賃金台帳は、法律によって作成と保存が義務付けられている書類のひとつです。本書はもちろん、写しについてもルールに従って作成する必要があるため注意しましょう。
この記事では、賃金台帳の写しが必要なケースや作成上の注意点、写しでは対応できない場面などを紹介します。ルールを守らないと労働基準監督署から是正勧告を受けたり、罰金が科せられたりするため、しっかりと理解しておきましょう。
関連記事:賃金台帳とは?記載事項や具体的な書き方、保管期間を詳しく解説!
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1. 賃金台帳の写しが必要なケースを5つ紹介
賃金台帳は、月ごとや年度ごとに提出するような書類ではありませんが、急に写しが必要になるケースもあります。しっかりと作成したうえで、いつでも提出できるように情報を記載しておきましょう。
ここでは、賃金台帳の写しが必要になるケースを5つ紹介します。
1-1.支社や事業所に配布するケース
各地に支社や事業所を置いている企業の場合、賃金台帳はそれぞれの場所にも置いておかなければなりません。事業所ごとに従業員の残業時間や賃金の支払い状況を管理し、必要に応じて改善していく必要があるからです。
事業所の規模が小さく独立性が低い場合は、本社で一括管理することも認められていますが、基本的には各事業所に賃金台帳の写しを配布しておきましょう。
賃金台帳を紙ベースで作成している企業もあるかもしれませんが、パソコンで作成して保存しておくことも可能です。データとして管理しておけば、作成はもちろん更新作業も効率的に進みます。支社や事業所に写しを配布するときはデータをコピーして送付すればよいため、大量の紙をコピーするような手間はかかりません。
各事業所からいつでもアクセスして閲覧できるようにしておけば、本社のサーバーで一括管理しておくことも可能です。
1-2.雇用保険の手続きをするケース
雇用保険の加入や脱退などの手続きにおいて、賃金台帳の写しが求められるケースもあります。たとえば、従業員を雇ったときは、賃金台帳や出勤簿などの確認書類を準備したうえで手続きを行わなければなりません。
必要な書類は行政のホームページなどで確認できるため、届出の前にチェックしておきましょう。
1-3.助成金の申請をするケース
助成金を申請するときにも、賃金台帳の写しが必要となるのが一般的です。申請書類と一緒に、賃金台帳のコピーを提出しましょう。賃金台帳の写しを求められるのは、助成金を支給してもよい企業なのかを厳正に審査するためです。
賃金台帳には、従業員の残業時間や給与の支払い状況などが細かく記載されています。審査側は、給与はしっかりと支払われているか、地域ごとの最低賃金を下回っていないか、過剰な残業を強制していないかなどのポイントをチェックします。
問題なければ助成金の支給が決定されますが、賃金台帳に不備があると、申請が却下されるケースもあるため注意しましょう。
1-4.労働基準監督署に提出を求められるケース
労働基準監督署から、賃金台帳の写しを提出するよう求められるケースもあります。労働基準監督署による抜き打ち検査においては、賃金台帳の本書を見せるのが一般的です。ただ、検査で賃金台帳の不備を指摘された場合は、修正したうえで写しの提出が必要になるケースが多いでしょう。
賃金台帳に記載すべき項目は、労働基準法施行規則によって細かく定められています。単純に給与や労働日数を記載するだけではなく、賃金の計算期間や控除項目なども記入しなければなりません。労働基準監督署は、記載項目や更新状況を確認し、従業員の労働環境をチェックします。
問題がある場合は是正勧告が出されるため、内容を把握したうえで適切に対応しましょう。改善を行わないと、最大30万円以下の罰金が科せられるケースもあるため注意が必要です。
1-5.社労士へ相談するケース
是正勧告への対応方法などを社労士へ相談するときには、賃金台帳の写しを準備しておくと内容が伝わりやすいでしょう。プロの目線から、改善すべき点を具体的にアドバイスしてもらえます。無理に社員だけで対応する必要はありません。対応が遅れると、会社としての印象が悪くなるケースもあるため注意しましょう。
労働基準監督署による検査の日程が事前にわかっている場合は、社労士に立ち会いを依頼するのもよい方法です。
事前に賃金台帳をチェックしてもらい、記入すべき項目が抜けていないか、労働時間の計算方法は間違っていないかなどのポイントをチェックしてもらいましょう。検査前に修正しておけば、無駄な是正勧告を受けずに済みます。
2. 賃金台帳の写しでは対応できないケース
賃金台帳の写しではなく、本書の提出を求められるケースもあります。前述のとおり、労働基準監督署による検査の際は、本書を見せるのが一般的です。抜き打ち検査もありますが、事前に検査日を知らされるケースもあります。
必要な書類を事前に教えてもらえる場合もあるため、指摘を受けないようしっかりと準備しておきましょう。
3. 賃金台帳の写しを作成するときの注意点を2つ紹介
賃金台帳の写しを作成するときは、本書に合わせて写しも更新する、記載すべき事項を省略しないなどのポイントに注意しましょう。以下、それぞれの注意点について簡単に解説します。
3-1.本書に合わせて写しも更新する
賃金台帳は、常に最新の情報に更新しておかなければなりません。基本的には、給与を支払ったときに随時更新していきましょう。本書に合わせて写しを更新することも必要です。更新を忘れていると、労働基準監督署から指摘を受けたり、各種の申請が通らなかったりするため注意しましょう。
賃金台帳を紙ベースで管理していると、写しも含めた更新作業に手間がかかってしまいます。データとして管理しておけば、本書と写しの更新がスムーズに進むため、業務の効率化につながるでしょう。
3-2.記載すべき事項を省略しない
賃金台帳の写しを作成するときは、記載すべき事項を省略しないように注意しましょう。賃金台帳の記載事項は、労働基準法施行規則によって定められています。
本書はもちろん、写しを作成する場合も必要事項を網羅しなければなりません。写しだからといって、勝手に記載事項を変更しないようにしましょう。
写しを作成する際には必要事項を網羅する必要があるため、賃金台帳の必要事項が何か確認しておく必要があります。当サイトでは、賃金台帳の作成から保管まで一冊で把握できるガイドブックを無料でお配りしています。気になったときにまとめて確認できるので、賃金台帳を正しく作成・保管したい方は、こちらからダウンロードしてご活用ください。
関連記事:賃金台帳に必要な記載事項とは|保存方法や注意点を解説
4. ルールを守って賃金台帳の写しを作成しよう!
今回は、賃金台帳の写しが必要となるケースや作成上の注意点、本書を提出すべき場面などを紹介しました。
支社や事業所への配布、雇用保険や助成金の手続きなど、賃金台帳の写しが必要となるケースは意外と多くあります。賃金台帳は、定期的に提出するような書類ではありませんが、しっかりと更新して、必要に応じてすぐに提出できるようにしておきましょう。
本書だけを更新して写しの更新を忘れるケースもあるため注意が必要です。記載すべき項目が抜けていたり、古い情報のままだったりすると、是正勧告の対象となります。無駄な指摘を受けないよう、ルールに従って写しを管理していきましょう。
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