扶養控除とは?申告書の書き方や記入例、控除金額などをわかりやすく解説! | HR NOTE

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扶養控除とは?申告書の書き方や記入例、控除金額などをわかりやすく解説!

  • 労務
  • 給与計算

2018年1月より、配偶者控除を受けられるパートの上限年収が、103万円から150万円に拡大されたのをご存知でしょうか?

「何かが変わったのは知ってるけど、結局、何がホントなの?」「いまさら聞きづらいけど、そもそも扶養控除って何?」という方は、ぜひ本記事を読んでみてください。

近年では、仕事探しの際に、「扶養控除」を気にする女性も多く見られるようになりました。

配偶者扶養控除について詳しく理解していれば、人事として、結婚や出産を控え、会社を離れる女性社員にも、ライフルタイルにあった働き方を提示することができるかもしれません。

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2024年では新たな制度の適用や既存のルールの変更・拡大がおこなわれます。
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1. 扶養控除とは所得税や住民税などの税金を控除する制度

「扶養控除」とは、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合に、所得税や住民税など一定の金額の所得控除が受けられる制度のことを言います。

※控除とは:支払うべき税金が差し引かれ、負担が軽減されること

1-1. 扶養親族って誰のこと?

扶養控除を受けられるのは「配偶者」と「扶養親族」ですが、「扶養親族」とは、一体だれのことを指すのでしょうか。

扶養親族とは、その年の12月31日時点で、次の要件の全てに当てはまる人となります。

  1. 配偶者以外の親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族をいう)又は都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や市町村長から養護を委託された老人であること
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと

(国税庁ホームページより引用)

また、扶養親族の中でも控除を受けられる対象は、16歳以上の人であると定められています。

なお、2023年1月1日以降は、非居住者である扶養親族に対する扶養控除の適用が見直されました。30歳以上70歳未満の非居住者で、次のいずれにも該当しない人は、扶養親族の対象外となります。
この法改正は2023年分からが対象となるので注意してください。

  • 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者
  • 障害者
  • 扶養控除の適用を受けようとする居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者

1-2. 扶養控除と配偶者控除・配偶者特別控除の違い

配偶者控除

例えば、配偶者の給与収入が103万円以下の場合に、年末調整で本人の税金(所得税・住民税)を一定額減らすことができる制度を「配偶者控除」といいます。
一年の半分を過ぎた頃から、その年の収入が103万円を超えないようにシフト調整などを考える主婦の方も多いですよね。彼女たちはこの「配偶控除」を受けるために、「103万円を超えてはいけない」という試練と戦っているのです。

配偶者特別控除

配偶者に103万円を超える収入があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。これを「配偶者特別控除」といいます。

例えば、妻の年収が103万円を超えてしまっても130万円までの間であれば、税金は払わなければならないけれど、その負担額はまだ低く、比較的安全だよ、というのが配偶者特別控除です。妻の年収が130万円を超えてしまうと一気に負担が大きくなり、レッドゾーンになります。

アルバイト学生の「103万円の壁」も変わったの?
ちなみにアルバイトをする学生もよく、「103万円」という扶養の枠を気にしていますよね。実際、「お金を稼ぎたいのに103万円を超えてしまうからこれ以上働けない……」という学生は私の周りにも大量発生していました。(笑)
前半飛ばしすぎると陥ってしまう、学生あるあるの悲劇ですね。(笑)

この場合の扶養とは、配偶者控除とはまた別の扶養控除になります。今回改正があったのは「配偶者控除」と「配偶者特別控除」ですので、学生アルバイトの「103万円」という制限には以前と何の代わりもありません。お気をつけください!

