社員旅行は福利厚生費に計上できる?条件やケース別の対応を解説 |HR NOTE

社員旅行は福利厚生費に計上できる?条件やケース別の対応を解説 |HR NOTE

社員旅行は福利厚生費に計上できる?条件やケース別の対応を解説

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社員同士のコミュニケーション活性化やモチベーションアップのために、社員旅行を取り入れている企業は多いです。

初めて社員旅行を実施する際には、「社員旅行は福利厚生費に計上できるのか?」と疑問を持つ人もいるのではないでしょうか。

この記事では、社員旅行が福利厚生費として経費計上できるのか、また条件やケース別の対応などを解説しています。社員旅行にかかる費用の扱いに悩んでいる場合は、ぜひ参考にしてください。

▼そもそも福利厚生とは何かを知りたい方はこちら

福利厚生とは何か?種類や導入形態を簡単にわかりやすく解説!

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1. 社員旅行は福利厚生費として経費処理できる?

まずは社員旅行や福利厚生費の意味について確認しておきましょう。

1-1. 社員旅行とは?

社員旅行とは、従業員同士の交流やリフレッシュを目的とした旅行のことです。福利厚生のひとつとして取り入れ、従業員はもちろん、その家族も一緒に参加できるイベントとして運営している企業もあるでしょう。

社員旅行と似た言葉として、慰安旅行や研修旅行などがあります。社員旅行と慰安旅行はほぼ同じ意味であり、国税庁も同じ扱いとしています。研修旅行については、従業員のスキルアップを目的とした旅行であり、扱いが異なるため注意しなければなりません。

参考:従業員レクリエーション旅行や研修旅行|国税庁

1-2. 福利厚生費とは?

福利厚生費とは、職場環境を整備したり、従業員に必要なサービスを提供したりする費用を計上するための勘定科目です。福利厚生費に該当する代表的なものとしては、以下のような費用が挙げられます。

  • 社会保険料の会社負担分
  • 社員食堂の運営費用
  • 社員寮の整備費用
  • 慶弔見舞金
  • イベント費用

福利厚生費として正しく経費計上することで節税にもつながるため、どのような費用が該当するかをしっかりと把握しておきましょう。

関連記事:慶弔見舞金とは?種類・相場がいくらかや支給方法を解説

1-3. 社員旅行は福利厚生費として経費処理できる

社員旅行は福利厚生費として経費計上できます。ただし「社員旅行である」と国税庁に認められるには、提示されている条件を満たさなくてはなりません

社員旅行とは、「人間関係を円滑にする」「モチベーションアップ」「リフレッシュ」などを目的に実施するものです。レクリエーション旅行や慰安旅行とよばれる場合もあります。

次の項目では、社員旅行を福利厚生費として処理するための条件について紹介しますので、チェックしておきましょう。

2. 社員旅行を福利厚生費として計上する条件

社員旅行を福利厚生費として計上するためには、旅行期間・参加人数・費用などに関して、以下の条件を満たす必要があります。

  • 旅行期間は4泊5日以内
  • 全従業員を対象として参加人数は半数以上
  • 旅行に参加できない従業員がいても旅費代わりの金銭を支給しない
  • 会社負担分が少額である
  • 従業員以外の参加者にかかる費用は会社が負担しない

それぞれの条件について詳しく見ていきましょう。

2-1. 旅行期間は4泊5日以内

国税庁は、旅行の内容について「社会通念上一般におこなわれているレクリエーション旅行と認められるもの」としています。旅行期間は4泊5日以内となっており、5泊6日以上は認められません。

ただし、社員旅行の行き先を海外としている場合は、海外の滞在期間が4泊5日以内であれば、福利厚生費として計上できます。

2-2. 全従業員を対象として参加人数は半数以上

役員のみが参加できる旅行や、参加人数が極端に少ない旅行については、福利厚生費として計上できません。ただし、参加人数は半数以上とありますが、国税庁のホームページにて参加割合が38%でも課税対象とならなかった事例が記載されています。

