ニッチな人材を獲得するピンポイント採用の極意【シート付】 |HR NOTE

ニッチな人材を獲得するピンポイント採用の極意【シート付】 |HR NOTE

ニッチな人材を獲得するピンポイント採用の極意【シート付】

  • 採用
  • 中途採用手法

※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

採用担当の方々は、経営陣や事業部長から「●●な経験・スキルを持った人材が欲しい」というオーダーが日々待ち受けていると思います。

しかし、採用市場になかなかいないような経験・スキルを持つ候補者を採用したいというオーダーだったとき、皆さまはどのように対応されますでしょうか。

エージェントに相談してひたすら待つ、求人広告に出してみる、社内で育てる、そもそもあきらめる、いろいろな考えが脳裏に浮かんでくるかと思いますが、「ダイレクトリクルーティングで攻める」という選択肢もあるのではないでしょうか。

ただ、ダイレクトリクルーティングを行うにしてもどのように動くべきか悩まれる方もいるかと思います。

そこで今回は、株式会社カリーグズの代表である福田 航太氏に、採用市場にいないニッチなターゲット層に関して、どのように出会いの機会を創出し、どのように魅力付けを行い、どのように定着させるのかまでをインタビューさせていただき、前編・後編としてご紹介します。

図2

福田 航太

2008年リクルートに新卒入社。その後2013年にDeNAに中途入社。ゲーム事業の採用責任者を務め、後にキュレーションメディアの広告の営業責任者を経験。2016年3月よりColleaguesを立ち上げ、Webサービスの開発や採用コンサルティングを行う。採用コンサルティングに関しては代表自ら、上場企業4社とスタートアップ企業2社を支援している。

【前編】
①出会い:ニッチなターゲットにピンポイントでアプローチするには
②アトラクト:ターゲットに興味を持ってもらうには

【後編】
③定着・活性:会社のVisionや行動規範をどうやって浸透させるか
④展望:カリーグズが目指すこと

【ダイレクトリクルーティング市場調査】

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ニッチなターゲットにピンポイントでアプローチするには

-これまで採用を行ってきた中で、どのような採用オーダーがありましたか?

福田氏:転職エージェントにお願いをしたり、転職サイトに掲載したりと、通常よくある採用手法を丁寧にやっても充足が難しいポジションが多かったです。

例えば、以下のような感じです。

  • アプリのUIデザインをゼロから作れて、グラフィックデザインもできる人
  • Objective-Cでの開発経験が2年以上あり、C向けのWebサービスを新規で作ったこと経験があり企画を考えるのも好きなiOSアプリ開発のエンジニア
  • ゼロから新規アプリサービスを立ち上げ、月商1億円以上までヒットさせた経験のあるプロデューサー

心の中では「そんな人、いるか!」って呟きたくなるようなオーダーですね(笑)。

-なかなか採用市場にいないようなターゲットに対し、どのようにアプローチをしていくのでしょうか?

福田氏

  1. まずは転職意欲が顕在化している人のボリュームを正確に把握する
  2. 少ない場合、転職市場に出ているかどうかに関係なく、採用したいターゲット像を「どこの会社の誰みたいな人」と言えるまで明確にする
  3. 2のターゲットにどうやったら出会えるか考える

この順番です。

まず、1から説明します。転職エージェントの営業担当の方に聞くのはもちろん、一般的な採用ツールの登録者にどれぐらいターゲットがいるのか見ます。

転職エージェントや転職データベースの中で対象となる候補者がいるなら、すぐに動いてくれる可能性が高い人たちで、そこで探すのが一番効率が良いはずなので、まずはそこでサーチをします。

「全体で数十万人登録してますけど、その中にターゲットとなる人は2人だけいました」みたいな回答であれば、顕在層へのアプローチだけで採用充足を目指すのは厳しいと判断します。そこからいろいろ手を尽くさなきゃいけなくて。

そのときにやるべきことは、まずは具体的にターゲットがどのような会社に勤めているのか、会社を一覧化してみる。
そして、そういう人たちがいるコミュニティやイベントがないか調べつくします。

例えばUIデザイナーという話でいくと、UIデザインの勉強会とかって、connpasに上がってたりするんですね。

そういうところにとりあえず行って名刺交換して、自社に合いそうな方がいたら、「弊社のデザイナーと会ってみませんか?」みたいな形で引き合わせをしちゃうとか。

あとはターゲットとなる方々が見ていそうなメディアへの出稿も考えます。

ゲーム系の人材だったら、ファミ通、Social Game Info、4Gamer、GameWithとか見てるじゃないですか
そういうところに「求人載せられませんか?」って問い合わせをします。

