社員が良好にはたらく上で重要となる『社内コミュニケーション』。社内コミュニケーションがうまく機能しなければ、日々の業務に支障をきたし、場合によっては社員の早期離職など深刻な問題につながることもあります。
近年では、社内コミュニケーションを活性化させるための独自の取り組みに力を入れる企業も増えてきています。
そこで今回は、社内コミュニケーションはなぜ重要なのか、最新の傾向や、実際に効果的な社内コミュニケーションをおこなっている企業30社の事例をご紹介いたします!
社内コミュニケーションの改善に取り組む上で、参考となれば幸いです。
目次
リモートワークやテレワークが浸透しつつある中で、社員同士のコミュニケーション機会の減少に課題感を感じている企業様も多いのではないでしょうか。
コミュニケーションをする機会が減少すると、社員のモチベーションやエンゲージメント、そして心理的安全性も低くなってしまいがちです。
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- 50種類以上のプログラムから自社のニーズに合ったものを選択できるため、参加者の満足度も97%と非常に高い
社内コミュニケーションはなぜ重要なのか
社内コミュニケーションとは
企業は、社員それぞれが担当する仕事の積み重ねによって成り立っています。それぞれの仕事は自己完結型ではなく、複数の部署、社員が関係していることがほとんどで、業務効率や仕事の成果を高めるためには社内での情報共有が不可欠です。
また、社内コミュニケーションは情報の共有だけでなく『社員同士の業務外のコミュニケーション』『ミーティング』『チームビルディング』『上司と部下の信頼関係』など、社内でおこなわれる、あらゆるコミュニケーションを指しているように感じます。
業務効率が低下した、プロジェクトが円滑に進まないといったトラブルが生じた際に、その要因が社内コミュニケーションであったケースも見られます。
社内コミュニケーション活性化に取り組むメリットとは
近年では、社内コミュニケーション活性化に取り組む企業が増えてきています。ここでは社内コミュニケーションに取り組むメリットを、いくつかご紹介いたします。
社員のモチベーションの向上につながる
『社内コミュニケーションに関する調査/ 株式会社GABA』によると、調査対象であるビジネスパーソン100人のうち、「職場のコミュニケーションは、仕事のやる気に影響する」に対する同意率(『そう思う』の回答)が80.0%、「職場のコミュニケーションは、業績に影響する」に対しては 75.6%の同意率となりました。
社内でのコミュニケーションが活性化すると、社内で共有される情報量も増え、仕事に対する新たな取り組みが生まれやすくなります。それによって、社員の能動的な参画意識が高まる効果が期待されます。
また経営陣や上司、人事は社員とのコミュニケーションを通して、個人の仕事に対する目標や適正を正確に把握し、適切な人事配置やマネジメントをおこなうことができます。そうすることで仕事に対する個人の生産性の向上につながり、結果として会社全体の業績をあげることが可能です。
企業リスクの最小化
社内コミュニケーションを活性化することで、以下のような企業リスクを回避することが可能です。
- 若手の早期離職
- 情報漏えいなどのコンプライアンス違反
- 顧客への対応における一貫性の欠如
社内コミュニケーションが活性化すると、社員の満足感の向上、業務への意識・スタンスの統一につながり、上記の問題の改善にも役立ちます。
その他にも『経営陣から新入社員まで一貫した企業理念の浸透』『社員同士での適切なタスクの分散』『議論の場を活性化』などの効果を期待することができ、コミュニケーションを活性化するためにかかるコスト以上のメリットを企業は得られるのではないでしょうか。
社内コミュニケーションが阻害される要因・課題
社内コミュニケーションが阻害される要因には、どのようなものがあるのでしょうか。『「社内コミュニケーションに関する調査」結果報告/ HR総研』を参照して、まとめていきます。
上記データによると、「社内のコミュニケーションに課題があると思うか」に対する同意率(大いにそう思う、ややそう思う)は全体の74%でした。
また、「課題のあるコミュニケーションはどこか」に対する回答は、以下の表の通りでした。
