経費の不正使用は横領罪?不正の種類や防止策、経理担当者が注意するべき点など解説 |HR NOTE

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経費の不正使用は横領罪?不正の種類や防止策、経理担当者が注意するべき点など解説

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不正

経費を不正に使用すると、刑罰に問われる可能性があります。ここでは、企業の経理担当者や自身で経理処理をする経営者に向けて、経費の不正計上が横領罪に該当することや、どのように経費の着服や不正計上が行われるのかを解説します。

経費の着服や不正計上の防止対策や、経理担当者が注意すべき点も解説するため参考にしてください。

関連記事:経費とは?わかりやすく解説|何が経費になるのかや精算の流れなど基礎的な知識を紹介

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特に経費精算は毎月頻繁に発生する経理業務ですが、細かいルールや規定があり、注意が必要です。また直近の電子帳簿保存法やインボイス制度など毎年のように行われる法改正に対して、情報を収集し適切に理解する必要があります。

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1.経費の不正使用は横領罪になるのか

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1-1.交通費の不正請求は詐欺罪や業務上横領罪にあたる可能性あり

交通費の不正請求の例として、交通費の精算をもとに紹介します。

不正に通勤手当をもらおうと、嘘の住所や通勤経路を申告した場合は詐欺罪に相当します。一方、立場を利用して交通費を不正に計上した場合は、業務上横領罪です。領収書を偽造すると、私文書偽造等罪に問われます。

横領罪については、以下で詳しく解説します。

1-2.横領罪は3種類

横領罪は「業務上横領罪」「遺失物等横領罪」「単純横領罪」の3種類にわけられ、経費の不正利用は業務上横領罪に該当します。

業務上横領罪とは、自身が勤務する会社の資産を無断で使い込む行為です。遺失物等横領罪とは、落としものを届け出ずに無断で習得する行為です。また、単純横領罪は、他人のものを無断で横領した場合に適用されます。

1-3.背任罪に問われるケースもある

背任罪とは、役職や職務に背き、会社や他人の財産を着服する行為です。たとえば、立場を利用して粉飾決済をした、架空取引を実施したなどの場合は、背任罪となります。

1-4.経費の横領、経費の着服、などの言い回しあり

不正に会社の売上を自分の口座に振り込む行為は、横領(着服)です。「横領」は「着服」とほぼ同義で使われます。いずれも他人や会社の財産を無断で使い込む行為を指しますが、横領は法的な意味で使われます。そのため、横領罪はあっても、着服罪はありません。

2.なぜ経費の不正計上や業務上横領は減らないのか

2-1.犯罪という意識が低い

経費の不正計上は、つい犯しがちな犯罪です。ただし、懲戒解雇のような重い刑事罰を受ける危険性を社員が理解していれば、不正計上は起きないかもしれません。ありがちな不正計上の例として、交通費や接待交際費をごまかす、目的があって支給された現金を私用に使ってしまうなどの事例があります。

会社は不正計上が発覚した社員に対して、未払い給与や退職金で被害額を相殺させる、被害届を出すなどの対応が可能です。

2-2.チェック体制が整っていない

組織にチェック体制がなければ、不正を防げません。たとえば、小口現金で不正が起きがちな職場の多くは、社員が単独で出金できます。

3.不正な経費計上や横領による会社への影響

課題

不正な経費計上や横領が行われると、会社は金銭的な被害以上の損害を受けます。まず、管理体制がずさんな会社としてイメージが悪化します。取引先や顧客離れが起きると、売上も減少しかねません。

脱税を指摘され、追徴課税を課される可能性もあります。経費計上した額が大きいほど、法人税が少なくなるためです。このように、不正な経費計上や横領が行われると、最悪の場合、会社の倒産もあり得ます。

4.【参考】不正を行った社員を懲戒解雇、即時解雇にする場合

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不正を見つけしだい、ただちに懲戒解雇・即時解雇を実施するためには、就業規則への記載が必要です。自社の就業規則の内容を確認し「不正計上や横領が確認された場合には、解雇予告期間なしに即時解雇する」という内容を記載しましょう。

