「業績貢献できる人事になる」ためのCA人事データ活用法とは | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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「業績貢献できる人事になる」ためのCA人事データ活用法とは

  • 組織
  • エンゲージメント

※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

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こんにちは!HR NOTE編集長 根本です。

HR✖テクノロジー」という言葉を最近よく耳にするようになりました。
従業員データや採用データなどの人事データをどのように集めて、管理して、自社に活かしていこうか考えている企業が増えてきているのではないでしょうか。

今回、各企業がどのような取り組みをしているのか気になり、サイバーエージェント 人材科学センターの主要メンバーである向坂 真弓氏に、どのように人事データを集めて、システムで管理して、活用しようとしているのかお話を伺いました。

サイバーエージェントは2015年1月に「人材科学センター」という組織を立ち上げ、向坂氏を中心に適材適所・業績貢献のためにさまざまな切り口で人事データを収集・分析をしています。

向坂様

向坂 真弓 | 株式会社サイバーエージェント 人材科学センター Analyst

新卒でサイバーエージェントに入社。広告代理店事業で8年ほど営業とマーケティング業務に従事。 その後退職し、海外にてフリーランスでマーケティングの仕事をこなす。2016年1月、5年ぶりにサイバーエージェントに戻り、人材科学センターで人事データの分析を主なミッションとしている。

【本記事の概要】

  • 人材科学センター設立の経緯・目的
  • どのようなデータを集めているのか?人事データに関する「SRM」とは?
  • 社員のデータを集めるために活用している、GEPPO(ゲッポー)とは何か?
  • 社員からデータを回収するための周知徹底や、本音の回答を集めるための施策とは?
  • 集めたデータをどのように活かそうと考えているのか?
  • 現状の課題や今後の展望
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「人事は事業に貢献するための組織でなければいけない」人材科学センター設立の目的とは?

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―人材科学センター設立の経緯をお伺いさせてください。

向坂氏:まず最初に、私は、人材科学センターキャリアエージェントという業務を兼務してるんですけど、その2つを合わせた人材開発本部という人事の部署があります。

もともとは、キャリアエージェントという部署が先に立ち上がったんですが、これは社内の適材適所を実現するための社内の転職エージェントみたいな感じの部署なんですね。これが立ち上がったのが2013年6月です。これは「あした会議」でできた部署です。

今、社員数が非正規も含めて7,000人いるんですけど、部門を大きくまたいだ異動がなかなかできなくなってきたので、よりよい適材適所に向けた配置転換を行っていこうと立ち上がった部署です。

その1年半後、2015年1月に、これも「あした会議」で出された案が決議されて立ち上がったのが人材科学センターです。

―人材科学センターが設立された目的は何ですか?

向坂氏:キャリアエージェントが社員に対して異動提案をする際に、面談をして、その人のキャリアの希望や適性を見て異動を行うんですけど、どうしても限られた人数なので全社員の状態を把握するのが難しくて。

そういう意味で、全社員のコンディションやキャリア志向を常にデータとして可視化・把握して、そのデータをもとに、より良い適材適所をしていこうという目的で、人材科学センターが生まれました。

あと、人材科学センターに限らず、サイバーエージェントの人事全体の考えなんですけど、「人事は事業に貢献するための組織でなければいけない。組織に人材を最適配置することで業績を上げられる」と考えています。
なので、人材科学センターも、それをデータで裏付けようというような意識でやっていますね。

どのようなデータを集めているのか?人事データに関する「SRM」とは?