調査対象229社のうち、7割以上もの会社が社内のコミュニケーションに課題意識を持っているようです。具体的な阻害要因は、一位が組織風土・社風(54%)、二位が対面コミュニケーションの現象(50%)、三位がコミュニケーションスキルの低下(48%)でした。
まず、一位の結果として「メールで報告すれば、なんとなく直接報告する必要のない雰囲気がある」「効率を重視した結果、職場での雑談が減り仕事以外の関係がなくなってきている」などといったケースがあるようです。
二位、三位の結果は、ITツールへの依存が原因となっているように思います。社内SNSや電子メールは、情報共有の効率化に役立ちます。しかし、コミュニケーションの方法をそれだけに頼りすぎてしまうと、Face to Faceのコミュニケーションを取る機会を奪ってしまうことになります。
『ITの活用で仕事の生産性を向上させること』と『社員同士の対面でのコミュニケーション』を両立することが、社内コミュニケーション活性化に取り組む際の、大きな課題の一つといえるのではないでしょうか。
社内コミュニケーションを活性化する最新の取り組みとは
ここでは、導入の効果が期待されている、最新の社内コミュニケーション活性化の取り組みをまとめました。
社内コミュニケーションツールの導入
先ほども述べたように、ITツールへの過度な依存には注意が必要ですが、最近では社内で使えるさまざまなコミュニケーションツールが大きな注目を集めています。
代表的なものとして、ビジネスチャットツールであるchatworkやslackがありますが、どちらもチャットという手軽さから、必要に応じて社員同士がこまめに情報を共有することを促し、一つの仕事に対して利用できる情報量を増やすことにつながっています。
既に10万社を超える企業に導入されているchatworkには、タスク管理機能やビデオ通話機能があり、タスクを可視化して適切な分担ができることや、遠隔や他部署ではたらくメンバーと顔を見ながらコミュニケーションをとることができるなどのメリットもあります。
チャットツールには他にも、株式会社エンカウントが提供する定額制WEB社内報サービスなど、さまざまなITコミュニケーションツールがあります。これは社内報をWEB上でアップすることで、印刷のコスト削減や社内報を社員に提供するタイミングの統一、社内報の閲覧率を向上させることなどが期待できます。
全社員に同じタイミングで企業の理念や社員の紹介を伝えられるため、結果として理念の浸透や、モチベーションの向上にもつながるようです。
フリーアドレス制度
フリーアドレス制度は社員のデスクを指定せず、仕事の状況に応じて社内の空いている席やオープンスペースなど、自由な場所に移動して業務をおこなうことができるオフィス形態を指します。
オフィス内で、空間的な制約を超えた自由な社員同士のコミュニケーションを生み出すことを狙いとしていますが、もともとは業務のスペースを広げることを狙いとして1980年代後半に日本で生まれた概念のようです。
現在では、オフィスのモデルチェンジを通して、社員の働き方を刷新することや、新たなコミュニケーションをつくり出すことに注目が集まっています。
日本マイクロソフト株式会社の活用事例によると、以前はデスクの配置がコミュニケーションの妨げになっていたのに対し、フリーアドレス制度の導入後は上下関係や部署間の障壁が下がり、社員間の自然なコミュニケーションが促されるようになったそうです。また、プロジェクト単位でチームを組む必要があることからも必要な人間が自由に集まることができ、組織内コミュニケーションの活性化にもつながりました。
マイクロソフトでは、同時に社内コミュニケーションツールの利用も推進し、必要に応じて意思疎通のしかたを自由に選択できるという風土を生み出したといえるでしょう。
“タテのコミュニケーション”の活性化
社員同士がレクリエーションや研修を通して”ヨコのコミュニケーション“を強化する取り組みがある中、最近では特に経営陣と社員、上司と部下など、”タテのコミュニケーション“を活性化させることに力を入れる取り組みが注目されているように感じます。
タテのコミュニケーションは経営陣が経営に対する思いを社員に伝えるだけでなく、反対に社員の意見や要望をボトムアップで経営陣に伝え、社員の思いをより会社の経営に反映させることにもつながります。
