食事補助を福利厚生に取り入れる上限額は?非課税にならないケースや注意点を解説 |HR NOTE

食事補助を福利厚生に取り入れる上限額は?非課税にならないケースや注意点を解説 |HR NOTE

食事補助を福利厚生に取り入れる上限額は?非課税にならないケースや注意点を解説

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「食事補助の非課税の上限は?」

「食事補助を導入する際は何に注意するべき?」

上記のような疑問をお持ちではありませんか。

福利厚生として食事補助を利用する際、非課税として計上できる上限が設定されています。上限を理解したうえで適切に食事補助を導入することで、福利厚生を効果的に実施可能です。

本記事では、食事補助を福利厚生に取り入れる上限額や、非課税にならないケースを解説します。また、導入の注意点も解説するので、食事補助の導入を検討している人はぜひ参考にしてみてください。

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1. 食事補助を福利厚生費として計上するには法律上の金額上限がある

食事補助を福利厚生費として計上する際、法律により以下のとおり上限が定められています。

  • 昼食の場合|月3,500円かつ食事代の50%
  • 残業中・夜勤の場合|現物支給で全額・現金で1食300円

1-1. 昼食の場合|月3,500円かつ食事代の50%

昼食の場合、企業が負担する金額の上限は以下の通りです。

  • 月3,500円以下
  • 食事代の50%未満

月に7,000円の食事代がかかるなら、従業員が3,500円以上を負担し、企業が3,500円以下を負担できます。

以上の条件を満たすことで税務上の優遇措置を受けられ、従業員に対する食事補助を非課税で提供可能です。

参照:No.2594 食事を支給したとき|国税庁

1-2. 残業中・夜勤の場合|現物支給で全額・現金で1食300円

残業中や夜勤の従業員に対する食事補助は、全額を福利厚生費として計上できます

残業や夜勤は通常の勤務時間外におこなわれることから、食事の提供が「従業員の健康と安全の確保に必要」とみなされるためです。

現金での支給は基本的に認められず、現物支給が原則とされています。しかし、深夜帯に利用可能な飲食店がないなどで現物支給が難しい場合には、1食あたり300円を上限として現金支給が可能です。

2. 食事補助の福利厚生費が非課税にならないケース

食事補助の福利厚生費が非課税にならないケースは、以下の2通りです。

  • 金額上限を超過した場合
  • 現金で支給した場合

以下、それぞれ詳しく解説します。

2-1. 金額上限を超過した場合

食事補助が非課税となるためには、先述した食事補助の金額の上限(原則3,500円)以下になる必要があります

上限を超えると、超過分は「給与」扱いになって課税されるため注意しましょう。例えば、企業が月に4,000円の食事補助を提供した場合、500円分は課税対象です。

また、従業員が食事代の50%以上を負担していない場合、企業が負担した全額が課税対象になります。

例えば、食事代が月7,000円かかる場合、従業員が3,500円以上、企業が3,500円以下を負担すると非課税です。

2-2. 現金で支給した場合

食事補助を現金で支給する場合は「給与」として扱われ、課税対象となります。現金だと、福利厚生の目的から外れることにも自由に使うことができるためです。

現物支給(社員食堂の利用や弁当の提供)や食券の支給であれば、食事だけにしか使用できないため、非課税として計上できます。

ただし、深夜勤務や残業時で現物支給が難しい場合は、1食あたり300円までの現金支給が非課税な点に注意が必要です。

3. 食事補助を福利厚生費として計上する3つのメリット

食事補助を福利厚生費として計上するメリットは、以下の通りです。

  1. 節税効果が期待できる
  2. 従業員満足度を高められる
  3. 求職者へのアピールポイントになる

以下、それぞれ具体的に解説します。

3-1. 節税効果が期待できる

食事補助を福利厚生費として計上することで、企業は大きな節税効果を期待できます。福利厚生費は経費として扱われ、課税所得から控除されて支払う税金の額が減少するためです。