あとは、本当に会社名とか人物までできるだけピンポイントで訴求したい際は、Facebook広告などで広告出稿も行います。

例えば「●●会社」の社員にアプローチしたかったら、「●●会社」ってプロフィールに入れてる方だけに広告を配信することができたりします。

-たしかに!Facebook広告だとピンポイントで訴求できますね。

福田氏:例えばネオキャリアに勤めている人を採用したいときは、「ネオキャリアにお勤めの方に」みたいなバナーを作って広告運用を行い、採用LPに飛ばすことで効率的にダイレクトリクルーティングができます。

-ターゲットに出会った後はどのように面接まで持っていくのですか?

福田氏:いきなり「面接に来てください」と言ってもハードルが高かったりするので、そういうときはイベントの設定を行います。

イベントはクローズドとオープン、職種によって使い分けます

エンジニアやデザイナーの方はイベントに行き慣れているのでオープンイベントで良いと思いますし、ビジネス職の方はあまりイベントの応募率がよくなかったりするのですが、少人数のクローズドイベントにすると応募率が上がったりします。

「著名な経営者の方をお招きしてイベントをするので来ませんか」みたいなイメージです。

一番大切なのはターゲットと接点を持つことなので、まずはそこでターゲットを幅広く集めて、自社の社員と話してもらいます。

例えば100人来てたらそのうち10人ぐらいはぼんやりとでも転職を考えてたりするので、そういう人たちをちゃんと自社の面接に誘導していけばよいですし、そのとき転職を考えていない90人も、1年ぐらいすればまたそこから10人ぐらい転職を考えるようになるんですよ。

コミュニケーションを中長期的に行い、その中で徐々に転職顕在になるタイミングを逃さずにコミュニケーション設計を行っていきます。

-イベントの際は、自社の社員の方と人事で明確な役割分担などあるのでしょうか?

福田氏:人事と人事以外の協力者がいるとして、人事以外の協力者にはとりあえずその人が仕事がフィットしそうかとか、優秀そうかとか、能力面とかフィット具合だけを見てもらうようにして、この人が転職を考えてるかどうかみたいなことは後で人事の方で判断すればよいです。

-クローズドのイベントはどのようなことを行っているのでしょうか?

福田氏:「普段は中々会えない人と会える、聞けない話が聞ける」といったスペシャルなコンテンツを用意します。

「クローズドイベントなので是非きてください」みたいにすると参加率が高くなります。

-人材プールはどのように形成していくのですか。そのときは縁がなくても、1年後2年後に「ひょっとしたら」っていう方々とは、どのようにコミュニケーションを取り続けるのか。

福田氏:まずイベントに来てもらった人は全部Excelとかスプレッドシートとかにまとめます。

「①自社に合うかどうか」「②転職意欲があるか」の2軸で、それぞれA、B、Cランク付けをしていきます。

今は転職考えていない人でも、自社に合うかどうかでA、Bの人たちは中長期的にでも追い続けたいので、1人1人次回アクション内容と、アクション期日を決めます。

どの社員をアサインすると候補者をアトラクトできるか、考える

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-面接に来ていただいてから内定までの候補者への対応はどのようにされていますか。

福田氏:採用活動における「アトラクト」はものすごく重要だと思います。
ニッチなところに行けば行くほど採用まだ考えてない顕在層の割合は多くなりますし、他の会社からも引く手数多な方々です。

「まずはうちの会社にきてください」といったように、面接とは違う応募前面談みたいなものを設ける必要があるんですよね。

「まずはランチしませんか、お茶しませんか、飲みにいきませんか」とか、って会ってもらうためのハードルを下げることが目的です。

そこで何を伝えるべきかというところと、誰をアサインすべきかを考えます。

人事が話せれば人事がいいんですけど、例えばエンジニアの方のような専門性の高いスキルをお持ちの方は、同じようなレベルで話せる方をアサインさせたほうが会話が盛り上がるので、そこは候補者の経歴を見ながら、「この人だったらうちにいるどういう経歴の人と話してもらえば興味を持ってもらえるか」といったところは工夫が必要です。

その候補者が大企業に勤めていて、自社がベンチャー企業なら、大企業出身で自社にいる社員の話とか、聞きたいじゃないですか。

もしくはその人とまったく同じ前職だったり、前職の競合などから転職してきて活躍してる人がいたら共感できることも多いはずです。

その人がどういうサービス手がけてたかとか、関わってたかみたいなところからも、似たようなプロダクトとか、それよりもちょっと大きいサービスを作った経歴のある人をできるだけアサインして、多分共通の話ができるだろうなと。

