近年、その注目度が上がっている「大学生向けインターンシップ」。しかし、どのような内容のインターンシップを開催すべきか、悩まれている方もいるのではないでしょうか。
そんな中、就活生向けのクチコミサイト「就活会議」を運営している、株式会社リブセンスが「学生が本当に行ってよかったINTERNSHIP AWARD 2018」を開催。
学生からのクチコミをもとに、評価が高かったインターンシップ開催企業を発表していますが、各社どのようなインターンを実施されているのでしょうか。
今回は、同社で就活会議を運営されている渡部さんに、学生から支持されるインターンシップの傾向についてお伺いしました。
※本記事は、2018年にインタビューさせていただいた当時の状況をまとめさせていただいた記事になります。現在、「就活会議」の運営はポート株式会社に変更されており、新卒採用支援サービス「就活会議エージェント」を展開しております。
【人物紹介】渡部 雄大| 株式会社リブセンス 就活会議ユニット
目次
就活生向けクチコミサイト「就活会議」とは?
ーまず、「就活会議」とはどういったサイトなのか教えてください。
渡部氏:「就活会議」は、就活生向けのクチコミサイトです。
もともと、弊社で運営している転職クチコミサイト「転職会議」があり、就活生も数多くご登録いただいていたんです。
ただ、就活と転職、就活生と社会人では、必要な情報は違うわけです。そこで「就活生に寄り添ったサービスを作ろう」と立ち上げたのが「就活会議」です。
渡部氏:転職会議で保有している従業員・元従業員の企業クチコミに加え、選考を通過したエントリーシート、本選考の体験記、インターンの体験記といった就活クチコミを掲載しています。
就活において「何をやっていいかわからない」「どのように自分を表現したらいいかわからない」といった悩みを抱える学生は多くいます。結果、面接で落ち続け、どんどん自信を無くしていくケースも少なくない。
我々は、就活を経験した先輩の体験談を公開することで、少しでも就活生のサポートができればと考えています。
ー確かに、就活で苦労する学生は多そうですね。他にも何か機能はありますか?
渡部氏:昨年末からは、就活会議のサイトに企業が求人を掲載し、就活生が直接企業に応募できる機能を開発しました。
「求人情報を見ても、どうせ良いことしか書いていない」と思っている就活生は増えてきています。
就活会議では、企業からの公式な求人情報があり、従業員・元従業員の企業クチコミがあり、その企業の選考を受けた先輩の就活クチコミもある。
さまざまな角度から企業を見ることによって、「自分に合った企業」を見つけることが出来るサービスにしていきたいと考えています。
「自分に合った企業」を見つけるという点においては、就活生の志向性と企業クチコミデータを分析し、「就活生と企業のマッチ度」を判定できる機能も提供しています。
渡部氏:就活生は、どうしても「知っている企業」「イメージしやすい仕事内容」で企業を選ぶ傾向があります。結果、名の知れた大手企業やBtoCの企業に応募が集中する。
それ自体は悪いことではないと思いますが、一方であまり知られていない企業にも優良企業はたくさんあります。
就活会議では、企業や就活生のクチコミ情報に加えて、「自分の価値観とのマッチ度」も提供することで、より自分に合った企業探しができるようにしたい。
新卒社員の3割が3年以内に離職するなど、企業と就活生のミスマッチが社会課題のひとつとなっていますが、我々はこれをできる限り解消していきたいと思っています。
学生の本音から読み解く、インターンシップの全体的な傾向
ー現在の新卒採用の傾向として、インターンシップに注目が集まっていますが、就活会議にも「インターン体験記」というものがありますね。
渡部氏:はい。我々も、インターンシップには非常に注目しています。
就活生と企業のミスマッチの問題を解消するためには、学生時代に一定の職業体験を積むことが重要だと考えています。
就活会議では2年ほど前からインターン体験記の収集を始めたのですが、現在3,200件ほど集まっています。
インターン体験記には、インターンシップのテーマや内容に加え、「志望度が上がったか」「その後の就職活動にどのような影響を与えたか」といった、インターンシップに参加した学生の本音が書かれています。1記事の平均が2,000字程度と、読み応えのある内容です。
読んでいると、各社のインターンの様子がよくわかるので、結構面白いですね。
ー学生の声を見ていると、どのような傾向がありそうでしょうか?
渡部氏:インターン体験記の内容を集計してみたのですが、 「働くイメージがついたか」という項目では、約56%の就活生が「働くイメージがついた」と回答しています。
また、志望度が上がったかどうかは多くの企業にとって無視できないかと思いますが、約62%の就活生が「志望度が上がった」と答えています。
また一方で、インターン体験記には、「インターンシップで学んだこと」「このインターンシップがその後の就職活動にどう影響したか」といった項目もあるのですが、「業界理解も深めることができ、大きく自己成長できた」というものから、「大きな発見はなかった」というものまで、かなり差があります。
インターンシップの就活生に対する提供価値は、企業によってかなり差が出ている印象です。
人気のインターンがわかる「学生が本当に行ってよかったINTERNSHIP AWARD 2018」とは?