1-3. 年収103万円と130万円で変わる「扶養」の範囲

パート収入に関して言われる「扶養」には2つの種類があります。1つは「税法上の扶養」、そしてもう1つは「社会保険上の扶養」です。2018年に改正された配偶者扶養控除は税法上の扶養になります。

税法上の扶養

税法上の扶養とは、扶養者(配偶者、子ども)の給与年収が103万円以下である場合に入ることが可能になります。税法上の扶養に入っていると、被扶養者(ex.妻)は、本来支払わなければならない所得税や住民税の一部が免除されます。

一方で、扶養者の給与年収が103万円を超えてしまうと扶養に入ることができないので、被扶養者になるはずの者が、個人で所得税や住民税の税金を納めなければなりません。

社会保険上の扶養

社会保険とは、健康保険と厚生年金保険の総称です。年収130万円未満で健康保険の扶養となる人は、自分で保険料を支払うこと無く、健康保険に加入することができます。

(医療費の自己負担軽減etc)子どもでも、自分の健康保険カードを持っている(健康保険に加入している)のは、親の扶養となっているためです。

もし、この健康保険の扶養に入らなかった場合、自分で保険に加入し、保険料も支払わなければならないので、損してしまいます。一方、厚生年金保険の扶養となる人は、国民年金保健に加入することができます。

1-4. 扶養控除の種類と金額

扶養控除は、扶養親族の年齢によって4つの種類に分類され、控除額もそれぞれ異なります。

区分

対象者

控除額

一般の控除対象扶養親族

  • 控除対象扶養親族のうち、「特定扶養親族」および「老人扶養親族」に該当しない人

38万円

特定扶養親族

  • 控除対象扶養親族のうち、控除を受ける年の12月31日時点で19歳以上23歳未満の人

63万円

老人扶養親族

同居老親等以外

  • 控除対象扶養親族のうち、控除を受ける年の12月31日時点で70歳以上であり、同居老親等に該当しない人(別居している親族

48万円

同居老親等

  • 控除対象扶養親族のうち、控除を受ける年の12月31日時点で70歳以上であり、かつ納税者や納税者の配偶者と生活を一にしている人
  • 別居している人や、現在は老人ホームに入所している人などは該当しない
  • 治療による長期入院などであれば同居として認められる

53万円

2. 扶養控除を受ける方法や申告書の書き方・記入例の紹介

扶養控除は、納税者自身が申告しないと受けることができません。ここでは、扶養控除を受ける方法や申告書の書き方や申告書の書き方などを解説します。

2-1. 扶養控除を受けるためには年末調整や確定申告が必要

扶養控除を受ける方法は2つあります。

会社員の場合は年末調整で申告します。会社から配布される「給与所得者の扶養控除等申告書」に必要事項を記載し、以下の書類を添えて期日までに勤務先に提出しましょう。

  • 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
  • 給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
  • 給与所得者の保険料控除申告書
  • 住宅借入金等特別控除申告書など

なお、「給与所得者の扶養控除等申告書」の書き方や記載例は国税庁のホームーページで公開されているので参考にしてください。

参照:国税庁「各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)

個人事業主の場合は、確定申告で扶養控除を申告しなくてはなりません。まず、第二表の「配偶者や親族に関する事項」の欄に親族の名前など基本情報を記載します。次に、第一表の左下の「扶養控除」の欄に、求めた金額の合計を転記します。

3.【シーン別】扶養控除と似た控除の使い分け方

扶養控除と同じような控除は他にもあります。控除の対象者や要件の違いについてしっかりと確認しておきましょう。

3-1. 配偶者(妻)は扶養控除ではなく「配偶者控除」が「配偶者特別控除」の対象

妻や夫を扶養している場合は、扶養控除ではなく配偶者控除か配偶者特別控除の対象となります。配偶者控除・配偶者特別控除の要件は以下の通りです。

  • 民法上の配偶者である(内縁の妻・夫は対象外)
  • 納税者と生計を一にしている
  • 納税者の合計所得金額が1,000万円以下である(給与所得のみの場合、年収1,195万円以下)
  • 配偶者が青色申告者の事業専従者給与を受けていない、白色申告者の事業専従者でない

上記4つの条件を満たし、なおかつ配偶者の合計所得金額が48万円以下なら配偶者控除の対象です。一方、48万円を超えて133万円以下の場合は、配偶者特別控除が適用されます。

