これからのリーダーに求められる“パワースキル”とは?企業におけるプロジェクトマネジメント人材の重要性 |HR NOTE

これからのリーダーに求められる“パワースキル”とは?企業におけるプロジェクトマネジメント人材の重要性 |HR NOTE

これからのリーダーに求められる“パワースキル”とは?企業におけるプロジェクトマネジメント人材の重要性

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※本記事は、インタビューを実施したうえで記事化しております。

テクノロジーの進化によって取り巻く環境が複雑さを増し、将来の予測が困難となったVUCA(ブーカ)時代において、「外部変化にうまく適応して成長や革新を続けている組織」を作るためには、どのようにすれば良いのでしょうか?

特に、この2年間の新型コロナウイルスの感染拡大による働き方の変化に伴い、企業や組織がプロセスよりも成果を重視する形へと一気に変わりつつある中で、関係各所との調整をおこないながら各プロジェクトを円滑に進めることのできるプロジェクトマネジメント人材(以下PM人材)は、今まで以上に求められています。

その一方で、こうしたPM人材は世界的に不足しているとされているという現状があります。そこで、今回はアフターコロナを見据えたリーダー育成手法について、最新の調査レポートなどをもとにご紹介いたします。

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1. 世界的に需要が高まるPM人材

世界60万人以上の会員を持ち、プロジェクトマネジメントのセミナーや資格制度を設ける非営利組織Project Management Institute(以下、PMI)が先日発表した『PMI人材ギャップ・レポート』によると、プロジェクトマネジメントスキルの需要が⾼まっていることに加えて、企業や組織がPM⼈材を確保することが世界的に難しい現状にあることが指摘されています。

『PMI人材ギャップ・レポート』
詳細はこちら:https://www.pmi.org/learning/careers/talent-gap-2021
※英語のみの提供となります。

また、上図のように、プロジェクトマネジメントスキルを必要とする仕事の数は、経済成長に伴って年々増加しており、2030 年までには2,500万⼈の新たなプロジェクトマネジメント専⾨家が必要となると予測されています。

そのため、プロジェクトマネジメントを担うリーダーの不足は、限られた時間と予算内で戦略的に業務を推進しているチームや組織にとって、納品の遅延や予算超過といった⼤きなリスクを招く可能性があります。

こうしたプロジェクトマネジメントを担うリーダーの不足は、納品の遅延や予算超過といった大きなリスクを招く可能性があります。

また、この人材不足は世界各地に影響をもたらし、2030年までに世界のGDPにおいて最⼤3,455億⽶ドルもの損失を⽣む可能性があると試算されています。

個人のプロジェクトマネジメントスキルは必須の時代に

そもそもプロジェクトとは、明確な始まりと終わりがあり、所属するメンバーと共に、リソースを効果的に配分・活用し、スケジュールを立てながら成果を出すための一連の業務遂行のことを指します。

プロジェクトを適切に管理し、プロジェクトを成功へと導く「プロジェクトマネジメント」のプロセスにおいて、これからの時代は、個人がさまざまな働き方を身に付けながら多才なプロフェッショナルになること、あるいは協働的なリーダーシップを発揮し、革新的な考えを創出する役割を担うことなど、求められるスキルはますます多様化していきます。

こうした変化を受け、各企業や組織としては、従業員の業務におけるスキルアップはもちろん、プロジェクトマネジメント能⼒を備えた候補者の積極的な採用や、プロジェクトマネジメントスキルを持った人材の育成をおこない、世界的にも不足が懸念されるPM人材の需要と供給のギャップを縮⼩しながら、ポジティブな影響を⽣み出すことが必要です。

上記の図は、アメリカにおけるプロジェクトマネジメント指向職種の変化を予測するもので、2030年にはソフトウェア開発を中心に、大きく需要が伸びていくことが予測されています。

現在の日本において、プロジェクトマネジメントの必要性はまだまだ限定的な理解に留まっているかもしれませんが、日本国内においてもITシステムにおける「2025年の壁(参照:『DXレポート』経済産業省)」が指摘されて久しく、その影響は計り知れません。

プロジェクトマネジメントスキルを備えた人材育成の重要性について、PMIアジア太平洋地区マネージングディレクターのベン・ブリーン氏は次のように述べています。

「日本の企業は、プロジェクトマネージャーやチェンジメーカーのスキルアップに投資し、継続的に学習する文化を作る必要があります。ここ数年、プロジェクトの成功にはコミュニケーションとコラボレーションが不可欠であることがわかってきました。従業員が適切な役割を果たし、付加価値をつけて成長していくためには、組織が協調的なリーダーシップ、ビジネス感覚、テクノロジーを駆使した問題解決などのパワースキルを育成し、従業員が新しい働き方を習得できるようにすることが不可欠です。」

それでは、ここからPMIが定義している、PM人材が獲得すべき「パワースキル」についてご紹介します。

2. PM人材に求められる「パワースキル」

PMIの調査によると、外部変化に柔軟に対応しながら成功を収めている企業では、先に挙げたプロジェクトのパフォーマンスが従来型の組織と比較して高いことがわかりました。

こうした成功を収める企業には、単なるデータサイエンスやソフトウェア開発といった技術的な強みがあるだけではなく、人的要素にも特徴があるようです。

PMIでは、これらの企業で働く人材にも注目し、彼らが持っているプロジェクトマネジメントに必要なスキルを「パワースキル」と呼んでいます。

ここでは、PM人材が獲得すべき「パワースキル」を構成する5つの要素についてご紹介します。

①コミュニケーション(COMMUNICATION)