―人材科学センターを設立して、はじめに行ったことを教えてください。どんな情報から集めようと思ったのですか。

向坂氏:できることから手当たり次第に行っていったのですが、分析に使う人事データを「SRM」という考えに基づいて整理しています。

「S」がSelf info、個人のスキル、コンディション、経歴などの情報ですね。
「R」がReputation、評判という意味なんですけど、周りからの評価や表彰・受賞などの情報。
「M」がMatchingで、組み合わせ、相性。人と人のマッチングもそうだし、人と組織とか、その人と事業部サイドとかのマッチングです。

これら3つの情報が充実していれば、よりよい適材適所ができるというのが根底の考え方です。

まず、この「SRM」でいうと、Sのところをまずは徹底的に出していこうとしています。
弊社の特長として、自分から事業責任者やりたいとか、こういう仕事をやりたいって手をあげた人を抜擢していくというカルチャーがもともとあったんですね。

なのでそういう個人の意思をできるだけ拾うために、まずは「S」のSelf infoを充実させようと考えています。
分析に使う人事データの一部は、「GEPPO(ゲッポー)」というシステムを活用して集めています。

それ以外にも、社内開発の採用管理システムに入っている入社前情報や、社員の勤怠情報なども分析対象です。

社員のデータを集めるために活用している、GEPPO(ゲッポー)とは何か?

―どうやってデータを集めていくかが、各社課題になってくると思うのですが、御社ではGEPPOというシステムを活用されているのですね。

向坂氏個人の考えとかコンディションって、山の天気のようにコロコロ変わるものだと思っています。
なので、常に最新のコンディションを把握できるように月に1度アンケートをとることを決め、改修がしやすいように内製でシステム構築しました。

【GEPPO(ゲッポー)画面イメージ】

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―GEPPOの晴れ、曇り、雨のマークは、山の天気のように個人のコンディションがコロコロ変わるっていう天気の部分からできたんですか。

向坂氏:そうです。5段階に分けています。

―では、GEPPOに関して具体的にどのような項目があるかお伺いさせてください。

向坂氏個人の成果、パフォーマンスを毎月5段階の天気で聞くことと、フリーコメント、あとはここにもう1問、毎月変わる設問をおいています。
例えば「仕事に使えそうな趣味・特技は何ですか」とか、「あなたの今の成長実感を教えてください」とか。

個人のスキルについてだったり、コンディションだったり、あとは組織について聞くこともあります。
「あなたのチームでは率直な対応がなされていますか」みたいな。

―その設問はどういう基準でつけていくのですか。

向坂氏:毎月なるべくいろいろと切り口を変えて聞くようにしています。
個人のことを聞いた翌月は組織のことを聞いたり。GEPPOは3年ぐらい運用しているのですが、いろいろな紆余曲折を経てきていまして、ネガティブな聞き方をするとネガティブな答えしか返ってこないなどの傾向もあるんです。

なので、「あなたの組織の課題を教えてください」って聞いちゃうと、不満しか出てこないので、「あなたの組織でうまくいってることを教えてください」って聞くと、すごく建設的な意見が出てきたりするので、そういうちょっとしたコツはいくつかあります。

―晴れだったり雨だったり曇りだったり、各従業員の方がつけていくと思うんですけど、この天気の付け方でいくとどのようなところに着目して分析しているのですか?

向坂氏:人によって、すごくストイックな人はずっと雨つけるし、ポジティブな人はずっと快晴をつける、みたいな傾向があるので、「1ヵ月だけ切り取って、この人は曇りだからこうしよう」というような見方はあまりしていません。

それよりも、「ずっと晴れだった人が急に雨に落ちた」とか、急激な変化に注意するようにしています。
「ミッション変更でモチベーションが下がっているのではないか」「組織内で何か課題が発生しているのではないか」などを見ています。

こういうことを見極めて、役員へ報告したり、キャリアエージェントが面談などの対応をしています。
個人ごとで見る場合もありますし、あとは組織ごとで分析することもあります。

GEPPOデータと、勤怠データや査定データを掛け合わせてみることで、個人のモチベーションと働き方や組織成果に乖離が出ていないか、チェックをすることもあります。

【GEPPOデータと勤怠データの掛けあわせ事例】

勤怠データ成長実感(所属毎)

社員からデータを回収するための周知徹底や、本音の回答を集めるための施策とは?