さらに、配偶者特別控除の場合は以下のすべての要件を満たしてなくてはなりません。

  • 控除を受ける納税者本人のその年の合計所得金額が1,000万円以下
  • 年間の合計所得金額が48万円超133万円以下
  • 民法上の配偶者である(内縁関係の人は該当しない)
  • 控除を受ける人と生計を一にしている
  • 青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていない、または白色申告者の事業専従者でない
  • 配偶者が、配偶者特別控除を適用していない
  • 配偶者が別の親族の扶養家族として控除の対象でない
  • 配偶者が公的年金等の受給者の扶養親族として控除の対象になっていない

配偶者控除の金額を決めるのは、配偶者の年齢と納税者の合計所得金額の2つです。配偶者が12月31日時点で70歳以上の場合は、「老人控除対象配偶者」が適用されます。

控除を受ける納税者本人の合計所得金額

控除額

一般の控除対象配偶者

老人控除対象配偶者

900万円以下

38万円

48万円

900万円超~950万円以下

26万円

32万円

950万円超~1,000万円以下

13万円

16万円

配偶者特別控除の金額は、納税者と配偶者それぞれの合計所得金額で決まります。なお、配偶者特別控除は夫婦のどちらか一方しか申告できないため注意が必要です。

配偶者の合計所得金額

納税者の合計所得金額

900万円以下

900万円超950万円以下

950万円超1,000万円以下

48万円超95万円以下

38万円

26万円

   13万円

95万円超100万円以下

36万円

24万円

12万円

100万円超105万円以下

31万円

21万円

11万円

105万円超110万円以下

26万円

18万円

9万円

110万円超115万円以下

21万円

14万円

7万円

115万円超120万円以下

16万円

11万円

6万円

120万円超125万円以下

11万円

8万円

4万円

125万円超130万円以下

6万円

4万円

2万円

130万円超133万円以下

3万円

2万円

1万円

3-2. 大学生は扶養控除ではなく「勤労学生控除に」となるケースがある

大学や高校、高等専門学校に通う学生でアルバイトなどによる収入がある場合は、勤労学生控除に該当することがあります。扶養控除と勤労学生控除の違いは、年収の差です。

  • 扶養控除:給与収入が103万円以下の場合
  • 勤労学生控除:給与収入が103万円超130万円以下の場合

配偶者控除と同様、所得が48万円以下であれば親の扶養親族となりますが、48万円を超える場合は学生であっても扶養親族から外れ、本人が納税者となります。その場合、勤労学生控除を受けることが可能です。

3-3. 扶養控除ではなく寡婦控除に該当するケース

寡婦控除とは、民法上婚姻関係を結んだあとに死別や離婚などが生じた場合に受けられる所得控除です。寡婦とは、夫と死別や離婚した人のことで、ひとり親に該当しない人を意味します。

内縁関係やシングルマザーの人は婚姻関係の事実がないため寡婦控除は受けられません。しかし、令和2年以降は「ひとり親控除」を受けることができるようになりました。

例えば、離婚後実家に戻った場合、父親の年収が2,000万円以下であれば扶養親族になることができます。その後、パートによる収入で扶養親族の要件から外れた場合、所得金額が500万円以下なら寡婦控除を受けることが可能です。ただし、年末調整による申告が必要になるので注意してください。

3-4. 扶養控除ではなく「寡夫控除」「ひとり親控除」に該当するケース

令和2年分以降、寡夫控除は廃止され「ひとり親控除」に統合されました。ただし、それ以前であれば、確定申告により寡夫控除を受けることができます。

寡夫控除の要件は以下の通りです

  • 男性であること
  • 妻と死別・離婚した後、再婚していないこと
  • 生計を一にする合計所得金額38万円以下の子供がいること
  • 納税者本人の合計所得金額が500万円以下であること

なお、寡婦控除の金額は27万円であるのに対し、ひとり親控除の控除額は35万円です。

3-5. 扶養控除は重複適用できない

ケースとしてはあまり多くありませんが、扶養控除を重複して適用したいというケースが出てくる可能性があります。

例えば、実家の母親に2人の子どもが生活を仕送りしているとします。母親の合計所得金額が48万円以下の場合、子どもの扶養親族になることが可能です。しかし、1人の扶養親族を複数の子どもがそれぞれ扶養親族とすることはできないので注意してください。この場合は、どちらかの子どもの扶養親族になって控除を受けるのが正しい方法です。

4扶養控除でよくあるQ&A

Q.税法上の扶養では扶養に入ったり、社会保険上では扶養に入らなかったりを選ぶことは出来るの?
A.

