テレワーク導入に利用できる助成金・補助金制度まとめ|中小企業でもテレワークを!

テレワーク導入に利用できる助成金・補助金制度まとめ|中小企業でもテレワークを!

テレワーク導入に利用できる助成金・補助金制度まとめ|中小企業でもテレワークを!

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 感染が拡大する新型コロナウイルスや東京オリンピック時のリモートワーク推進により、各企業でテレワーク制度の導入が進んでいます。

しかし、導入に際して少なからず費用が掛かってしまうため、資金力の乏しい中小企業では大手企業と比較して導入が進んでいない傾向があるようです。

このような状況から、政府(国)や東京都はテレワークを新規で導入する中小企業に対して、助成金制度や補助金制度によるサポートをおこなっています。

本記事では、東京都に本籍を置く中小企業の方々がテレワーク推進に向けて利用できる助成金制度や補助金制度について詳しく解説します。各地方自治体によっては、今回ご紹介する制度の他にも助成金制度や補助金制度を運営している場合もあります。

5つの助成金・補助金制度をご紹介!

今回ご紹介する助成金や補助金は次の5つです。

※情報は全て、2020年4月6日時点でのものとなっています。

1.働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)

働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)とは、在宅やサテライトオフィスにおいてテレワークに取り組む中小企業事業主に対して、その実施に掛かった費用の一部を助成する制度です。

時間外労働の制限および勤務時間の設定改善など、社員の仕事と生活の調和を推進する企業を増やすために厚生労働省が運営しています。

2020年4月1日に、「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」から名称が変更されました。

申請受付状況

2020年4月1日より令和2年度分の申請受付が開始されており、申請締切は2020年12月1日となっています。

ただし、支給対象事業主数が国の予算額に制約されるため、12月1日以前でも受付を締め切る場合があります。

また、2020年3月9日に新型コロナウイルス感染症対策を目的とした取組を実施する事業主を支援する特例コースが設定されており、こちらの募集受付は2020年5月29日までとなっています。

対象企業(事業主)

対象企業は、以下の全ての条件に当てはまる事業主です。

(1)労働者災害補償保険の適用事業主であること

(2)次のいずれかに該当する事業主であること

業種 資本また出資額 常時雇用する労働者
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

(3)テレワークを新規で導入する事業主である、またはテレワークを継続して活用する事業主であること
※テレワークを試行的に導入している事業主も対象となる。
※過去に本助成金を受給したことのある事業主は、対象となる労働者が2倍になれば再度受給することができる(合計で2回まで)。

(4)テレワークの実施に積極的に取り組む意欲があり、かつ成果が期待できる事業主であること

対象経費

対象となる経費(支給対象となる取組)は次のようになっており、1つ以上を実施する必要があります。

  • テレワーク用通信機器の導入・運用
    ※パソコン、タブレット、スマートフォンなどは支給対象外。
  • 就業規則・労使協定などの作成・変更
  • 労務管理担当者に対する研修
  • 労働者に対する研修、周知・啓発
  • 外部専門家(社会保険労務士など)による導入のためのコンサルティング

支給要件

上記の支給対象となる取組を、成果目標の達成を目指して実施する必要があります。

支給額は評価期間内における成果目標の達成状況に応じて変動し、「対象経費の合計額×補助率」で計算されます。

また、これが上限額を超える場合は、上限額が支給されます(以下の表を参照)。

達成の場合 未達成の場合
補助率 3/4 1/2
1人当たりの上限額 20万 10万
1企業当たりの上限額 150万 100万

(※上限額は、「1人当たりの上限額×対象労働者数」又は「1企業当たりの上限額」のいずれか低い方の額となる)

成果目標

成果目標は、次の通りです。

  • 評価期間に1回以上、対象労働者全員に、在宅またはサテライトオフィスにおいて就業するテレワークを実施させる
  • 評価期間において、対象労働者が在宅またはサテライトオフィスにおいてテレワークを実施した日数の週間平均を、1日以上とする
  • 所定外労働の削減について、労働者の月間平均所定外労働時間数を前年と比較して5時間以上削減させる
評価期間

評価期間は、設定される事業実施期間の中で、事業主自らが1~6カ月の間で設定します。

評価期間に設定できる事業実施期間は、通常のテレワークコースでは、交付決定の日から2020年2月中旬頃までに設定されています(令和2年度は、2021年2月15日まで)。

また、新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコースは、事業実施期間が2020年2月17日~2020年5月31日に設定されています。

2.IT導入補助金

IT導入補助金は、経済産業省が運営しているテレワークに限らず自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補填するための制度です。

中小企業や小規模事業主の方が、自社の置かれた環境を分析し経営課題や需要に合ったITツールを導入することで、業務効率化や売上アップを達成することが目的となっています。

申請受付状況

新型コロナウイルスの影響を考慮した景気対策として、2020年3月13日に2020年(令和2年)度の1次公募(臨時対応)が実施されました。

ただし、こちらの受付は、2020年3月31日に締め切られています。

今後、随時募集が開始される予定です。

対象企業(事業主)

