2019年1月に日本でも「Google しごと検索(Google for Jobs)」がサービス開始されました。
これにより、Googleで求人関連のキーワードを検索すると、検索結果の上位3つの求人情報がGoogleの検索結果として掲載されるようになりました。
また同時に「Google Hire」も検索されることが多くなっています。Googleしごと検索の次に人材採用にかかわるサービスとして注目されている「Google Hire」。
本記事では、Google Hireの概要から今後の動向まで詳しく解説します。
目次
1|Google Hireとは?
Google Hireは、2017年7月18日にアメリカで発表されたGoogle社初の人材採用支援サービスです。
2017年6月に求人検索機能をもった「Google for Jobs」がリリースされました。日本でも2019年1月23日(水)に「Googleしごと検索」が本格導入され、大きな話題になりました。
GoogleHireは、それに続く人材採用にかかわるサービスです。
主に中堅中小企業向けのサービスで、求職者への連絡や面接のスケジューリング、応募の管理など採用管理システム(ATS)としての機能を持っています。
大きな特徴として次の8つがあげられます。
1. Googleしごと検索(Google for Jobs)との連携
人材採用の業界を大きく変える可能性があるサービスとして大きな注目を浴びているGoogleしごと検索(Google for Jobs)との連携があります。
既存の自社採用サイトにHireでつくった求人原稿を掲載し、その原稿をGoogleしごと検索(Google for Jobs)で読み込ませることができます。
2. Gsuiteとの円滑な連携と分析
Google Hireはデータ管理やメール、カレンダーをシェアすることができるGsuiteと連携をしており、メールのやりとりでは、Google Hire関係のメールも同じGmailで管理できます。
他のメールと区別するためにマーキングが入るため、見逃すこともありません。また、面談日程を登録するとGoogleのカレンダーに反映されるなど、採用管理にかかる手間を削減してくれるなど円滑な連携ができます。
3. 応募者データの蓄積
採用に至らなかった応募者も含めてすべての応募者の情報をすべて蓄積しておくことができます。
不採用者の中には優秀な人材もいますが、たまたまその人にあった仕事がなかったために不採用になるというケースもあります。Google Hireを使用すれば優秀な人材を再び探す際に、不採用者を含めた過去の人材データベースを検索して探すことができます。
単に現時点で求職している人だけでなく、過去に応募をしてきた優秀な人材まで広い範囲から人材を獲得できるチャンスが広がります。
4. 応募者が使用しているSNSをまとめて把握できる
採用管理システムに求職者が使っているSNSをまとめて情報登録することが可能になります。
職務経歴書や履歴書ではわからない人柄やスキル、バックグラウンドを知ることができます。職務経歴書や面談ではわからない一面をみることができ、入社したあとで、こんな人ではなかったのにいうギャップを低減することができます。
その結果、早期離職者を減らすことができます。
5. チームで情報共有ができる
Googleのサービスと連携しているだけでなく採用管理システムとしての機能を持っているため、簡単に情報共有することができます。また誰がどのような返事をしたかについても共有することができ、例えば担当者が休んでも代わりの人が簡単に対応することができます。
売り手市場の現在、タイミングは非常に重要です。担当者が手を取れずに返信が遅れたために採用チャンスを失うと大きな痛手です。確実に応募者への早期対応をおこなうことができます。
6. 求職者対応用のメールテンプレートがある
求職者への対応として返信するメールの内容で悩み時間がかかっている人も多いのではないでしょうか?
