人事部では残業を減らす取り組みやライフワークバランスを重視した働き方改革について推進していると思います。しかし、「残業を減らそう」とアナウンスしている人事部の採用担当が残業をしている現実があるのではないでしょうか。
なぜ、採用担当者の残業が発生してしまうのでしょうか。採用担当者が長時間労働になっている理由と改善方法についてご紹介していきます。
目次
採用業務が長時間になりがちな理由
1.多彩な採用ツールに振り回される
採用担当者は、新卒採用や中途採用などを含め多くの採用ツールを活用する必要があります。
【主な採用ツール】
- 従来型の求人サイト
- 従来型の求人広告、雑誌、新聞などの紙媒体
- 自社HPの採用ページ
- 人材紹介
- 学校訪問
- 学内合同説明会、就職フェア、就職セミナー
- リファラルリクルーティング(社員紹介、縁故採用)
- SNS(Twitter、Facebook、LINEなど)
- ダイレクトリクルーティング(スカウト型求人サイトなど)
- 運用型採用メディア(Wantedlyなど)
- オウンドメディア(ブログ、メールマガジンなど)
目まぐるしく採用手法が多様化してきている背景から、新しい採用ツールが毎年のように生まれています。
新しいツールが生まれるたびに採用計画に取り込んでいくと、いくつものツール管理や、内容の更新だけで午前中の業務が終わってしまうことがよくあります。こうなると効果検証をする時間もなくなり、効果の上がっていないツールを延々と使い続けるようになる一方で、流行に敏感な学生に合わせて新しいツールを取り入れ続けるという悪循環に陥ってしまいます。
2.経営陣の採用軽視
経営陣の中には採用活動は必要ですが、「大事な利益を食いつぶして何も生み出せないコストがかかってしまう部門」という考えを持っている方もおり、人手が不足していても増員してもらえないばかりか、人手を減らされてしまうことがあります。
このような経営陣の採用軽視に辟易してしまっている採用担当者は、残業が多くても「増員して欲しい」「システムを導入して欲しい」などの要望を上げにくい環境に追いやられてしまいます。
3.応募者や面接官に振り回される
採用活動にはさまざまな業務がありますが、時間が読めない業務がスケジューリングです。
とくに応募者や面接官から「今日中にスケジュールを確定して欲しい」と言われると、応募者に連絡を取るために何度も電話をしたり、面接官を1日探し回ってスケジュールを確認して会場を押さえたりしなければなりません。
最悪の場合、他の業務が終わっているのに応募者または面接官からの連絡待ちで残業をしなければならないこともあります。
また、応募者や面接官のスケジュールの都合で勤務時間外や休日に面接を実施したり、応募者からの要望で休日に説明会を実施したりするために、残業や休日出勤が発生してしまいます。
採用担当者の中には、勤務時間外や休日に面接を実施しても、良い人材が採用できれば苦にならない人も多くいます。しかし、残業や休日出勤が続いたり、採用業務以外にも仕事を兼務したりしていると身体を壊す原因にもなります。
4.採用難から以前より内定者フォローに時間を割かなければならない
新卒の取り合いになっている現在、採用ツールの管理に加え内定者フォローに力を入れなければなりません。
一昔前まで内定受諾後は、内定者フォローサイトの開設や内定式、内定懇親会を実施した後は、入社準備が始まるまでは内定者とコミュニケーションを取らなくても、ゼミの発表や卒論、卒研で忙しくしているので、他社に内定者を取られてしまうことは、ほとんどありませんでした。
しかし、現在は内定受諾後の内定辞退を防止するために多くの施策を準備しなければいけません。「両親を招いて内定懇親会の実施」「内定者フォローサイトの更新を定期的にして社内情報の発信」「入社2年目の社員との懇親会を開催する」などの細やかなフォローをしなければならないため、内定者フォローに関する業務量が増えています。
業務を効率化させて長時間労働を解決させる方法とは
1.PDCAで業務改善
「もうPDCAは古いのでは?」「PDCAの考え方はわかるけれど面倒くさい」と思っている人もいるかも知れません。
しかし、やり方1つで日々の採用活動をしながら業務改善をおこなうことができます。
採用計画を立てた後は、採用スケジュールを書き出しましょう。採用スケジュールはパソコンできれいに作成しなくても構いません。
手書きでも良いので、後から書き込みができるように余白を大きく取っておきましょう。パソコンで作成した場合はプリントアウトして使用します。
採用スケジュールから「いつまでに何をどれだけ準備しておくか」を考えて書き込みます。たとえば「就職活動解禁日までに求人サイトの内容を決めておく」「各学校に求人票を送る手配をいつまでにするか」「説明会で配布する資料をいつまでに何人分準備しておくか」といったことを書き込みます。
