中小企業向けの福利厚生とは?現状や人気の制度を詳しく紹介 |HR NOTE

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中小企業向けの福利厚生とは?現状や人気の制度を詳しく紹介

  • 労務
  • 福利厚生

「中小企業の福利厚生の現状を知りたい」

「中小企業で人気のある福利厚生制度が気になる」

「自社に適した福利厚生の導入方法を教えてほしい」

上記のような疑問を感じている担当者も多いでしょう。

福利厚生は、従業員の満足度を高め、企業の競争力を強化するために欠かせない要素です。とくに中小企業では、限られた予算のなかで、どのように福利厚生を充実させるかが重要な課題となるでしょう。

本記事では、中小企業向けの福利厚生の現状や導入のポイント、人気のある福利厚生を具体的に紹介します。ぜひ本記事を参考に、自社に適した福利厚生を見つけ、導入に役立ててください。

▼そもそも福利厚生とは何かを知りたい方はこちら

福利厚生とは何か?種類や導入形態を簡単にわかりやすく解説!

賃上げよりも低コストで福利厚生を充実させる方法とは?

福利厚生を充実させることは採用・定着にもつながるため重要ですが、よく手段としてとられる賃上げよりも低コストで従業員満足度をあげられる福利厚生サービスがあることをご存知でしょうか。

