よくある人事・労務相談とは?労務トラブルなどの事例を踏まえてご紹介 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

よくある人事・労務相談とは?労務トラブルなどの事例を踏まえてご紹介 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

よくある人事・労務相談とは?労務トラブルなどの事例を踏まえてご紹介

自社の勤怠管理は法改正に対応できているか不安な方へ

働き方改革が始まり、法改正によって労働時間の客観的な管理や年次有給休暇の管理など、勤怠管理により正確さが求められることとなりました。

しかし、働き方改革とひとことで言っても「何から進めていけばいいのかわからない…」「そもそも、法改正にきちんと対応できているか心配…」とお悩みの人事担当者様も多いのではないでしょうか。

そのような方に向け、働き方改革の内容とその対応方法をまとめた資料を無料で配布しておりますので、法律にあった勤怠管理ができているか確認したい方は、以下のボタンから「中小企業必見!働き方改革に対応した勤怠管理対策」のダウンロードページをご覧ください。

【監修者】石原 昌洋|特定社会保険労務士・中小企業診断士

トライデントコンサルティング株式会社 代表取締役。東洋大学大学院経営学研究科ビジネス・会計ファイナンス専攻博士前期課程修了。中小企業を中心に労務管理から研修、人事制度構築など幅広く支援を行っている。『人事労務「攻め」と「守り」の勘所』マネジメント社(共著)2023/06

 

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1. よくある労務相談の内容とは?

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会社内の労務担当者だけでなく、会社外の機関に属する社労士などにも相談されるようなトラブルなどには、どのようなものがあるかをご紹介します。

1-1. ハラスメントや職場秩序の乱れに対する相談

職場での嫌がらせやハラスメントは、身近な従業員の不安材料になると考えられます。そのことで従業員の精神疾患や退職が発生してしまうこともあります。近年では自殺に発展するケースもあるので、慎重に対応する必要があるといえます。

1-2. 労働時間・休暇に関する相談

労働時間や休暇に関しては、お金・健康・日常生活に多大な影響を与えますので、近年相談が増えているケースであるといえます。

正社員の場合、法律で決められた1日8時間および、1週40時間の仕事で済めば、労働時間の問題はないといえるでしょう。しかし中には上司の命令であったり、取引先との納期などに追われたり、もしくは職場の空気だったりで、長時間残業がしばしばおこなわれていることがあります。

残業が睡眠不足をもたらすほどになってしまうと、従業員の健康に影響をおよぼし、最悪の事態を考えると過労死におよぶことがあるかもしれません。また残業した分の給与を払わずサービス残業をさせていれば、それは法令違反となります。

また、有給休暇などの休暇をとる権利が従業員にはあります。しかし、上司が休暇を認めないことで従業員のプライベートに支障をきたす(特に育児・介護を抱えている場合)という問題も発生しています。

1-3. メンタルヘルスに関する相談

メンタルヘルス(従業員の精神衛生)に関しては、年々関心が高まっており、従業員からの相談体制を会社側も整えないといけない状況になっています。

ハラスメントによるもの、長時間労働によるものなど原因はさまざまですが、きちんと対応をしなければ、従業員の退職や自殺にもつながる可能性があるといえるでしょう。

1-4. 待遇を巡る問題(解雇・退職・降格・配置転換)に関する相談

従業員の待遇をめぐっての相談は、生活にも関わってくるので多くの声がよせられます。とくに、日本企業の正社員の場合、配置転換がよくおこなわれるので、従業員の事情によるトラブルが発生しやすいといえます。

【解雇・退職】

会社を辞めるというのは、従業員から見れば生活の糧を失うことにつながります。なので、解雇をすることは従業員から会社への不満を招くことになり、逆に従業員から会社を辞めるというのは、多かれ少なかれ会社に不満があることを理解する必要があります。

【降格】
従業員が会社内の秩序を乱したり、会社に損害を与えたりした場合は、従業員の降格処分が考えられます。出世の道が閉ざされ、給与ダウンもありえますので、処分内容に関する相談は多いでしょう。

【配置転換】
転勤は引越しをともなうことになるので、家族の職場や学校をどうするかにも影響してきます。従業員からの相談(個人的事情)にはよく耳を傾けて対応をすることが求められます。

1-5. 労働災害・労災保険に関する相談

仕事中にケガをした場合、もしくは長時間の残業や休日出勤で過労死したり精神疾患になったりした場合は、労災保険の対象になる場合があります。

ただ会社側が原因になったことを認めたくない場合、従業員は思い通りに話が進まないと思い、労基署などに相談してしまう場合があるので、双方が理解できるようにしておくことが求められます。

2. 労務におけるトラブルとは?

労務相談2

トラブル①:ハラスメント・職場秩序・配置転換が関わる例

A社に勤める男性上司B課長が、女性の部下C子さんに対し、立場を濫用して執拗に食事に誘い出しました。

そのようなことが3カ月続いた時点で、C子さんはB課長に抗議しその上司にも相談しましたが、A社はC子さんにのみ配置転換の内示を出して解決としました。C子さんは、このことは一方的でおかしいと思い、労働者の相談機関に向かいました。

【解決法の一例】
このケースではC子さんはセクハラの被害者です。嫌な上司との関係を断ち切れるということであればC子さんは納得するかもしれませんが、逆に「私のほうがなんで配置転換させられるのか」と新たなトラブルの種になる可能性はあります。