準備ができたものはチェックマークを入れる、または誰が準備したかわかるように印やサインをしておきましょう。こうしておくことで「説明会の資料を2人が別々に準備していた」といった無駄な作業を減らすことにつながります。
各業務を実施して問題が発生した時は、その対応方法を採用スケジュールに書き込みます。
問題が発生した時は、次回までに解決法を決めて採用スケジュールに手書きで修正します。採用スケジュールを変更したら、元の日程が見える状態にして新しい日程を書き込見ましょう。また、メモ程度に変更理由も書きましょう。
こうすることで、次年度の採用計画とスケジュールを設定する時にさらに良いものが出来あがります。また、業務の進捗状況をすぐに確認することができるため、リーダーが日々の指示を出す時や、ミーティングをおこなう時の参考にすることができます。
このPDCAを使ったポイントは、書き込みをする採用スケジュールはプリントアウトして使用することです。採用チーム全員が業務中に見えるところに貼っておくか、バインダーに挟んで置いておくなどして、つねに確認と書き込みができるようにしましょう。
2.適材適所の採用チームをつくる
採用業務に向いている人は外勤とデスクワークをバランス良くテキパキこなせ、会社の顔にふさわしい人間性を持つ人です。しかし、そのような人ばかりを集めた採用チームをつくることは不可能に近いかもしれません。
ですが、集まったメンバーの適性に応じて効率よく仕事を割り振ることができればいい採用チームを作ることができます。デスクワークが得意な人は内勤のリーダー役として業務の進捗管理を含めて任せ、フットワークが軽い人には外勤のリーダー役として面接や学校訪問、説明会などの進捗管理を含めて任せます。
外勤の担当者が、説明会の準備が間に合わない時には内勤の担当者にお手伝いをしてもらう、内定者への連絡や合否連絡が多い時は外勤の人たちにも連絡を手伝ってもらうなど、互いの仕事状況に応じて採用チーム内で得意分野を生かしながら助け合って業務を進めると業務が円滑に回ります。
採用チーム全体のリーダーは、合否の決定や応募経路、選考方法などの業務分析、双方のリーダー役が判断に困った時のアドバイザー的な存在でいるのが理想的です。
3.スキマ時間を有効活用する
連絡待ちの時間や今日やるべき業務が早く終わってしまった時には、次に準備しなければならないものの準備やファイリングの時間に当てましょう。
採用担当者が複数いる場合は、ファイリングをしなければいけないものを1つのBOXにまとめて、ファイリングするものに付箋を貼り「どこに保存するのか、誰からの依頼なのか」を書いておきます。
手が空いた人はファイリングをするBOXから書類を取って、ファイリングをするようにルール作りをします。あまりにもファイリングがたまってしまった時には、時間を決めて全員で一斉にファイリングをするなどして、業務を短時間で終わらせましょう。
4.採用チーム以外の人も協力してもらう
繁忙期には採用チームだけで業務を回すことができないため、期間限定の派遣社員やアルバイトを雇っても良いでしょう。しかし、予算的に難しい場合は人事部内の人や他の部署へ応援をお願いしましょう。
とはいえ、応援をお願いした人にも仕事がありますし、個人情報を扱いますのでなんでもお任せして良いわけではありません。お願いするのであれば、説明会や面接時の電話対応と受付および誘導など、お互いの業務に迷惑がかからない程度にしましょう。
人事部以外の方にお願いする時は、マニュアルを作成しておくだけではなく、困ったことがおきた時に採用チームの誰に相談をすれば良いかまでを伝え、社用携帯や内線で連絡してもらうようにしましょう。
社内の人だから「細かくいわなくてもわかってくれる」といった考え方をせず、社外の人に仕事をお願いする時と同じように事前準備をするようにしましょう。
5.低コストで最新の採用管理システムを導入する
以前に比べると採用管理システムは安価ですぐに導入できるようになっています。
紹介会社への一斉連絡や応募者からのアンケート回答を自動的に集計してくれる、採用ツールの効果を自動集計してくれる、面接官のスケジュールを調整してくれるなど多様な機能を備えたシステムがあります。社内のニーズに合うシステムがあればトライアルだけでも試してみるのも良いでしょう。
▶採用管理システムの価格・特徴を徹底比較 | 2017年完全版
まとめ
採用担当者が長時間になる理由は「振り回される」ことが1番の理由でした。
振り回す方になれば長時間勤務から解放されるのかも知れませんが、採用担当者は応募者と企業の間に立つ企業の窓口を担当したり、採用ツールが次々と生まれることから振り回す立場になるのが難しいのが現実です。
その中で、いかに業務改善をおこなって無駄な作業を省き、やらなければならないことを効率的にできるのかが課題になります。
今回の記事で取り入れられそうなことがあったら、ご参考までに活用をしてみてください。