GPS打刻は販売員、ドライバーや訪問看護職員など事務所外で出退勤する従業員の勤務実態を正確に把握できる勤怠管理システムとして注目を集めています。
GPS打刻では位置情報とともに出退勤の時刻が記録され、管理画面で毎日の勤務状況が確認できるので勤怠管理の効率化や業務改善に役立ちます。
本記事ではGPS打刻機能を持つ勤怠管理システムの特徴やメリットについて紹介します。
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働き方改革が始まり、「勤怠管理システムの導入を考えているけど、何から着手したらいいかわからない・・。とりあえず、システム比較からかな?」とお困りの人事担当者様も多いでしょう。
そのような方のために、今回「勤怠管理システム導入完全ガイド」をご用意いたしました。
ガイドブックには、以下のようなことがまとめられています。
・勤怠管理システムが普及している3つの理由 ・勤怠管理システムの4つのメリット ・勤怠管理システムの導入までに必要な8つのステップ
1. 勤怠管理システムのGPS打刻機能とは?
1-1. GPS打刻機能とは
GPS打刻とは、従業員が外出先などから携帯電話・スマホを利用して位置情報とともに出退勤の打刻をおこなう方法です。
携帯電話やスマホなどはGPS機能で位置情報を取得できますが、勤怠管理システムのGPS打刻機能はそのスマホなどで打刻した位置情報と時間を出退勤の情報として記録します。
システムの管理画面ではその打刻された位置情報と時刻が表示されるので、管理者は各従業員のデータを月単位などで毎日簡単に確認できるわけです。
つまり、GPS打刻機能を利用すると、従業員が外出した出先の『どこ』で、『いつ』出退勤したかという情報が、いつでも正確に掴めるようになります。
また、従業員が訪問先や出張先などでGPS打刻すれば、システムにその打刻した位置と時間が記録されるため事務所へ帰ってからの自己申告の手間もかかりません。
1-2. GPS打刻機能の内容と利用方法
GPS打刻の基本特性とは何か
GPS打刻をおこなうと、実際に「どこで打刻をしたのか」という事実が記録されるため、正確な出退勤の報告が可能となります。
従業員の自己申告による出退勤の報告では曖昧さや不正確さを伴う可能性がありますが、GPS打刻ならそれらを排除できるとともに不正報告の防止も可能です。
GPS打刻の操作性は簡単で従業員のスマホなどで利用できる
GPS打刻の操作画面はわかりやすいものが多く、PCなどの機器操作が苦手な従業員でも簡単・気軽に利用できます。
GPS打刻方式の勤怠管理システムは、従業員の所有する携帯電話やスマホが一般的に利用されます。つまり、多くの場合GPS打刻の利用にあたり新たな端末などの導入は不要です。
また、運営事業者の情報システムをインターネット経由で利用してGPS打刻することが多く、その場合は事業所においても高額な情報システムの導入も通常必要ありません。
なお、運営事業者の勤怠管理システムによっては携帯電話などの対応機種が異なり、特定の機種では利用できないケースもあるので確認が必要です。
GPS打刻の採用に適した業種・職務は何か
外出先でも正確かつ簡単に出退勤の打刻がでるGPS打刻は、営業職員、配送職員、訪問看護職員など、直行直帰の多い職種などに最適といえるでしょう。
また、派遣先企業で勤務する従業員、イベント会場や臨時店舗など一時的な勤務場所で働く従業員などにも適しています。
GPS打刻のタイミングはどう設定するか
GPS打刻をするタイミングは一般的に従業員の出退勤時です。つまり、出退勤の「打刻時」だけを対象とした位置情報と時間の記録がおこなわれます。
GPS機能で常時監視するという方法も不可能ではないですが、過度の監視はプライバシーの侵害や従業員のモチベーションの低下につながりかねないので注意が必要です。
なお、個人のスマホなどでGPS機能を常時作動させる、就業時間以外で位置情報を収集するなどの行為はプライバシーの侵害に該当し民法709条の不法行為に抵触する恐れもあります。
また、従業員の士気を低下させずにGPS打刻を運用するには、システム導入の意義やメリットを従業員に説明し理解を得ることが重要になるでしょう。
GPS打刻する場所の事前登録もできる
GPS打刻システムの種類によっては事前に移動先や外出先の住所を登録することも可能です。
また、運営事業者のシステムによっては、その登録した場所でないと打刻できないシステムもあり、より正確な勤怠管理の実現が図れます。
2. GPS打刻機能のメリット
GPS打刻機能の勤怠管理システムにより事業所外で働く従業員の勤務実態が毎日正確に記録され容易に確認できるため、経営上のさまざまな課題の解決に役立ちます。
GPS打刻は、タイムカードでの未記入の防止、勤怠管理の効率化、勤務実態に即した事業活動の改善、業績向上へ向けた取り組みなどの業務改善に有効なのです。