このようなニーズを受け、最近では経営陣が定期的に社員のメンターとなる制度や、執行役員とのランチ会など、普段はあまり交流する機会が多くない社員と経営陣とのコミュニケーションを促す取り組みが増えているようです。
また、上司と部下の距離を縮める方法の1つに「1on1ミーティング」があります。これは、上司と部下がペアになり、目標に対する業務の進捗を確認・管理するものです。1on1ミーティングを短い頻度で定期的におこなえば互いの距離が縮まり、無理のない自然なコミュニケーションが取れます。業務に対するフィードバックやコーチングを合わせておこなうことで、業務効率の向上なども期待できるでしょう。
デスクや会議室以外の共有スペースの充実
通常の業務をおこなうデスクや会議室以外のスペースを充実させることも社内コミュニケーションの促進に効果的です。一例を紹介します。
- オフィスの一角にあるオープンなミーティングスペース
- 社員食堂・カフェスペース
会議室のように密閉された空間ではなく、オープンなミーティングスペースを設けることで立ち話感覚でコミュニケーションが取れます。リラックスした雰囲気の中でコミュニケーションを取れば、新しいアイデアや率直な意見交換も期待できるでしょう。
この際、あえて椅子を置かないことをおすすめします。椅子を置かないことでミーティングスペースも確保しやすくなり、ミーティング時間も短縮できるためです。
また、社員食堂やカフェスペースの設置も社内コミュニケーションに有効とされています。業務から離れ、飲食を共にするとお互いの人間性が見えやすく、より深く交流することが可能です。
社員食堂やカフェスペースの導入・維持にはコストがかかりますが、社内コミュニケーションが円滑になれば業務・業績によい影響をもたらすでしょう。
Web会議の導入
働き方が多様化する昨今では、Web会議なくして円滑な社内コミュニケーションは不可能です。社内コミュニケーションは、会社に出勤しない人も含めた全従業員が対象となります。
Web会議はパソコンとインターネット環境があれば誰でも参加可能です。1人も欠かすことなくコミュニケーションを図るためには、手段を選ばずさまざまな方法を取り入れましょう。そして、コミュニケーション方法を見直し、最適なものにブラッシュアップしていくことが重要です。
社内コミュニケーションで失敗する事例
積極的に社内コミュニケーションの促進に取り組んでも、失敗するケースもあります。最近多いのは社内SNSの導入によるもので、具体的な失敗事例は以下の通りです。
- 一部の社員がプライベートな話題ばかりを投稿してしまう
- 投稿数が少なく、利用されなくなってしまう
- 決まった内容の業務連絡や日報としてしかしようされない
このような失敗事例が起きるのは、社内SNSの導入目的が不明瞭なのが主な要因です。社内SNSを成功させるためには、以下のポイントを意識して運用しましょう。
- 導入目的を明確にする
- 具体的な利用シーンを明示する
- 他の社内コミュニケーションツールとの住み分けをおこなう
- 運用ルールーを決めておく
- 誰でも気軽に投稿できる雰囲気を作る
また、社内SNSを本格的に取り入れる前に、お試し期間を設けるのもおすすめです。運用における問題点を洗い出してルールに盛り込むことで、段階的ではありますが効率的な運用を実現できるでしょう。
30社の成功事例から学ぶ社内コミュニケーションの方法
ここでは、社内コミュニケーション活性化に取り組む30社の事例を、主な特徴に基づいて6つに分類してまとめました。
1:1のコミュニケーションから、社員の業務やキャリアアップをフォローする取り組み
株式会社サイバーエージェント|月イチ面談
サイバーエージェントでは2005年あたりから、上司と部下による1:1の「月イチ面談」を実施しています。
「先月・今月・中長期」という三つの時間軸に沿って部下へ質問をして、
- 先月の成果に対する振り返り
- 先月からの改善点を踏まえた今月のアクションプラン
- 中長期的なキャリアビジョン
について話します。
月に一度”推奨”されているこのタテのコミュニケーションを通して、部下と上司は透明性のある関係を築くことができています。この信頼関係に基づいて、上司は部下が持つキャリアビジョンに対して適切なサポートをおこなうことができ、一方部下は、自身の評価に対して高い納得感を持つことにつながっているのではないでしょうか。
