「脱ハンコ」「ペーパーレス化」などの取り組みは2020年9月16日に菅内閣が新たに発足して以降さらに加速の一途を辿っています。
「テレワークになったにも関わらず押印のために出社しなければいけない」という事態は非効率であり、社会全体としても契約業務等の電子化は近年特に推進されてきています。
しかし、実際のところどのくらいの企業や事業者が電子契約を導入しているのかはまだはっきりと見えていないのが現状ではないでしょうか。
本記事では、電子契約市場の動向や今後の展望を踏まえ、代表的なサービスについて掘り下げることで電子契約の現在のシェアはどのようになっているのか解説していきます。
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目次
1.なぜ電子契約のシェアが急速に拡大しているのか
最近目にする機会は確実に増えている「電子契約」ですが、電子契約市場の盛り上がりは実際のところ、どのようになっているのでしょうか。
1-1.電子契約の市場規模と今後の展望
2020年の矢野経済研究所による電子契約サービス市場に関する調査によると、2020年の電子契約サービスの市場規模は前年比58.8%増の108億円となる見通しでした。
これは驚異的な伸び率であり、さらに今後2024年までには2020年の試算の倍以上の264億円まで成長すると予測されています。
同様に市場が右肩上がりなEC市場と比較をしてみても、近年の伸び率は高い分野で10%程度であることから電子契約の市場はかつてない成長期であることが伺えます。
1-2.日本と世界の電子契約シェアを比較
アメリカやヨーロッパでは、日本よりも電子契約の普及が進んでいます。
諸外国に比べて日本で電子契約が普及していない背景として、根強い「ハンコ文化」が残っていることが挙げられます。
また、日本では「任意後見契約書」や「訪問販売等で交付する書面」など、紙でしか締結できない契約書が存在していることで、世界よりも電子契約のシェアが劣っています。
1-3.電子契約市場でシェアの多いサービス【国内・海外編】
では実際どのような電子契約サービスが利用されているのでしょうか。
世界的に圧倒的なシェアを誇る「DocuSign」と、国内シェアNo. 1の「クラウドサイン」の2つのサービスから具体的な電子契約サービスの内容を見ていきます。
費用等の詳細な比較は第4章で解説しますのでそちらをご参照ください。
導入社数66万社以上、世界No. 1電子契約サービス「DocuSign」
世界シェアNo. 1の電子契約サービスはアメリカに本社を構えるDocuSignです。
DocuSignの最大の特徴は180か国、44言語に対応している点です。
機能としては以下のようなものが挙げられます。
DocuSignは国内の企業同士で使うよりも、世界各国の企業や、外資系と取引の多い企業などにむいているシステムであり、国内での導入社数は公開されていませんが、世界的にも電子契約のニーズが高まっています。
また、同時に国境をまたいだ契約が今後はさらに盛んになっていくことを見据えたサービスと言えるのではないでしょうか。
導入社数14万社以上、国内No. 1電子契約サービス「クラウドサイン」
DocuSignに対して日本国内シェアNo. 1の電子契約サービスは弁護士ドットコム株式会社が運営するクラウドサインです。
クラウドサインは「経済産業省や国土交通省が公式に法制度に適合している」と認めていることが他のサービスと比較して優位な点です。
導入実績で見ても従業員数の多い大企業の名前が多く見られます。(以下一例)
機能としても基本的にはDocuSignと大きな差異はありませんが日本の法制度に合わせて長期署名が可能であることなどが特徴に挙げられます。
長期署名・タイムスタンプについてもっと知りたい方は以下の記事もご参照ください。
導入社数も2021年1月時点で14万社以上と法律系のWEBサービスで知名度のある弁護士ドットコムが運営していることもあり、信頼感・知名度が高いことも関係しているかもしれません。
2.電子契約導入のメリット
2-1.契約締結フローの効率化
契約業務では、当然契約書類は社外との受け渡しが必要になります。
従来の紙媒体の契約であれば締結フローの中で複数回郵送しなければならず、必要以上に時間がかかってしまうと感じるケースは多いのではないでしょうか。