当サイトでは、賃上げが従業員満足度の向上につながりにくい理由や、低コストで始められる福利厚生サービスがどのようなものかを解説した資料を無料で配布しております。

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1. 中小企業が整備すべき法定福利厚生

中小企業が整備すべき法定福利厚生は、以下のとおりです。

法定福利厚生

内容

健康保険

従業員の健康保険や年金をサポート

厚生年金保険

従業員の年金をサポート

介護保険

介護が必要な従業員や家族を支援

雇用保険

失業時の生活を支えるための保険

労災保険

業務中の事故や病気に対する保険

子ども・子育て拠出金

子どもや子育て支援のための拠出金

法定福利厚生は企業が法的に従業員に提供する義務があります。中小企業であっても必ず設置しましょう。

関連記事:福利厚生と社会保険の関係性とは?2024年10月より適用される社会保険の概要を解説

2. 中小企業向けの人気が高い法定外福利厚生

中小企業で人気の高い法定外福利厚生は次のとおりです。

法定外福利厚生

内容

フレックスタイム制度

従業員が働く時間を柔軟に選べる制度

リモートワーク

通勤時間を削減し効率的に働ける環境を選べる制度

社員食堂の設置

社内に食堂を設置

研修・スキルアップ支援

従業員の成長をサポートするための研修や資格取得支援制度

メンタルヘルスケア

カウンセリングサービスやストレスチェックなど、メンタルヘルスのケアを提供

スポーツジムや保養所の利用

スポーツジムや保養所など、リフレッシュできる施設の利用を提供

家族支援プログラム

育児休暇の延長や家族手当の支給など、家族をサポートする制度

労災保険給付の付加給付

労災保険給付に追加で給付をする制度

カフェテリアプラン

従業員が自分のニーズに合わせて福利厚生を自由に選択できる制度

※子育て中の従業員は育児支援制度を、健康に関心のある従業員はフィットネス施設の利用など

法定外福利厚生は企業が独自に提供する福利厚生であり、従業員の満足度を高めるために導入されています

関連記事:福利厚生における食事補助とは?メリットや導入方法を解説

関連記事:カフェテリアプランとは?注目の理由や導入メリット・使い道を解説

さらに以下のような福利厚生を導入して、働きやすい環境を構築している企業もあるでしょう。

法定外福利厚生

内容

慶弔休暇制度

慶弔時に休暇を取得できる制度

慶弔見舞金制度

結婚や出産、弔事の際に見舞金を支給される制度

病気休職制度

病気療養のための休職制度

永年勤続表彰

長期勤続者への表彰制度

人間ドック受診の補助

人間ドック受診の費用を補助

家賃補助や住宅手当の支給

家賃や住宅ローンの補助金を支給

社員旅行の実施、補助

社員旅行の実施や補助金の支給

労災保険給付の付加給付

労災保険給付に追加で給付をする制度

参考:(独)労働政策研究・研修機構「企業における福利厚生の実態に関する調査について」|厚生労働省

企業の環境に合わせて、法定外福利厚生を適切に整備することで従業員のモチベーションを高め、企業価値を向上させる効果が期待できるでしょう。

関連記事:健康診断は福利厚生費に計上できる!条件や注意点を解説

関連記事:社員旅行は福利厚生費に計上できる?条件やケース別の対応を解説

3. 中小企業の福利厚生の現状

中小企業における福利厚生の現状は以下のとおりです。

  1. 社会保険料の値上げに伴い法定福利費の負担が増えている
  2. 大企業に比べて予算が限られている
  3. 従業員のニーズが多様化している

それぞれのポイントについて簡単に確認しておきましょう。

3-1. 社会保険料の値上げに伴い法定福利費の負担が増えている

社会保険料の引き上げにより、中小企業の法定福利費の負担が増えています

たとえば、厚生年金保険料率は毎年のように引き上げられ、2017年以降は18.3%で固定されています。

参考:厚生年金の保険料率の推移|厚生労働省

また、健康保険料についても、2024年3月に全国健康保険協会(協会けんぽ)の加入者を対象として、24の都道府県で値上げされています。

社会保険料の増加により、ほかの福利厚生に割り当てる予算が制限されるケースが考えられるでしょう。

参考:厚生年金保険料額表|日本年金機構

参考:令和6年度都道府県単位保険料率|全国健康保険協会

3-2. 大企業に比べて予算が限られている

中小企業における福利厚生は、大企業と比較して予算や人員の制約が大きいです。

厚生労働省が発表した「令和3年就労条件総合調査」によれば、従業員30〜99人の企業では、1人の月平均法定外福利費は4,414円でした。従業員数1,000人以上の大企業では5,639円となっており、費用面で差があります。

参考:令和3年就労条件総合調査の概況|厚生労働省

中小企業は、限られた予算のなかで費用対効果の高い福利厚生を選ぶ必要があります。

3-3. 従業員のニーズが多様化している

現代の労働環境では、従業員のニーズが多様化しています。とくにコロナ禍の影響で、テレワークの導入やワークライフバランスの向上が強く求められるようになりました。

テレワークは、従業員が仕事と家庭生活を両立させるための重要な手段として注目されています。ただ、中小企業においてはその導入や運用に関するノウハウが不足していることが課題です。

また、従業員のライフワークバランスを支援するための、フレックスタイム制度や短時間勤務制度の導入も求められるケースが増えてきました。

4. 中小企業が福利厚生を導入するメリット

中小企業が福利厚生を導入することには、次のようなメリットがあります。

  1. 優秀な人材の確保につながる
  2. 従業員満足度を高められる
  3. 離職を防止できる

それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

4-1. 優秀な人材の確保につながる

優秀な人材の確保につながることは、福利厚生を充実させる大きなメリットです。福利厚生の充実度は、求職者が就職先を選ぶときの重要な判断基準になります。給与や仕事内容だけではなく、働きやすさを考慮して就職先を選ぶ人も増えてきているため、企業側は福利厚生などの待遇を充実させることが必要です。

福利厚生の内容をうまくアピールすることで、応募者の増加を期待できるのはもちろん、優秀な人材確保にもつながるでしょう。

4-2. 従業員満足度を高められる

従業員満足度を高められることも、福利厚生を充実させるメリットのひとつです。健康保険や雇用保険といった最低限の福利厚生だけではなく、住宅補助や昼食補助などの法定外福利厚生を充実させることで、従業員の満足度やエンゲージメントが向上するでしょう。

その結果、従業員のモチベーションや生産性向上を期待できます。ただし、従業員満足度を高めるためには、ニーズに合った福利厚生を導入することが重要です。導入しても利用されなければ意味がないため、事前にしっかりとニーズを調査しておきましょう。

4-3. 離職を防止できる

福利厚生を充実させることは、離職率の低下にもつながります。福利厚生が充実していなかったり、働きにくい環境だったりすると、優秀な従業員が転職を考えるかもしれません。

少子高齢化による労働力不足が進むなか、人材を確保することは企業の大きな課題です。福利厚生を充実させることは、人材を定着させる手段のひとつであるため、うまく活用していきましょう。

関連記事:福利厚生のメリットとは?種類・目的・デメリット・導入方法を詳しく解説!