Google Hireは各種フェーズにあわせて求職者対応用のメールテンプレート用意されています。テンプレートにあわせてメールを作成するだけで対応する内容について時間を使うことができます。
7. candidate discovery(候補者発見)機能がある
Googleと言えば、検索エンジン最大手で有名ですよね。人材検索においてもGoogle検索技術が検索補助します。
例えば、Google Hire内の検索エンジンでフロントエンジニアを検索するとHTML、CSS、JavaScriptができる人材も検索してくれます。
このような機能をcandidate discovery(候補者発見)といいます。単なる一致だけでなく、経験に基づいて、最適な候補者が検索結果の上部に表示されます。これもAI技術で先行するGoogleの得意とするサービスです。
8. 採用データをエクスポート可能
採用データをGoogleスプレッドシートでエクスポートすることができます。採用活動において、効率よく作業をすすめるためには必要な情報共有を簡単におこなうことが重要です。
採用チーム全員で進捗確認をするときや部署に求職者を連携する際など、さまざまな場面でGoogleスプレッドシートが幅広く活用できることでしょう。
2|Google Hireの使い方を解説
Google HireはGoogleのビジネス向けのサービスである「G Suite」とスムーズに連携することが可能です。
1. 同期ができる
例えば、求職者から応募が来た場合、GmailとHireの双方で自動的に同期をとることができ、両方のアプリでメールの内容をチェックしたり返信することができます。
Hireアプリに登録された求人に対するメールには「Hire」タグが付くため、応募者からのメールを見逃す心配がありません。
さらに求人にかかわるメールは、複数の担当者で共有することができるため返信をしていないなどの抜け漏れがないような設定になっていいます。
2. 誰でも簡単に使うことができる
またATSを一度も使ったことがなくても、普段からG Suiteのツールを使っていれば、直感的にGoogle Hireを使い始めることができるため、作業が簡単かつスピディーにおこなうことができるようになります。
3|Google Hireの競合になるのは?
Google Hireは採用管理管理システム(ATS)の一種になります。ここでは、国内と国外の2つに分けてご紹介します。
1. 国内の競合
国内の採用管理システム(ATS)ですと、以下のように人材会社が運営するのもが競合になりやすいと考えられます。
- アクセスオンラインキャリア(株式会社マイナビ)
- リクオプ(HRソリューションズ株式会社)
- ジンジャー新卒採用(jinjer株式会社)
この他にも採用管理システムを運営している企業はたくさんあります。詳しくは下の関連記事をご覧ください。
また、Google for Jobsとの連携という点でいうと、転職エージェントや転職サイトまで含めて採用活動全般にかかわるすべてのサービスが競合になる可能性があります。
しかし、日本では転職時にはエージェントが仲介となり、就業条件などの調整をしてもらうことが多く、単純にインターネット上でのサービスだけで完結することは考えにくいのが現状です。
2. 海外の競合
アメリカのHR市場は、特にテクノロジーの分野で大きな注目を集めています。
HRTech (HR+Technology)という、最先端の人事システムの市場が勃興しており、シリコンバレーではHRTech関連企業が120社を超えています。
以下に、海外のHRTech関連サービスを提供している企業を一部まとめました。
※海外のHRTech関連企業(HR NOTE編集部調べ)
またアメリカでは求人サイトの「Greenhouse」や「Lever」がGoogle Hireの競合だと言われています。
Greenhouse(アメリカ:2012年設立)
Lever(アメリカ:2012年設立)
Leverはクラウドによる、次世代の応募者追跡システム(ATS)です。
CRM(顧客満足度と顧客ロイヤルティの向上により収益性の向上を目指す手法)のようなソリューションも搭載した応募者追跡システムで、ワンストップでの優秀な人材の追跡、ワンクリックで候補者との完全な交流履歴データが把握できる機能を含め、その他多くの機能を実装しています。
その他
また2018年4月時点で、登録メンバーは5億4千万人を超して世界中で利用されているビジネス用SNSの「LinkedIn」も比較されることが多いです。
この他にもアメリカの採用管理システムを運営している企業はたくさんあります。詳しくは下の関連記事をご覧ください。
4|今後の動向
Google Hireは2017年7月18日時点でアメリカでの導入が始まっており、すでに中小企業を中心に利用が増加しています。日本でもGoogleしごと検索などと同じように、まもなくサービスの提供が始まると予想されています。
現段階では、Google Hireは下記のようなデモ画面になります。しかし、「2019年6月までに」との記載もありますので、まもなくサービスが開始されることは間違いないでしょう。
近い将来には国内の利用者が増え、日本でもGoogle HireやGoogleしごと検索を使った採用活動の仕方に変わる可能性が高いと考えられています。
Googleしごと検索との連携もまだまだ表層しかわかっていません。Google Hireの動向に注目し、自社にあったシステムであれば、積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。
人材採用の仕方をどのように変えていくのか、これからもGoogleの動向に要チェックです。