ヤフー株式会社|1 on 1 ミーティング
1 on 1ミーティングは、原則として週に1度、上司と部下がおよそ30分かけておこなう対話で、2012年にヤフーがスタートしました。
他社のミーティングに比べてユニークな点は、スタートの前に『ミーティングのテーマ・ゴールの共有をおこなう』こと。一見すると対話の幅を狭めてしまうように思えるゴールの設定をすることで、論点がわずかでもずれた際、1 on 1ミーティングの本来の目的「内省から教訓を引き出すためのプロセス」に正確に立ち返ることができます。
また、ミーティングの成果を可視化することができるため、次に取るべきアクションも具体的に定めやすく、次週の1 on 1開催に向けてミーティング自体の質をブラッシュアップできます。
ヤフーはミーティングの価値を1 on 1という形で最大限引き出すことで、上司と部下のコミュニケーションを活性化し、社員が日々キャリアを積む上で適切なサポートをおこなっています。
株式会社ビズリーチ|経営陣メンター制度
ビズリーチは新卒社員を対象に、月に一度、30分間をかけて経営陣と1 on 1で対話することができる、経営陣メンター制度を採用しています。
新卒入社から3年間を「社会人としての土台づくりにあたる最も大事な時期」と定め、会社のトップを含め一丸となって取り組むことで、育成にかける本気の姿勢を体現しています。
話す内容は新卒社員自身に委ねられており、経営陣メンターはそこで出された話題に対し、「視座を上げる」「見方を変える」といったスタンスやマインドの面から、キャリアを支援することが主な役割となります。
社内でのダイナミックなコミュニケーションを通して、社員のキャリアを推進する取り組み
株式会社ヤクルト本社|10年に3つの部署を経験するジョブローテーション
ヤクルトでは総合職事務系・海外系に絞ってジョブローテーション制度を採用し、入社後10年間で三つの部署を経験することになります。企業がジョブローテーションを実施する際、社員の適性や志向を正確に把握し、個人のキャリアにとって最適な部署へ配属させるために、社員と上司・人事部との円滑な社内コミュニケーションは必要不可欠となります。
①ゼネラリストとして活躍できる人材になること ②ジョブローテーションを通して見つけた得意分野を伸ばすこと
上記の2点がヤクルトのジョブローテーションでは期待され、これを経て社員は自らの興味や適性を理解し、主体的にキャリアを構築していきます。
部署間での連携がうまくいっていなければ、ジョブローテーションのような大規模の社員移動は到底おこなうことができません。同時に、”ジョブローテーション”という制度そのものが、各部署間の風通しをよくして、コミュニケーションを活性化させているということもできるでしょう。
株式会社ネオキャリア|ネオキャリア大学
『ネオキャリア大学』は、社員自らが「主体的に自分のキャリアを構築する」ことを目的にスタートした教育研修プログラムです。社内/社外ともに講師を招き、地方拠点のメンバーもUstream配信で講義を受講することができます。
「講義」という形式を通して社員同士がノウハウを共有し、社員が自らのキャリアを主体的に選択できるようにする取り組み。これも、社内コミュニケーションを促す一つの取り組みということができるでしょう。
株式会社シグナルトーク|FreeWorking制度
シグナルトークでは就業規則の変更を“社員”が行う、「全社員で行う経営会議」を実施しています。そのような社内でのコミュニケーション環境の中生まれたのが、『FreeWorking制度』です。週休3日の少日数勤務や、在宅勤務を自由に行うことができるようにしました。
その結果、社員の残業時間は限りなくゼロに近づき、介護や副業などと両立して働き続ける社員が増えているとのこと。社員に大きな裁量が与えられるフラットなコミュニケーションが、社員が自由にキャリアを選択していく環境を支えているのではないでしょうか。
日本ヒューレット・パッカード株式会社|WAWJ