ただ、福利厚生費として認められるためには先述した上限金額以内であることが求められます。また、現物支給である点にも注意が必要です。

福利厚生費として計上することで企業の財務状況を健全に保てるため、長期的な経営戦略にも期待できるでしょう。

3-2. 従業員満足度を高められる

食事補助は、従業員の満足度を高められる点も大きなメリットです。

食事補助を提供することで、従業員は食事代の節約ができるだけでなく、バランスの取れた食事が摂れます。健康維持につながり、業務効率が向上するでしょう。

また、食事補助によって従業員同士のコミュニケーションも促進可能です。従業員間の交流を深めることで、職場環境の改善に貢献できるでしょう。

3-3. 求職者へのアピールポイントになる

求職者に対する強力なアピールポイントになる点も、食事補助のメリットの一つといえるでしょう。

福利厚生が充実している企業は求職者に魅力的に映り、優秀な人材を引き寄せる効果があるためです。

なかでも食事補助は、日常的に利用できるうえに従業員の生活を直接サポートできることで人気を集めています。従業員を大切にする企業という印象を与えられるでしょう。

4. 社内で食事補助の上限額を設定する際の注意点

社内で食事補助の上限額を設定する際は、以下の2点に注意しましょう。

  • 就業規則などに明記する
  • 従業員に周知する

以下、それぞれ詳しく解説します。

4-1. 就業規則などに明記する

食事補助の上限額を設定する際には、内容を就業規則や社内規程に明記することが重要です。従業員全員が同じ基準で食事補助を受けることができ、公平性が保たれます。

また、就業規則に明記することで、企業は従業員との間で明確な合意の形成が可能です。食事補助に関するトラブルを未然に防ぎ、リスク管理につなげられるでしょう。

4-2. 従業員に周知する

食事補助の上限額を設定した後は、内容を従業員に周知することが不可欠です。

従業員が食事補助の制度を正しく理解して適切に利用するためには、明確でわかりやすい情報を提供しなければなりません。

周知の方法には、社内メールや掲示板、イントラネット(内部ネットワーク)などがあります。また、定期的な説明会や研修を通じて、従業員に対して直接説明することも効果的です。

5. 福利厚生として食事補助を支給する主な方法

福利厚生として食事補助を支給する方法として、主に以下の4つが挙げられます。

  1. 社員食堂の設置
  2. 弁当宅配
  3. 社食サービス
  4. 飲食店の食事券

以下、それぞれ具体的に解説します。

5-1. 社員食堂の設置

社員食堂は、企業が従業員に対して食事補助を提供するうえで一般的な方法です。

社員食堂を設置することで、従業員は手軽にバランスの取れた食事を摂ることができ、健康維持に役立ちます。

また、従業員同士のコミュニケーションの場としても役立ち、社内のチームワークや連帯感を強化する効果が期待できるでしょう。

社員食堂を設置する際は、キッチンや食事スペースの確保、調理スタッフの雇用など、初期投資が必要です。運営コストも継続的に発生するため、企業の財務状況や従業員数に応じて慎重に検討しましょう。

5-2. 弁当宅配

弁当宅配サービスは、社員食堂の設置が難しい企業でも手軽に導入できる食事補助の方法です。

弁当宅配サービスを利用することで、従業員はオフィスにいながら手軽に食事を摂れるため、外出の手間を省けます。業務の合間に食事を摂る必要がある忙しい従業員にとっては便利なサービスといえるでしょう。

また、弁当宅配サービスの導入には特別な設備や大規模な初期投資が不要なため、比較的低コストで始められます。

ただ、外部の業者に依存するため、品質管理や衛生面での注意が必要です。できるだけ信頼できる業者を選ぶようにしましょう。

5-3. 飲食店の食事券

飲食店の食事券を提供する方法も、企業が従業員に対して食事補助をおこなう手段の一つです。食事券を利用することで、従業員は提携している飲食店で自由に食事を摂れるようになります。

外出先の店舗でも利用できるため、外回りの営業職や出張が多い従業員にとっては非常に便利なサービスといえるでしょう。

また、企業側の管理負担が少なく、簡単に導入できる点も魅力です。提携する飲食店との契約が必要ですが、社員食堂の設置などに比べるとかなり安く抑えられるでしょう。

6. 福利厚生として食事補助を支給する流れ

福利厚生として食事補助を支給する際は、以下の流れに沿って実施しましょう。

  1. 食事補助の提供方法を考える
  2. 食事補助にかける予算を決定する
  3. 導入前テストを実施する
  4. 導入・運用する

以下、それぞれ具体的に解説します。

6-1. 食事補助の提供方法を考える

食事補助を導入する際は、まずは自社に最適な提供方法を検討します。従業員の働き方や人数、オフィスの立地条件などを考慮し、適切な提供方法を選択しましょう。

例えば、内勤が中心で大人数の従業員がいる場合は社員食堂が適しますが、外勤が多い場合は飲食店の食事券が便利です。また、設備投資が難しい小規模オフィスであれば、弁当宅配や社食サービスがコストを抑えられます。

従業員のニーズを把握するため、事前にアンケートを実施するのも有効な方法です。従業員の希望に沿った食事補助を提供することで、制度の利用率が高まり、満足度の向上が期待できます。

6-2. 食事補助にかける予算を決定する

次に、食事補助にかける予算を決める必要があります。選んだ提供方法によってコストが異なるため、それぞれに合わせて予算を設定しましょう。

また、従業員一人あたりの企業負担額の上限も考慮し、従業員の満足度と企業の財務状況のバランスを取ることが重要です。

6-3. 導入前テストを実施する

食事補助の提供方法と予算が決まれば、次は導入前のテストを実施します。実際に食事補助を利用することで、問題点や改善点を洗い出せるためです。

従業員からのフィードバックを収集し、利便性や満足度、コストなどに問題点が見つかれば、本格導入前に対策を立てられます。

6-4. 導入・運用する

テストを経て、問題点を解消できれば、本格的に食事補助を導入します。

導入に際しては、就業規則への記載や従業員への周知が必要不可欠です。就業規則に、食事補助の内容や上限額、利用方法などを明記しましょう。

また、社内報やイントラネット、説明会などを通じて、制度の詳細を従業員に十分に周知することも効果的です。

導入後は、継続的に従業員の声を収集し、制度の改善を図りましょう。定期的なアンケートの実施や利用状況の分析をおこない、課題があれば対策を講じることが大切です。

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