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―正直に回答しない人も中にはいるのではないでしょうか?その辺はどう見極められていますか。

向坂氏:GEPPOに書かれた情報は、「キャリアエージェントが全文読み込んでいます」「書かれた内容は、キャリアエージェントチームとCA8と呼ばれる役員だけで共有します」っていう約束を社員に対してしているので、率直に忌憚のない意見を書いてくれますね。

情報開示先
―GEPPOへの記載や運営方針など、どのように従業員に周知徹底させているのでしょうか?すごく難しいのではないかと思うのですが。

向坂氏毎日のようにメールでアラートを飛ばすようにしています。「GEPPOを記入する日ですよ」みたいな。記入が終わらないとアラートが飛び続けます

アラート文面も毎回変えて、開封率を高くするためにはどうすればよいか、どうすれば記載してくれるか考えています。

―ちなみに、それでも入れない方っていたりしますか。

向坂氏:開始から今まで、記入率は98%をキープしています。意外と効くのが、コメントへの返信です。

例えば今、私は新卒のGEPPOをよく読んでるんですね。
それで、フリーコメント欄にいろいろ書いてくれている新卒全員に返信をするんですよ。
GEPPO上で返信機能をつけているので、そこからレスができるんです。

で、「GEPPOコメントを読みました。ありがとうございます。がんばってくださいね。」みたいなコメントを全員に返したら、「GEPPOって本当に人が読んでたんですね(笑)」「ここに記入すると返事がもらえるなんて思いもしませんでした」っていう驚きの反応が結構多くて。

これ結構効くんですよね。
ただ一方的に声を吸い上げる人事システムではなく、コミュニケーションツールに近いと考えています。

―しっかり読んでくれているとわかると書くモチベーションになりますよね。

向坂氏:「一方的に情報を吸い上げられて、何に使われてるかもわからない」っていうことだと、どうしてもだんだん書きたくなくなってくるので。
その為にも、きちんと人の目で読み込んで、コミュニケーションをとるように心掛けています。

ただ、まだ全員にレスを返せているわけではないので、情報は守りつつ透明性を出して社員理解を高めていくことが、今後の取り組みの重要なポイントだと考えています。

集めたデータをどう活かしていこうと考えているのか?

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―採用管理システムでは、どのようなデータに着目していますか。

向坂氏:サイバーエージェントに入る入らない関係なく、受けにきた人の面接の履歴とか、面接の中でどういう評価だったっていう情報が全部入っている、弊社でつくった採用管理システムがあるのですが、私が人材科学センターで使いたいのは、入社した方、内定承諾した方が実際に面接時にどういう評価だったのかです。

そことGEPPOなどをつなげていこうっていう構想で今進めています。
ハイパフォーマーが面接の段階でどういう評価だったとか、どういう要素がある方が今後活躍するみたいなのを見るためにデータの突き合わせをしていきたいと思っていて。
そのために個々のデータのつなぎ込みをしようとしています。

―何か参考にしてるものはありますか。

向坂氏:海外だとGoogleの事例が有名なのですが、国内事例はあまり出てこないので、他社で同様のことをやられている方とよく情報交換させて頂いています。
みなさん試行錯誤されているようですが、この分野はこれからもっと注目されると思っています。

「データはいろいろ見たけど結局何がいいのかわからない」ってなってしまうと意味がないので、基本に立ち返って業績貢献するために何がベストかを考えるようにしています。

現状の課題や今後の展望

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―まだ始まって1年弱ぐらいだと思うんですけど、データをとって分析してくることで、見えてきたものはありますか。

向坂氏:まだこれからですかね(笑)。
直接的なそこまでの効果はまだ正直見えてないですけど、「組織と人のコンディションが手に取るように分かって、抜擢などの経営判断がしやすくなった」って経営陣に言わせたいなと思ってます(笑)。

―最後に、今後の展望をお伺いさせてください。

向坂氏:最近HRTech市場が活発になってきていることもあって、人事データ分析はこれからとても注目される分野だと考えています

今後やっていきたいのは人の感覚とか経験では思いつかないような意外な発見をデータ分析やテクノロジーの力を使って提案していきたいと思っています。科学に裏付けられた芸術的な適材適所を行うことで、さらなる業績貢献につなげていきたいです。

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