5. 中小企業における福利厚生の導入方法

中小企業が福利厚生を導入する際のステップは以下の通りです。

  1. 従業員のニーズを把握する
  2. 導入する福利厚生を選定する
  3. 具体的な導入計画を立てる
  4. 効果測定やフィードバックをもとに継続的な改善をする

各ステップについて順番に確認していきましょう。

5-1. 従業員のニーズを把握する

最初のステップとして、従業員のニーズを把握しましょう

たとえば、従業員アンケートや個別のヒアリングを実施します。アンケートを実施すれば、従業員がどのような福利厚生を希望しているのか、どのようなサポートが必要なのかを具体的に把握できます。

また、個別のヒアリングをすることで、より詳細なニーズを掴めるでしょう。​

5-2. 導入する福利厚生を選定する

次に、収集したニーズにもとづいて導入する福利厚生の制度を選定します。選定にあたっては、予算や効果を考慮し、限られた予算内で最大の効果を発揮する福利厚生に的を絞って選びましょう。

たとえば、テレワークの導入やフレックスタイム制度、健康診断の実施など、従業員の満足度を高める施策を優先的に検討するのもおすすめです。

5-3. 具体的な導入計画を立てる

制度を選定した後は、具体的な導入計画を立てます。実施時期や担当者を明確にしましょう。また、導入計画を策定する際には、各制度の詳細な実施手順や運用方法を決定し、スムーズな実施を目指します。

さらに、従業員に福利厚生の目的や利用方法、期待される効果を明確に伝えることで、理解と関心を高めることも効果的です。

5-4. 効果測定や従業員からのフィードバックをもとに継続的な改善をする

最後に、選定した福利厚生を実施し効果測定をして、継続的に改善していきましょう。

新たに入社した従業員が増えたり、従業員の生活に変化が出たりすれば、ニーズが変わってくる可能性があるからです。

また、想定していたより利用者が少ない福利厚生を実施し続けても、無駄なコストをかけている状態になってしまいます。

具体的には、福利厚生の導入後に定期的な利用状況をモニタリングし、従業員からのフィードバックを収集しましょう。

たとえば、テレワーク制度の利用状況をチェックし、必要に応じてサポート体制を強化するなど、継続的な見直しが求められます。

6. 中小企業が福利厚生を取り入れる際のポイント

福利厚生を効果的に導入するためのポイントは次の6つです。

  1. 従業員の意見を尊重する
  2. 管理運用の費用を把握しておく
  3. スキルアップにつながるサービスを導入する
  4. 自由に利用できるようにする
  5. 補助金や助成金を活用する
  6. 課税対象と非課税対象を把握する

各ポイントの詳細は以下の通りです。

6-1. 従業員の意見を尊重する

従業員の意見を反映させることで、利用率が高く満足度の高い福利厚生を導入できます。従業員アンケートや意見交換の場を設け、ニーズを把握することが重要です。

従業員が求める福利厚生を導入すれば、従業員の仕事と生活のバランスを支え、モチベーションの向上にもつながります。

6-2. 管理運用の費用を把握しておく

福利厚生を導入するときは、管理運用の費用を把握しておくことが重要です。サービスの契約やシステムの導入にかかる初期費用はもちろん、月額利用料金やメンテナンス費用などのランニングコストについても把握しておかなければなりません。

途中で資金がなくなることがないよう、予算内で長期的に運用できるかどうかもしっかりとシミュレーションしておきましょう。

6-3. スキルアップにつながる福利厚生を導入する

従業員のニーズにもよりますが、福利厚生を導入するなら、スキルアップにつながるものを選ぶとよいでしょう。資格を取得するときの費用補助やeラーニングシステムの導入など、従業員の能力向上につながる福利厚生を選べば、より大きな活躍をしてくれることを期待できます。

6-4. 自由に利用できるようにする

せっかく福利厚生を導入するなら、自由に利用できるようなルールを設定することが大切です。たとえば、社員旅行などのイベントは、参加したい人もいれば参加したくない人もいるでしょう。

強制的に参加させると、従業員の満足度が下がってしまいます。福利厚生は従業員に対するサービスのひとつであるため、参加や利用を自由に選択できるようにしましょう。

6-5. 補助金や助成金を活用する

福利厚生の導入時に政府や自治体から提供される補助金や助成金を活用することで、初期費用や運営コストを抑えられます。

福利厚生に使用できる主な補助金、助成金は次の通りです。

補助金や助成金

内容

対象

支給範囲

両立支援等助成金

育児休業制度や育児支援の取り組みに対する支援

育児休業中の給与補助、育児支援制度の整備など

育児休業中の給与の一部補助や制度整備費用の一部を補助

人材開発支援助成金

従業員の教育訓練やスキルアップを支援

研修費用、教育訓練の実施費用、資格取得支援など

研修費用や教育訓練費用の一部を補助

キャリアアップ助成金

非正規労働者の正規雇用化を支援

非正規労働者の正規雇用化、待遇改善など

正規雇用化に伴う費用の一部を補助

業務改善助成金

職場環境の改善を図るための支援

職場環境改善のための設備投資、作業効率向上のための取り組みなど

設備投資や作業効率向上のための取り組み費用の一部を補助

人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)