電子契約サービスを利用すれば、契約書類の作成・送付・保管に至るまでの煩雑な業務を全てオンライン上でおこなうことができるのが大きなメリットとなります。
2-2.コストの削減
業務の手間や時間を省くだけでなく、電子契約サービスはコストの削減にも大きく貢献します。
紙媒体の契約には必ず印紙税がかかってしまいます。この印紙税が電子契約では非課税になることで一番大きなコスト削減になります。
さらに印刷代や郵送代も考えると、日頃数えきれない契約を交わす企業にとっては電子契約を利用することが費用面で大きなメリットとなります。
2-3.コンプライアンスの強化
基本的には電子契約サービスのどれもが「電子証明書を用いた電子署名」「タイムスタンプ」を付与することによって契約書の安全性・信頼性を保証しています。
現代ではスキャナー技術等が進歩しており、紙媒体の契約書の偽造は特別に高度な技術がなくともできてしまうと言えます。
対して、電子契約の安全性は最新技術によって保証されており、文書が改ざんされていないことを明確に保証することで法的効力も持つため電子契約はコンプライアンス強化にも大きく寄与します。
電子署名法では電子署名がおこなわれた電子契約は効力があることを定めており、電子契約の有効性について争われた判例もこれまでに存在しません。
このように、電子契約は効率化やコスト削減だけでなく、法律的な観点でも問題なく利用することが可能です。
電子契約のセキュリティや法的根拠についてさらに詳しく知りたいという方は、当サイトで無料配布しております「【2022年保存版】電子契約の始め方ガイドブック 」をご活用いただけます。
資料では電子署名の法的根拠から関連する法律、電子契約を導入する実際の流れを解説しているため、電子契約が法律や社内のコンプライアンス的に問題ないか確認したい方は、こちらからダウンロードしてご覧ください。
また、電子契約導入のメリットについてより知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
3.電子契約サービス導入の注意点
ここでは、電子契約サービス導入の注意点を2点紹介します
事前に注意点を認識しておくことで、導入後の作業がスムーズに進みます。
3-1.取引先企業から理解を得る必要がある
電子契約サービスは、紙での契約書と締結までのフローが異なります。
そのため、電子契約サービスを導入する際は、自社の従業員だけではなく、取引先に対してもなぜ電子契約に移行するのかを説明して理解を得る必要があるので、注意しておきましょう。
3-2.会社内で教育やマニュアルを作成する必要がある
電子契約を導入するにあたって、教育の徹底やマニュアル作成をしていないと、導入後、効率よく業務を行うことができません。
「電子帳簿保存法」や「e-文書法」などの電子契約に関する法律の周知や、運用方法についてのマニュアル作成を事前にしておきましょう。
4.電子契約システムの選び方
一言に「電子契約サービス」と言っても機能や価格は千差満別です。
電子契約を導入して有効に活用するには自社にとってベストなサービスはどれなのかをしっかりと見極めることが重要になります。
以下では電子契約サービスを選定する際のポイントを3つご紹介します。
4-1.自社で取り扱う書類にすべて対応しているか
まず一番重要なことは「自社で扱う書類と導入するサービスがあっているのか」ということです。
「多機能なサービスを選んだが、必要のない機能があり無駄なコストを発生させてしまった」
「導入したものの機能不足によって、止むを得ず紙での契約をしなければならなくなってしまう」
などの事態が起こってしまっては元も子もありません。
あらかじめどのような契約が自社内ではおこなわれているかを明確にした上で、そのために必要な機能が十分に搭載されているかをしっかりと検討しましょう。
4-2.管理・運用のハードル
新たなシステムを導入する際には「導入する瞬間」が最も大きなハードルになります。
具体的には以下のような障壁が考えられます。
- 慣れている従来のシステムからやり方を変えることへの抵抗
- システムの使い方がわからない時にすぐに解決できない
- デジタルリテラシーが低いがゆえに活用できない
これらに対して、電子契約サービスを検討する際には
