社員本人へ交付する源泉徴収票には、マイナンバーを記載しないのが基本です。税務署へ提出する源泉徴収票にだけ、マイナンバーを記載するように注意しましょう。この記事では、源泉徴収票にマイナンバーを記載する必要性や、記載するときの注意点について詳しく解説します。
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目次
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1. 源泉徴収票にマイナンバーを記載する必要はある?
源泉徴収票にはマイナンバー(個人番号)の欄がありますが、実際に記載すべきかどうかは提出先によって異なります。ここでは、マイナンバーを記載する必要性について状況別に解説しますので、チェックしておきましょう。
1-1. 社員本人へ交付する源泉徴収票にはマイナンバーを記載しない
社員本人へ交付する源泉徴収票には、マイナンバーを記載する必要はありません。マイナンバー制度が導入された当初は記載が義務付けられていましたが、平成27年10月に所得税法施行規則などが改正され、記載する必要はなくなりました。[注1]
国税庁のホームページで源泉徴収票のフォーマットをダウンロードできますが、社員へ配布するものにはマイナンバーの欄はありません。
法改正の理由としては、郵便事故による情報漏洩を防止すること、会社の情報管理コストを削減することなどが挙げられます。源泉徴収票を受け取った社員が別の場所へ提出するケースもあるため、個人情報保護のためにもマイナンバーは記載しないようにしましょう。
1-2. 税務署や市区町村へ提出する源泉徴収票にはマイナンバーを記載する
税務署や市区町村へ提出する源泉徴収票には、マイナンバーを記載する必要があります。法改正によってマイナンバーを記載する必要がなくなったのは、本人へ交付するものだけです。
国税庁が配布している税務署提出用のフォーマットにはマイナンバーの欄があるため、忘れずに記載しましょう。
このように、源泉徴収票は提出先によって記載内容が異なります。年末調整の際に混乱しないためにも、あらかじめ源泉徴収票についての手続きなどの基礎知識を理解しておきましょう。当サイトでは、年末調整にかかわる書類の基礎知識を一冊で理解できる資料を無料でお配りしています。源泉徴収票を含む年末調整にかかわる書類についてより詳しく理解したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
2. 源泉徴収票にマイナンバーを記載するときの5つの注意点
源泉徴収票にマイナンバーを記載するときは、事前に番号を提供してもらう、本人確認を行う、提供を拒否された場合はその経緯を記録しておく、といった点に注意しましょう。以下、それぞれの注意点について詳しく解説します。
2-1. 事前にマイナンバーを提出してもらう
税務署へ提出する源泉徴収票には、マイナンバーを記載するのが基本です。その他の法定調書を提出する際にもマイナンバーの記載が必要なケースはあるため、社員には事前にマイナンバーを提出してもらいましょう。
書類を作成するときになってマイナンバーの提出を求めると、作業がスムーズに進まない可能性もあります。とくに、社員に人数が多い会社の場合は注意が必要です。効率よく書類を作成するためにも、雇用契約の段階でマイナンバーを提出してもらうとよいでしょう。
2-2. マイナンバーの提供を受けるときは本人確認を行う
社員からマイナンバーの提供を受けるときは、なりすましなどを防止するため、マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)に基づき、本人確認を行う必要があります。[注2]
本人確認とは、その社員がマイナンバーの正しい持ち主であることを確認する作業のことです。具体的には、マイナンバーカード(個人番号カード)や通知カードなどを提出してもらうことで本人確認を行います。
マイナンバーカードを提出してもらう場合は、別の書類で本人確認をする必要はありません。マイナンバーカードは、本人確認を行ったうえで発行されるものだからです。通知カードやマイナンバーが記載された住民票の写しの場合は、身元確認のために、運転免許証やパスポートなどを一緒に提出してもらう必要があります。
2-3. 社員がマイナンバーの提供を拒否した場合はその経緯を記録しておく
何らかの理由でマイナンバーの提供を拒否された場合は、その社員に対して、源泉徴収票にマイナンバーを記載することは法律で定められた義務であることを伝えましょう。マイナンバーの利用目的を明確にし、社員に説明することも重要です。
それでも提供してもらえない場合は、会社側はマイナンバーの提供を求めたことや、社員が提供を拒否したことなどの経緯を記録しておくことが大切です。会社側の義務違反ではないことを明確にしておきましょう。税務署で状況を説明すれば、マイナンバーの記載がない源泉徴収票も受け取ってもらえます。
2-4. マイナンバーは安全な方法で管理する
マイナンバーは源泉徴収票だけではなく、さまざまな法定調書に記載する必要があるため、会社側で継続的に保管しても問題ありません。ただし、情報漏洩などが発生しないよう、安全な方法で管理する必要があります。管理に関わる社員に対して、適切な指導や監督を行うことも重要です。
具体的には、マイナンバーを取り扱う担当者を明確に決め、担当者以外はマイナンバーを取り扱わない、といった対策を講じるとよいでしょう。情報の管理については、マイナンバーが記載された書類は鍵付きの棚で保管する、担当者以外はマイナンバーが記載されたデータにアクセスできないようにするなどの対策が重要です。
2-5. マイナンバーが必要なくなったときは速やかに削除する
社員が退職した場合など、マイナンバーを保管しておく必要性がなくなったときは、できるだけ速やかに情報を削除しましょう。もちろん、保存期間が定められている書類については、マイナンバーが記載されているからといって、すぐに廃棄する必要はありません。保存期間を過ぎた書類については、情報漏洩を防止する観点からも早めに削除することが大切です。
3. マイナンバーを記載する必要がない法定調書
ここまで紹介したとおり、社員本人へ交付する源泉徴収票にはマイナンバーを記載する必要はありません。税務署へ提出する源泉徴収票にのみ、マイナンバーを記載しましょう。
そのほか、以下のような法定調書を社員本人へ渡す場合は、マイナンバーを記載する必要はありません。[注3]
- 配当等とみなす金額に関する支払通知書
- オープン型証券投資信託収益の分配の支払通知書
- 上場株式配当等の支払に関する通知書
- 特定口座年間取引報告書
- 未成年者口座年間取引報告書
- 特定割引債の償還金の支払通知書
4. 社員本人へ交付する源泉徴収票にはマイナンバーの記載は不要
今回は、源泉徴収票にマイナンバーを記載する必要性や、記載するときの注意点などを紹介しました。社員本人へ渡す源泉徴収票には、情報漏洩を防止する意味から、マイナンバーを記載しないのが基本です。国税庁が配布している源泉徴収票のフォーマットにもマイナンバーの欄はないため、間違って記載しないように注意しましょう。
マイナンバーの管理方法にも注意が必要です。マイナンバーを取り扱う担当者を決め、担当者以外はデータにアクセスできないようにするなど、適切な方法でマイナンバーを管理しましょう。
[注1]法定調書に関するFAQ|国税庁
[注2]本人確認に関するFAQ|国税庁
[注3]法定調書提出義務者・源泉徴収義務者の方へのお知らせ|国税庁
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