セプテーニグループが仕掛ける「個の成長に最適化する人材育成システムCDP」その仕組みやポイントとは?

セプテーニグループが独自開発した『個の成長に最適化する人材育成システムCDP(キャリア・デベロップメント・プログラム)』

テクノロジーを活用し、社員に対して個別最適化したフォローをおこなう革新的な取り組みは、HR総研の第10回日本HRチャレンジ大賞・イノベーション賞を受賞。

本記事では、人材育成システムCDPの取り組み詳細をご紹介。

開発背景やシステムの内容、具体的なシステム活用術、その効果について、CDPの活用に携わっている人事チームの3名にお話を伺いました。

テレワーク中の人材育成や安全衛生管理など、遠隔での社員マネジメントに悩みを抱えている方の参考になれば幸いです。

人物紹介

奥迫 雄太|株式会社セプテーニ・ホールディングス 人事部人材育成課 課長代理

2013年株式会社セプテーニ・ホールディングスに新卒入社。人事総務部人事課に配属後、2016年採用企画部にて採用・オンボーディングを担当。2020年より人事部人材育成課にて育成分野に従事。

井上 遼平|株式会社セプテーニ・ホールディングス 人事部人材育成課

2018年株式会社セプテーニ・ホールディングスに新卒入社。採用企画部に配属後、採用・オンボーディングを担当。2020年より人事部人材育成課にて育成分野に従事。

石井 麻美|Septeni Japan株式会社 HRビジネスパートナー本部 採用戦略部 エキスパート

2008年株式会社セプテーニに新卒入社。営業、営業推進を担当した後、2014年に人材開発部へ異動し組織開発やエンゲージメント領域を担当。2019年よりHRビジネスパートナー本部にて育成分野に従事。

社員への個別最適な対応を実現する「人材育成システムCDP」

ー本日はよろしくお願いします。まずは、今回のシステムを導入するに至った背景についてお伺いできればと思います。

そもそもの前提として、セプテーニグループの人材育成は、「人材育成方程式」という概念に基づいて実施しています。

この考え方はグループ代表の佐藤が書籍『マネー・ボール』から着想を得て、人事の担当役員である上野に投げかけたところから始まりました。

まず、人は「育てる」のではなく、「育つ」という考えのもと、「人材育成方程式【G=P×E(T+W)】」と呼ぶコンセプトを掲げました。

個性と環境の「相性」が、人の成長に大きく影響するということを表現しています。

そして、当社が数十人規模から1,000人規模にまで成長してきた過程における人事データや評価データなどの情報を集約したデータベースを構築し、ヒューマンロジック研究所の協力を得て、誰がどのような仕事でどんな成果をあげたのか、過去の傾向を分析していきました。

また、チームの関係性に関する分析も深めていきました。そうした研究の結果、どんな個性を持った社員(P)が、どのような環境(E)において、どの程度の成長(G)を遂げるかを具体的な数値で示すことができるようになりました。

当社人事はこうした考えのもと、現場に解決策を提供し、そのためにテクノロジーを活用しているのです。

当社では科学的な人材育成モデルをつくりあげることを目指しています。このモデルは大きく2つの技術に支えられています。

1つ目は人の成長を評判から把握するレピュテーションスコアのレビュー。2つ目は個性と環境との相性を分析する技術で、株式会社ヒューマンロジック研究所監修のもと、FFS理論で明らかとなっている関係性のアルゴリズムを活用しています。

また、こうしたデータ活用は、取り組みの目的や範囲、また個人の利益やリスクに対して求められる配慮についての指針や、運用体制などを整理したデジタルHRガイドライン(https://www.septeni-holdings.co.jp/dhrp/guideline/index.html)に則っておこなっています。

こうした技術とこれまで蓄積してきた人材データベースをもとに、当社では採用~オンボーディング~育成をそれぞれ一貫したサービスとして設計するHRバリューチェーンの構築をおこなっています。

採用では候補者の入社後の活躍可能性をAIで算出し、人材評価の参考材料にしています。

また、採用候補者には「キャリアフィードバック」という入社後の自身のキャリアをイメージできる資料を提供しており、内定者の辞退率は施策実施前の2016年から現在にかけて約6割減少しました。

オンボーディングでは上記の相性モデルを活用して、個人が適応しやすい環境を定量的に算出する相性配属をおこない、新入社員に対しては、自身の強みや躓きやすい点を踏まえた「適応プラン」を提供するなどしています。

