「売り手市場」という言葉はもう多くの人事の方が聞き慣れた言葉ではないでしょうか。
いかに自社にマッチした人材を採用すべきか、悩みを抱えている企業も多いと思います。そんな状況下で注目されているのは、地方大学生への採用アプローチです。
そこで今回は、「地方大学生を採用する際に気になること」や「地方大学生の就活に対する意識」についてまとめました!
目次
1. 現在の採用の課題
新卒市場は競争激化に
大卒求人倍率調査(2019年卒対象)|リクルートワークス研究所によれば2019年卒の大卒求人倍率が1.88倍と倍率7年連続で上昇しています。
全国の民間企業の求人総数は、2018年卒と比べると75.5万人から81.4万人へと5.8万人増加しています。
民間企業の求人総数に対して、2019年卒の学生の民間企業就職希望者数は43.2万人なので、求人に対して、38.1万人の人材不足となっています。
数値から見てわかるように、深刻な人手不足にもかかわらず、多くの企業が正社員の採用数を増加していることが、求人総数を増加させ、新卒市場の競争激化を生み出しているといえます。
しかし求人総数に対して就職希望者数は増えるどころか、ほぼ横ばいのままになっています。
新卒採用の状況
- 大卒求人倍率は1.88倍と倍率7年連続上昇
- 全国の民間企業の求人総数は、前年の75.5万人から81.4万人へと5.8万人増加
- 学生の民間企業就職希望者数は、前年42.3万人とほぼ同水準の43.2万人であり、求人に対して、38.1万人の人材不足となっている。
企業が抱える悩み
上記のデータを参考にしても分かるように、近年は採用の競争が激しく、求めている人材になかなか会えない企業が多いという現状があります。
ほかにも「求人広告を出しても学生がなかなか集まらない」、「求人広告から学生の応募はあるが、マッチした人材になかなか会えない」といった悩みを抱えている企業が増えてきています。
こういった昨今の都市部の採用の現状・課題を踏まえて、採用成功に向けて地方に目を向ける企業も増えてきています。
企業様の悩み
-
求人倍率が高くて競争が激しいので、求めている人材が少ない
- 広告を出しても学生が集まらない
- マッチした人材に会えない
2. なぜいま地方採用が注目されているのか
採用競合が都市部に比べて少ない
現在は、都市部の学生の採用はすでに競争が激化し、なかなか採用できないのが現状です。
一方で、地方大学生の採用市場は都市部の学生に比べるとまだまだブルーオーシャンといえるでしょう。つまり、採用できる可能性が高い学生が多く、競合が少ないことが大きな特徴です。
日本経済新聞の記事(進撃の「学生詣で」 企業が地方大学に熱視線)|2018年4月17日によると首都圏の企業が地方大学生にアプローチしている動きが活発になっているようです。
ネットを使った説明会や選考を利用して学生との接点を持つ企業も多く、今後の主流となっていくと考えられます。
では、地方採用に取り組む企業や、地方大学生は実際どのようにして新卒採用に取り組んでいるのでしょうか。
3. 地方大学生の就活の実態
地方大学生の悩みの種は”費用”
地方大学生は都市部の大学生に比べて費用がかかるという調査結果があります 。
2016年の株式会社サポーターズの調査によると、関東学生の平均費用は約13万円でした。
それに対し、地方大学生の平均費用は18万8,245円と約6万円も高く、特に四国地方大学生が最高額の425,000円、次に中国地方大学生230,000円でした。
東京や大阪など都市部での説明会や選考会が多い中、地方大学生は就職活動にかかる交通費が多くかかってしまうと考えられます。
では地方大学生はお金をどのように工面しているのでしょうか。
上記の調査によれば、約6割型の地方大学生がアルバイトで稼いだ給与を原資にして交通費などを支払っており、なかにはヒッチハイクやシェアハウスなどを利用して交通費や宿泊費の費用を削減しているようです。
費用問題で情報格差も
インターンシップや説明会などは都会で開催されることが多いのが事実です。先ほどもあったように地方大学生は費用面に悩まされています。
なので、就活イベントに参加する機会が都会の学生に比べて少なく、それが情報格差につながっているのかもしれません。
内々定獲得率は、都市と地方で2倍以上の差
都市と地方大学生では内定率の大きな差があります。厚生労働省の調査(平成 29 年度大学等卒業予定者の就職内定状況|厚生労働省)によると以下のような数値が出ていました。
【地域別就職内定状況】
関東地区 | 88.2% |
近畿地区 | 88.2% |
