました。短時間勤務の高齢者にとって雇用保険に加入できることは、大きな安心材料になると考えられています。

1-3. マルチジョブホルダー制度のメリットは?

まず、マルチジョブホルダー制度の被保険者になっていれば、失業した際に失業手当の支給を受けることができます。65歳以上に適用となる失業保険の種類は「高年齢求職者給付金」です。マルチジョブホルダー制度を利用したときの失業保険の待機期間や給付条件は、一般の高年齢求職者給付金の内容と同じです。

またマルチジョブホルダー制度では、勤めている2つの企業のうちいずれか1つを離職したときにも失業給付を受けることが可能となります。

さらに、条件を満たしていれば介護休業給付や教育訓練給付などを受けることも可能です。

2. マルチジョブホルダー制度の対象・条件とは

勤怠の申請チェックをしている

マルチジョブホルダー制度の対象となるのは、以下の全ての条件を満たしている労働者に限られます。

  • 65歳以上の労働者であること
  • 複数の企業に雇用されていること
  • 2つの企業における労働時間を合計したとき、1週間の所定労働時間が20時間以上になること(ただし、1つの企業における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満でなければならない)
  • 2つの企業における雇用見込み期間が31日以上であること

例えば65歳以上の労働者が企業Aで週15時間、企業Bで週10時間働いていればマルチジョブホルダー制度の対象となります。

しかし、企業Aで週18時間、企業Bで週3時間働いているというときには、一方の所定労働時間が週5時間に満たないためマルチジョブホルダー制度の対象外となります。

一般の雇用保険においても、週の所定労働時間は20時間以上、雇用見込み期間は31日以上と定められています。マルチジョブホルダー制度は2つの企業における条件を合算している点以外は、一般の雇用保険の加入条件とそれほど変わりません。

中には、3つ以上の企業で雇用されている労働者もいるものです。ただし、マルチジョブホルダー制度において条件を合算できるのは2つの企業の労働時間のみです。3つ以上の企業に勤める労働者がマルチジョブホルダー制度を利用するためには、2つの企業を選択して手続きをおこなう必要があります。

マルチジョブホルダー制度を利用して、従業員が雇用保険の対象者となった場合、その後の手続きは何をすればよいのかわからないご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方に向けて、雇用保険加入に必要な手続きをわかりやすくまとめた資料を無料で配布しています。雇用保険加入手続きを正しくおこなえているか確認したい方はこちらから「社会保険手続きの教科書」をダウンロードしてご活用ください。

関連記事:65歳以上の方向けに改正された雇用保険を給与計算の観点から解説

3. マルチジョブホルダー制度の手続き

申請の流れを確認している

ここからは、マルチジョブホルダー制度の資格取得に向けた手続き方法について解説します。

必要書類や、一連の流れをあらかじめ理解して、スムーズに手続きがおこなえるように準備しましょう。

3-1. 必要書類一覧

マルチジョブホルダー制度の適用を希望する労働者はまず、最寄りのハローワークで相談し必要な書類を入手します。また、厚生労働省のホームページでも必要書類をダウンロードできます。

