時短勤務はいつまで取れるのか?就業規則を決める際のポイント |HR NOTE

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時短勤務はいつまで取れるのか?就業規則を決める際のポイント

就業規則を結んでいる様子育児や介護が必要な従業員が仕事を続けやすくする仕組みとして時短勤務があります。時短勤務は育児・介護休業法で定められる制度であり、企業は従業員の求めに応じて時短勤務を認めなければなりません。

時短勤務をいつまで続けられるかは法律で一定の期間が定められていますが、企業には法の範囲を超えて制度を充実させるよう努力義務も課せられています。従業員がライフサイクルの変化に応じて働き方を変えられるよう、時短勤務制度を積極的に活用していきましょう。

今回は時短勤務をいつまで続けられるかを中心に、時短勤務の適用条件や就業規則での定め方、フルタイム勤務に戻す際のポイントなどを解説します。

関連記事:時短勤務とは?|短時間勤務制度はいつまで適用?メリットやデメリットについて詳しく解説!

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1. 時短勤務がいつまで取れるかは「育児」と「介護」で異なる

2つから1つを選んでいる様子時短勤務は育児・介護休業法で定められる制度です。具体的には「育児のための時短勤務」と「介護のための時短勤務」があり、適用期間についての法律上の最低基準はそれぞれ異なります。ここでは各時短勤務がいつまで取れるかを見ていきましょう。

 1-1. 育児の時短勤務は子供が3歳になるまで

育児・介護休業法では「対象の子供が3歳の年齢に達するまで」の期間を育児時短勤務の適用範囲と定めています。

正確には「子供が生まれた日から3歳の誕生日を迎える前日まで」です。また、対象となる子供の人数には決まりがなく、3歳未満の子供を1人でも養育していれば育児時短勤務の適用対象になります。

なお、企業には3歳以上から小学校就学時期までの子供を持つ従業員に対しても以下の制度を継続する努力義務を課しています。

  • 時短勤務
  • 育児休業
  • 所定外労働の制限
  • 始業時間変更等の時短勤務に代替する措置(※)

※フレックスタイム制の適用、事業所内保育施設の設営など。

 1-2. 介護の時短勤務は開始日から3年以上の期間で2回以上利用できる

介護を目的とした時短勤務には法的な取得上限は定められていません。

ただし、育児・介護休業法では、企業が従業員に適用する時短勤務について「3年以上の期間で2回以上利用できる」制度でなければならないと決められています。つまり、自社の介護時短勤務制度に「通算3年未満まで」「期間内で1回のみ」といった制限を加えることはできません。

なお、介護時短勤務を分割して取得するケースとしては、間に介護休業を挟むケースや、一時的にテレワークなど他の勤務制度を適用するケースが考えられます。

介護時短勤務には実質的な上限がないため、適用期間に関しては労使間の話し合いにより決定しましょう。このように、育児か介護かによって時短勤務に関するルールは異なります。時短勤務の申し出があった際に、スムーズに対応できるように、時短勤務制度について理解しておきましょう。当サイトでは時短勤務の概要をわかりやすくまとめた資料を無料でお配りしています。こちらからダウンロードして、時短勤務の理解にご活用ください。

1-3. 時短勤務の期間を延長することは可能?

育児・介護休業法では、時短勤務の最低基準のみが定められているため、その基準を満たしていれば問題ありません。ただし、企業の状況や従業員からの要望に合わせて、時短勤務の期間を延長することは可能です。

たとえば、ワークライフバランスを重視している企業においては、育児による時短勤務の期間を「子供が6歳になるまで」に延長しているケースもあります。時短勤務の期間を延長することで従業員にとっては働きやすい環境になるため、優秀な人材の離職防止や企業全体のイメージアップにつながることも期待できるでしょう。

2. 時短勤務の対象となる要件

時間短縮になる条件時短勤務は雇用形態を問わず要件を満たす全ての従業員に適用される制度です。育児・介護それぞれの時短勤務の適用要件を押さえ、時短勤務制度を適切に運用しましょう。

2-1. 育児時短勤務の対象要件

育児・介護休業法が定める育児時短勤務の適用要件は以下の通りです。

  1. 3歳未満の子供を養育していること
  2. 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
  3. 日雇の労働者ではないこと
  4. 現に育児休業をしていないこと
  5. 労使協定により適用を除外される労働者ではない6カ月こと
  6. 子供が1歳6カ月に至るまで継続雇用の予定がある(※有期雇用の場合のみ)

なお、以下の条件で働く従業員に関しては、労使協定により育児時短勤務の適用対象外とすることが認められています。

  • 勤続1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 業務の性質上、時短勤務の適用が困難であると判断される労働者

ただし、時短勤務の適用が困難とされる労働者に対しても、仕事と育児を両立するための代替措置を講じなければなりません。代替措置の例としては以下の制度が挙げられます。

  • フレックスタイム制の適用
  • 始業・終業時間の繰り上げ、繰り下げ(時差出勤の制度)
  • 事業所内における保育施設の設置運営、およびそれに準ずる措置

2-2. 介護時短勤務の対象要件

育児・介護休業法における介護時短勤務の適用要件は以下の通りです。

  1. 要介護状態にある対象家族を介護していること
  2. 日雇の労働者ではないこと
  3. 現に介護休業をしていないこと
  4. 労使協定により適用を除外される労働者ではないこと

介護時短勤務では以下の要件に当てはまる従業員に対し労使協定による適用除外が認められます。

  • 勤続1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日が2日以下の労働者

また、時短勤務の適用が困難な従業員に対してはフレックスタイム制や時差出勤、介護費用の助成などの代替措置も認められます。

また、要介護状態とは「怪我、病気、精神的な疾患、その他心身の異常により2週間以上の介護が必要な状態」と定義されます。必ずしも介護認定や医師による診断書の提出を必須とするものではありません。厚生労働省が作成する資料(※)等を参考に判断しましょう。

