社会保険の資格取得届とは?従業員の雇用時に必須な手続方法をご紹介 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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社会保険の資格取得届とは?従業員の雇用時に必須な手続方法をご紹介

従業員を雇用した際に人事は社会保険の資格取得届の提出をしなければならず、会社の経営者や事業主、人事担当者などは社会保険の資格届の概要や手続きなどを必ず理解しておくことが必要です。

また、従業員にとっては社会保険の資格取得届の対象になり将来の年金に関係しますので、概略を知っておくことも必要不可欠になってきます。

今回は、社会保険の資格取得届についてご紹介します。

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1.社会保険の資格取得届とは?

資格取得届640

社会保険の資格取得届は、入社などで社会保険を取得する必要が生じた時に提出する書類です。

たとえば、社会保険の適用事業所の会社が新しく従業員を雇用する場合や、勤務形態の変更により社会保険を取得する義務が発生した場合などに、社会保険の資格取得届を提出することが必要になります。

関連記事:社会保険とは?代表的な4つの保険と今さら聞けない基礎知識

社会保険の資格取得届が必要な事業所

社会保険の取得届が必要な事業所には、強制適用事業所と任意適用事業所、一括事業所があり、適用除外もあります。

強制適用事業所

強制適用事業所は、次の3つに該当する場合です。

1つ目は、適用業種である事業をおこない常に5人以上の従業員を使用する事業所です。この場合、適用除外規定で被保険者にならない従業員でも、常時使用されている時は5人に数えられます

2つ目は、常に1人以上の従業員を使用する国や地方公共団体の場合です。

3つ目は、常に1人以上の従業員を使用する法人の場合です。

任意適用事業所

強制適用事業所に該当しない事業所の場合、事業主は厚生労働大臣の認可を受けることにより適用事業所とすることができます。

認可を受けるためには、事業所で働いている被保険者の2分の1以上から同意を得ることが必要です。同意が得られれば、申請の手続きにより認可を受ける可能性があります。

一括適用事業所

事業主が1人で複数の適用事業所を運営している場合は、厚生労働大臣の事前の承認を得たうえで、複数を1つの適用事業所にまとめることができます。

このような事業所は一括適用事業所と呼び、本来はそれぞれの事業所単位でおこなう社会保険の諸手続きを一括して処理できるメリットがあります。

適用除外

適用事業所であっても、社会保険の被保険者手続きができない場合があります。また、所在地が一定しない事業所の雇用者は、どれだけ長期間雇用されても被保険者扱いになりませんので注意が必要です。

社会保険の被保険者手続きができないケースは以下になります。

【被保険者手続ができないケース】

・共済組合の組合員や私立学校教職員共済制度の加入者の場合

・日雇い労働者の場合 1ヵ月を超えて継続的に雇用される場合には、1ヵ月を超えた日から被保険者扱いになります。

・2ヵ月以内の期間で雇われる労働者 所定の期間よりも長く雇用される場合は、所定の期間を超えた日から被保険者扱いとなります。

・4ヵ月以内の期間で雇われる労働者で、季節労働に従事する者の場合 雇用初日から4ヵ月を超えて継続雇用される場合は、雇用初日から被保険者扱いになります。

・臨時的事業で雇われる労働者の場合 雇用初日から6ヵ月を超えて継続雇用される場合は、雇用初日から被保険者扱いになります。

社会保険の資格取得届が対象になる従業員

社会保険の資格取得届が必要な従業員は下記のタイミングで、要件に該当する当日から被保険者としての資格取得届が必要になります。

被保険者に扶養者がいる場合は、健康保険被扶養者届を提出して扶養者の範囲を明らかにします。

【社会保険の資格取得届が必要なタイミング】

・適用事業所に雇用された時 ・勤務に事業所が社会保険の適用事業所になった時 ・社会保険の適用除外要件に該当しなくなった時

その他に所定労働時間や日数が正規従業員の4分の3以上のパートやアルバイト、適用事業所に雇用される外国人、試用期間中の人などです。

関連記事:社会保険被保険者資格取得届とは?手続きの流れや注意点を解説

2.社会保険の資格取得届の提出および手続きの手順

資格取得届2

健康保険・厚生年金保険では会社(事業所)単位で適用事業所となり、その事業所に常時使用される人(事業主のみの場合を含む)は、国籍や性別、賃金の額などに関係なく、すべて被保険者となります。(原則として、70歳以上の人は健康保険のみの加入となります。)

雇用保険は、事業主や労働者の希望に関わらず、「1週間の所定労働時間が20h以上」「31日以上の雇用見込みがあること」という条件に該当する場合、加入義務が発生します。ただし、昼間学生は雇用保険に加入できません。