必要となる書類は以下の3点で、2つの企業に提出するためそれぞれ2通必要です。

  • 雇用保険マルチジョブホルダー雇入・資格取得届(マルチ雇入届)
  • 個人番号登録、変更届
  • 被保険者資格取得時アンケート

3-2. 手続きの一連の流れ

一般的な雇用保険は、企業が被保険者の手続きをおこなう取り決めになっています。

これに対して雇用保険マルチジョブホルダー制度は、基本的に労働者自身が手続きをするよう求められます。

労働者は上述した必要書類2枚ずつに必要事項を記入したのち、就業先のそれぞれの企業に対して必要事項の記入や確認資料の交付を依頼します。

確認資料とは企業が保有する従業員名簿や雇用契約書、労働条件通知書や雇入れ通知書、賃金台帳や出勤簿のことをいいます。

企業側は、労働者から依頼があったときには雇用の事実の証明や手続きに必要な書類の発行をおこなわなければなりません。

必要書類には事業者や企業の担当者が記入する項目がいくつかあります。事業所番号や雇用形態、所定労働時間などの項目を正しく記載しましょう。

書類が揃ったら労働者は、本人確認書類や個人番号を添えてハローワークで手続きをします。なお、窓口での手続きのほか郵送での手続きも可能です。

手続きをしたのち、ハローワークから企業と労働者に対して書類が発行されます。企業には雇用保険マルチジョブホルダー雇入・資格取得確認通知書(事業主通知用)が送付されるので、保管しておきましょう。

従業員には以下のような書類が送付されます。

  • 雇用保険マルチジョブホルダー喪失・資格喪失届
  • 雇用保険マルチジョブホルダー雇入・資格取得確認通知書(本人通知用)
  • 雇用保険被保険者証
  • 被保険者資格喪失時アンケート

雇用保険マルチジョブホルダー喪失・資格喪失届と雇用保険マルチジョブホルダー雇入・資格取得確認通知書は、それぞれの企業に対応する計2枚が発行されます。

これらの書類は退職する際などに必要となるため、適切に保管しておくことが肝心です。

3-3. 企業が代理でおこなうことも可能

退職などの事情で資格を喪失する際にも、労働者本人が手続きをすることになります。このとき企業は、労働者の依頼に応じて書類を記載し、確認資料を交付しましょう。

ただし、事情があり労働者本人が加入や喪失の手続きをおこなえないときには、委任状を用意した上で企業に手続きの代行を依頼することも可能です。この場合には企業はハローワークに連絡し、必要な書類を揃えて申請をおこなうことになります。

4. 雇用保険マルチジョブホルダー制度に関する注意すべきポイント

注意喚起をしている

ここからは、雇用保険マルチジョブホルダー制度に関してあらかじめ把握しておくべき注意点について解説します。

労働者に希望された場合の対応や、雇用保険料の納税義務が生じるタイミング、社労士・労働保険事務組合からの手続き・提出の可否、雇用保険料の金額について紹介していきます。

4-1. 希望された場合は必ず対応しなければならない

条件を満たした労働者がマルチ高年齢被保険者になることは労働者の権利です。企業は、労働者がマルチジョブホルダー制度の手続きを希望するときには必ず対応しなければなりません。

マルチジョブホルダー制度の適用に関する申し出を理由として解雇をしたり労働条件の不利益変更をしたりしたときには法律違反とみなされ、罰則の対象となることもあります。

4-2. 資格取得日から雇用保険料の納税義務が生じる

マルチジョブホルダー制度では、申し出をした当日から雇用保険料の納付義務が発生します。労働者が制度の利用を申し出たときには、早めに準備を進められるよう対策しておくことが肝心です。。

4-3. 社労士・労働保険事務組合からの手続き・提出は可能?

社会保険労務士や労働保険事務組合から、マルチジョブホルダー制度資格取得の手続きを進めることはできません。届出書類の作成を依頼することは可能とされていますが、代行して提出をすることは認められていません。

ただし、マルチ高年齢被保険者本人が社労士へ委託をしているケースは、代理申請が可能とされています。

4-3. 雇用保険料は通常と同額?

マルチジョブホルダー制度においても、雇用保険料は通常の雇用保険料と同額になります。

通常の雇用保険料率は、厚生労働省の以下の公式サイトでご確認いただけます。

参考:雇用保険料率について|厚生労働省

5. マルチジョブホルダー制度に必要な書類・証明書を把握しておこう

人差し指を立てている

マルチジョブホルダー制度とは、65歳以上の労働者が一定の条件を満たしたときに雇用保険に加入できるという特例です。

マルチジョブホルダー制度の加入手続きは労働者本人によっておこなわれますが、企業側にも書類作成や証明書の準備などの対応が求められます。労働者がマルチジョブホルダー制度の利用を申し出た際には、必要な手続きを早急におこなうよう心がけましょう。