自分らしく活き活きと働き続け、主体的にキャリアを形成していくことを目指して誕生した取り組みが、株式会社日本HP社員によって形成されている社内ネットワーク『Women at Work Japan (WAWJ)』です。日本HPの社員同士が経験やノウハウを共有できるコミュニケーションの場を設けることで、社員がお互いに成長し、自分らしく活き活きと働き続けることを狙いとしています。
発足から10年にわたり活動を続けており、常に『主体は自分たち』という意識のもと、社員は自走してキャリアを形成していく姿勢を維持しています。
『タテのコミュニケーション』を推進する取り組み
先ほども述べたように、上司と部下・経営陣と社員など、上下関係のある役職間でおこなわれるコミュニケーションを指す場合を『タテのコミュニケーション』、役職にこだわらず、広く社員同士のコミュニケーションを指す場合を『ヨコのコミュニケーション』として、それぞれを活性化するためのユニークな取り組みを紹介していきます。
株式会社アカツキ|役員ランチ
社員は誰でも、月に一度、直々に役員を指定して、会社が費用を負担するランチ会を設定することができます。
役員と直接意見を交換できる場を制度として設けることで、社員と経営陣との信頼関係の構築を促しています。
アカツキはその他にも、毎朝4-5人のグループで「24時間以内の新しいこと・良かったこと」をシェアしあう『Good&New』、毎月第3水曜日の夜、社員やその家族が集まり、新入社員の歓迎とその月の慰労を兼ねた社内パーティー『マンスリーパーティー』をおこなうなど、ヨコのコミュニケーションを促進する取り組みも幅広くおこなわれています。
株式会社資生堂|リバースメンター制度
資生堂は、「若手社員が上司のメンターになる」リバースメンター制度を導入しています。
対象となる”上司”は、社長や執行役員も含む約20人です。ITなどデジタル領域の知識を若手社員がベテランの社員に教えることで、社内でのデジタル機器の活用や商品マーケティングへの応用につなげる狙いがあります。
また、若手は経営陣を相手にメンターとなるためコミュニケーション能力の向上を期待でき、上司もまたマネジメントされる側の気持ちを理解することができるため、部下の指導や育成のスキルアップにも役立ちます。
リバースメンター制度はタテの関係において相互理解を深める、革新的なコミュニケーションといえるでしょう。
株式会社バスクリン|バスクリン銭湯部
バスクリンは約半数が50代社員という”社員の高齢化”が進んでおり、ベテラン社員から若手へのスキルやノウハウの伝承が課題となっていました。 その背景もあり、
- 知見の伝承
- 銭湯文化の衰退
という二つの課題と向き合うために発足したのが、『バスクリン銭湯部』です。社員交流イベントとして2カ月に1回の銭湯巡りを実施し、銭湯での裸の付き合いの中、若手社員はベテラン社員の「宝のような知見」を受け継ぐことをコンセプトにしています。
また、そこで教わった「大切な知見」を全社内に共有すべく『バスクリン大学』が企画され、女性も伝承の場に参加できるようになりました。
株式会社サニーサイドアップ|エイプリルランチフリー
サニーサイドアップでは社員のはたらくモチベーションを支えるため、『32の社内制度』を導入しています。その中でタテのコミュニケーションを活性化することに特化した取り組みが、「エイプリルランチフリー」制度(新入社員懇親支援制度)です。
新卒新入社員は「会社の偉い人」を指名してランチをご馳走してもらえる権利が与えられ、いち早く会社の雰囲気に慣れることを狙いとしています。
普段では若手から主体的に動くことは難しい、タテのコミュニケーションを若手自身が自発的にとることを促しています。
『ヨコのコミュニケーション』を推進する取り組み
クックパッド株式会社|「Shared Kitchin & Lounge」スペース
クックパッドは2014年に恵比寿へ移転した新オフィスに、30~40人の社員が同時に料理を作れる巨大なキッチンスペースを設けました。
肉や魚、野菜などの食材は無料で支給され、社員は自由に料理することができます。社員は料理を通して自由にコミュニケーションを取ることができるように工夫がなされており、クックパッドのオフィスコンセプト「コミュニケーション」を体現したオフィス設計となっています。
なお、クックパッドアプリを用いて料理をする社員が多く、自社サービスを皆でユーザー目線に立って疑似体験できる役割も担っています。
