求人数に対して応募者数が少ない超売り手市場となった就職市場において、会社が望む人材を確保することが非常に難しくなっています。求人を出すだけではなかなか母集団を形成も見込めないため、これからはいかに効率よく優秀な人材を確保するかがポイントになります。
そこで、鍵となるのが「採用ツールの活用」です。本記事では、「採用ツールとはどのようなものなのか」また、「さまざまな種類の採用ツール」をご紹介いたします!
目次
【1】採用ツールとは?
「採用ツール」とは、企業が採用したい人材を獲得するために使うツール全般を表します。近年は特に、求職者数よりも求人数がはるかに多い超売り手市場であることから人材確保が難しいため、この「採用ツール」に注目が集まっています。
一言で採用ツールといっても、目的やタイミングにあわせたさまざまなツールがあります。例えば、採用活動をおこなうためのホームページや会社紹介などのパンフレット、就職説明会用のパワーポイントなどがあります。また、企業を紹介するノベリティグッズや合同説明会でのブースの装飾なども、この採用ツールに含まれます。
【2】なぜ、採用ツールが必要なのか
以下では「就職活動市場」と「情報を伝える手段」という2つの観点から、なぜ採用ツールが必要なのかをご説明します。
2-1 就職活動市場の大きな変化
採用ツールの必要性が高まってきた背景には、就活市場の変化があります。現在の新卒の採用スケジュールは、会社の広報活動を始めるのが3月1日以降、採用選考活動は6月1日以降、内定日は10月1日以降と設定されています。
そのため、就職を希望する学生は短期間で就活(企業の選択、応募、面接)をおこなわなければなりません。逆に言えば、企業も短期間で優秀な人材を確保する必要があるため、効率の良い採用活動が求められています。
短期間で詰めて採用活動をおこなわなければならない状況に加えて、少子高齢化や団塊世代がちょうど退職の時期を迎えたということもあり、労働人口が減少していることも採用に大きく影響しています。こういった環境の中で企業が優秀な人材を獲得するためには、相当な努力と労力が必要となります。
2-2 正確な企業情報を伝える手段
採用活動を短期間でおこなわなければならないことに加え、超売り手市場ということもあり、企業は採用情報の発信についても、より一層の工夫が必要になります。
企業のホームページは、就職活動をしている人向けというよりは、投資家やクライアント向けに作られているため、ホームページだけでは、なかなか学生に企業の魅力が伝わりにくいというのが現状です。
そのため、企業ホームページとは別で、採用に特化したパンフレットの作成や、採用に特化したWebサイトを立ち上げるなど、他の手段が必要になります。
【3】採用ツールの種類
以下では、さまざまな種類の「採用ツール」をご紹介します。それぞれの採用ツールの内容や特徴を理解し、採用ツールをより有効的に活用しましょう。
▶採用パンフレット(会社案内)
就活生をはじめ、仕事を探している人が最初に目にするのが企業情報です。「採用パンフレット」で求職者の興味を引けるかどうかが非常に重要になります。
採用パンフレットはチラシやポスターのように印刷出力するだけでなく、web掲載用としても活用することができます。また、合同説明会など会社説明会では、映像と連動させることも可能です。
採用パンフレットでは、会社概要を掲載するだけでなく、社長や社員からのメッセージや仕事内容、職種の紹介、具体的な1日のスケジュール、昇進のモデルケースや仕事風景を紹介するのも効果的です。
▶内定者フォローパンフレット
最近は売り手市場ということもあり、内定辞退する人も増えています。そこで最近は、内定辞退防止を目的とした「内定者フォロー動画やパンフレット」が注目されています。
内定者は就職活動を通じて企業についてある程度の知識は得ていますが、実際の現場についてはあまり情報を得ることができません。そこで、少しでも会社の雰囲気を知ってもらい愛着をもってもらうために動画やパンフレットをみてもらいます。
動画であれば、従業員のスマホで職場の雰囲気の撮影や、若手や管理職など幅広い従業員に短時間のインタビューをおこない、内定者に配信するなどが有効です。
文字や写真に比べ、動画の方がリアルタイムで、かつ多くの情報を伝えることができます。職場の雰囲気や若手の働くイメージを自分に重ねることができ、会社への愛着につなげることができます。
▶内定者フォローアンケート
内定辞退を防ぐもう1つの採用ツールとして、「内定者フォローアンケート」があります。これは、内定者の会社や社員に対する要望を把握し、その要望に応えるツールで、具体的には採用活動の振り返りアンケートをおこないます。
例えば、「会社のどこに魅力を感じたか」、「会社のイメージはどんな感じか」、「入社に向けての不安や疑問はなにか」、「就職活動の中でもっと知りたかったことはあるか」などの項目を用意し、内定者フォローに役立てます。