旅行期間は3泊4日までとし、旅行費用が高額とならなければ、半数を下回っても福利厚生費として計上可能な場合もあるでしょう。

参照:従業員の参加割合が50%未満である従業員レクリエーション旅行|国税庁

2-3. 旅行に参加できない従業員がいても旅費代わりの金銭を支給しない

旅行に参加できなかった従業員に対して、旅費代わりの金銭を支給する場合、福利厚生費としては計上できません。旅費代わりの金銭を支給すると、社員旅行が「現物給与」という扱いになるからです。

食事の現物支給などと同様の扱いになり、福利厚生費には該当しなくなるため注意しましょう。

2-4. 会社負担分が少額である

社員旅行の費用を福利厚生費として計上するためには、会社負担分が少額でなければなりません。少額不追求の趣旨とは「経済的利益が少額である現物給与は、追求する必要はない」という考え方です。

ただし、具体的な費用については明言されておらず、「少額不追求の趣旨を逸脱しないもの」とされています。金額に迷った場合には、会社負担分が1人につき10万円までを目安にするとよいでしょう。

2-5. 従業員以外の参加者にかかる費用は会社が負担しない

従業員以外の参加者にかかる費用は、福利厚生費として計上できません。たとえば、従業員の家族も参加できるような社員旅行を計画する場合は、家族分の費用は従業員に負担してもらう必要があります。

家族間のコミュニケーション活性化などを目的とした社員旅行を実施することは問題ありませんが、経費計上する際は注意しましょう。

3. 社員旅行を福利厚生費として計上する国税庁の具体例

国税庁のホームページでは、福利厚生費として計上できる社員旅行(レクリエーション旅行)の事例として以下を公表しています。

  • 事例1.3泊4日の社員旅行
  • 事例2.4泊5日の社員旅行
  • 事例3.5泊6日の社員旅行

旅行期間や費用、参加割合などに注目し、旅行を計画する際の参考にしてください。ただし実際に税務調査が入った場合、社員旅行費用が福利厚生費として扱えるかは、旅行の内容を総合的に勘案して判定されます

事例にピッタリ当てはめるのは難しいですが、社員旅行を計画する際の一つの目安として役立てると良いでしょう。

事例1. 3泊4日の社員旅行

福利厚生費として計上できる3泊4日の社員旅行の事例です。

旅行期間

3泊4日

旅行費用

15万円(1人あたり)

使用者負担(会社負担分)

7万円(1人あたり)

参加割合

100%

旅行期間、費用、参加割合で条件を満たしているため、福利厚生費として処理できます。課税対象にはなりません。

事例2. 4泊5日の社員旅行

福利厚生費として計上できる4泊5日の社員旅行の事例です。

旅行期間

4泊5日

旅行費用

25万円(1人あたり)

使用者負担(会社負担分)

10万円(1人あたり)

参加割合

100%

以上の事例は、事例1に比べて旅行期間が長く費用も高額です。しかし、社員旅行としての条件を満たしているため、福利厚生費として処理できます。課税対象にはなりません

事例3. 5泊6日の社員旅行

福利厚生費として計上できる5泊6日の社員旅行の事例です。

旅行期間

5泊6日

旅行費用

30万円(1人あたり)

使用者負担(会社負担分)

15万円(1人あたり)

参加割合

50%

旅行期間が5泊6日の場合には、社会通念上一般におこなわれている旅行とは認められません。また、会社負担分が10万円を超えた場合にも、経費計上が否認される可能性が高くなるでしょう。事例3は社員旅行とは認められず、旅行費用については給与扱いとなります。

しかし海外旅行を考えた場合、行き先によっては4泊5日で予定を組むのが難しい場合もあるでしょう。そのため、海外旅行の場合には機内泊分を含める必要はないとされています。現地での滞在日数が4泊5日以内なら、課税対象にはなりません。

参照:No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行|国税庁

4. 社員旅行を福利厚生費として計上するケース別の対応

社員旅行を福利厚生費として計上するケース別の対応を以下にまとめました。

考えられるケース

対応方法

アルバイト・パートを雇用している場合

社員旅行は全従業員が対象となるため、参加割合にはパート・アルバイトも含める必要がある

支店・工場単位で社員旅行を実施したい場合

支店・工場単位でも社員旅行を実施できる(参加割合は支店・工場の従業員半数以上)

