現在は、求職者に対して求人数の方が多い、売り手市場の就職戦線です。
少子高齢化の中、新卒学生自体の数が減ってきている今、大手ならば学生側から積極的な応募も期待できますが、中小企業に関しては非常に難しい状況が続いています。
「自社に興味をもってくれるような学生が集まらない」「どこから手をつければいいか、わからない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
今回は、そのようなお悩みをもった新卒採用担当の方向けに、これからでも新卒採用を成功に近づける方法をご紹介したいと思います。
目次
1. 中小企業の新卒採用の現状
経済産業省が2017年に実施した「平成29年中小企業の雇用状況に関する調査集計結果」によると、中小企業のうち66.4%が人手不足・人材不足を感じているという結果がでています。
将来的な事業の発展、人材不足を補うためにも、長期的な目線で育成していくことができる新卒採用は重要な採用手法です。
そのような新卒採用市場において、中小企業が抱えがちな問題としては、どのようなものがあるのでしょうか。
1-1. 約半数の中小企業が満足に正社員を採用できていない
前述の中小企業の雇用状況に関する調査結果において、人手不足・人材不足を感じている中小企業において、直近1年間で「正社員採用状況に満足できている」と答えた企業は50.2%でした。
つまり、約半数の企業は満足できる採用活動がおこなえていないという結果です。
1-2. 採用活動に十分な資金を用意するのが難しい
学生へ自社認知を広げるためにも、新卒採用の場合であれば、就活サイト掲載、就活イベントへの出展、リクルーティングページやパンフレットの制作など費用が発生します。
しかし、これらは相当な費用がかかるため、採用活動方法として求人広告費がかからないハローワークを選ぶ企業が78.7%(経済産業省調べ)と圧倒的に多数となっています。
また、ハローワークや労働局では、社労士が間に入るなど採用活動における人物像や処遇などに関する相談にも乗ってくれますが、40.2%の企業は「相談をしていない」と回答しています。
求人内容も自分たちだけで考えるよりも社労士など外部の意見を取り入れることが重要です。
求人内容をしっかりと記載しておけば、選考前に応募者をスクリーニングできるだけでなく、時間と費用を使って採用した応募者が「想像していた仕事や条件と違った」という理由で早期退職することを防ぐことができます。
逆に、現時点では多くの中小企業は求人内容について外部意見を取り入れることをしていないため、学生の定着率の悪さにつながっているのかもしれません。
1-3. 有名・大手企業にばかり人が集まる
学生の就職活動では、最初に大手や有名な企業を優先して応募するケースが非常に多いです。
学生は、有名企業に就職することをステータスと思い、また倒産のリスクも少ないという安直な考えで期待を持ってしまいがちです。
仕事内容や条件が似ていれば、【魅力的な製品を開発している】【他にはないビジネスモデルで話題になっている】など特異条件がない限り、手放しで採用を成功させることは難しいかもしれません。
1-4. どうしても知名度やブランド力、待遇面などで見劣りする
中小企業でも大手企業に負けない技術力がある企業はたくさんあります。しかし、学生にその素晴らしさを深く理解してもらうことは至難の業です。
このように中小企業の場合は、なかなか応募者が集まらず、採用担当者にとっては難しい状況が続いているかもしれません。
そんな中、最近注目されている中小企業の採用担当者に知っておいてもらいたい「秋採用」をご紹介したいと思います。
2. 新卒秋採用とは?
就職活動が解禁になる春の新卒採用は知名度が足りない中小企業にとっては、大手という企業名に負けてしまうなど非常に苦しい状況となっています。
2018年7月5日にリリースされたマイナビ大学生就職内定率調査によると、2019年度新卒大学生の6月末における内定率は76.3%でした。夏休み前にはほとんどの学生が内定を獲得し、就職活動を継続する学生は4割以下に減っています。
そんな中、中小企業に注目され始めた「秋採用」ですがどのような採用で、なぜ注目されているのでしょうか?
2-1. 秋採用とは
秋採用の活動期間とターゲットとなる学生の特徴について解説します。
「秋採用」の活動期間は?