共感だけではなく、リスペクトしてもらえる人をアサインしないと、候補者も「一緒に働きたい」とか「面接に進みたい」とならないので、ここは慎重に考えていました。

-そこではどのようなお話をされるのですか。

福田氏:「会社として何を目指しているか」と「個人として何を成し遂げたいか」は、必ず話す(話してもらう)ようにしています。

目指すことやビジョンの話に加えて、それを実現するためにどういう環境を整えているか、どういう制度があるか、みんなどういうモチベーションでやっているかというところをしっかりと語ることを意識します。

あとは、わざと失敗例とか出してますね

あるあるなんですよ。多くの会社で似たような、「ああ、確かにうちもそうなんだけど、それが上手くいってない原因なんだよ」みたいな。

できなかったことを認めつつ、「でもこういう紆余曲折があったから、今はビジョンに近づけるためにこういう体制に変えてます」という話をすると、「それはすごく素敵ですね」と共感してくれます。

「そういう環境なんだったら、自分はもともと今の会社もこういうことがやりたくて入ったわけだし、そっちの会社のほうがそれを実現できそうだから興味があります」とおっしゃってくれる方もいます。

-「面接受けたいです」ってなった場合はどのようなフローになるのでしょうか。

福田氏:面接を受けるって話になったときには、基本的に通常のフローですね。

でもこちらにとってすごくいいと思う候補者だったら、二次面接、三次面接までフローあるとしても、1日で、あるいは1回で全部終わらせちゃいますね

今、採用のお手伝いをしている会社でも、1日で面接終わらせて、面接終わったら「その場でちょっと待っててくださいね」って候補者に待っていただいて、その場ですぐにオファーレターを提示することもあります。

-鉄は熱いうちに打てと。

福田氏:他社の選考も考えると、オファーは早く出すべきか、出さないべきかってあると思うんですけど、面接回数が多ければ多い人のほうが、逆に内定承諾率が下がっているのではないかと個人的には感じています。

むしろ先に内定なりオファーなり出しちゃって、その人が他社の選考があってすぐには決められない期間があるのであれば、その期間は「こういう人と会ってほしいんです」って言って、面接ではなくて、会食などをセッティングして自社の社員と会ってもらうことを重ねればいいと思うんですよ。

-採用会食も工夫されていますよね。

福田氏:以前、「年間200回会食に行った広告営業担当の会食店舗リスト72」っていうのをつくりました。

会食の際に状況に応じてどのお店を選べばいいのか、どんなジャンルで予算はどのくらいか、飲み会の誘い方などをまとめていました。

  • 会食は基本的には個室を予約する
  • その場でアラカルトを頼むのは、頼んでいる時間ももったいないので事前にコースを予約しておいたほうがベター
  • 事前に「肉にしますか、和食にしますか」くらい聞いておいて店は選ぶ
  • 会食の日程がどんなに先でも、会食が決まったら即日もしくは翌日までに店は予約すること。 早いだけで気分がよいし、会食キャンセル予防にもなる
  • 相手が普段どんなお店にどれくらい行っているのか、味重視なのか/雰囲気重視なのかなど、事前に情報を収集しておいて店は決める
    (例)普段あまり会食に行く機会がない方:SNSとかで良く投稿されている有名店だと喜ぶこと多い
    (例)若い女性の担当者が多い:合コン、女子会風のお店だったり、インスタ映えしそうな華やかな料理が出てくる店
    (例)毎日のように会食があり、高級店にも行きなれている部長:食べログでは美味しいかわからないが行ってみるとすごくおいしい赤ちょうちんのお店
    (例)野球好き:横浜スタジアムでボックス席で観戦しながら楽しくビール⇒二次会は中華街 など
  • 通常、飲みに誘いづらい相手には「食べログ日本一の焼き鳥屋、行きませんか」など、キャッチーな店をフックに誘うと話が進みやすい

誘い方っていろいろあると思うんですけど、「こういう人がいるので会わせたいです」というのも1つですし、共通の趣味を見出して、「一緒に野球見ながらビール飲みましょう」とか。共有の趣味が見つからなかったら、「ご飯って何が好きなんですか」とか聞いちゃって、「寿司が好きです」だったら、「まさにこのオフィスの近くに社員に人気のお寿司屋さんあるんで、今度他の社員と行きましょう」とか言って誘っています。

【後編へ続く】
③会社のVisionや行動規範をどうやって浸透させるか
④展望:カリーグズが目指すこと
https://hrnote.jp/contents/contents-1799/

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