こうした結果、新入社員の早期戦力化レートが15%程度(2014年以前)だったものから現在40%程度に向上しています。

今回取り上げていただいたCDP(キャリア・デベロップメント・プログラム)はこれらの延長線上において、主に育成に取り掛かっている社内HRサービスとなります。

この施策に関してはコロナの影響でテレワークが加速し、「メンバーのことを上手く管理できない」という声が上がったことも、CDPの施策が進んだ背景にあります。

当社で人材データを専門に研究をおこなう人的資産研究所の研究レポートでは、特にマネージャー層が他の階層と比べテレワーク環境下での働き方に苦慮していることが読み取れています。

この課題に対して、互いに顔が見えない中での新たなマネジメント手法や、部下のコンディション把握を容易にする技術の開発等を通した、マネージャー層への支援をCDPで実現しようと考えています。

この研究レポートに関しては当社グループの運営サイト「DHRP(https://www.septeni-holdings.co.jp/dhrp/)」にて社外に対しても公開しております。

当社の主力事業は約20年前に、現グループ代表の佐藤がインターネット広告事業としてスタートしました。

そこから現在に至るまでに市場は大きく変わり、インターネット広告市場からデジタルマーケティング市場へと拡大し、その重要性は多くの企業様の中で格段に上がってきています。

市場が成熟し、複雑性を増している中で、若手を中心とした当社の人材がいかに習熟スピードを上げ、高い専門性を発揮できるかは、ここ数年の重要な課題でした。

そこで事業会社であるSepteni Japanでは現在、「育成」の領域を重点分野の1つと定め、HRBPや人材開発を中心に、様々なエデュケーションシステムを整備しています。

しかし変化し続ける環境の中で、一人ひとりが個性を生かしてプロフェッショナリズムを発揮していくには、これだけでは足りません。それぞれの特性や環境に沿った個別最適化したマネジメントシステムが必要不可欠です。


ーありがとうございます。あらためて、人材育成システムCDPの概要や役割を教えてください。

CDPは、個別の人材育成を実現するために、デジタル技術を活用したものです。

CDPを導入することで、マネージャーは従前対面で得ていた以上の情報を取得し、キャリアアドバイザーというマネジメント業務のサポート役が付きます。

私たちはこれまで蓄積してきた人材データをデジタルHRガイドラインに則って運用しており、さらに週次から月次でおこなう社員コンディションデータの収集や、四半期に一度社員の成長度合いを可視化したデータなどを集めています。

これまでの社員の成長データを用いることで、個々の社員の活躍/躓きの要因を個性(P)と環境(E)の観点から把握することができ、個別に改善策を提供することができます。

この1年では特にパフォーマンスが伸び悩んでいた若年層に効果があり、伸び悩んでいた社員の75%が戦力化しました。

また、社員のコンディション不調の兆候が見られたり、エンゲージメント低下が起きたりする前に、兆候がある人を抽出し、キャリアアドバイザーとマネージャーで連携をとって、対応策を考えることが可能です。

マネージャーは、事業を進める日々の活動の中で、必要なエデュケーションを実施しています。

キャリアアドバイザーは、マネージャーと連携しながら、もう少し中長期的な視点で、個々に異なる能力開発、キャリア開発からフォローする役割です。

社員がどのようなキャリアを歩んでいったらいいのか、膨大なキャリアのログデータに基づいて適切な情報提供を実施していきます

CDPだからこそできる、安全衛生管理と人材育成

ーCDPの活用はどのようにおこなっているのでしょうか?

半期に一度マネージャーに対し、管掌下にあるメンバーの成長状況のレポートを配信します。

このレポートの内容は、①成長の把握②課題の特定③改善策の提供という3つのカテゴリに分かれます。

それぞれの成長が順調か、順調でないのであればなぜなのか(WHY)、どうすればその原因を取り除けるのか(HOW)という流れで解決策を提案していきます。

キャリアアドバイザーは、個性(P)のスコアに課題がある場合はストレスマネジメントの手法を提供し、環境(E)のスコアに課題がある場合は、チームへの向き合い方、仕事への向き合い方をフォローアップします。

個人がストレスのセルフコントロールをおこなうことができ、上司を始めとした周囲との関係構築ができ、自身の業務に対して前向きに取り組むことができる状態を目指します

まだ何が正しいかを探っている段階ですが、しっかりモニタリング構造を作り、過去のデータと今トライアルしている育成データを接続させて、その人にとって何がベストの施策なのか見つかっていく可能性は見えてきました。