「社会保険の手続きガイドを無料配布中!」

社会保険料の支払いは従業員の給与から控除するため、従業員が入退社した際の社会保険の手続きはミスなく対応しなければなりませんが、対象者や申請期限、必要書類など大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。

当サイトでは社会保険の手続きをミスや遅滞なく完了させたい方に向け、「社会保険の手続きガイド」を無料配布しております。

ガイドブックでは社会保険の対象者から資格取得・喪失時の手続き方法までを網羅的にわかりやすくまとめているため、「社会保険の手続きに関していつでも確認できるガイドブックが欲しい」という方は、こちらから資料をダウンロードしてご覧ください。

社会保険ebook

ダウンロード

--------------------

\【2024年最新版】HR関連法改正トレンドBOOK/

▼無料ダウンロードはこちら▼
https://hrnote.jp/document/?did=148030

人事業務に役立つ最新情報をお届け!メールマガジン登録(無料)

HR NOTEメールマガジンでは、人事/HRの担当者として知っておきたい各社の取組事例やリリース情報、最新Newsから今すぐ使える実践ノウハウまで毎日配信しています。

メルマガのイメージ

関連記事

退職金は年末調整の対象に含まれる?退職所得の計算方法や確定申告が必要なケースを解説

退職金は年末調整の対象に含まれる?退職所得の計算方法や確定申告が必要なケースを解説

退職金は年末調整の対象となる所得には含まれませんが、所得税の課税対象ではあります。当記事では、なぜ退職金が年末調整の対象にならないのか、退職金に対する所得税の課税金額の計算方法、そして、退職金に対して確定申告が必要になる […]

  • 労務
  • 給与計算
2024.04.19
HR NOTE 編集部
サイレント退職、なぜ起こる?仕組みと予防策を解説|Smart相談室 伊禮 武彦

サイレント退職、なぜ起こる?仕組みと予防策を解説|Smart相談室 伊禮 武彦

こんにちは。株式会社Smart相談室の伊禮武彦と申します。法人向けオンラインカウンセリングサービス「Smart相談室」の運営、ビジネス部門の統括責任者を担当しています。 今回はクライアント様よりよくご相談を頂くサイレント […]

  • 労務
  • リスクマネジメント
2024.04.19
金井一真
ワークフローシステムの機能一覧!基本から便利機能まで解説

ワークフローシステムの機能一覧!基本から便利機能まで解説

近年では、ワークフローシステムが注目されています。システムを導入することで、紙の申請書を使うデメリットが解消できるため、業務負担の軽減が期待できます。ワークフローシステムには、さまざまな機能があります。当記事では、ワークフローシステムの機能について詳しく紹介します。ワークフローシステムの機能について興味がある方は、ぜひこの記事を参考にしてください。

  • 労務
  • 労務・その他
2024.04.08
HR NOTE 編集部
法定労働時間の意味や上限を超えないためのポイントを解説

法定労働時間の意味や上限を超えないためのポイントを解説

法定労働時間とは1日8時間、週40時間であり、これを超える労働時間数に対しては割増賃金の支給が必要です。ただし、近年導入が進むフレックス制度をはじめとする複数の労働制度では、上記の条件とは少し異なる場合もあります。本記事 […]

  • 労務
  • 勤怠管理
2024.03.29
HR NOTE 編集部
通らない稟議書に共通する特徴やうまく通すコツを徹底解説

通らない稟議書に共通する特徴やうまく通すコツを徹底解説

稟議書が通りやすい人と、通りにくい人では書き方に大きな違いがあります。 どうしても通したい稟議がある場合は、読み手のことを考えた構成や文章にすることが大切です。本記事では通らない稟議書に共通する原因や、稟議書が通すコツな […]

  • 労務
  • 労務・その他
2024.03.28
HR NOTE 編集部

人事注目のタグ