マイナンバー制度が始まり5年が過ぎました。企業では、従業員のマイナンバーの管理をする必要がありますが、マイナンバーの保管方法に頭を悩ませている方もいらっしゃるかもしれません。
マイナンバーは従業員の各種手続きに必要になることもあり、人事担当者が把握をしなければいけない重要なものです。労務管理をする際に社会保険とも紐付ける必要があり、マイナンバーでの管理が従業員の老後の年金などに大きく関わってきます。
そこで今回は、マイナンバーと社会保険がどのような場面で連携しているのか、またマイナンバーの取扱いに注意したいことをご紹介いたします。
非常に複雑で手間のかかる、従業員のマイナンバー管理。
誤ってマイナンバー情報を流出させてしまった場合、個人情報保護委員会から勧告を受ける可能性もあります。多忙な中でそのような事態になることを防ぐためには、万全なセキュリティ体制やルールについてしっかりと把握しておく必要があるでしょう。
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企業が実施すべきことについて詳しく解説!
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1. マイナンバーって何?

マイナンバーとは、国民全員が持つ12ケタの番号のことであり、その導入目的としては、税や年金、雇用保険などの行政手続きに使用されるものとされています。
マイナンバーの普及により、税や年金、雇用保険などの行政手続きに必要だった書類が削減され、これらの手続きの利便性が高まるといわれています。また、行政事務の効率化や公平な各種給付の確保などが実現できるとされています。
1-1. マイナンバーの仕組みとは?
マイナンバーは、住民票を有する全ての国民に番号が割り振られ、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人情報を一元管理するために活用されています。一般的には、社会保障・税の公平化を叶えるためにマイナンバーが導入されたといわれております。
マイナンバーの仕組みは、まず住民登録している各市区町村より個人番号通知カードという紙のカードが届きます。その後、希望者のみ各市区町村にて個人番号カードへ切り替えることにより、同カードを身分証明書と同等の扱いにすることができるとされています。
ただし、通知カードを番号カードへ切り替えることは、現時点ではメリットが少ないと言われています。また、身分証明書は既に他の運転免許証や健康保険証で代替えできるためにメリットが少なく、保管するリスクが増えてしまうことになり、まだ普及には至っていない状況です。
1-2. マイナンバーは何に使われるのか?
まず、導入目的は上記で述べたとおり、行政手続きの利便性向上と社会保障の公平化となっています。マイナンバーが導入されたことにより、今後さらに年金や銀行口座にも関連付けされる可能性があり、生活保障の不正受給や各種税金の未納など、公平な社会保障が実現すると考えられます。
2.マイナンバーは社会保険手続きで使うのか?
マイナンバーが導入されたことにより、社会保険の手続きにおいてマイナンバーを記載する必要があります。雇用保険、健康保険、厚生年金など、いずれにおいてもマイナンバーを使用するようになり、ほぼ全ての書類・手続きに必要になってくると考えられます。
2-1. マイナンバーは社会保険とどういう関係なのか?
私たちが生活する中で健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、といった多くの社会保険に関連して生活をしています。マイナンバーは上記全ての手続きにおいて必要となります。
ハローワーク、年金機構、税務署など、管轄がそれぞれ異なっているので、各種手続きにおいてマイナンバーが必要となります。また、生命保険の受給の際にもマイナンバーが必要となる場合もあります。
2-2. マイナンバーはどんな保険の手続きで使用するのか?
マイナンバーは、以下のように個人および企業における各種手続きにおいて必要となります。
- 雇用保険 資格取得届、資格喪失届、高年齢雇用継続給付申請書、育児休業給付金支給申請書など。
- 健康保険 同様に資格取得・喪失届。被扶養者異動届、傷病手当支給申請書など。
- 所得税 扶養控除申告書、支払調書、源泉徴収票、給与支払報告書など。
個人においては、確定申告や失業給付などの場面があり、企業においては、健康保険や厚生年金の資格取得・喪失届、年末調整などの手続きに必要となります。
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3.マイナンバー導入による社会保険手続きにおいてのメリットとは?

マイナンバーの管理にかかるコストを考えると、なぜ導入されたのか疑問に思われる方も少なくないでしょう。情報漏えいが心配だという企業や従業員もいらっしゃると思います。
しかし、マイナンバーを導入することでペーパーレス化や作業工数を省くことができ、環境配慮や業務効率化を図ることができます。
- 被保険者の住所・氏名変更届が不要
- 年金手帳確認が不要
- 資格取得届に住所が不要
- 一部の届出・申請で住民票や所得証明が不要
具体的には以上のメリットがあります。毎年の手続きにかかる時間や労力、コストを抑え、他の業務にかける時間を増やすことができます。
4.マイナンバーの取扱いで注意することは?

マイナンバーは特定個人情報という個人情報より重要度の高い分類です。とくに、企業においては、昨今の情報漏洩問題もあるので、厚生労働省のガイドラインには、マイナンバーを扱う専用ルームや専用PCなどの設置が案内されています。
ここでは、マイナンバーに対する管理の姿勢について解説いたします。
4-1. マイナンバーには厳重管理が必要
上記で述べたとおり、マイナンバーは特定個人情報なので、その情報を欲する人は非常に多くいることでしょう。今後、マイナンバーが普及拡大するにつれ、マイナンバーの闇市場における価値も上がり、個人および企業はいま以上にマイナンバーを保護する必要があります。
個人でマイナンバーを取り扱う際に注意する点は、安易に公表しないことに尽きると考えます。上記で述べた生命保険の受給手続きにマイナンバーが必要となるケースもあると説明しましたが、本当に必要なのかを自分で考え、確認する必要があると考えます。
とくに高齢者は現役の社会人と比べると、マイナンバーの重要性を認識していない可能性が高いです。家族や親族、友人へ周知するとともに、安易にマイナンバーを公表しないことを意識しなければいけません。
また、企業においては、マイナンバーを保護することにはコストが掛かります。しかし、企業は従業員のマイナンバーを保護する義務があります。コンプライアンスの観点からも指定した者しか閲覧できないルールを作り「従業員からマイナンバーの収集、専用PCへの入力、指定場所への保存」といった、マイナンバー保存方法を改善していく必要が永続的にあると考えます。
現在は、マイナンバーを安全に管理するためのシステムもあります。専用ルームやPCを準備するための手間やコストを省くことができるため、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
5.まとめ
現状として、企業で従業員のマイナンバーを管理するメリットはないと考えられます。
個人においては、複雑かつ面倒な行政手続きが簡略化されることは非常に喜ぶべきことです。しかし、企業においては、個人情報漏洩というリスクを背負い、保存するためにコストを掛けざるを得ず、なおかつメリットが少ないマイナンバーを取り扱うことは大変でしょう。
源泉徴収票への記載など、今後マイナンバー制度は変化を繰り返すと考えられます。個人においても企業においてもマイナンバーの動向を注視し、柔軟かつ迅速に対応しなければ危険な制度であるという認識を持つ必要があるのではないでしょうか。