事業に貢献するためのHRデータ活用

みなさんはキャリアアドバイザーの立場となりますが、どのようなことを意識していますか

キャリアアドバイザーは、あくまでも、マネージャーに仕える立場ととらえていますね。

もともとセプテーニには、「マネジメントはこうあるべき」といった型がないので自由度は比較的高いのですが、マネジメントそのものの難易度は年々上がっていると感じています。

私たちは、マネージャーに「こうマネジメントをしてください」と伝えるのではなく、成果につながること、「課題解決のコタエ」をデータを活用して提供することが役割だと考えています。

マネージャーのフォローをするためには、現場への理解が必須です。

面談の実施や日々コミュニケーションをとること、コミュニケーションツールを見回って現場の声をキャッチアップすることに加え、データを活用することが必要です。

面談やソリューションの提供をするにあたって、データを用いて客観的な根拠づけをすることが、相手の安心や納得感に繋がり、それが本質的な価値になると考えています。


HRBPとして石井さんが意識していることはありますか?

HRBPは、事業サイドが戦略を遂行しやすくなるよう、採用育成など人材面での環境づくりをおこなう仕事だと考えています。

定性的な情報だけで「現場の課題は〇〇だ」と決めつけるのではなく、データをもとに課題を発見し、その情報をソリューションとセットで現場に共有/提案することを意識しています。

また当たり前ですが、人に対するプロとして覚悟と責任を持ち、誰よりも考え、学び続けることが重要だと考えています。

人に関することなので正解はありませんが、できるだけ最良の決断をおこなうために、多角的にインプットすることを心がけています。

CDPの活用ポイント

ーCDPの社内浸透はどのように進めているのでしょうか?

もちろん、こうした新しい仕組みを、社内に浸透させることは容易ではありません。

ただ、マネジメントや育成に対して悩みを抱え、困っている社員が多かったので、結果的に皆さん関心を持ち積極的にトライアル施策に参加してくれましたね。

一方で、まだCDPのことを知らない、使っていない人は一定いると思います。

というのも、全社的に活用を始めたのではなく、一部の部門から試験的に活用開始をしたためです。

CDPの導入に関しては、トライアルとして参加してくれる部門を募集して、活用してくれそうな部門を選びスモールスタートしています。

一部のマネージャーに使用感を共有してもらいながら、全社導入に向けて改善を続けています。

今回のように、スモールスタートで試しながら、社内にインフルエンサー的な部門を作って全社に広げていく流れは、セプテーニ流だと思っています。

スモールスタートでしっかりデータをとって仮説検証をおこない、確実に良いもの作ってから社内で流行らせていくイメージです。

この際にアンケートをとると、かなり手厳しい評価をもらうこともあります。

ただその一方で、期待しているよとポジティブな意見を上げてくれる社員もいます。こうして、短いタームの中で意見を収集して改善を繰り返していきます。

データ活用を推進するために伝えたいこと

ー最後に、データ活用にあたってはどのようなことが重要になるのでしょうか

 当社では、人材育成方程式という考え方とそれを支える技術が軸としてあったことが大きいです。

「何のためにデータ活用をおこなうのか」目的を決めた上で動くことが重要で、目的に対しての要素の各変数を、全て数値化しようと取り組めたのが良かったのだと思います。

私たちが掲げる人材育成方程式【G=P×E(T+W)】においては、成長(G)を定量化するためにレピュテーションスコア、個性(P)と環境(E)をFFS理論、こちらをもとに設計した相性モデル、これらは人事施策の成果の再現性を高めるためには欠かせない技術となりました。


ー今後のCDPの活用に関して展望を教えてください。

今、Septeni Japan内でストックされている勉強会の動画をCDPでフル活用できるよう注力していきたいです。

当社では学び合う文化があり、社内講師による勉強会が多数開催されてきました。こうした情報のストック及びナレッジマネジメントを促進することを目的に、コロナ以前から動画を活用した学習が進んでいたんです。

この情報をきちんと集めて、社員の特性に合わせて個別サジェストできる仕組みができれば、唯一無二の育成システムになると考えています。

貯めてきたデータを活用して最適な学習機会を提供していきたいです。

人材育成方程式とそれを支える技術をベースに、「人材育成のコタエ」を現場に提供すること、またそれによって社員の能力を最短距離で伸ばし、業績に寄与することを目指しています。

1,000人の社員がいたら、1,000通りの育成方法やフォローアップが必要になります。私たちは引き続き、個別最適を意識して、それぞれに合った対応策を整えていきたいと考えています。

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