従業員の家族も同行する場合

同行する家族の旅費は個人負担となる

家族経営の企業の場合

家族が従業員ならば経費として計上可能だが、厳正にチェックされる可能性がある

個人事業主の場合

・従業員がいれば旅費を経費計上できる

・青色専従者のみの場合には経費にできない

・事業主本人・従業員・青色専従者で社員旅行に行く場合は、従業員にかかった費用のみ経費計上が可能

役員のみで旅行に行く場合

役員のみの旅行は社員旅行として認められないので旅費は課税対象となる

取引先が同行する場合

取引先にかかる旅費は交際費として処理する

家族経営の企業や個人事業主が社員旅行を実施する場合には、家族旅行と社員旅行の区別が必要です。プライベートな旅行と判断されないよう、社員旅行のなかにビジネス的な要素を加えると良いでしょう。

関連記事:福利厚生は非課税?要件・事例・経理処理を詳しく解説

5. 社員旅行で福利厚生費に計上できない費用

社員旅行の費用のなかにも、福利厚生費として経費に計上できない費用があります。

  • 自由時間中の観光代・食事代
  • 社員が選んで購入した個人的なお土産代
  • 取引先を接待した費用

それぞれの費用について詳しく解説します。

5-1. 自由時間中の観光代・食事代

社員が社員旅行中の自由時間に使った費用は経費計上できません。最近では、自由行動できる時間を多めに取った社員旅行が増えていますが、自由時間での食事代やチケット代、交通費などはすべて個人負担になります

社員が、自由時間に使った費用も経費計上できると思っている場合は注意しましょう。トラブルにならないよう、事前に参加メンバーに周知しておく必要があります。

5-2. 社員が選んで購入した個人的なお土産代

旅行中、社員が個人的に購入したお土産代は経費計上できないので注意しましょう。しかし、経営者が、参加者・不参加者を含めた社員全員にお土産を購入した場合には、福利厚生費として計上可能です。

会議中に社員旅行で購入したお菓子を出すなら、会議費として計上しても構いません。また、経営者が取引先への土産として購入する場合には、交際費として経費計上できます。

5-3. 取引先を接待した費用

取引先の役員や従業員が社員旅行に参加する場合は、経費処理の方法に注意しましょう。

福利厚生費は、自社の従業員のために支払った費用を計上する勘定科目です。取引先の接待のためにかかった費用などは、接待交際費として処理する必要があります。

6. 社員旅行を福利厚生費に計上する仕訳方法

社員旅行の費用を経費計上する際の仕訳方法を3例紹介します。

社員旅行で会社が150万円負担した場合

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

福利厚生費

1,500,000円

現金

1,500,000円

10万円の研修を含んだ社員旅行で、会社が100万円負担した場合

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

福利厚生費

900,000円

現金

900,000円

研修費

100,000円

現金

100,000円

社員旅行で会社が100万円負担し、さらに取引先に5万円分のお土産を購入した場合

借方

貸方

勘定科目

金額

勘定科目

金額

福利厚生費

1,000,000円

現金

1,000,000円

交際費

50,000円

現金

50,000円

社員旅行の内容に、業務に関係する工場見学や講演会などが組み込まれている場合は、該当する費用のみ研修費に計上してください

また、取引先へのお土産を購入した場合には、費用を交際費に計上しましょう。

7. 社員旅行は福利厚生費として正しく処理しよう!

今回は、社員旅行を福利厚生費として計上する際のポイントや注意点について解説しました。従業員のリフレッシュやコミュニケーション活性化を目的として実施する社員旅行は、福利厚生費として計上できます。ただし、旅行の日程や参加人数、参加対象者などの条件を満たしていない場合は、福利厚生費として認められないケースもあります。

また、旅行の内容によっては、発生した費用の一部を接待交際費や研修費などとして計上すべ場合もあるでしょう。指摘を受けないよう、基準をしっかりと理解したうえで経費処理を進めることが大切です。

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