A社はC子さんが何を望んでいるのかよく確認することが大事です。むしろB課長に対して職場の秩序を乱したものとして処分を下すべきだといえるでしょう。

ただ、どの程度の処分が望ましいかは、セクハラの状況によります。婦女暴行のような罪に問われるようなことをしているのであれば、懲戒解雇も考えられます。

しかし、そこまでいかないのに懲戒解雇まですると、今度はB課長とトラブルになる可能性があります。B課長の反省の色などを見て処分の程度を決める必要があるといえます。

トラブル②:残業代・過労・メンタルヘルス・労災が関わる例

飲食チェーン店D社の店長を務めていたE店長は、仕事の負担が重く1日16時間働き、平均で月2日しか休みがとれませんでした。その状況が1年続いた後、うつ病で休職することになりました。

E店長は労災給付の申請書を記載しD社にも証明の記載を求めましたが、D社は記載を拒否しました。E店長は会社の記載が無いまま申請書を労基署に提出し、また店長職にあるとして会社は残業代を支給しませんでしたが、未払残業代の支給を求めてD社を提訴しました。

【解決法の一例】
チェーン店の店長は、労基法上残業代の対象とならない「管理監督者」に該当しないケースがあります。なので、未払残業代の支払いを命じる判決が多くあるので、払うのが望ましいといえます。

労災給付申請書は、責任を認めたくないためにあえて証明を記載しない会社もあります。しかし、労災は会社の記載なしにも調査が進みます。

会社には長時間労働を防止し、健康を損なわないよう配慮する義務(安全配慮義務)があります。過労が解決できなければ店の業務を縮小(深夜は営業しないなど)することも考えないといけません。

トラブルを起こさないために必要なことは?

具体的な防止策は次章でふれますので、ここでは会社側がとるべき基本姿勢を考えたいと思います。

まず従業員に対しては相応の待遇・処分をおこないましょう。トラブル①で被害者側のC子さんが異動となるのは、筋が通っていないようにも見えます。これでは新たなトラブルを生む可能性があります。

加害者側のB課長に対しても、犯罪までいかず反省の意を示しているのに懲戒解雇したりすると、分不相応の処分であるとして新たなトラブルを生むことになります。B課長にもC子さんにも、A社は言い分を聞いて相応の対処が必要です。

また会社側にも健康配慮がなかった、精神疾患に追い込む風潮や業務量があったかなど、問題がなかったかを問う姿勢が必要です。

トラブル②では長時間労働を放置したD社の安全配慮義務違反がE店長の病を引き起こし、また残業代未払が労働基準法に違反している可能性が高いのです。会社側も悪い部分は姿勢を改めないと、また同じトラブルを引き起こしかねません。

3. 労務のスタンスとして普段から気をつけないといけないことは?

労務相談3

3-1. あきらかな法令違反行為はしないように

労働基準法などの労務関係の法令を遵守するようにしましょう。トラブルになった時に会社側が不利になることはもちろんですし、国が法令違反に厳しくなってきているので、労働基準監督署などから厳しい処分を受けることにもなりかねません。

3-2. 就業規則・雇用契約書など書類の整備

たとえば、懲戒処分や懲戒解雇は、就業規則に「正当な理由なく無断欠勤が14日以上におよぶとき」などと列挙された場合にしかおこなうことはできません。きちんと就業規則を記載しないと、会社が不利な状況になることがあります。

ただし、就業規則や雇用契約書に法令違反の記載をしても無効になりますので、その点は気をつけましょう。たとえば残業代の割増率は25%以上でなければいけませんが、15%と定めて残業代を支払った場合は、10%分の未払残業代を請求されるトラブルが発生しかねません。

また就業規則の変更により労働者が不利益になる場合は、労働者の同意が必要になります。

3-3. 労災防止を徹底し、危険な作業・長時間労働を野放しにしない

労災保険の給付金は、労災事故に遭った従業員の生活保障という意味合いがありますが、もともと会社側が従業員に補償すべきものを保険としたものです。労災を防止すべき責任は会社側にあります。

製造業であれば、指を切断しないよう防止に努めるなど、リスク管理をすることが考えられます。また、どの業種でも、睡眠不足に陥るほどの長時間労働が連日続くようなことは、精神疾患や過労死を招く可能性があるため、防止することが求められます。

3-4. 証拠の改竄・組織的隠ぺいをおこなわない

労災事故が起きた時など、労働基準監督署の調査に対応する際、証拠を改ざんしたり組織的な隠ぺいしたりすると、書類送検など厳しいペナルティを受けることになります。

労働時間の過少申告のため、従業員にタイムカードを早めに打刻させる行為は、証拠の改ざんになってしまいます。近年は労働時間に関しては、一段と厳しくなってきていますので、万が一のトラブルが起こらないように、労働時間の管理は正確におこなうようにしなければいけません。

4. まとめ

トラブルを普段から未然に防ぐ努力は重要になってきます。しかし従業員を雇用する以上、トラブルはつきもので、避けられないこともあるでしょう。トラブルが起きた場合は、従業員と誠実に向き合い対処することが必要です。

企業が不祥事を起こして嘘の釈明をおこない、その噓が発覚して二次不祥事、三次不祥事が起きると、トラブルの解決までさらに時間がかかってしまいます。労務においても、二次、三次のトラブルだけは起こさないように対処を怠らないようにしましょう。

かつては当たり前と思われてきた長時間の残業も、大企業中心に大きく規制に向かって、法令違反には厳しくなっています。このような時勢の変化に敏感になることも、労務トラブルを防止する上では必要になります。

自社の勤怠管理は法改正に対応できているか不安な方へ

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しかし、働き方改革とひとことで言っても「何から進めていけばいいのかわからない…」「そもそも、法改正にきちんと対応できているか心配…」とお悩みの人事担当者様も多いのではないでしょうか。

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