通常の新卒採用は春(4月)からスタートして就職先が決まるまでの期間が活動期間になります。
それに対して、「秋採用」と呼ばれる活動期間は夏休み明け(9月初旬)~12月初旬までの約3ヶ月間となっています。
「秋採用」はどんな学生が活動する?
応募してくる学生は基本的には、秋の時点で就職活動を継続しており、就職活動がうまくいっていない延長戦組が多くなります。
しかし、中には、4月に研究室に配属されてからは学業が忙しくなかなか就職活動を始めることができなかった理系学生や、公務員志望だったけれど民間企業への興味を捨てられず移行してきた学生、クラブ活動を頑張り、試合などに出ていたために就職活動ができていなかった体育会系学生も含まれます。
また、海外の大学は9月に卒業となるため、海外に留学している日本人留学生も9月から就職活動をする人は多いです。
卒業までは非常にタイトな学生生活なので帰国して就職活動をしている暇がありません。その結果、海外留学生は9月以降に帰国して就職活動をおこないます。
2-2. 秋採用のおすすめポイント
では、秋採用のおすすめポイントは何でしょうか?また注意すべき点は何があるのでしょうか?
秋採用から就職活動始める優秀な人材を獲得できる可能性がある
秋から就職活動をおこなう就職活動生には、優秀な人材がいることもあります。
- 司法試験、公認会計士試験など、資格取得に勤しんでいた学生
- 大学院進学を考え勉強をしていたが、進路変更をして就職活動を始めた学生
- 留学帰りの学生
- 体育会系の試合などで就職活動に出遅れた学生
- 理系で研修室におわれていて、就職活動に出遅れた学生
このように、秋から就職活動を始める学生にも、非常に優秀な学生が多くいます。
就職活動を失敗してきてはいるが意欲的な学生もいる
学生の中には、やりたいことが明確になっておらず、ひとまず大手の採用試験ばかりを受ける人もいます。
そういった学生の中には、やりたいことと会社が一致しないため、意欲を高めることができず、その結果不採用という挫折を繰り返し、ようやく自分の進みたい道が分かってきたという意欲的な学生もいます。
大企業から内定を得ていても、就活を継続している学生がいる
リクナビ・東洋経済の調査によると、大企業などから内定をもらっても、引き続き適性に合った企業を見つけるために就職活動をおこなう学生も、全体の10%ほど存在します。
大企業の内定をもらいながらも中小企業に応募をする学生は、その中小企業に魅力を感じている証であり、入社後も意欲を持って働いてもらえる可能性が高まります。
内定辞退率が下がる可能性がある
春採用の場合は、複数の企業を併願していることが多く、大企業で内定が出るとそちらに流れていき、内定辞退率が高くなります。
しかし、秋採用の場合は、もうあまりあとがないということもあり、内定までいけば、辞退率は下がる可能性が高いです。
競争率が低い
春の採用活動で十分な人材を確保できた企業は秋には採用活動を終了しています。その結果、秋採用をおこなう企業は春採用のときに比べてかなり減ります。
したがって、秋採用をおこなう企業が少なくなるため、競争率が下がるというメリットがあります。
このように、秋採用には注意点もありますがメリットはたくさんあります。春、夏の採用が失敗してから秋採用に挑む企業もたくさんありますが、初めから秋採用に重きをおいて採用をおこなう企業も出てきており、秋採用への注目の高さがうかがえます。
3. 秋採用にオススメのサービス
秋採用は、さまざまな理由のもとに就職活動ができていなかったけれど非常に優秀、という学生と多く出会うことができます。
ここでは、そんな秋採用をする上でおすすめの手法を4つご紹介します。
3-1. 新卒紹介サービス
新卒紹介サービスとは、企業側の採用案件にあった学生を厳選し、企業に紹介するサービスです。
基本的には成功報酬制度をとっているサービス会社が多く、「コストをかけたにもかかわらず採用できなかった」というような問題が起こりません。
また、採用案件にあった学生を厳選してもらえるので、「面接した結果、全く希望にあわなかった」といったマッチングの不一致を減らすことができます。
また、特に中小企業のように知名度が低い場合、学生に認知してもらうのは難しいですが、学生を紹介してくれるエージェントはその道のプロであり、中小企業の良い点なども把握しています。
したがって、学生へのアピールをしなくても優秀な人材を紹介してもらえる可能性があります。
このような特徴をもつ新卒紹介サービスは多数ありますがその中から、2つをご紹介します。