※参考:常時介護を必要とする状態に関する判断基準|厚生労働省

3. 時短勤務を就業規則で定めるときのポイント

時短勤務を定める際のポイント時短勤務の制度を積極的にかつ滞りなく使用してもらうためには就業規則への明記が不可欠です。ここでは時短勤務のルールを就業規則で定める際のポイントや、実際の規定例を紹介します。

3-1. 時短勤務の期間・ルールを就業規則で定める

就業規則では時短勤務の適用期間や運用のルールを明確に定めましょう。時短勤務は法律によって制度の実施が義務付けられる一方、従業員の働きやすさ向上のため独自の制度を運用している企業も少なくありません。法定の範囲はもちろん、自社独自の時短勤務制度についても詳細を明記し、従業員が制度を利用しやすい環境を整えることが大切です。

3-2. 時短勤務の申請方法を明確にする

就業規則では時短勤務の申請方法も明記しましょう。通常、ある従業員に時短勤務が適用される場合、業務内容の見直しや業務の引継ぎなどが発生します。これらを円滑に済ませるため、時短勤務の申請には一定の期限を定めることが大切です。申請期限は時短勤務開始の1カ月前を目安としましょう。

3-3. 時短勤務における所定労働時間を定める

就業規則には、時短勤務における所定労働時間も記載しておきましょう。たとえば、育児の時短勤務における1日の所定労働時間は、原則として5時間45分から6時間までとしなければなりません。[注1]

育児や介護をしている従業員が働きやすい環境になるよう適切な時間を設定して、就業規則に明記しましょう。

[注1]育児・介護休業法のあらまし|厚生労働省

https://jsite.mhlw.go.jp/yamanashi-roudoukyoku/library/yamanashi-roudoukyoku/kintoushitsu/kintousekoujoukyou6.pdf

3-4. 時短勤務に関する就業規則の規定例

実際に時短勤務について規定する就業規則の例文を紹介します。

第〇条

3歳に満たない子を養育する従業員は、申し出ることにより、就業規則第◯条の所定労働時間について、以下のように変更できる。

所定労働時間を午前9時~午後4時まで(うち午前12時~午後1時を休憩時間とする)の6時間とする。

(適用期間)

育児時短勤務を希望する者は、1回につき1カ月以上1年以内の期間で申請できる。

(手続き)

育児時短勤務を希望する者は、時短勤務の開始日及び終了日を明らかにして、原則として短縮開始予定日の1カ月前までに育児短時間勤務申出書を会社に提出しなければならない。

(適用除外)

1日の所定労働時間が6時間に満たない従業員が育児時短勤務を申請した場合、会社はこれを拒むことができる。

(適用期間の延長)

会社が認めた場合に限り、養育する子供が小学校に就学するまで時短勤務制度の適用を延長できる。

4. 時短勤務をフルタイム勤務に戻すときの注意点

時短勤務の注意点時短勤務でトラブルが発生しやすいタイミングは従業員をフルタイム勤務に戻すときです。ここでは時短勤務からフルタイム勤務に戻すときの注意点を解説します。

4-1. 不当な取り扱いの禁止

休業や時短勤務を申請した従業員に対して不当な扱いがあってはなりません。不当な扱いには以下のようなケースが該当します。

  • 労働時間の減少以上の割合で賃金をカットする
  • 人事評価を不当に下げる
  • 強制的に正社員からアルバイトへ雇用形態を変更する
  • 有期雇用従業員の契約更新をおこなわない

時短勤務終了後の従業員に対する配置転換や部署異動にはとくに配慮が必要です。その命令が従業員の仕事や生活に悪影響を与えるものであれば不当な扱いとみなされる場合もあります。

時短勤務を終了する従業員に対しては育児・介護への影響を考慮し、本人の意向も尊重したうえで通常勤務へ復帰させることが大切です。

4-2. 標準報酬月額を見直す

時短勤務からフルタイム勤務へ復帰した従業員に対しては、復帰後3カ月を目途に標準報酬月額の見直しを実施しましょう。

標準報酬月額とは平均賃金の等級から決められる標準報酬額であり、社会保険料算出の基準となります。通常は毎年4月から6月の平均賃金からその年の標準報酬額を決定しますが、固定賃金が大幅に変動した場合はその都度改定が必要です。

時短勤務では労働時間の短縮に伴い基本給が減額されることが一般的であり、それに伴い標準報酬月額が改定される場合があります。同様に、時短勤務からフルタイム勤務へ復帰した際も賃金の大幅な変動が発生するため、直近3ヶ月の平均賃金に沿った標準報酬月額が適用されているか確認しましょう。

関連記事:時短勤務時の社会保険料は据え置き!減額する手続きや間違いやすいポイントについて

4-3. 労働環境に配慮する

時短勤務からフルタイム勤務に戻すときは、労働環境に配慮することも大切です。時短勤務が終了したとしても、実際は育児や介護を続けている可能性もあります。従業員本人から家庭の状況をヒアリングする、可能な範囲で業務を調整するなど、適切な対応をおこないましょう。配慮義務ではありますが、適切な対応をおこなうことで従業員にとって働きやすい環境を構築できます。

5. 時短勤務がいつまで取れるか明確にしよう

時短勤務がいつまでできるか明確にしよう育児や介護に伴う時短勤務は、従業員がその会社で長く安心して働くためになくてはならない制度です。しかし、日本における時短勤務の取得率は未だ低く、企業側からの積極的な働きかけが求められます。時短勤務がいつまで適用できるかなど制度をわかりやすく周知し、働きやすさの改善に繋げていきましょう。

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