エクセルはさまざまな計算や管理を行うのに役立ちます。企業が必ず行わなければならない給与計算も、エクセルを使えば比較的簡単です。
給与計算をエクセルで行う方法や覚えておきたい関数、さらにエクセルを使って給与計算を行うメリットや注意点について解説します。
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給与計算のアウトソーシングでは従業員数が増えるとその分費用も高くなるため、従業員が増えてきた企業様では「どうにか内製化して給与計算にかかるコストを削減できないか?」とお悩みになることがあるのではないでしょうか。
そのような方に向け、当サイトでは給与計算システム・Excel・アウトソーシングのメリット・デメリットや、システムで給与計算がどのように効率化できるかをまとめた資料を無料で配布しております。
給与計算システム・Excel・アウトソーシングのどれが自社に合っているかを比較検討したい方は、ぜひ資料をダウンロードしてご覧ください。
目次
1. エクセルで給与計算を行う方法・手順
エクセルで給与計算を行う方法を紹介します。
エクセルではさまざまな計算が可能です。給与計算のため、効率的な方法を押さえておきましょう。
1-1. エクセルシートを自作する、もしくはテンプレートを利用する
そもそも給与計算をエクセルで行う際には、一から自作で作成するか、テンプレートをもってきて利用するかの二つがあります。
自社で細かくカスタマイズしたシートを作成したい場合は自作が必要ですが、そうではない場合はテンプレートを利用することがおすすめです。テンプレートはあらゆる企業で実際に活用しているシートを公開しているケースが多く、汎用性があり、何より一から作る手間が省けるのでとてもおすすめです。基本的に無料で公開されているので、ダウンロードをして実際にシートをみてみることからはじめてみましょう。
1-2. 給与情報や従業員の情報を記入
まずは給与の情報、従業員の情報を記入します。
給与の情報は、給与の支払日、締め日などです。従業員の情報は、氏名や入社日などの他、社会保険や雇用保険に加入しているかなども記入しておきましょう。
1-3. 各従業員の給与のデータを記入
各従業員によって違う給与の情報を記入します。給与の金額だけでなく、交通費や扶養控除対象の家族の人数なども記入しましょう。
1-4. 時間外労働などのデータを記入
さらに基本給の他、時間外労働や深夜労働、休日労働など、さまざまな手当のデータを記入します。
手当は法律で定められているものと、企業が独自に定められるものがあります。どちらもこの段階で記入しておくと、基本給以外の給与が発生した際に簡単に計算しやすくなります。
1-5. 各従業員の勤怠状況を記入
最後に各従業員の勤怠状況を記入します。
欠勤、遅刻、早退、残業などがあると給与の金額が変動します。エクセルで給与計算だけでなく勤怠管理も行えば、より業務の効率化ができます。
2. エクセルで給与計算する際に覚えておきたい関数
エクセルで給与計算を行う際に覚えておきたい関数を3つ紹介します。
給与計算の効率をより高めるためにも、エクセルで利用できる関数を有効活用しましょう。
2-1. MROUD関数: 賃金の端数を四捨五入する関数(CEILING関数、FLOOR関数)
賃金の端数を四捨五入したいときに便利なのがMROUND関数です。
勤務時間を四捨五入して計算したい際に利用します。
入力方法は、「=MROUND (数値, 倍数)」です。
何分単位で四捨五入するかを倍数の部分に入力すれば、簡単に算出することができます。
端数を切り上げたい場合は「MROUND」の部分を「CEILING」とし、端数を切り捨てたい場合は「FLOOR」と入力することで対応が可能です。
2-2. IF関数:時間外労働や遅刻などの判定
時間外労働があったか、遅刻や欠勤があったかなどを判定する際に便利なのがIF関数です。
入力方法は、「=IF(条件,処理1,処理2)」となり、「○○だった場合は処理1、そうでない場合は処理2」として扱います。
時間外労働があった場合、欠勤や遅刻、早退があった場合など、給与計算のさまざまなシーンで利用できます。
法律が定める上限を超える時間労働をさせると、割増賃金が発生します。深夜帯の労働にも追加で割増賃金が発生します。
これらのイレギュラーな給与が発生する可能性がある場合は、IF関数を有効活用しましょう。
2-3. WEEKDAY関数:日時から曜日が出力される関数
時給で働く社員がいる際に、平日と休日(祝日)でわけて給与計算を行う必要があります。(祝日は基本的に割増賃金が発生するため)そんな時に活用できる関数がWEEKDAY関数です。WEEKDAY関数は日付にあわせて自動で曜日を算出してくれる関数なので、割増賃金などが発生する給与計算にも柔軟に対応できます。
3. 給与計算でエクセルを使う3つのメリット
給与計算にエクセルを使うメリットを3つ紹介します。
パソコンにエクセルが入っている、エクセルの操作に慣れた従業員が多い場合などはとくにエクセルでの給与計算はメリットが多いです。
3-1. 給与計算ソフトの費用が不要