対象企業は、以下の表のいずれかに当てはまる中小企業・小規模事業主です。

飲食、宿泊、卸・小売、運輸、医療、介護、保育などのサービス業のほかにも、製造業や建設業なども対象となってます。

業種 資本金 従業員数
製造業/建設業/運輸業 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
サービス業
(ソフトウェア業/情報処理サービス業/旅館業を除く)
5000万円以下 50人以下
小売業 5000万円以下 50人以下
ゴム製品製造業
(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)
3億円以下 900人以下
ソフトウエア業/情報処理サービス業 3億円以下 300人以下
旅館業 5,000万円以下 200人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下
その他の法人①
(医療法人/社会福祉法人/学校法人)
300人以下
その他の法人②
(以下に該当する組織)

  • 中小企業支援法第2条第1項第4号に規定される中小企業団体
  • 特別の法律によって設立された組合またはその連合会
  • 財団法人(一般・公益)/社団法人(一般・公益)
  • 特定非営利活動法人

主たる業種に記載の従業員規模以下

対象経費

補助の対象となる経費は、日本国内でITツールを導入するために掛かるソフトウエア費およびその導入関連費です。

ITツールは、IT導入支援事業者として登録されている企業のITツールを導入する必要があり、いわば経済産業省が認めたツールを導入する際に利用できる補助金と言えます。

そのため、その他のテレワーク導入に伴う費用は補填できません。

支給要件

本制度では、労働生産性の伸び率の向上を図ることが必要です。

具体的には、「1年後の伸び率が3%以上」「3年後の伸び率が9%以上」という数値目標を達成する必要があります。

A型とB型の2種類の申請区分があり、導入するITツールが担う「プロセス数」と補助対象となるITツールの「導入費(補助対象経費)」により分かれます。

支給額は「対象経費の合計額×1/2(補助率)」で計算されます。

申請区分 プロセス数 導入費(補助対象経費)
A類型 2つ以上
(業務プロセスから1つ以上)
30万~150万円未満
B類型 5つ以上
(業務プロセスから3つ以上)
150万~450万円未満

(プロセス数とは、「業務プロセス(計8つ)」「効率化プロセス(1つ)」「汎用プロセス(1つ)」の中で、組み合わせたプロセスの個数を指します。)

詳細に関しては、こちらのホームページを参照してください。

「IT導入補助金」

3.事業継続緊急対策(テレワーク)助成金

事業継続緊急対策(テレワーク)助成金は、新型コロナウイルスの感染拡大防止や緊急時における企業の事業継続対策としてテレワーク環境を構築する費用を助成する制度です。

東京しごと財団(東京都)が運営しており、都内の中小企業が職場環境整備の推進を図るために利用できます。

申請受付状況

申請受付期間は、2020年3月6日~5月12日となっています。

予算の範囲を超える申請が合った場合には、受付期間内でも受付を修了する場合があるので、利用する場合は早めに申請するようにしましょう。

対象企業(事業主)

対象企業は、次の条件に当てはまる事業主です(この他にも細かい要件が設定されているため、詳しくは募集要項を確認してください)。

  • 常時雇用する労働者が2名以上999名以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業など
  • 都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること
    ※「2020TDM推進プロジェクト」とは、東京オリンピック・パラリンピックに向けて東京都が実施している交通混雑緩和のためのプロジェクトです。

対象経費

対象経費(助成の対象となる取組)は、次のようになっています。

ただし、導入機器などには指定があります。

  • 機器などの購入および設置・設置に掛かる費用(パソコン、タブレット、VPNルーターなど)
  • 保守委託などの業務委託料
  • 導入機器などの導入時運用サポート費
  • 機器のリース料
  • クラウドサービス等ツール利用料

支給要件

テレワーク導入計画時に設定した環境整備を、2020年6月30日までに完了する必要があります。

助成率が10/10となっているため、支給額は対象経費と同等の金額となります。

ただし、上限額は250万円に設定されています。

詳細に関しては、こちらのホームページを参照してください。

「事業継続緊急対策(テレワーク)助成金」

4.テレワーク活用・働く女性応援助成金「テレワーク活用推進コース」

テレワーク活用・働く女性応援助成金は、働き方改革の推進に向けたテレワーク環境の整備や企業における、女性の新規採用・職場拡大を目的とした設備などの整備を支援するための制度です。

東京しごと財団が実施しており、テレワークの支援として「テレワーク活用推進コース」が設定されています。

申請受付状況
2019年度の募集受付が2020年3月31日までとなっており、現在は締め切られています。

対象企業(事業主)

対象企業は、常時雇用する労働者が2名以上かつ999名以下で、都内に本社または事業所を置く中堅・中小企業です(この他にも細かい要件が設定されているため、詳しくは募集要項を確認してください)。