2-1. GPS打刻で勤怠管理の課題を解決する
タイムカードの未記入(虫食い)防止と無駄なコストの削減ができる
GPS打刻により毎日の出退勤データが確実に記録されるため、従来のタイムカードの打刻方式で起こりやすい未記入の防止に役立ちます。
そのため管理部門では未記入のあった従業員に確認するような手間が減少し、毎月の勤怠管理業務が正確かつ効率的に実行されるわけです。
タイムカードで出退勤の打刻をしている場合、営業職などの外回りの従業員が直行直帰するとタイムカードへの打刻はできなくなってしまいます。
そうした場合、後日自己申告で出退勤を報告することになりますが、管理部門から督促されるまで放置されタイムカードが虫食い状態になることも珍しくありません。
この状態では勤怠管理業務が滞るため、管理部門はその担当者に確認したり、報告を督促したりと余計な業務を抱えることになるわけです。
しかし、GPS打刻機能を伴った勤怠管理システムを導入していれば、タイムカードの打刻の虫食いを防止して無駄な確認作業をする必要がなくなり、集計の待ち時間も発生しません。
事業所外で勤務する従業員の勤務実態を正確に把握し適切な指示が出せる
GPS打刻は、外出先の従業員、事務所外で勤務する従業員がいつ、どこで仕事をし始め、そして終えたかが正確に把握できるので各従業員の活動に即した指示が出しやすくなります。
営業、配送、訪問介護といった職種の場合、日報などで勤務状況が報告されるケースが多いですが、日報の提出がなかったり、遅かったりすると勤務実態の把握は容易ではありません。
また、報告が遅れるほど記憶が曖昧になり勤務内容が不正確になりかねないのです。
このような状態では経営者や管理職は部下の活動を正確に把握できず、業績向上や効率的な業務に向けた適切な指示を出すことは難しいでしょう。しかし、GPS打刻のシステムなら、誰がいつどこで仕事を始め、終えたというデータをもとに従業員の活動状況は把握しやすくなります。
勤務実態から業務を遂行する場所・地域、回数、優先順位などが概ね把握できるため、業務の改善に向けた手立てが講じやすくなるわけです。
不正・虚偽報告の防止ができる
GPS打刻すれば位置情報も記録されるため、実際にいない場所へ出勤したかのように思わせる不正報告が防止できます。
日報による出退勤の報告や単なるスマホ等の打刻では、実際にその場所に行っていなくても、別のところにいても出勤したかのようにする不正報告が可能です。
経営者としては従業員がそのような悪質な行為をしないと思いたいところですが、起こり得る問題なので発生を未然に防止する対策は重要といえます。
GPS打刻の場合は位置情報も記録され、その場所にいないと打刻できないので、移動しなかったり遅刻したりしても虚偽の報告ができません。
そのためGPS打刻機能は遅刻・早退などの防止に役立ち確実な業務の遂行を促してくれます。
残業時間の管理を適切におこなうことができる
GPS打刻によりタイムカードの虫食い状態が防止できるため、各従業員の残業時間の把握は正確かつ容易になります。
また、管理者はいつでも管理画面で残業時間を確認できるので、残業時間の多い従業員に注意を促すことも容易です。
GPS打刻は残業時間の適切な管理を実現し、不要な残業時間及びそれに伴う人件費の増大を抑制するとともに従業員の残業による疲労も抑えてくれるでしょう。
2-2. GPS打刻を活用して業務改善を図る
GPS打刻で直行直帰を拡大し業務効率の向上につなげる
GPS打刻機能を活かして直行直帰を適切に実施していけば、従業員の移動の負担が軽減されるとともに仕事の効率化も期待できます。
外回り主体の業務などで直行が自由にできない場合、一旦事務所に立ち寄りその後に訪問先へ出向くこととなり時間のロスに繋がります。
また、遠方の出先から定時以降に帰社すると、事務処理などで残業するケースが増え人件費とともに従業員の疲労も増大しかねません。
直行直帰が申請によりできる場合でも申請が遅れると直行直帰の機会を失い、結果として事務所経由の外出と定時以降の帰社というケースになってしまいます。
しかし、GPS打刻なら出退勤が正確に記録されるので、経営者・管理職としても従業員の直行直帰を安心して進められるはずです。
また、スマホ等から直行直帰や出張などを申請できるようにしておけば、従業員も必要に応じて手軽に直行直帰がおこなえます。
直行直帰が適切に利用され拡大すれば、移動や時間のロスが少なくなり従業員の負担は軽減され業務の効率化も図れるわけです。
GPS打刻機能で得られるデータを活用して業績向上につなげる
GPS打刻機能で得られる出退勤データと売上などのデータを照合して、従業員の活動方法や販売方法などの改善に役立て、業績向上へ結びつけることも可能です。
GPS打刻では直行直帰する従業員の活動実態(打刻位置情報)が管理画面で毎日確認できます。