不正発覚時の給与や退職金の支払いについても、就業規則での言及が求められます。

5.経費の不正計上や横領(着服)の手口、行動例

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5-1.接待交際費の不正計上(領収書偽造など)

接待に使った費用は接待交際費として計上します。接待交際費の不正計上では、相手の人数や要した費用を水増ししたり、社員同士の飲み会や食事会などを接待と偽ったりして、申告がなされます。

なお、不正計上で領収書が偽造される際には、飲食店からもらった白紙の領収書が利用されがちです。

関連記事:食事代は経費として扱えるか|食事代に関する経費計上の可否や注意点などわかりやすく解説

5-2.出張費の不正計上(架空請求など)

出張費の不正計上には「カラ出張」の手口が使われがちです。カラ出張とは架空請求の一種であり、出張していないにもかかわらず、交通費や宿泊費を請求する行為です。また、架空請求とは、契約していない商品やサービスの料金を請求する行為で、詐欺に該当します。

なお、取引先と共謀する場合には、出張費の領収書を偽造してカラ出張が行われるケースもあります。

5-3.管理者や経理担当者による横領(着服)パターンもある

決裁権限をもつ人や経理担当者ならば、会社の売上や小口現金に手をつけられ、勝手に会社の資金を引き出せます。取引先からの通報で、横領が発覚するケースもみられます。

たとえば、経理担当者は、私用の領収書を経費計上する領収書に紛れ込ませることが可能です。会計システムを操作できれば、取引先から受け取った入金の一部を着服できてしまいます。なお、横領発覚のきっかけには、取引先からの通報が挙げられます。

5-4.商品の横流し

不正に会社の備品を持ち出し換金する、あるいは転売する行為を「横流し」と呼びます。直接会社の現金に手を出しませんが、横流しも横領の一種です。たとえば、購買担当の社員による転売はよく聞かれます。

横流しされる商品はさまざまであり、非売品のノベルティグッズや、業務に使う材料や資材などの横流しが頻発しています。

5-5.不正なキックバックの要求

キックバックとは、契約・取引のお礼や、今後のおつき合いの約束として、先方に支払う謝礼です。不正を起こす社員は、融通がきく会社を選んで発注し、横領目的でキックバックを受け取ります。また、キックバックを依頼された側も、着服しているケースがあります。

過去には、ゲーム業界でキックバックが発生しました。キックバックは税務調査で発覚し、問題の社員は、数年間で億単位の金額を受け取っていました。

5-6.交通費の不正計上

支払っていない費用を計上したり、費用を水増しして請求したりすると、交通費の不正計上に問われます。たとえば、通勤手段で電車を使っていると申告し、意図的に徒歩や自転車を使って交通費をもらえば不正計上にあたります。タクシー代の私的利用も、不正計上です。

5-7.会社のお金の私的流用

業務で使うと申請したにもかかわらず、私的な理由で経費を使ってしまう社員もいます。私的流用の理由はさまざまで、借金の返済にあてる、社員同士の飲み会に使うなどが挙げられます。なお、私的流用は常習性が高く、被害額が莫大となる事例が少なくありません。

そのため経費精算は不正がおこりやすく、不正をしていないか確認する時間もかかるため経理担当者への負担がかかりやすい業務です。当サイトで無料配布している「課題別!システムを使用した経費精算の課題解決BOOK」では、これらの経費精算に関する課題をシステムを通じて解決できるイメージをわかりやすくまとめております。横領などの不正を防止したいと考えている方は大変参考になる内容となっておりますので、気になる方はこちらから無料で資料をダウンロードしてご覧ください。

6.経費の不正計上や横領(着服)を防ぐ方法

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6-1.接待や出張は不自然な点や頻度に注目

領収書に記載された内容や、計上する頻度をチェックしましょう。たとえば、接待に使用した飲食店がビジネスにはふさわしくない、ほかの社員と比べて接待の頻度が多いなどの場合には、横領の可能性があります。

領収書の内容を鵜呑みにしてもいけません。高額な領収書が出てきた場合は、都度、インターネットや電話で店舗情報を確認すると不正を見抜けます。領収書の偽造の可能性を疑い、筆跡にも注目しましょう。