皆が日常的に利用するオフィスだからこそ、工夫を凝らすことで社内コミュニケーションの中心的な存在にできるのかもしれません。
Sansan株式会社|見つカッチ
『見つカッチ』は、「SansanのValues」を日々の業務の中で体現したはたらき方をしている社員に対し、他のメンバーが個別に賞賛の声を届けられるようにした取り組みです。
賞賛のことばだけでなく、日々の感謝などの普段はなかなか伝えられないメッセージを届けるためにも利用されています。メッセージは個人への投票という形で、投票内容は2ヶ月に1度まとめられ、当人と上司のみがその結果を見ることができます。
見つカッチは5年以上続けられている取り組みで、全社員が共通認識を持っているValuesの観点からメッセージを届けることができるため、社内交流の促進に役立っているようです。
パナソニック株式会社|One Panasonic
One Panasonicは、2012年に発足した”社内有志の会”のことで、以下3つをミッションに掲げています。
- 志・モチベーションの向上
- 知識・見識の拡大
- 組織・年代・国籍を超えた人的ネットワークの構築
「何かを変えたい」という志の高い社員が集う2000人を超える規模の社内ネットワークで、前社長を含む経営陣を巻き込みつつ、定期的に情報や知見の共有をおこなっています。経営陣との意見交換といったタテのコミュニケーションだけでなく、部門やカンパニーを超えるヨコのコミュニケーションは、大企業では実行が難しい、ダイナミックな社内の交流促進に役立っています。
株式会社メルカリ|ランチ代がツケ払い!
メルカリでは社員同士のコミュニケーションを促進することを目的として、会社がランチの代金を補助する制度がいくつかあります。
- シャッフルランチ:他部署とのヨコのコミュニケーション推進のため、毎月全社員からランダムで割り振られた5-6名でランチ
- メンターランチ:入社日から1週間の間、新入社員がメンターと共にあらゆる部署の社員とランチ
- ウェルカムランチ:新入社員と役員人との懇親を目的としたランチ
- 採用会食:社員紹介を目的としたランチ
単なるランチ代金の補助ではなく、社内での不足しがちなコミュニケーションをカバーできる制度となっています。
株式会社LASSIC|「廃校宿泊体験」で、経営理念を形に!
“地方創生”という「理念の浸透」と、「拠点が離れる社員同士のコミュニケーションの推進」を狙いとして、鳥取県内の廃校で全社会議をおこないました。
LASSICは、鳥取県の本社から大阪や福岡などの大都市へ拠点が拡大したことを受け、経営理念である『地方創生』を業務を通して意識しにくい社員が増えてきたという課題を感じていました。「廃校の利活用」という地方の自治体の思いに直面することで、社員に自社の理念を体感してもらうことが目的です。
小学校の掃除などのアクティビティをきっかけとして地域住民と交流したり、小学校に宿泊するという非日常体験の中で初対面の社員同士でも話が弾んだりと、社内・社外ともに、コミュニケーションが活性化された取り組みとなりました。
トヨタ自動車株式会社|社内婚活パーティー
トヨタ自動車では、会社の労働組合で社内婚活パーティーが年に2, 3回開催されています。組合員のワークライフバランスを推進することを目的として、2010年にスタートしました。
子会社の福利厚生会社も、トヨタ社員と近隣の住人や企業の社員との婚活イベントを開催し、生産現場で女性との出会いが少ない男性従業員に対する婚活応援制度となっています。社内婚活パーティーでは同じ会社の社員同士ということもあり話も弾み、カップル成立率は4割にも及ぶそうです。
トヨタは他にも、「社内駅伝大会」や、地域住民も巻き込む大規模な「工場祭り」も開催しており、社員のヨコのコミュニケーションに力を入れている姿勢を見ることができます。
ミーティングを活性化するための取り組み
かっこ株式会社|フーターズでランチ
ビッグデータの調査・解析や、それを用いてEC/金融機関向けの不正検知などをおこなっているかっこ株式会社では、週に一度、フーターズでのランチ会議を開催しています。業務内容が精密で、解析結果のレビューや業務の進歩確認などをおこなうミーティングの際、集まった社内の数学者やデータサイエンティストは厳しいレビューやフィードバックを受けると落ち込んだ雰囲気になりがちなことに、課題意識を感じていたそうです。
