「コンティンジェンシー理論とは何?」
「コンティンジェンシー理論を活用する主なメリットは?」
上記のようにお悩みの方も多いでしょう。
コンティンジェンシー理論とは、組織の状況や環境に応じてリーダーシップを柔軟に変える考え方です。活用することで組織の柔軟性の向上やゼネラリストの育成を図れるでしょう。
本記事では、コンティンジェンシー理論の概要や活用するメリットを解説します。コンティンジェンシー理論を活用する際の注意点や有効活用するためのポイントも解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1. コンティンジェンシー理論とは
コンティンジェンシー理論とは、「どのような状況でも最適な対応ができるリーダーは存在しない」とする考え方です。
組織を取り巻く環境や状況の変化にあわせて、組織運営やリーダーシップのスタイルも変えていきます。リーダーの能力に帰属せず、状況に応じて組織運営を柔軟に変化させることがコンティンジェンシー理論の特徴です。
現代社会は複雑で変化の激しい環境であるため、組織運営やリーダーシップを考えるうえで、コンティンジェンシー理論が注目されています。
2. コンティンジェンシー理論が生まれた背景
コンティンジェンシー理論は1960年代から提唱されはじめた理論です。1940年代までは、「リーダーになる資質を持っているかは、生まれながらに決まっている」と考えるリーダーシップ資質論が主流でした。
リーダーには知性、信頼、行動力の3つの資質が必要であり、勉強や訓練では後から習得できないと考えられていたのです。
しかし、1960年代になると、リーダーシップ資質論では対応できないケースが増えてきました。技術革新やグローバル化などにより組織の環境が複雑化したことで、組織運営が多様化したからです。
組織の状況に応じてリーダーシップを変える考え方が注目され、コンティンジェンシー理論が生まれました。
3. コンティンジェンシー理論におけるリーダーシップのタイプ
コンティンジェンシー理論におけるリーダーシップは、大きく分けて以下の2タイプに分類されます。
- 対人関係志向型
- 課題志向型
コンティンジェンシー理論を活用する際は、状況に応じて適切なタイプを選択することが重要です。それぞれのタイプについて詳しく解説します。
3-1. 対人関係志向型
対人関係志向型は、チームメンバーとの関係構築を重視するリーダーシップです。積極的にメンバーの意見を聞いたりサポートしたりしてチームの指揮を高め、信頼関係を築きます。
対人関係志向型のリーダーシップは、仕事の目標が定まっていない場合やチーム内の関係性が希薄な場合に有効です。
3-2. 課題志向型
課題志向型は、目標達成を重視するリーダーシップです。目標達成に向けてチームメンバーに明確な指示を出し、進捗を管理することに長けています。
課題志向型のリーダーシップは、仕事の目標が明確な場合やメンバー間の関係性がよくリーダーの権限が強い場合に有効です。
4. コンティンジェンシー理論を活用する3つのメリット
コンティンジェンシー理論を活用する主なメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 組織の状況にあわせた柔軟な対応ができる
- 上下関係に縛られにくくなる
- ゼネラリストの育成につながる
それぞれの内容を詳しく説明します。
4-1. 組織の状況にあわせた柔軟な対応ができる
コンティンジェンシー理論を活用することで、組織の状況に応じて柔軟な対応ができます。コンティンジェンシー理論において、すべての状況で成果を出せるリーダーは存在しません。
社会や組織の変化にあわせて、リーダーの変更が必要です。リーダーを変えていくことで、異なるリーダーシップを持つ人材の育成につながります。
組織の課題にあわせてリーダーを変更できるようになるため、組織の柔軟性が向上するでしょう。
4-2. 上下関係に縛られにくくなる
コンティンジェンシー理論を活用すると、上下関係に縛られにくくなるのもメリットといえます。状況に応じて上司以外のメンバーがリーダーシップを発揮するためです。
従来の階層型組織は上司の指示に従うことが重視されていました。しかし、コンティンジェンシー理論ではリーダーが固定化されず、上司や部下といった立場にとらわれません。