また、これらのアンケートはメールではなく、SNSを使っておこなうため、アンケート結果を自動集計し、エクセルデータとして保存する事も可能です。採用担当者の負担にはなりません。
▶採用サイト
会社の案内をするコーポレートサイトは、主にクライアントや株主などが対象となっています。そのため、コーポレートサイトで求人募集をかけてもなかなか求職者の目にとまることはありません。
そこで効果的なのが、「採用サイトの作成」です。採用に特化したコンテンツや機能を備えているサイトであることが特徴です。閲覧する人は少なからず仕事を探している人になるので、求められる情報を過不足なく提示することが重要です。
また、採用サイトを作成しておくと、Indeedのような検索エンジン型求人サイトへの登録もスムーズにおこないやすくなるというメリットもあります。
▶動画コンテンツ
ITが進歩したことで、web上でもストレスなくスムーズに動画をみることができるようになりました。静止画と比較するとやはりインパクトが大きくなります。
静止画の場合はポスターなどで使えるという良い面もありますが、それでもインターネット上で採用サイトを見る場合は、動画の方が興味を惹きつけることができます。
例えば、会社の雰囲気や先輩へのインタビューなども文章ではなく、生の声が聴けるなど、文章だけでは伝わりきらない「暖かさ」や「親近感」を与えることができるというのも動画の大きなメリットです。
また、新しいことに取り組んでいるというアピールにもなります。採用サイトがすべて静止画だった場合、少し昔の会社という印象を与えてしまいます。動画をうまくつかって先端技術を活用していることがアピールできると会社の印象が良くなります。
▶説明会用装飾ツール
基本的に会社説明会は社内でおこなうため、実際の現場の雰囲気を感じることができるブースづくりが重要になります。逆に合同説明会の場合は、たくさんの企業が参加するため、他社に埋もれてしまわないよう、学生の興味を引き付けられるようなブースの装飾をおこなう必要があります。
学生の印象に残ると、応募時に思い出してもらえる可能性が高くなります。単に電飾だけでなく、ポスターの作り方や電子掲示板を設置するなど、ディスプレイを利用して、学生にアピールすることも重要になります。
▶会社説明会用パワーポイント
特に合同会社説明会の場合は、多数の競合会社も同じように説明会を開催している可能性が高いため、求職者に対して企業の存在感をアピールしなければなりません。会社案内などを含めた会社説明会用パワーポイントの作成を怠ると、求職者の印象に残らず終わってしまう可能性があります。
社内での説明会であれば、会社の雰囲気を伝えることができますが、合同の場合は、ブース内でいかに会社の雰囲気をあじわってもらえるかも重要になります。そのためには説明会用パワーポイントで現場の写真や動画を組み込み、求職者が求める情報(仕事場の雰囲気、給与体系などの就業条件、昇進モデルケースなど)を正確にわかりやすく、かつ魅力的なデザインにして伝える必要があります。
▶ノベリティグッズ
説明会などでノベリティグッズをプレゼントするのも効果的です。例えば、ペンなど実際に使える日用品などにしておけば、使うたびにその企業のことを思い出してもらえるというメリットがあります。
また、他社はノベリティグッズがあったのに自社だけがないとなると、どうしても求職者の印象として残りにくくなってしまいます。逆に、ノベリティグッズを作っていない会社が多い中で、自社だけが作っていたとしたら、それだけでかなり好印象を与えることができます。
しかしながら、各社知恵をしぼって、おもしろいグッズなどを用意するケースが増えています。もっとも多いのは文具用品ですが、自社製品のペーパークラフトやLEDを使ったグッズなどさまざまです。他の企業とは少し異なった角度からアピールできると、ノベリティグッズの効果も高まるかもしれません。
【4】さいごに
超売り手市場となっている現在、採用活動は非常に難しくなっています。そういった環境の中でも、いかに求職者に対してうまくアピールし、求職者の心を掴むかどうかが、採用の明暗を大きく分けることになります。
求職者にアピールする手段として「採用ツール」がありますが、タイミング、ターゲットによって有効な採用ツールも異なってきます。最近は、ITの進歩によりweb上での採用活動も増えていますが、実際に従業員と会う機会となる会社説明会は欠かすことができないことからも、Web上の施策を強化するだけでは不十分だといえます。
ぜひ、場面にあった採用ツールをうまく活用し、企業の良いところをアピールしてみてください。本記事で紹介した内容が、貴社の採用活動のお役立にたてますと幸いです。
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