そもそも扶養というのは申告制です。扶養に入るためには税法上の扶養、社会保険上の扶養それぞれで申告しなければなりません。要するに、扶養控除を受けたければ申告し、受けたくなければ申告しなければいいだけの話なのですが……

受けられるならばどちらの扶養控除も受けないと損になるというのは言うまでもありません。

税法上の扶養と社会保険上の扶養で、給与収入の上限額が異なるので、税法上の扶養(上限103万)は入れなくても、社会保険上の扶養(上限130万)は可能だという方は、片一方だけでも入ることをオススメします。

Q.税法上の扶養に入ることで、扶養者、被扶養者にはそれぞれどんなメリットがあるの?
A.

被扶養者(扶養される側:ex配偶者、親族)のメリットとしては、扶養に入ることで、本来払わなければならない所得税や住民税を一部免除してもらうことができる点にあります。扶養者(扶養する側:ex夫)のメリットは特にありません。

Q.税法上の扶養に入って、社会保険上の扶養に入らないことのメリット・デメリットってなに?
A.

税法上の扶養に入る基準を満たしているということは、社会健康保険上の扶養にももちろん入れるということです。入れるにも関わらず入らないということのデメリットはあっても、メリットは特にありません。また、このようなケースは基本的にはないと思われます。

Q.扶養控除がなくなるって本当?

扶養控除がなくなるという話を聞いて不安を感じている人もいるでしょう。現時点で、扶養控除がなくなると決まったわけではありません。

しかし、扶養控除の廃止が検討されていることは確かです。その背景には、子ども手当の拡充があり、子ども手当の支給期間延長などには多額の財源が必要になります。そこで、扶養控除を廃止して徴収する税金を増やし、その分を子ども手当に補充することが検討されているのです。

扶養控除が廃止されて大きな影響を受けるのは、年収1,000万円以上の世帯と言われています。たとえ子ども手当が増えても、その分所得税や住民税の金額が増えるため、結果的に損をしてしまう可能性があります。

扶養控除の廃止は決定事項ではないため、今後の動向を注視しましょう。

5. 平成29年度税制改正、結局なにが変わったの?

税法上の扶養である配偶者控除はこれまで、給与年収の上限が103万円でした。しかし、この29年度税制改正により、2018年1月をもって、給与年収の上限が引き上げられることが決定しました。新たに拡大された給与年収の上限は150万円です。

当初はそもそも配偶者控除を廃止し、新たに夫婦控除を新設するということで議論がスタートし、結論としては、「配偶者控除の拡大」と「高額所得者の税負担を増やす」ことになりました。

ここからは、さらに具体的な配偶者控除の改正内容について見ていきましょう。

5-1.「新・配偶者控除」の3大改正ポイント

 1.配偶者控除の給与年収上限103万円→150万円に拡大

これまで所得税の扶養上限であった年収103万円から年収150万円に配偶者控除が拡大されることになりました。これによっていわゆるパートの主婦たちが、103万円を気にする必要はなくなるというわけです。

ちなみに、被扶養者の子どもに適用される扶養控除が改定されたわけではないので、気を付けましょう!

2.配偶者特別控除が給与年収上限141万円→201万円へ拡大

先ほども説明したとおり、103万円を超えたとたん、いきなり税負担が増え、手取りが減ってしまうということがないように設けられている仕組みが「配偶者特別控除」です。

これにより扶養を抜けて、配偶者控除が受けられなくなった場合も、一気に税金が増えるわけではなく、緩やかに税額が増えるよう工夫されています。

これまではパートの給与年収103万円~141万円までが配偶者特別控除の範囲内でした。新たな制度ではこの配偶者特別控除額が給与年収201万円までに拡大されることになりました。

