慶弔見舞金とは?種類・相場がいくらかや支給方法を解説 |HR NOTE

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慶弔見舞金とは?種類・相場がいくらかや支給方法を解説

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「慶弔見舞金とは?」

「いくら支給するべき?」

慶弔見舞金について上記の疑問をお持ちではありませんか。

慶弔見舞金とは、会社が従業員に対してお祝い金や香典、見舞金などを支給する制度です。

あまり調べずに慶弔見舞金を導入すると、課税が発生したり従業員から不満の声が上がったりするため、注意しなければなりません。

今回は、慶弔見舞金の概要や相場について解説します。最後まで読むことで、慶弔見舞金を適切に給付できる知識が身につくでしょう。

1. 慶弔見舞金とは

慶弔見舞金は、会社が従業員に対してお祝い金や香典、見舞金などを支給する制度です。賞与や給料とは別に、従業員や従業員の家族に嬉しいできごとや不幸なできごとがあったときに支給されます。

慶弔見舞金の支給対象になるできごとは、以下の通りです。

慶弔見舞金の種類

できごと

結婚祝金

本人が結婚する

出産祝金

本人もしくは配偶者が出産する

死亡弔慰金

本人が死亡する

傷病見舞金

病気や怪我などが原因で会社を欠勤したり入院したりする

災害見舞金

震災や火災などで被災する

また、慶弔見舞金に似た制度として弔慰金があります。しかし、弔慰金は弔事の際にのみ金銭を支給する制度を指すため、慶弔見舞金としては扱われません。

2. 慶弔見舞金の相場

慶弔見舞金の相場は、種類に応じて3,000円〜100万円まで幅があります。具体的な相場は以下を参考にしてください。

慶弔見舞金の種類

相場

結婚祝金

本人:10万円

子ども:1万円

出産祝金

本人:5万円

配偶者:3万円

死亡弔慰金

本人:10~100万円

配偶者:10万円

子ども:5万円

両親:3万円

祖父母:1万円

傷病見舞金

5,000円~1万円

災害見舞金

3,000円~5,000円

慶弔見舞金は給与として扱われないため、課税対象になりません。しかし、高額だと給与として扱われ、課税対象になることもあります。相場を踏まえて適切な金額を設定しましょう

また、慶弔見舞金の支給額は企業側が独自に設定可能です。家族に支給する場合、一般的には従業員よりも金額を安くします。

3. 慶弔見舞金制度の3つのメリット

慶弔見舞金制度のメリットは、以下の3つです。

  1. 一定の範囲内の額であれば非課税になる
  2. 従業員と企業のつながりを深められる
  3. 企業の採用活動で有利になる

それぞれ詳しく解説します。

3-1. 一定の範囲内の額であれば非課税になる

慶弔見舞金は、一定の範囲内の額であれば福利厚生費とみなされ、非課税扱いになります。具体的な額の目安はありませんが、社会通念上で妥当と見なされる支給額であれば非課税になるケースがほとんどです。

つまり、慶弔見舞金の相場を参考に適切な額を設定することで、節税しながら慶弔見舞金の導入を実現できます。

3-2. 従業員と企業のつながりを深められる

慶弔見舞金を導入すると、従業員と企業のつながりを深められます。結婚や傷病などに対して金銭的な補助を実施することで、信頼関係が構築されるためです。

また、従業員と企業のつながりが深まると、仕事への定着率も良くなります。結果として労働環境の向上が期待でき、長期的に活躍する人材も増えるのがメリットです。

3-3. 企業の採用活動で有利になる

慶弔見舞金を導入すれば、企業の採用活動が有利になります。慶弔見舞金は法定外の福利厚生であり、従業員を大切にしているイメージが企業に付きやすくなるからです。

実際に求職者が就職先を選ぶ際は、仕事内容や給与だけでなく福利厚生が充実しているかも重視しています。慶弔見舞金の導入により福利厚生が充実していると判断されれば、企業への就職希望者も増えるはずです。

4. 慶弔金の支給方法

慶弔見舞金を支給するため、従業員に以下を実施してもらいます。

  1. 必要な書類を用意してもらう
  2. 慶弔見舞金の申請をしてもらう

それぞれ詳しく解説します。

4-1. 必要な書類を用意してもらう

慶弔見舞金を支給するために、まずは従業員に必要な書類を用意してもらいます。慶弔見舞金の種類によって必要な書類が異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。

慶弔見舞金の種類

必要な書類(一例)

結婚祝金

・婚姻届のコピー

・結婚式の招待状

出産祝金

・出生届のコピー

・出生証明書のコピー

死亡弔慰金

・死亡届のコピー

・埋葬許可書のコピー

傷病見舞金

診断書のコピー

災害見舞金

罹災証明書のコピー

慶弔見舞金の種類を問わず、慶弔見舞金支給申請書は必ず用意してもらう必要があります。慶弔見舞金支給申請書はWebサイトからダウンロードできるので、事前に伝えておくとスムーズです。