ベンダーによる導入サポートのサービスは充実しているかを確認する、フリープラン・無料試用期間で一度使用感を確かめてみる等を実際の導入前に検討することが重要です。
4-3.費用対効果
「導入してはみたが、結局紙の方が手間もコストもかからなかった」となってしまうのが最悪の状態です。
上記の事態にならないためには導入を検討した際に「従来の紙の契約との比較」を細かくおこなうことが有効である。
具体的には、
- 契約書の作成・送付・保管にかかっているコスト、具体的な工数が現状どうなっているのか
- 電子契約サービスを導入することでどのくらいコスト・工数が削減されるのか
を数値ベースで詳細に把握すること、社内で明確にメリットの方が大きくなると説明できることが必要になります。
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- 社内体制の整備の仕方
- 社内手続き確立のフロー
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【公式・資料DL→】2022年保存版|電子契約の始め方ガイドブック
5.導入社数が多い代表的な電子契約サービスを比較
最後に、注目の電子契約サービス3種類についてご紹介していきます。
5-1.DocuSign
世界No. 1シェアを誇り、導入社数は66万社以上にも及びます。
〈特徴〉
- 海外取引を想定する場合におすすめの電子契約サービス
- シヤチハタと提携し、印影の作成、アップロードも可能
プラン名 | 初期費用 | 月額料金(年契約の場合) |
---|---|---|
Personal(個人向け) | 要問い合わせ | 15ドル(10ドル) |
Standard(企業向け) | 要問い合わせ | 40ドル(25ドル) |
Business Pro(企業向け) | 要問い合わせ | 60ドル(40ドル) |
Real Estate Starter | 要問い合わせ | 15ドル(10ドル) |
Real Estate | 要問い合わせ | 40ドル (25ドル) |
提供企業:ドキュサイン・ジャパン株式会社
サービスURL:https://www.docusign.jp/
5-2.クラウドサイン
国内でNo. 1シェアを誇り、導入社数は14万社以上にも及びます。
〈特徴〉
- マニュアルや裁判所向け説明資料などが充実しており、決裁資料としての活用も可能
- セキュアな保管機能で、コンプライアンスの強化にも役立つ
プラン名 | 初期費用 | 月額料金 |
---|---|---|
フリープラン | – | 0円 |
Standard | 無料 | 10,000円〜 |
Standard Plus | 無料 | 20,000円〜 |
ビジネスプラン | 無料 | 100,000円〜 |
提供企業:弁護士ドットコム株式会社
サービスURL:https://www.cloudsign.jp/
5-3.CONTRACTHUB@absonne
電子契約サービスの「売り上げシェア」において国内No. 1を誇っています。
〈特徴〉
- 企業のニーズに合わせてUIや外部サービス連携など、カスタマイズすることが可能
- 既存システムを把握し、CONTRACTHUB@absonneとの連携に関する支援
プラン名 | 初期費用 | 月額料金 |
---|---|---|
CONTRACTHUB@absonneライトパック | 要問い合わせ | 50,000円 |
CONTRACTHUB@absonne | 要問い合わせ | 150,000円 |
提供企業:日鉄ソリューションズ株式会社
6.電子契約のシェア率は拡大傾向|今後の動向に注目しよう
いかがでしたでしょうか。
具体的にどの電子契約サービスが国内シェアの何%とまでは数値が出てないにしても、国内外問わず電子契約自体の需要が高まっていくことは間違いありません。
逆に言ってしまえば、市場自体が大幅に拡大しているからこそ今後どの電子契約サービスが主力になるかはわからないとも言えます。
導入を検討する際には自社に最もあった電子契約サービスはどれなのか十分に吟味していきましょう。
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