新型コロナウィルスの影響でWeb面接を導入する企業が急増するなか、焦りや戸惑いを感じている担当者も多いのではないでしょうか。今回は、Web面接を採用活動に導入するメリット・デメリットについて、そして導入で失敗しないためのポイントについて、初めての人にもわかりやすく解説します。
目次
Web面接とはインターネット経由での面接
Web面接とは、遠隔地にいる採用候補者に対して、PCやスマートフォンを使ったインターネット経由での面接を実施することです。近年は社会人の中途採用のみならず、新卒学生や派遣社員、アルバイトの採用にもWeb面接を活用する企業が増えてきました。
採用活動にWeb面接を導入するメリット
まず、企業の採用活動にWeb面接を活用するメリットを整理してみましょう。
1. 遠隔地に住む人材を採用候補にできる
地方や海外の在住者が自宅やカフェなどでWeb面接を受けられるのであれば、交通費や宿泊費の負担が不要となり、応募のハードルが下がります。求職者は複数企業に応募することも多く、交通費や宿泊費が負担となるケースもあるでしょう。
企業側にとっても、遠隔地在住者を採用候補の母集団に加えられるため、Web面接導入のメリットは大きいのです。
2. 優秀で多忙な人材を採用候補にできる
Web面接は実施時間の制約を受け難い、という特徴があります。対面面接であれば、応募者側も企業側も相手に合わせて移動し、実施する時間を確保しておくことが必要です。日々ビジネスの第一線で活躍する人ほど、平日の対面面接はハードルが高くなります。
平日でもすきま時間を有効活用し、優秀な人材を採用候補にできるという点からも、Web面接利用のメリットは明らかです。
3. 柔軟で速やかな面接により選考辞退を防止できる
面接スケジュールの前倒しが可能なことや、速やかに内定を通知できることもWeb面接導入のメリットです。面接官のスケジュール調整さえつけば、柔軟な面接実施が可能です。速やかに面接と採用決定を進めることで、採用したい人材の選考辞退を防ぐ効果も期待できます。
4. 面接官の質や採用の精度を向上できる
Web面接のツールは、録画機能付きであることが一般的です。面接官が振り返りに活用して、質問の仕方などのブラッシュアップに役立てることができるでしょう。面接官以外の社員からも意見をもらいやすく、採用の精度向上を図ることも可能です。
なお、面接を録画すること自体は問題ないものの、個人情報であるため管理には細心の注意が必要となります。
5. 採用コストを削減できる
Web面接を実施すれば、物理的に自社内のみで面接を完結できます。面接会場の確保や設営、関係者の移動などの工数と費用が不要になります。Web面接を活用することで、対面面接の際にかかっていたコスト面の負担が軽くなる企業も多いでしょう。
対面での面接と比較したときのWeb面接のデメリット
Web面接の導入はメリットが多いものの、デメリットもあります。ここでは、対面での面接とWeb面接を比較したときのデメリットを紹介します。
1. 応募者の雰囲気を捉えづらい
画面越しに相手の雰囲気を捉えるのは簡単ではありません。したがって、対面面接と比べると、Web面接では応募者の細かな反応や表情、仕草を掴みづらいです。
自社の採用活動において、人材が持つ雰囲気を掴むことが実際どの程度重要なのか、あらかじめ社内で意見を統一しておくようにしましょう。グーグル社の採用で有名になった構造化面接(※1)を用いるのも、一つの方法です。
※1:構造化面接
グーグル社が採用する面接の手法。応募者全員に同じ質問をし、同様の基準で採点を行う。採用についても、事前に決定した採用要件を用いて決める。
2. セキュリティ確保のためのコストが発生する
Web面接自体は、無料で利用できるWeb会議ツール(SkypeやLINE、Chatworkなど)でも実施できます。しかし、採用時の面接においては、機密保持を求められる個人情報を多く取り扱うものです。セキュリティ確保を考慮すれば、専用のWeb面接ツールを導入した方が無難といえるでしょう。
また、面接時の画像や音声のクオリティ担保という観点からも、専用ツールの採用は合理的です。導入コストの負担はあるものの、Web面接においては専用ツールを導入すべきでしょう。
3. ハードウェア性能やネット環境に影響されやすい
Web面接における画像や音声のスムーズなやりとりは、企業側と応募者側双方のハードウェア性能やネット環境に依存します。とりわけ問題になりやすいのは、応募者側です。旧式PCやスマートフォンのCPUやメモリ性能が不十分であったり、Wi-Fi環境が整っていなかったりすると、画像や音声が遅延する、頻繁に途切れるなどのトラブルが生じやすくなります。
とくに、応募者が海外在住だったりする場合、留意すべきです。ただし、パケット通信量が少ないWeb面接ツールを採用することなどによって、ある程度は回避可することもできるでしょう。
4. あらかじめ応募者に使い方を理解してもらう必要がある
Web面接ならではの説明工数が必要です。応募者各々のITリテラシーは、大きくばらつきがあります。採用担当者のフォロー工数が想定外に膨らむリスクを否定できません。応募者が中高年であれば、なおさら心配になる部分でもあります。
また、事前のアカウント登録が不要だったり、ワンクリックで接続できたりするWeb面接ツールもあるため、過剰に心配する必要はないかもしれません。
Web面接を導入して失敗しないための2つのポイント
Web面接を採用活動に導入する際、押さえるべきポイントを解説します。導入のメリットを最大限に活かすためにも、ぜひ意識してみてください。
1. Web面接の実施をあらかじめ応募者に告知しておく
あらかじめ募集要項にWeb面接を実施する旨を記載した方が無難です。選考途中でWeb面接の実施を告げられると、不慣れゆえに不安を感じたり、「対面面接よりも不利に扱われるのでは」と疑念を抱いたりする応募者が一定数出てきます。使用するツールや応募者へのメリットを伝えておくのが理想的です。
Web面接の実施日程が決まったら、応募者にツールの使用方法を説明したうえで、面接を受ける環境で接続テストを実施しておくよう依頼します。これらはメール送付によりおこなえば十分です。
2. 応募者が自然体で話せる環境を作る
カメラ位置を目線の高さに合わせておくことと、少しオーバーなリアクションを取るよう心がけましょう。
机上のノートPCのカメラをそのままで利用すると、応募者は面接官から見下され、圧迫面接を受けている感覚に陥りがちです。厚みのあるファイルや箱の上にPCを置くとよいでしょう。
また、声での相槌を多用すると応募者の発言に干渉し、聞き取り難くなりやすいものです。少し大袈裟なくらいに頷いたり、笑顔を見せたりすると、応募者は安心して話しやすくなります。
Web面接の導入は企業にも求職者にも大きなメリットが
規模を問わず、Web面接を活用する企業は増えつつあります。新型コロナウィルスの蔓延防止対策となるのみならず、Web面接の導入が企業の採用活動とビジネス活動にも有利に働くことが理由です。
情報漏洩のリスクやストレスのないやりとりを考慮するなら、専用のWeb面接ツールを導入することが合理的といえます。得られるメリットも多いため、ぜひ積極的に検討しましょう。