パソコンにすでにエクセルが入っているのであれば、給与計算ソフトを購入せずに無料で毎月の給与計算ができます。
給与計算ソフトは便利な反面、どうしてもコストが発生するものです。もともとパソコンに入っているエクセルを使えば、コストを最低限に抑えることができるでしょう。
なお、一から給与計算のシートを作る手間がかかる、ミスの心配があるという場合であれば、インターネット上でダウンロードできる給与計算シートが便利です。
無料で、かつ種類も多いため、使いやすいシートを選びましょう。
3-2. 人為的ミスを防ぎやすい
手書きで給与計算を行うと、どうしても計算ミスが起こりやすくなります。
とくに経理担当者が少ない中小企業の場合、複雑な時間外労働の割増賃金や税金、各種控除などが担当者の負担になる可能性もあります。
エクセルに数値を入力するだけで簡単に給与計算ができるようになれば、人為的ミスを大幅に減らすことが可能です。
経理担当者の負担も軽減され、その分別の業務を任せられ、業務効率化に役立ちます。
3-3. 誰でも操作しやすい
エクセルは多くの人にとって馴染み深いソフトです。そのため、エクセルで給与計算ができるようにしておけば、新人に教育する手間も省けます。
一から給与計算のシートを作成するためには専門的な知識も必要です。しかし、あらかじめシートを用意しておくことができれば、初心者でも扱いやすいでしょう。
このように、エクセルを使った給与計算にはいくつかのメリットがあり、手計算に比べて大幅に業務効率化することができます。当サイトでは、アウトソーシング・Excel・システムの費用対効果とメリット・デメリットがわかる資料を無料で配布しております。給与計算をアウトソーシングしていたが内製化を検討しているという方は、こちらからダウンロードして比較検討にご活用ください。
4. 給与計算でエクセルを使う4つの注意点
給与計算でエクセルを使う際に意識したい3つの注意点を紹介します。
エクセルでの給与計算は手軽にできて誰でも操作しやすいなどのメリットがあります。しかし、一方で、法律の改正を意識しなければならない、データのバックアップを取っておかなければならないなど、いくつか注意すべきポイントもあります。
エクセルでの給与計算を行う前に、下記のポイントを意識しておきましょう。
4-1. 保険料や税金の改正に注意する
給与計算を行う際は雇用保険料、社会保険料、所得税や住民税など各種保険料や税金も差し引かなければなりません。
給与計算シートにこれらの項目を設けておくことはもちろん必要です。しかし、保険料や税金は法律の改定によって率が変更されることがあります。
この割合、数値を変えないまま計算をしていると正しい金額を従業員に支払えなくなり、後々トラブルになってしまう可能性があります。
賃金が不足したり払いすぎたりするだけでなく、納めるべき保険料や税金を納めていないことになるかもしれません。そうならないよう、保険料や税金に関するトピックは常に意識し、正しい数値で計算できるようにしておきましょう。
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4-2. データのバックアップを取る
給与計算ソフトの多くは複数のパソコンで共有できたり、どのパソコンからでも管理できたりするものが多いです。
しかし、エクセルのデータは一つひとつのパソコンにそれぞれ保存されています。したがって、パソコンが故障してしまったり、そのパソコンを所有している担当者が休んでいたりすると給与計算ができません。データを間違えたまま書き換えてしまう可能性もあります。
一から給与計算シートを作成しなおさなければならないという手間を防ぐためにも、データはUSBなどにバックアップを取りましょう。
給与計算シートをクラウドで共有すれば、他の従業員も給与計算が簡単にできます。
4-3. 関数のエラーやデータの不一致
エクセルで給与計算を行う際に、最も発生しやすいトラブルが関数のエラーです。入力間違いをしてしまうときや、給与体系が変わって、エクセルの関数の構造を変更した際に、エラーが起きやすいです。毎回給与計算の回答があっているかどうかの確認はもちろん、シートを編集(セルを加えたり、関数を変えたり)した際は、エラーが起きていないか確認するようにしましょう。
4-4. 給与計算は基本的に1分単位で計算する
労働基準法の「賃金全額払いの原則」で定められているとおり、給与計算は1分単位で行う必要があります。
これに違反すると罰則が課せられる可能性もあるので注意が必要です。
また通常、勤務時間は「時:分」(例:10:30)の形式で入力されますが、これは給与計算に直接使用することはできないため、
給与計算で1分単位の計算を行うためには、勤務時間を10進法に変換する必要があります。
5. エクセルで給与計算をもっと手軽に
エクセルで給与計算を行う方法や給与計算にエクセルを利用するメリット、注意点について解説しました。
給与計算をエクセルで行うことでコストカットができるだけでなく、経理担当者の負担を軽減することも可能です。
給与計算の業務を効率化したいけどいきなり高額なソフトを導入するのは不安という方は、まず無償で配布されているエクセルの給与計算シートをチェックしてみましょう。