役職に関係なくリーダーシップが変化することで、メンバー間の関係がフラットになり、個々の能力を発揮しやすくなるでしょう。
4-3. ゼネラリストの育成につながる
コンティンジェンシー理論のメリットには、ゼネラリストの育成につながることも挙げられます。ゼネラリストとは、幅広い知識やスキルを持ち、状況に応じて柔軟に対応できる人材です。
コンティンジェンシー理論では、リーダーが状況に応じてさまざまな役割を果たす必要があります。組織の変化にあわせて、新しい知識やスキルを身に付けていくため、幅広い業務に対応できる人材が育つでしょう。
5. コンティンジェンシー理論を活用する際の3つの注意点
コンティンジェンシー理論を活用する際には、以下の点に注意しましょう。
- 専門性を向上させるのが難しい
- 組織の管理が難しくなる
- 従業員の負担が大きくなる
それぞれの注意点について解説します。
5-1. 専門性を向上させるのが難しい
コンティンジェンシー理論は、特定の分野における専門性を高めにくい傾向があります。状況に応じてさまざまな役割を担うことがリーダーに求められるからです。
リーダーは幅広い知識やスキルを習得する必要があることから、専門性を深める時間が不足する可能性があります。
専門性を重視する組織や職種では、コンティンジェンシー理論の導入にメリットがあるかを検討しましょう。
5-2. 組織の管理が難しくなる
コンティンジェンシー理論を活用すると組織の柔軟性を高められる一方で、管理が難しくなります。
状況に応じてリーダーシップや組織構造が変化するため、組織全体の統制が取りにくくなるでしょう。コントロールが難しくなると、組織が誤った方向に進んでしまうリスクも生じます。
そのため、コンティンジェンシー理論を導入する際には、適切な管理体制を構築することが重要です。
5-3. 従業員の負担が大きくなる
状況に応じて担う役割が変化することで、従業員の負担が大きくなる可能性があります。従業員は組織運用や業務の変化に対応しなくてはならないからです。
組織の変化が激しいと、従業員がストレスや疲労を抱えやすく、生産性が低下するおそれがあるでしょう。
コンティンジェンシー理論は、従業員に負担がかかり過ぎていないかを確認しながら運用することが重要です。
6. コンティンジェンシー理論を有効活用するためのポイント
コンティンジェンシー理論を有効活用するためのポイントは、以下のとおりです。
- 組織環境を整える
- 多様な人材をそろえる
- グローバル化を推進する
それぞれの内容について詳しく説明します。
6-1. 組織環境を整える
コンティンジェンシー理論を有効活用するためには、組織環境を整えることが重要です。従業員が状況に応じて柔軟に対応できる組織体制を構築する必要があります。
従業員が自由に意見交換できるようにしたり多様なスキルを習得できる研修制度を導入したりして、従業員をサポートできる体制を整えましょう。
6-2. 多様な人材をそろえる
コンティンジェンシー理論の活用では、多様な人材をそろえることが重要です。
異なる経験やスキルを持つ人材を集めれば、組織全体の対応力を高められます。組織の状況に適したリーダーを選びやすくなるでしょう。
また、多様な人材が交流することで、新たなアイデアやイノベーションが生まれやすくなります。
6-3. グローバル化を推進する
コンティンジェンシー理論を有効活用するためには、グローバル化の推進もポイントです。多様な文化や価値観に触れる機会が増えるため、従業員の柔軟性や適応力を高められます。
海外拠点との連携や、海外企業との共同プロジェクトなどを実施すれば、グローバルな環境でリーダーシップを発揮できる人材を育成できるでしょう。
グローバル化が進んでいる社会でコンティンジェンシー理論を活用できるため、企業の成長につながります。
7. コンティンジェンシー理論を活用して柔軟性のある組織に成長させよう
コンティンジェンシー理論とは、すべての状況で最適な対応ができるリーダーは存在しないとする考え方です。状況に応じてリーダーを変化させることが求められます。
コンティンジェンシー理論を活用するメリットは、上下関係に縛られにくい環境の構築やさまざまな役割に対応できるリーダーの育成につながることです。有効活用して柔軟性のある組織に成長させましょう。