また、あらかじめ接待をする飲食店を指定しておくと、不正計上のリスクを大幅に減らせます。

関連記事:経費と領収書|経費として認められる内容や領収書に求められる条件などわかりやすく解説

6-2.キックバック対策は利益率に注目し、取引先訪問を行う

業界の風習として、キックバックが当たり前の場合もあります。そのため、不正なキックバックを見抜くことは容易ではありません。不正なキックバックを見分けるポイントは、利益率の比較です。キックバックがあれば、水増し部分が目立ちます。

キックバックを防ぐためには、取引先を抜き打ち訪問する、定期的に社長に挨拶にいくなどの牽制行為が有効です。また、不正行為を許さないクリーンな職場づくりも、キックバックの防止には重要です。

6-3.定期的に業務担当者、チェック担当者を変える

業務の属人化は、不正のきっかけになり得ます。定期的に、業務担当者やチェック担当者を変えましょう。たとえば、記帳担当者と小口現金管理者をわけると、不正の抑制につながります。

役割を変えると、不正なキックバックや、管理者や経理担当者の横領を防止できます。業務への慣れから生じるチェックミスも防げます。

6-4.内部統制システムを整える(様々なチェック体制を整える)

近年、数々の不正が明るみに出るにつれ、内部統制システムに注目する大企業・中小企業が増えています。さまざまなチェック体制を整え「不正を行う機会」をなくしましょう。

たとえば、小口現金から出金する際はダブルチェックを義務づける、残高を締めたあとは金庫にふれない、業務は複数人で担当するなどのシステムを整えると、不正計上や横領を防げます。

6-5.経費精算システム等、システムを導入する

システム面での業務プロセスの改善や、見直しを行いましょう。業務の効率化を目的に各種システムを導入する会社もありますが、システムは不正防止にも有効です。

経費精算をシステム化すると、人の手による改ざんが行われにくくなり、経費の水増し申請や、不自然な申請を未然に防げます。また、システムならば清算データの分析も簡単にでき、不正の早期発見や防止に役立ちます。

6-6.その他

ほかにも経費の不正計上や横領を防ぐ方法はあります。まず、小口現金に廃止を試みましょう。小口現金がなければ、紛失盗難の防止対策になります。また、経費精算に向けた出金を承認したり、現金が帳簿とあっているか確認したりする手間も省けます。

在庫管理の徹底も、不正対策として重要です。在庫管理の回数を増やし、切手や金券などを使用する際は、目的や量をチェックして横流しを防ぎましょう。

さらに、経営者は財務諸表を把握する必要があります。不正を許さない、見逃さないという姿勢を示し、社員が不正をたくらませないように努めましょう。

7.経理担当者として気をつけるポイント

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7-1.不正を見落とすわけがないという思い込みを持たないようにする

経費の取り扱いになれるうちに、自分は不正を見落とすわけがないと思い込む可能性があります。思い込みや先入観で不正を見逃さないように、気をつけて業務にあたりましょう。また、長年の経験がある人でも、新たな不正の手口には騙されかねません。

7-2.単独行動なのか、組織的なのかにも着目する必要がある

横領は私利私欲を動機とする場合が多いため、多くは単独行動です。ただし、組織的に行われる場合や、外務協力者がいる場合もあるため、経理担当者は注意せねばなりません。上司が部下の名前を強引に借り、領収書を偽造している可能性もあります。会社が大きいほど、不正が蔓延したときに大きなダメージを受けます。

7-3.早めに不正に気が付ける体制を整えることが重要

経理担当者は、企業を守る役割をもっています。最初は少額の横領でも、放置する時間が長いほど被害額は莫大になります。被害を未然に防ぐ、被害を少額にとどめるためには、いち早く「不自然な点」を見つける意識が大切です。

経理担当者には「追求する姿勢」も重要です。1枚偽造した領収書を見つけた場合には、ほかにもあるのではと疑う必要があります。特に、私的流用は常習性があるため、芋づる式に不正を見つけられるかもしれません。

8.まとめ

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経費の不正計上や横領は、企業に多大なダメージを与え、最悪の場合企業が倒産してしまいます。内部統制を強化する、経費精算システムを導入して出入金の流れを可視化しやすくする、などを行い企業を守りましょう。

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