効果的なコミュニケーションは、プロジェクトやチームのニーズに沿ったチームの調整を可能にし、チームメンバー間の理解を深めます。

優れたコミュニケーションは、成功を最大化し、リスクを最小化します。良いコミュニケーションとは、外に向けてのコミュニケーションだけでなく、聞くこと、フィードバックを受けること、非言語的な合図を理解すること、言ったことと意味を解釈することなどが含まれます。

②共感(EMPATHY)

共感は、チームメンバーが遭遇するさまざまな人々やワークスタイルをより深いレベルで理解することで、チームメンバー同士や他のステークホルダーとの間に、より大きな信頼とつながりを築くことを可能にします。

共感はまた、チームメンバーが感謝され、「聞いてもらった」と感じることで、チームを強化します。

③コラボレーティブ・リーダーシップ(COLLABORATIVE LEADERSHIP)

コラボレーティブ・リーダーシップ・スタイルは、チームメンバーを鼓舞し、共通のビジョンや共通の目標に向かってチームをまとめていく上で、より効果的です。

コラボレーティブ・リーダーは、チームの各メンバーが、計画を実行するだけでなく、目標の形成にも貢献できることを認識しています。

④革新的マインドセット(INNOVATIVE MINDSET)

革新的なマインドセットを持つチームは、仕事の進め方や、アイデアを現実にする際に生じる無数の障害に対処する方法に、新しいアイデアや新鮮な視点を適用します。

革新的なマインドセットを持つことで、チームは俊敏性を維持し、課題に直面してもより迅速にピボットすることができます。

⑤目的志向(PURPOSE-DRIVEN)

目的志向を持つことで、リスクを最小限に抑え、プロジェクトの設計と実施のあらゆる側面において、組織の価値観と社会的利益へのコミットメントが貫かれていることを確認することができます。

目的志向は、アイデアを現実のものにするのに最も効果的なチェンジメーカーが、そのスキルを使ってチーム、会社、コミュニティにポジティブな社会的変化をもたらすことを可能にします。

3. パワースキルを備えた人材を育成するために企業ができること

以上のように、プロジェクトを担う存在はパワースキルを備えたリーダーである必要があり、PMIの調査においても変革を促進する人材として認識されています。

パワースキルは、コミュニケーション、共感、協調的リーダーシップ、革新的な考え方など、変革を推進し協力して物事を成し遂げる上で重要となる社会的行動であるだけでなく、技術的・職業的な必須スキルを補完し、プロジェクトの成否を分けるものです。

それでは、企業として「パワースキル」を備えた人材を育成するためには、どうすれば良いのでしょうか。

PMIアジア太平洋地区マネージングディレクターのベン・ブリーン氏は、以下のように述べています。

「プロジェクトマネージャーやチェンジメーカーが成功するためには、技術がどのように役立つかを理解し、技術が導入された際に確実に適応する強力な技術指数が必要です。それと同じくらい重要なのが『共感力』、つまり人間性の視点でリードできる能力です。これまで『ソフトスキル』と呼ばれていたものを、その重要性から『パワースキル』と呼んでいます。柔軟に対応し成功を収めている企業は、新しい働き方を導入したり、従業員同士がうまく連携し、各自の貢献を大局的に把握できるよう、あらゆる支援をしています。また、各個人としては、幅広いビジネス目標を達成するために、自分の役割と他者の役割をどのように組み合わせるべきかを認識する、ビジネス感覚も必要となります。個人固有の資質と新しい働き方を結びつけることによって、曖昧な組織課題に対処することができるようになります。」 

つまり、まずは従業員から様々な意見を吸収して働きやすい環境を作り出すこと、そして各個人に明確な役割を与え、従業員同士で直接連携しながら働く仕組みを整えることが大事になるでしょう。

4. まとめ

今後の企業の経営や組織の運営においては、個人が自立して素早い意思判断のもと行動することが求められます。

変化を促すことに秀でたプロジェクト・マネジャーやチェンジメーカー個人にとっては、現在の⾃⾝がどのような役割を担っていようと、自らのスキルを発揮する好機となるため、今後さらに活躍の幅を広げていくことでしょう。

また、新型コロナウイルスの感染拡大のような外部環境の変化に柔軟に対応する力を養い、組織力を向上することも重要となります。

今回ご紹介したパワースキルは、PMIが提供するプロジェクトマネジメントに関する国際資格PMPのコース内でもカバーされており、プロジェクト推進の上では欠かせない非常に大切なスキルだと認識されています。

PM人材の重要性が高まる中で、このような資格制度も活用しながら企業として従業員の育成に取り組んで行くことも選択肢の1つとなるでしょう。

[Supported by PMI]

PMI(Project Management Institute)とは

 

PMIは、世界における何百万⼈ものプロジェクト専⾨家とチェンジメーカーのコミュニティの成⻑を⽀える世界有数の専⾨職組織です。プロジェクトマネジメントの世界的権威として、⼈々のアイデアの実現に向けた⽀援を⾏います。PMIでは、グローバルアドボカシー、ネットワーキング、コラボレーション、研究、教育を通じて、組織や個⼈の働き⽅をより効率的にし、変化の激しい世界で成功を促進させます。

URL:https://www.pmi.org/

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