3.高所得者の配偶者控除が縮小もしくは廃止

これまでの、扶養に入る側(ex妻)だけの年収に焦点があてられてた配偶者控除と大きく変わり、今回新しく加わったのが「配偶者控除(配偶者特別控除)を受ける側の年収上限」です。簡単に言えば、夫(メインで働いている方)の年収が高いと、妻は配偶者控除を受けられない、または控除が減額されるという規定です。

被扶養者の給与年収と控除額の関係は以下の通りです。

給与年収 1120万円 以下 1170万円 以下 1220万円 以下 1220万円 超
控除 38万円 (全額) 26万円 13万円 0万円 (免除なし)

5-2.改正内容まとめ

新配偶者控除もしくは配偶者特別控除額の画像

新配偶者控除もしくは配偶者特別控除額を上の表で確認してみてください。家庭でメインで働いている方の収入によっては、そもそも配偶者控除が適用されない可能性もあることがわかります。

これを理解した上で、では税法上の扶養である配偶者控除にこだわってパートを選ぶ必要があるのかどうかを考えた方が良いでしょう。

本章で解説した内容は、自社の従業員からも質問される可能性があるので、正しく理解する必要があります。

また控除は、所得税の金額にも影響が出るため、給与計算の担当者は計算方法も併せて覚えておきましょう。

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6. 多様化する社員に寄り添うには「扶養控除」の理解が必須!

近年、「ダイバーシティ経営」を推進する企業が多くなっています。

一般的に、ダイバーシティ(Diversity)は「多様性」と訳されていますが、実は「Diversity&Inclusion」を省略したもので、本来は「多様性の受容」ということを意味しています。ダイバーシティーマネジメントにおいては、この「受容」という点が非常に大切です。

人間は人種や性別、年齢、身体障害の有無などの外見的な違いだけでなく、宗教や価値観、社会的背景、生き方、考え方、性格、態度、嗜好など、内面も皆違っています。ダイバーシティとは、個々の「違い」を受け入れ、認め、活かしていくことです。

わが国においては、「男女の分業を基本とした日本の社会、企業、組織風土が根強く存在している」などの理由から、ダイバーシティという概念があまり形成されてこなかったのではないでしょうか。ビジネス社会において、男性正社員を中心としたワークスタイルがベースであったことは認めざるを得ません。

その結果、現在の日本では「仕事と生活を両立することが難しく、子育て支援も不十分で、ライフスタイル選択の多様性を受容するのが困難になっている」という現状があります。

そんな中でも、出産後、専業主婦になるのではなく、正社員としてまた会社に戻ってきたり、パートや派遣といったように雇用形態を変えて社会復帰するという女性が、最近では多く見られるようになりました。

人事担当者には、そんな多様化した社員へ、適切かつ効果的に対応するための工夫が求められています。また、組織にとっても、働き方の多様性、雇用形態の多様性、働く場所の多様性を女性社員に認めることは、大きなプラスとなるはずです。

子育てとの両立が大変そうなら、フルタイムを前提にアルバイトとして社会復帰してみたらどう?

旦那さんの年収がそれだけ高かったら、扶養控除の対象ではないので、年収を心配しなくても大丈夫だね

パートで働いて扶養対象に入るより、しっかり正社員としてもう一度復帰したほうが良いと思うよ?

このように、出産を控える社員や求職者に対して、それぞれのライフスタイルに合った働き方を人事から提案していくことも、今後増えていくでしょう。このような提案を増やしていくためにも、配偶者控除の仕組みについて理解を深めていきましょう。

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7. 扶養控除を正しく理解し、従業員の税金を正しく計算・徴収しよう

いかがだったでしょう。

扶養控除について、意外と知らなかったということも多かったのではないでしょうか。いい会社というのは、社員が作っていくものであり、人事担当者は、その社員たちをサポートするという大きな役割を担っていることを、心に留めておいて頂けたらと思います。

扶養控除は、従業員の税金の負担を軽減する重要な制度です。担当者は、従業員の税金を計算・徴収する重要な責務を負うため、扶養控除について正しく理解しておきましょう。

本記事が、何らかの形で貴社のお役に立てますと幸いです。

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