ーそういった背景があり、「INTERNSHIP AWARD 2018」を開催されたのですね。
渡部氏:はい。「学生が本当に行ってよかったINTERNSHIP AWARD 2018」では、就活会議に寄せられているインターン体験記の評点を集計し、就活生からの評価が非常に高かった企業を発表しました。
また、受賞企業の中で3社にインタビューさせていただき、学生からの評価が高い秘訣や、インターンシップの位置づけなどについて、可能な限り教えていただきました。
「学生が本当に行ってよかったINTERNSHIP AWARD 2018」
ーどのような企業が受賞されたのでしょうか?
渡部氏:学生が重視する6つの観点で評価を集計し、上位5社を発表させていただいたのですが、各部門の1位はこのような企業になりました。
- 「総合評価が高かった部門」 -株式会社野村総合研究所
- 「業界理解が深まった部門」 -株式会社村田製作所
- 「メンターのコミット部門」 -株式会社ネットプロテクションズ
- 「自己成長に繋がった部門」と「選考に有利に働いた部門」 -Fringe81株式会社
- 「テーマが興味深かった部門」 -株式会社フロムスクラッチ
これらは、学生がつけた評価スコアを単純に集計した結果であり、我々運営側や有識者といった「大人の目線」は一切入れていません。
評価の高いインターンに共通する2つの特徴
ー学生からの評価が高かったインターンシップは何か特徴があるのでしょうか?
渡部氏:個人的には、「リアリティ」と「メンターのコミット」が重要なのではないかと感じています。
■実業務と関連性の高いプログラム(リアリティ)
プログラム内容としては、「現場の社員がおこなっている業務を体験できるプログラム」の方が、満足度が高い傾向があります。
新規事業を企画しようといったプログラムが人気を博していた時期もありましたが、就活生も、入社後いきなり新規事業に従事できる可能性は低いことはなんとなく分かってきている。
それよりも、実際の業務を通して社員や仕事と接し、その企業が自分に合っているか確かめられるプログラムの方が良いと感じている就活生が多くなっていると思います。
たとえば、村田製作所様が開催されている技術系インターンシップは、1部門につきインターン生1~2名を受け入れ、2週間現場社員と業務を行うというものです。
テーマはなんと100個ほどあります。しかし、どれもインターンシップ用に特別に作ったテーマではなく、現場の業務の一部をそのままテーマにしています。
就活生からすると、2週間みっちり現場に配属され、社員と机を並べて業務を体験出来るわけですから、企業や社員について深い理解ができ、自分に合う/合わないも肌で感じることができます。
■メンターが就活生と本気で向き合っているか(メンターのコミット)
また、インターンに参加する就活生にとっては、インターンで出会う社員(=メンター)が魅力的かどうかも重要です。
魅力的というと、能力の高い社員をメンターに…という話もあるかと思いますが、それ以上に、「メンターが本気で就活生と向き合っているか」といった姿勢が大事だと思います。
評価が高いインターンシップ実施企業の中には、就活生5人に対して社員2人がその期間中ずっと付きっきりでプログラムをおこなう企業もありました。
メンターは、就活生一人ひとりと向き合い対話することで、業務に対するフィードバックを行うことに加えて、自己理解を促進させたり、社会や就活そのものに対してのアドバイスもされるようです。
参加した就活生は、社員や企業が本気で自分に向き合ってくれていることを感じますので、満足度も当然上がります。インターンに参加する社員の協力を最大限得るという点も、インターンの成功に向けての重要な要素と言えるでしょう。
企業と学生の双方が有意義な機会となるためインターンを
ーとはいえ、現場社員の協力を得るのはなかなか難しいように感じます。
渡部氏:そうですね。その点で苦労されていらっしゃる企業は非常に多いと思います。
今回の受賞企業の中には、「社長自らが徹底的にコミットしている」といった企業や、「インターン生を受け入れることで、社員にとっても学生から刺激を受けることが出来る」といった企業もありました。
さらには、「そもそもインターンにメンターとして参加して、インターン生と深く向き合うことが楽しい。社内でもそういう空気づくりをしている」、「あらかじめ個人目標に盛り込むことで、インターンでの貢献もしっかり評価する」といった企業もありました。
企業によって置かれている状況は異なるかと思いますが、社員のやる気を引き出し、就活生に本気で向き合える環境を作っている企業のインターンシップが、就活生からの評価も高くなる傾向があるのではと思います。
就活会議としても、インターンシップが企業と学生の双方にとってより有意義な機会になるように尽力していきたいと思います。