そういった雰囲気とは真逆な、陽気な印象の強い飲食店フーターズでランチ会議をおこなうことで、意見が活発に飛びかうようになったとのこと。また、厳しいレビュー結果に対しても落ち込みすぎず、前向きに考えられるようになるなど、ミーティングで良い雰囲気をつくることに成功したそうです。
RIDE MEDIA & DESIGN 株式会社|月一で、ビールを片手にブレインストーミンング
メディアの運営やweb制作をおこなうRIDE MEDIA & DESIGNは、毎月一度、ビールを飲みながらのブレインストーミングをおこなっています。社員が現在担当している案件を全員に紹介して、それに対して他のメンバーが質問やアイデア出しをする会となっています。
率直にアイデアを言い合えるフランクな雰囲気が最重要であるブレインストーミングにおいて、ビールがコミュニケーションの障壁を下げるのに大きく役立っているようです。
株式会社コンビーズ|井戸端会議
さまざまなユニークな社内制度で注目を浴びるコンビーズの取り組みの中で、会議を活性化するための施策が『井戸端会議』です。
2週間に一度、4-5名の社員がランダムに選出され、業務時間中の1時間の中で井戸端会議のような自由な発言が求められます。その際、社長が選出される可能性もあるそうです。
会議の冒頭にテーマが決定されること・会議はボイスレコーダーで録音され、後日文字に起こした議事録が全社に報告されることが、通常の井戸端会議とは異なります。個人の考えを全社員に向けて発信する機会ともなり、普段は接することの少ない社員の新たな側面を発見することができたりと、社員同士が理解を深めることにも役立っているようです。
その他ユニークな社内コミュニケーション活性化の取り組み
株式会社カヤック|ぜんいん人事部
カヤックでは、全社員の名刺に”人事部”という肩書きが入っています。これは、自分たちがはたらく上でより良い環境をつくることを目的に、全社員が人事部に所属し、「採用」「評価」「給与査定」に関わっていくことを意味しています。
名刺に所属を記載することで社員の意識も変わり、全員で採用活動、全員で成長のための相互フィードバック、全員で報酬の決定をおこなっています。
株式会社HDE|ピザやビールと一緒に英会話のデモレッスン
HDEではクラウドサービスを展開し始めてから、技術者にとってプログラミングのスキルよりも、開発環境として使用するクラウドサービスのスピード感のある変更にキャッチアップしていくために必要な、英語力が大きなリスクとなりました。
社内で英語のオンラインレッスンを導入するにあたり、”英語を学ぶための環境づくり”として始めたのが、ピザやビールを楽しみながらおこなう英会話のデモレッスンです。上からの命令という”やらされている感”ではなく、フランクに取り組み始められるように、きっかけのハードルを下げることに注力した結果、その後のオンライン英会話では社員の85%が参加することになりました。
株式会社モーフィング|企業理念についてのプレゼンテーション
「アートを社会に発信することで、世の中をもっと創造的に変えていきたい」という思いを反映した企業理念『MORE ARTSY』について、毎月一人がプレゼンテーションをする取り組みがなされています。
企業理念が定める7つの行動指針に対して、社員それぞれがどのように認識しているのかを理解することができます。社員ごとに理念の捉え方が違うことを相互に理解し合い、そのように主体的に理念についての考えを持つことによって、個人を尊重する組織づくりにつながるのではないでしょうか。
サイボウズ株式会社|人事部感動課の創設
人事部感動課は、「社内にある感動の種を見つけ、感動の華を咲かせる」というミッションのもと、社内でより多くの感動を生みだすため、企画などに取り組んでいる部署です。社員を泣かせる取り組みとして、「新人合宿研修の振り返り映像を作る」といったことを実施しました。
感動課の取り組みとして効果測定にはこだわっておらず、社内で起こっている出来事を「自分ごと化」することで社員が純粋に感動し、仕事に対して『がんばろう』と思ってくれることを狙いとしているようです。
株式会社ピコナ|「リア充しよう」プロジェクト
