源泉徴収票は、1年間に支払った給与や源泉徴収した税金などを記載する大切な書類です。各項目の意味をしっかりと理解したうえで作成しなければなりません。
源泉徴収票乙欄も重要な項目のひとつです。社員が特定の条件に該当する場合に「◯」を付ける必要があります。この記事では、源泉徴収票乙欄の意味や「◯」を付けるべき状況などについて詳しく解説します。間違いのないようしっかりとチェックしておきましょう。
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1. 源泉徴収票乙欄とは?
給与所得の源泉徴収票には、乙欄という項目があります。「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない社員の場合は、乙欄に「◯」を記入しましょう。基本的にはほとんどの社員が「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しているはずですが、次のような理由により提出していない可能性もあります。
- <li “>会社が申告書を配布し忘れている <li “>社員が申告書を提出し忘れている <li “>2つ以上の会社から給与をもらっており、別の会社で申告書を提出している
副業や兼業を許可している会社の場合は、別の会社で「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している社員もいるため、確認しておきましょう。自社に申告書を提出している社員の場合は、乙欄に記入する必要はありません。
1-1. 源泉徴収票にあるのは乙欄のみ
一般的な源泉徴収票にあるのは乙欄のみです。国税庁が配布している源泉徴収票のフォーマットにも乙欄のみがあり、甲欄や丙欄はありません。源泉徴収票を作成するときは、条件に該当する場合にのみ、乙欄に「◯」を記載しましょう。[注1]
では、甲欄や丙欄はどこにあるのでしょうか。甲欄や丙欄は、「給与所得の源泉徴収税額表」に記載されています。この表は、給与から源泉徴収する税金の額を決定するためのものです。「給与所得の源泉徴収税額表」の役割や特徴について、もう少し詳しく見ていきましょう。
1-2. 源泉徴収税額表は甲欄・乙欄・丙欄に分かれている
源泉徴収すべき税金の額は、国税庁が公表している「給与所得の源泉徴収税額表」を使って決定します。この表をもとに、給与から源泉徴収する所得税や復興特別所得税の金額を算出するのが基本です。月額表と日額表の2つがあるため、給与の支払方法に合わせて使い分けます。社員への給与を月ごとに支払う場合は月額表を、日ごとに支払う場合は日額表を見るようにしましょう。[注2]
月額表には、税区分として甲欄と乙欄が設けられています。日額表は、甲欄、乙欄、丙欄の3つに分かれているため、社員の状況に応じて該当する部分を確認しましょう。それぞれの違いについては、次の項目で詳しく解説します。
2. 源泉徴収税額表の甲欄・乙欄・丙欄の違い
源泉徴収税額表における甲欄、乙欄、丙欄の意味や違いについて詳しく見ていきましょう。
2-1. 甲欄「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している社員の場合
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している社員の場合は、甲欄を見て源泉徴収する税額を決定します。ほとんどの社員が提出するため、甲欄を使用するケースが多いでしょう。
そもそも「給与所得者の扶養控除等申告書」とは、扶養控除の対象となる親族がいるかどうかを判断するための書類です。基本的にこの申告書は、扶養親族の有無や人数に関わらず会社へ提出しなければなりません。「扶養親族がいない場合は提出する意味がないのでは?」と思うかもしれませんが、「いない」ことを明確にするためにも提出する必要があります。
会社側は、申告書をもとに扶養親族の有無や人数を確認し、源泉徴収する税額を決めます。源泉徴収税額表の甲欄は、扶養親族の人数によって分かれているため、該当する部分をチェックしましょう。
甲欄の給与所得者の扶養控除等申告書を提出している、かつほかのいくつかの条件を満たしている場合、年末調整の対象者となります。
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2-2. 乙欄:「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない社員の場合
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない社員の場合は、乙欄をチェックして源泉徴収する税額を決めます。申告書の提出期限は、その年の最初の給与日の前日までですので、遅れないように社員へ周知しておきましょう。
社員が申告書を提出しなかったり、会社側が申告書の配布を忘れたりした場合は、乙欄を使って税額を決めます。また、2つ以上の会社から給与をもらっており、別の会社で「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している社員の場合も、乙欄の税額を適用しましょう。副業を認めている場合などは、他の会社へ申告書を提出しているケースもあるため、社員ごとの状況を確認しておくことが大切です。
2-3. 丙欄:日雇賃金を支給し、2ヵ月以上連続して雇用しない社員の場合
丙欄は、源泉徴収税額表のうち、日額表だけに記載されています。日雇賃金を支給し、2ヵ月以上連続して雇用しない社員の場合は、丙欄を使って源泉徴収する税額を決めましょう。
3. 源泉徴収税額表の甲欄・乙欄・丙欄を見るときのポイント
「給与所得の源泉徴収税額表」の見方は、それほど難しくありません。以下のようなポイントで見ていきましょう。
3-1. 社会保険料控除後の給与を把握する
まずは、その月の社会保険料控除後の給与額を把握しなければなりません。社会保険料控除の対象となるのは、健康保険料や年金保険料、介護保険料などです。その月の給与から保険料などを差し引き、控除後の金額を算出しましょう。
3-2. 源泉徴収税額表の「その月の社会保険料控除後の給与等の金額」を見る
源泉徴収税額表の一番左側ある「その月の社会保険料控除後の給与等の金額」を確認しましょう。先ほど算出した社会保険料控除後の給与と照らし合わせ、該当する行を見つけます。
3-3. 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合は甲欄を確認する
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している社員の場合は、甲欄を使用します。甲欄は扶養親族の人数によって分かれているため、該当する列を参照しましょう。この列と、先ほど見つけた行が交差する部分を確認します。この部分に書かれている数字が源泉徴収すべき税額です。
3-4. 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない場合は乙欄を確認する
「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない社員の場合は、乙欄を使用します。乙欄と、先ほど見つけた行が交差する部分を確認して、書かれている税額を源泉徴収しましょう。
4. 乙欄の意味を正しく理解して源泉徴収票を作成しよう
今回は、源泉徴収票乙欄の意味や記載方法などについて解説しました。「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出していない社員の場合は、乙欄に「◯」を記入しましょう。副業を認めている場合は、別の会社で「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しているケースもあります。乙欄への記入を忘れないように注意しましょう。
源泉徴収税額表における甲欄や丙欄についても理解しておくことが大切です。「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合は、甲欄を使って源泉徴収すべき税額を決定します。どの欄に該当するのかは社員によって異なるため、それぞれの勤務状況をしっかりと把握しておきましょう。
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