所定労働時間や日数が、正規従業員の4分の3未満のパートやアルバイトなどの短時間労働者は、原則として社会保険加入の適用除外となります。

手続きの時期

健康保険・厚生年金保険の資格取得届は雇用開始から5日以内に提出します。

雇用保険の資格取得届は雇用開始日の翌月10日までに提出します。

提出先

健康保険・厚生年金保険資格取得届の提出先は、事務センターもしくは年金事務所、または健康保険組合、厚生年金基金などです。

雇用保険資格取得届の提出先は、ハローワークになります。

提出方法

提出は電子申請や郵送、窓口持参の方法があり、届け出用紙の他、電子媒体の提出も可能です。

申請および届出様式

健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届及び、雇用保険被保険者資格取得届に記入します。

※書類はコチラからご覧ください。

添付書類

添付書類は原則として必要ありませんが、以下の場合は添付書類が必要になります。

  • 資格取得年月日に記載された日付が、届書の受付年月日から60日以上遡る場合 被保険者が法人の役員以外の場合、賃金台帳の写しおよび出勤簿の写しが必要です。被保険者が役員の場合は、株主総会の議事録または役員変更登記の記載がある登記簿謄本の写しが必要です。
  • 60歳以上の方が、退職後1日の間もなく再雇用された場合 就業規則、退職日の確認ができる退職辞令の写し、再雇用の継続が分かる雇用契約書の写し、退職日および再雇用された日に関する事業主印のある証明書などが必要です。
  • 国民健康保険組合に引き続き加入し、一定の要件に該当する場合 健康保険被保険者適用除外承認申請書の添付が必要です。

資格取得時の本人確認

資格取得時には、不正取得を防止するために本人確認が必要です。新たな採用の場合は、事業主が氏名や生年月日、性別や住所、基礎年金番号などを確認して資格取得届に記入して届け出ます。

3.社会保険の資格取得届の手続きの際に気をつけること

資格取得届3

社会保険の資格取得届を提出する際や提出が滞っていた際に気を付けるべき点は以下の通りです。

2022年10月から、社会保険の適用拡大もありますので、確認していただければと思います。

年金手帳の紛失

資格取得届には、被保険者の基礎年金番号の記入が必要です。年金手帳を紛失して記入できない場合は、年金手帳再交付申請書を提出します。

資格取得届が提出されていないことが分かった場合

資格取得届の提出が必要な場合に提出されていないことが後で分かった場合は、資格取得届を提出して2年前まで遡って保険料を支払うことができます。ただし、一括請求なので、注意が必要です。

また、手続きが正当な理由なく滞っていた場合、健康保険・厚生年金保険では「六月以下の懲役または五十万円以下の罰金」(健康保険法第208条)、雇用保険では「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」(雇用保険法第84条)に処されることがあります。

万一、資格取得届の提出が遅れてしまった場合は、遅延理由書、賃金台帳や出勤簿の写しなどの添付書類と共に、速やかに手続きをおこないましょう。

再雇用の従業員の資格取得届

60歳以上の方が、退職後1日の間もなく再雇用された場合には、同時に同日付の資格喪失届の提出が必要になります。

パートタイマー・アルバイトなどの雇用

パートタイマー・アルバイトなどが被保険者の対象になるかどうかは、一般社員の所定労働時間や所定労働日数が4分の3以上であるかが基準になります。

また、一般社員の所定労働時間および所定労働日数が4分の3未満であっても、下記の5要件を全て満たす方は、被保険者になります。

1.週の所定労働時間が20時間以上あること 2.雇用期間が1年以上見込まれること 3.賃金の月額が8.8万円以上であること 4.学生でないこと 5.常時501人以上の企業(特定適用事業所)に勤めていること

また、2022年10月より、適用拡大がおこなわれ、雇用期間の見込みが2か月以上特定適用事業所の規模が101人以上になるなどの変更があります。 詳しくは、以下の記事でご確認ください。

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関連記事:パート・アルバイトに社会保険は適用される?|令和4年10月~の法改正に向けて徹底解説!

4.まとめ

社会保険の加入期間は将来の年金の給付額に関係しますので、社会保険に加入しているかどうかを確認しておくことが重要になります。

社会保険に加入せずに保険料を支払う期間が短くなった場合は、年金の給付額が減額されることになります。また、事業所が社会保険の適用要件に該当しているかどうか、従業員が社会保険の対象になっているかどうかも確認しておくことが大事です。

社会保険の資格取得届の必要な従業員を雇用する場合は、提出期間が雇用から5日以内、雇用保険の場合は雇用日の翌月10日までであり短いので、迅速に手続きをおこなうことが必要です。

(監修:社会保険労務士 石原 昌洋)

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