「リア充しよう」プロジェクトは、時間外労働を削減し、仕事につながる趣味やライフワークを充実させてほしいという会社としての思いから発足しました。”残業チケット制”や”ポイント制”を導入して、社内でゲーム感覚のコミュニケーションを取ることで残業への意識改革をおこなった結果、「クリエーター自身で時間管理やスケジュール管理ができるようになり、その精度が高まってきた」そうです。
単に残業時間を削減するだけではなく、残業削減によって可能となる充実した生活を通して、クリエイティブな仕事を実現することを目標としています。
レバレジーズ株式会社|社員500人のナレッジを共有する取り組み
レバレジーズでは、会社のトップ人材が講義形式で社員にノウハウを共有する場としての『社内勉強会』と、社員が他の事業部の日常業務に参加することができる『事業部間交換留学』を実施しています。
この二軸からダイナミックにナレッジを共有することで、社員は現在扱っている課題やプロジェクトに対して、社内の過去の事例から参考にできる知見を最大限活用することが可能になりました。会社の規模が拡大することで部署間の連携は煩雑になりがちですが、社員一人ひとりが知識を共有する主体になれる制度を定めることで、社内の横断的なコミュニケーションを促しています。
千代田化工建設株式会社|SNSで社員の声を集め、経営につなげていく
世界規模で事業を運営する大企業では、社内体制の高度な分業化によって、各部署で閉鎖的なコミュニティを形成してしまうケースが少なくないといいます。
会社が目指すビジョンと社員の意識とのズレに課題意識を持っていた千代田化工建設では、社内SNSのあり方を刷新し、社員の素直な言葉を「Voice」として集め、社内SNS上で共有する「discover!プロジェクト」を立ち上げました。
社員の、会社や業務に対する思いを自由に共有したり、育児と仕事の両立に向けた意見をVoiceで募集したりと、『社員の思いを集める場所』として、社内コミュニケーションのプラットフォームとなっています。
フォルシア株式会社|全員で全員の賞与を決める取り組み
フォルシアでは、エンジニアなどのクリエイティブに関わる業務には、お金を含めた「トータルな幸せ」が必要であるとし、エンジニア社員がお互いに賞与について評価し合う取り組みをおこなっています。社員に特別賞与の原資を開示し、自分以外全員に分配するという設定で、賞与額を記入してもらうというものです。
「日々のおこないが評価につながっている」という姿勢を持たせ、個人主義が主流であったエンジニア同士が、お互いに高め合う関係を構築できるようになったようです。社員同士のコミュニケーションを通して、会社の規模が拡大してもエンジニア一人ひとりが適切な評価を受けられる制度となっています。
日本オラクル株式会社|社員犬制度
日本オラクルでは、社員の一員としてオフィス内に犬がいます。25年以上続く取り組みで、現在の社員犬「キャンディ」で4代目だそう。
部署間の垣根を超え、動物を中心として社員同士のコミュニケーションが生まれる効果も期待できるのではないでしょうか。
キャンディの名前の由来は、『キャンディの甘さのように、人をやさしい気持ちにしてくれる、リラックスさせてくれる、幸せな気持ちにしてくれる、社員の皆から愛される、身近で元気をくれる存在になってほしい』です。
社内コミュニケーションの活性化は業績アップや企業存続に不可欠
いかがでしたでしょうか。
社内でのあらゆるコミュニケーションを活性化することは、会社として経営を加速させていく上での最重要課題の一つとなっているのではないでしょうか。
しかし、わかっていてもなかなか活性化できないのが社内コミュニケーションです。さまざまなツールを試したり、他社の成功事例を参考にしたりして、自社に最適なコミュニケーションの方法を探しましょう。自社での活性化が難しい場合は、チームビルディングサービスの利用を検討してもよいかもしれません。
社内コミュニケーションが活性化されれば、さらなる業績アップが期待できます。逆に、社内コミュニケーションが円滑に進まなければ、企業の存続を脅かす可能性すらあるのです。
社内コミュニケーションに課題を抱えている場合は、早急に対策を講じましょう。
人事の皆さんにとって、自社の社内コミュニケーション活性化に向けての取り組みを検討する際、本記事の内容が参考になれば幸いです。