働き方改革の推進を支援

テレワークの導入、フレックスタイム制度の実施など

導入費用の一部を補助

参考:両立支援等助成金|厚生労働省

参考:人材開発支援助成金|厚生労働省

参考:キャリアアップ助成金|厚生労働省

参考:業務改善助成金|厚生労働省

参考:人材確保等支援助成金(働き方改革支援コース)|厚生労働省

助成金や補助金をうまく活用することで、中小企業は限られた予算内で充実した福利厚生を提供し、従業員満足度を高められるでしょう。

6-6. 課税対象と非課税対象を把握する

福利厚生には課税対象と非課税対象があります

具体的な課税対象と非課税対象の福利厚生は次の通りです。

【課税対象の福利厚生】

福利厚生

内容

現金による支給(ボーナスやインセンティブ)

従業員の所得税の対象となる現金報酬

住宅手当

50%以上を従業員から徴収すると課税対象

食事の支給

現物給与として課税対象

社員旅行の費用

業務と関連がない旅行は課税対象

一部の退職金

退職所得控除額を差し引いた金額の1/2は課税される

参考:No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき|国税庁

参考:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁

【課税対象の福利厚生】

福利厚生

内容

通勤手当

公共交通機関の場合、1カ月あたりの非課税限度額は15万円までは非課税

健康診断の費用補助

従業員の健康管理費用は非課税

企業が負担する健康保険料・年金保険料

企業が負担する保険料は非課税

企業が提供する福利厚生施設

社員食堂、スポーツ施設など福利厚生施設の利用は非課税

勤続年数に応じた永年勤続表彰の金品

一定額までの永年勤続表彰は非課税

社員旅行の費用

業務と関連がある場合は非課税

資格取得のための費用補助

業務に関連する資格取得費用は非課税

子育て支援手当や育児休業給付金

育児支援のための手当や給付金は非課税

参考:No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当|国税庁

違いを理解し、非課税対象の福利厚生をうまく活用することで、従業員の税負担を軽減し、企業の財務管理を効率化できます。

関連記事:福利厚生は非課税?要件・事例・経理処理を詳しく解説

7. 中小企業が福利厚生を取り入れた企業の事例

福利厚生を取り入れた中小企業の事例として、以下の3つを解説します。

  • A社:ベビーシッター補助制度
  • B社:全社員テレワーク制度
  • C社:自由度が高い連続休暇制度

それぞれの事例について詳しく見ていきましょう。

7-1. A社:ベビーシッター補助制度

株式会社Aでは、従業員の育児負担を軽減するために、1日300円でベビーシッターを利用できる「ベビーシッター補助制度」を導入しました。ベビーシッター補助制度では、従業員がベビーシッターを利用する際の費用を会社が一部負担します。

制度の導入は子育てと仕事の両立を支援し、とくに病児保育にも利用できるため、多くの従業員にとって大きな助けとなっています。さらに育児中の従業員の離職率が低下し、仕事のパフォーマンスも向上しました。

7-2. B社:全社員テレワーク制度

株式会社Bでは、全社員を対象に「テレワーク制度」を導入しました。コロナ禍に対応するために始まった制度で、現在はオフィスに出社するか在宅勤務するかを従業員自身が選べるようになっています。

制度の導入により、従業員は柔軟な働き方が可能になり、仕事と生活のバランスが向上しました。また、IT機器の購入や通信費の補助も同時にすることで、テレワーク環境の整備が進んでいます​。

7-3. C社:自由度が高い連続休暇制度

株式会社 Cでは、従業員が年間の一定期間、連続して休暇を取得できる「連続休暇制度」を導入しました。

連続休暇制度は、従業員が自由に休暇の時期や期間を選べるもので、リフレッシュや自己啓発のために活用されています。従業員は休暇を利用して心身をリフレッシュし、休暇後にはより高いモチベーションで仕事に取り組むようになりました。

8. 中小企業も福利厚生を導入しよう!

今回は、中小企業における福利厚生の必要性や導入方法などについて解説しました。中小企業において福利厚生を導入することには、優秀な人材の確保やモチベーションの向上、離職率の低下などのメリットがあります。ただし、どのような福利厚生でもよいわけではありません。

せっかく福利厚生を導入するなら、従業員のニーズに合ったサービスを選びましょう。事前にアンケート調査やヒアリングをおこない、多くの従業員が希望している福利厚生を導入することが重要です。また、導入後は定期的に見直しをおこない、従業員の満足度を向上させていきましょう。

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