また、慶弔見舞金は従業員の申請に基づいて支給されます。慶弔見舞金の種類によっては会社から働きかけるケースもありますが、基本的に会社側は従業員の個人的な事情に関与しません。

つまり、会社から申し出を促すのではなく、従業員から申し出る必要があるので注意しましょう。

4-2. 慶弔見舞金の申請をしてもらう

必要書類の用意が済んだら、慶弔見舞金の申請をしてもらいます。慶弔見舞金支給申請書と種類に応じた必要書類を総務部や労務部に申請してもらいましょう。

また、企業によっては別の書類提出が追加で必要になる場合があります。ほかに必要な書類があれば、申請する前に伝えておくことがベストです。

5. 慶弔見舞金制度の3つの注意点

慶弔見舞金制度の注意点は、以下の3つです。

  1. 慶弔見舞金制度の規定を作る
  2. 課税対象になるケースもある
  3. 財源を確保しておく

それぞれ詳しく解説します。

5-1. 慶弔見舞金制度の規定を作る

慶弔見舞金の制度を導入する際は、規定を作りましょう。規定がないと慶弔見舞金を支給する基準が不明瞭となり、従業員が不公平だと感じる原因になります。

企業側も従業員に対して公平に慶弔見舞金を支給できるようにするためにも、以下のような規定を作ってください。

項目

詳細(一例)

支給の対象者

勤続半年以上の正社員

支給する金額

本人の出産祝金は5万円、本人の結婚祝金は10万円など

支給する条件

結婚祝金の場合は1度目のみに限る

申請する方法

申請書に必要事項を記入して人事部に提出する

上記のような規定を従業員に共有することで、慶弔見舞金に関する不満を抑えられます。

5-2. 課税対象になるケースもある

慶弔見舞金は福利厚生費として計上できる利点がある一方で、以下の条件を見たさないと課税対象になります

  • 社内の規定に沿って慶弔見舞金が支給されている
  • 社員間で不当な差が生まれていない
  • 妥当な給付金額である

1つでも満たしていない条件があると福利厚生として扱われないため注意しましょう。

5-3. 財源を確保しておく

慶弔見舞金の導入を考えている企業は、あらかじめ財源を確保しておきましょう。財源がないと急な自然災害や怪我が起きたときに、慶弔見舞金の支給が金銭的に難しくなる場合があります。

仮に支給できたとしても、慶弔見舞金によって企業の財務状況が悪化する可能性もゼロではありません。トラブルを防ぐためには事前に適切な給付水準を設けるとともに、ある程度余裕を持って財源を用意する必要があります。

6. 慶弔見舞金の支給規定を作成するポイント

慶弔見舞金の支給規定を作成するポイントは、以下の通りです。

  1. 支給対象者を明確にする
  2. 慶弔見舞金の種類を決める
  3. 慶弔見舞金の金額を決める
  4. 申請方法を決定し必要書類を用意する

それぞれ詳しく解説します。

6-1. 支給対象者を明確にする

慶弔見舞金の支給規定を作成する際は、最初に支給対象者を明確にします。勤続年数や雇用形態など、慶弔見舞金を受け取るための条件を決めていきましょう。

例えば「勤続年数1年以上の従業員が対象」と、明確な条件を設定した上で従業員に共有します。

6-2. 慶弔見舞金の種類を決める

慶弔見舞金の支給対象者が決まったら、種類を決めます。慶弔見舞金の種類は、主に以下の5つです。

  • 結婚祝金
  • 出産祝金
  • 死亡弔慰金
  • 傷病見舞金
  • 災害見舞金

慶弔見舞金の種類を決めるのと同時に、支給タイミングも明確にしましょう。例えば死亡弔慰金であれば、葬儀を終えたあとに支給するのがマナーとされています。

6-3. 慶弔見舞金の金額を決める

慶弔見舞金の種類に合わせて、適切な金額を決めます。金額が多すぎると課税対象になる恐れがあるため、妥当な範囲内で金額を設定してください。

また、傷病見舞金や死亡弔慰金は、業務中か業務外かで企業の責任が変わります。金額に差が付くよう、それぞれのパターンに異なる金額を設定するのが一般的です。

金額に差を付ける際は、勤続年数や役職などの属性で決めないようにしましょう。慶弔は人によって差がないものなので、差を付けると従業員から不満が生まれる要因になります。

基本的には金額に差を付けず、企業の責任が関わるような例外が発生したときのみ差を付けるのが無難です。

6-4. 申請方法を決定し必要書類を用意する

慶弔見舞金の申請方法を決定し、申請に必要な書類をあらかじめ用意しておきます。申請方法と必要書類が前もって決まっていれば、従業員が支給対象者となったときにスムーズに申請してもらえるからです。

申請方法がわからず無駄な時間を使わせるのを防ぐためにも、申請方法や必要書類などの情報は共有しておきましょう。

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