中部地区 | 87.1% |
北海道・東北地区 | 84.6% |
九州地区 | 80.1% |
中 国・四 国 地 区 | 78.7% |
関東地区に比べて九州地区、中国・四国地区など、関東までの距離が遠い学生は内定率が低い傾向があります。
原因はさまざまあると思われますが、中国・四国地区は就活の出費が最も高額という調査結果があったように、交通費などの費用面といった点も、この結果に大きく関係しているかもしれません。
地方大学生の特徴
地方大学生が抱えている問題はこれまで触れてきましたが、新卒採用担当者にとっては新たに地方大学生の採用をするとなった場合、地方大学生の特徴について知りたい方もいらっしゃるかと思います。
地方大学生の就活支援を長年おこなってきた就職カウンセラーが考える地方大学生の特徴をまとめてみました。
地方大学生の特徴
- 素直で素朴な学生が多い
- あまり遊ばず、真面目に勉強している学生が多い
- まだまだ視野が広がる余地がある。
- 情報感が比較的弱い
4. 地方大学生の採用に力を入れている企業
サイバーエージェント 地方就職活動生支援パッケージ|FLAT
2016年にプレスをリリースし、地方大学生の情報格差を解消するために、地方大学生の採用に力を入れています。
地方大学への出張セミナーや現地選考会などを全国47都道府県で実施しています。
参照:https://www.cyberagent.co.jp/
UNITED 地方での採用を強化|1日完結選考
面接などで何度も企業を訪問するために膨大な時間とお金がかかるのが地方大学生の大きな悩みです。
ユナイテッドでは、そういった学生のために、2015年9月から東京で実施している独自の採用手法である『1日完結選考』を地方都市で実施しています。
会社説明会から最終面接、内定通知までを1日でおこなうといった新しい採用方法で地方大学生にとっても嬉しい選考ではないでしょうか。
参照:http://united.jp/company/outline/
関連記事:「1日完結採用」「ユニーク採用」を仕掛けるユナイテッド人事に聞く|学生から選ばれる採用のつくり方
5. 地方採用に特化したサービスを紹介!
就職エージェントNEO | 企業の課題に合わせた成果報酬型、新卒紹介サービス
【特徴】
- 全国約120の大学のイベント開催数は業界トップクラス
- 業界のパイオニア的存在。年間約16万人以上の学生が利用
- 大手就職サイトに掲載していない求人が全体の46%
ちほりけ|地方理系に特化した新卒紹介
【特徴】
- 就職活動において、学生の悩みの種である「交通費」を支給することで、14200名の理系学生が登録済み
- 情報系や機械系など、多様な学部の理系学生が登録しているため、仕事内容に適したスキルを持つ理系学生を紹介
- 採用費用の発生は、内定承諾時の成功報酬型であるため、無駄な採用費を削減
サポーターズ | 就職活動にかかる費用を、企業が支援する新しい就活のカタチ
【特徴】
- 交通費を主として地方大学生が必要とする大きな資金を、サポーターズの取引先企業が一部支援
- オフラインでの接触をおこなうため、採用アプローチの質が向上
- 学生の詳細なプロフィールを見た上で、ダイレクトリクルーティングが可能
より多くの新卒紹介のサービスについて知りたい方はコチラもチェック!
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6. オンライン上でおこなう新しい採用手法
近年、地方の学生を採用するのに注目されているのが「Web説明会」「Web面接」などです。特徴は、オンライン上で説明会を視聴できたり、面接を受けることができたりするので、場所を問わずに就職活動ができることです。そのため、地方の学生も気軽に選考を受けることができます。
「Web説明会って本当に学生は見るの?」と疑問を持っている人事担当者もいっらしゃるでしょう。
ディスコの2019年卒就活生モニター調査によると、43.5%の学生がWeb説明会の視聴経験があるそうです。オンライン上で就活することが、学生にとっても、徐々にスタンダードになりつつあることがわかります。
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7. まとめ
いかがでしょうか。「都市部の採用活動はもう競争が激しくて…」とお困りの採用担当者の方は地方大学生にもこうしたサービスを通して接点をもつこともいいかもしれません。
きっと、地方大学生も多くの企業の採用担当者に会えることを強く望んでいることでしょう。