就職エージェントneo|新卒人材紹介業界トップクラスの集客力
【特徴】
- 利用学生数が多く、のべ16万人超
- 全国の学生を幅広い拠点数で集客できる
- 大手就職サイトに掲載していない求人が多い(全体の46%)
- 導入実績10,000社以上
運営会社:株式会社ネオキャリア
URL:https://www.neo-career.co.jp/humanresource/newgradservice/agent/sabunkei/
マイナビ新卒紹介|年間登録学生人数7万人
【特徴】
- 登録者数が多い(77,000人以上)
- 学生への連絡を代行
- 企業名を非公開で条件にあう学生を募集可能
運営会社:株式会社マイナビ
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新卒紹介サービスの特徴を徹底比較|メリットや上手な活用方法とは
Unistyle|高学歴学生の成果報酬型送客サービス
【特徴】
- 東大早稲田慶應の就活生の3人に1人が利用する就活支援サイトの運営
- 年間約8万人が登録
- 成功報酬・固定報酬型どちらも対応可能
運営会社:Unistyle株式会社
URL:https://www.neo-career.co.jp/humanresource/newgradservice/agent/unistyle/
3-2. 就活合同イベント
就活合同イベントとは、複数の企業がそれぞれブースをもち、そこで、企業の説明会や面接など学生にとっては企業の生の声をきくことができるイベントのことです。
学生にとっては、ネットやサイトで企業を調べる場合は自分が知っている企業がメインになりますが、合同イベントの場合は、同時に多数の知らなかった企業を知る機会になります。
逆にいうと知名度が低い企業でも合同イベントで魅力をつたえることができると、応募者が増えることが期待できます。
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3-3. 大学キャリアセンター
大学キャリアセンターとは、各大学にある就職支援センターであり、インターンシップや企業求人の掲示などがあります。大学とのパイプがあれば、将来は推薦枠をもらえたりする可能性があります。
特に理系学生については推薦枠が非常に大きくなるので、パイプを作るという意味でも求人掲示をしておくことはおすすめです。
ただし、エージェントが間にはいるわけではないのでマッチング率が悪くなるリスクがあります。不採用ばかり繰り返すと大学側から悪い印象を受けてしまうこともあります。
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3-4. 自社の新卒採用ホームページをリニューアル
秋採用の母集団形成をうまく進めるために、自社の新卒採用ホームページをリニューアルすることも効果的といえます。秋採用をおこなう学生は時期的にも、就職活動に対して意欲的であるといえます。
そのため、自ら企業の採用ホームページにアクセスをして、情報を得ようとする学生も多いです。ホームページを見た学生に魅力を伝え、選考につなげることができます。
このタイミングで、もう一度採用ホームページを見直し、秋採用の母集団形成につなげることもおすすめです。
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3-5. オンラインでの採用活動
秋採用で会社説明会を開催することは、母集団が少ないので、効率が悪いと感じるケースもあるでしょう。その場合は、説明会を録画して、自社HPに載せて、学生が見たいときに見れるようにすることをおすすめします。そうすることで、説明会を開催しなくても、会社のことを伝えることができます。
また、Web面接を実施することで、場所を問わずに面接ができます。そのため、研究で忙しい理系学生も、隙間時間に面接を受けることができます。
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4. まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は、中小企業など採用が思った通り進まない企業向けに「秋採用」についてお伝えしました。
秋採用でも優秀な人材を獲得できるチャンスは十分にあるので、うまく活用することをおすすめします。
本記事を参考にしていただき、人材不足が少しでも改善すれば幸いです。