どの従業員がどの地域に多く出かけているのか、訪問先に偏りはみられないか、重要な顧客への訪問頻度は少なくないか、といった確認が毎日簡単にできるわけです。
また、活動実態と売上データなどの業務成果とを結びつければ、成果に応じた活動地域や訪問先の変更、それに対応するための人員変更、活動や販売方法の改善に繋げられます。
さらに他の従業員の活動や売上が特定の地域に集中している場合などでは増員や新たな拠点設置の必要性など事業の拡大に向けた経営課題の抽出にも役立つでしょう。
3. GPS打刻機能を持つ勤怠管理システムまとめ
ジンジャー 勤怠
ジンジャー勤怠は、スマホやタブレットで導入や操作が簡単にできて、人事の全領域の業務の効率化のみならず戦略・戦術の立案にも役立ちます。
ジンジャーではGPS、PC、ICカード、Bluetooth等など多彩な打刻申請が可能です。管理画面もPC、スマホなどマルチデバイス対応で、シフト作成も容易にできます。
勤務集計データは給与計算システム等に連携でき、管理・作業コストの軽減が期待できます。
勤怠管理システムタッチオンタイム
タッチオンタイムは導入企業数が7,300社以上、利用者数が51万人以上(2017年1月)の勤怠管理SaaS市場でトップクラスのシェアを誇る勤怠管理システムです。
勤務時間の自動集計、有給管理、シフト管理、給与ソフトとの連携などの機能を備えさまざまな業種・規模の企業で利用されています。スマホ等からのGPS打刻、ICカードや生体認証式など豊富な打刻方法があり、環境に左右されにくい勤怠管理が可能です。
KING OF TIME
KING OF TIMEは勤怠管理SaaS市場で上位シェアを確保している勤怠管理システムで、9,000以上の企業が導入しており、利用者数は57万人以上に上ります。
わかりやすい画面構成で誰もが簡単に利用しやすく、携帯・スマホからのGPS、ICカード、PCや生体認証など多彩な打刻方法が用意されています。
勤怠管理、休暇管理、申請承認、シフト管理など豊富な機能が提供されており、給与ソフトとの連携も可能です。
CLOUZA
CLOUZAはPC、タブレットやスマホ等で出退勤の打刻が行え、勤務時間等の自動集計ができる勤怠管理クラウドサービスです。
PCやタブレットがそのまま利用できて新たに機器を導入する必要がなく、スマホからの打刻も可能なので営業など外出の多い職種にも適しています。
勤怠状況のリアルタイム管理、勤務データの自動集計や給与ソフトとの連携など勤怠管理業務の効率化に役立つ機能が充実しています。
ジョブカン勤怠管理
ジョブカンは、30,000社以上の導入と運用歴7以上の実績を有するグローバル対応も可能なクラウド型の勤怠管理システムです。
GPS、ICカード、LINE、Slackなどの多彩な打刻方法が利用できます。リアルタイムでの勤務状況の確認、わかりやすい操作画面、簡単なシフト作成などの便利な機能が豊富です。
また給与ソフトとの連携も可能で給与計算の負担が軽減しコスト削減につながります。
follow スマートタッチ
follow スマートタッチは、NTTグループでも使用されているデータセンターを利用した信頼性の高いプラットフォームサービスを提供するクラウド型勤務管理システムです。
市販のタブレット、ICカードによる打刻のほかGPS機能を利用したスマホ打刻も可能で、外出先から出張申請や休暇申請もできます。
勤務状況のリアルタイム管理、勤務票データの自動集計、休暇管理、シフト作成など高機能のサービスが整っています。
タイムバリュー
タイムバリューはシステムの導入や初期契約費等の費用が不要なSaaS型勤怠管理システムで、事務処理時間とコストの削減に役立ちます。
タイムバリューは従業員別や、リアルタイムで勤務時間の自動集計が可能なため勤怠管理の効率化が図れます。PC、スマホ、携帯電話、タブレットとICカードでの打刻が可能で、外出先でも利用できます。
ほかにもシフト作成や給与ソフト連携など勤怠管理が楽になる機能が豊富です。
4. GPS打刻を活用して正確な勤怠管理を
GPS打刻機能のある勤怠管理システムは従業員が出先から出退勤データを位置情報とともに送信できるので正確な勤怠管理が実現と、経営・人事上の課題解決に役立ちます。
GPS打刻により正確な勤務実態が報告・記録されるので、タイムカードでの未記入や管理部門の確認作業がなくなり勤怠管理は効率化され、管理コストの削減も可能です。
また、GPS打刻は位置情報を伴うので日報や電話報告だけでは発生の恐れのある不正・虚偽報告がなくなり、遅刻や早退の防止の役目も果たします。
ほかにも管理者は打刻情報(位置情報)を簡単に確認できるので、非効率な訪問や販売活動などの問題発見やその改善に役立てることも可能です。
さらに正確な勤務実態と業績データと照合して、より効果的な活動、増員、販売地域の変更・拡大、新拠点の設置など経営レベルの課題解決に繋がるというメリットもあります。