対象経費

対象経費(補助の対象となる事業)は、「テレワーク機器導入事業」「サテライトオフィス利用事業」の2つからなります。

テレワーク機器導入事業では、在宅勤務・モバイル勤務などを可能とする情報通信機器などの導入によるテレワーク環境の整備に掛かる費用を助成できます。

具体的には、モバイル端末など整備費用、ネットワーク整備費用、システム構築費用、関連ソフト利用料、上記環境構築を専門業者に一括委託する経費などがあります。

サテライトオフィス利用事業では、サテライトオフィスでのテレワーク導入に伴う民間サテライトオフィスの利用に掛かる経費を助成できます。

支給要件

2019年度においては、補助の対象となる事業を2021年3月31日までに完了する必要があります。

また、助成率は1/2、上限額はそれぞれの事業ごとに250万円に設定されています。

詳細に関しては、こちらのホームページを参照してください。

「テレワーク活用・働く女性応援助成金」

5.はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)

はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)は、テレワークをトライアルするための環境構築費用および制度整備費を補助することができる制度です。

東京しごと財団が実施しており、東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティングを受けた中堅・中小企業が利用することができます。

申請受付状況
2020年4月6日時点では、4月8日より令和2年度分の申請受付が開始されるとの発表がされています。

対象企業(事業主)

対象企業は、次の条件に当てはまる事業主です(この他にも細かい要件が設定されているため、詳しくは募集要項を確認してください)。

  • 都内に勤務している常時雇用する労働者を2人以上999人以下、かつ6カ月以上継続して雇用していること
  • 就業規則にテレワークに関する規程がないこと
  • 東京都が実施する「2020TDM推進プロジェクト」に参加していること
    ※「2020TDM推進プロジェクト」とは、東京オリンピック・パラリンピックに向けて東京都が実施している交通混雑緩和のためのプロジェクトです。

対象経費

対象となる経費は、「テレワーク環境の構築」「就業規則へのテレワーク制度整備」の2種類からなります。

具体的には、在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス勤務を実施するために掛かる環境構築費用や、テレワークに関する規程を就業規則に定めることに要する専門家への委託費などがあります。

ただし、テレワーク環境を構築するための機器・関連ソフトは東京都が作成する「テレワーク導入プラン」より選定したものでなければなりません。

支給要件

前述のように、はじめてテレワークでは「東京都が実施するテレワーク導入に向けたコンサルティング」を受ける必要があります。

コンサルティングを受けた後、テレワーク導入機器を選定し、申請受付を始めるという流れです。

このコンサルティングには、東京都産業労働局が運営する「ワークスタイル変革コンサルティング」や「業界団体連携によるテレワーク導入促進事業に採択された団体などが実施するコンサルティング」が指定されています。

補助率が10/10となっているため、支給額は対象経費と同等の金額となりますが、補助の上限額は以下のように企業規模(従業員数)により異なります。

従業員数 補助金上限額
300人~999人 110万円
100人~299人 70万円
100人未満 40万円

詳細に関しては、こちらのホームページを参照してください。

「はじめてテレワーク(テレワーク導入促進整備補助金)」

助成金や補助金を活用する際のポイント

助成金や補助金を利用する際には、次のことに注意すると良いでしょう。

①さまざまなテレワーク支援ツールを確認しておく

助成金や補助金は、テレワークを支援するツールを導入する費用を補填する目的で利用する場合が多いのではないでしょうか。

現在はさまざまなテレワーク支援ツールがリリースされており、導入にあたっての費用を前もって確認することは非常に大事なことです。

現在、東京オリンピックや新型コロナウイルスの影響により、無償提供をおこなっているプロダクトやサービスもあります。

この機会に、さまざまな支援ツールを比較検討してみてください。

現在、無償提供されているサービスやプロダクトはこちらから!

「【50選】無償提供中のテレワーク支援プロダクト・サービスをまとめてみた」

②「助成金」「補助金」の違いに注意する

そもそも「助成金」と「補助金」の違いについてご存じでしょうか?

助成金とは返済義務の無いお金で、要件を満たせば誰でも受け取ることができます。

対して、補助金は助成金と同様に返済義務はありませんが、支給にあたって審査に通過する必要があります。

補助金はたとえ要件を満たしていても受給できない場合があるので、利用する場合はよりしっかり準備する必要があるでしょう。

また、助成金は国や地方自治体の予算から拠出されるため、多くの募集受付が4月から始まります。4月まで残すところ後わずかなので、チェックしてみてください。

③その他のサポートも効果的に活用する

助成金や補助金の制度以外にも、政府(国)や東京都はテレワークを支援するさまざまなサポートを実施しています。

これらも上手く活用することで、テレワークを自社に導入する際に掛かる負担が軽減されるでしょう。

まとめ

今回、テレワークに関する5つの助成金や補助金についてご紹介しました。

テレワークは、今後の「働き方」を考える上で非常に重要なキーワードです。

助成金や補助金を得ることができれば、今まで費用面の負担から導入をためらっていた中小企業事業主も、テレワークを導入して再度働き方を見直すことができるかもしれません。

この機会に、助成金や補助金も考慮してテレワークという働き方を検討してみてはいかがでしょうか。

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