【オシロ×YRK and共催】「組織力強化」成功の鍵 社員コミュニケーションの「A面」と「B面」とは? イベントレポート |HR NOTE

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【オシロ×YRK and共催】「組織力強化」成功の鍵 社員コミュニケーションの「A面」と「B面」とは? イベントレポート

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※本記事は、オシロ株式会社より寄稿いただいたものになります。

2024年7月31日、オシロ株式会社(以下、オシロ)と株式会社YRK and(以下、YRK and)の共催によるオンラインセミナー『組織力強化』成功の鍵 社員コミュニケーションの『A面』と『B面』とは?が開催されました。

本セミナーは企業での社員間コミュニケーションをレコードになぞらえ「A面」と「B面」の側面に着目したユニークなもの。

コミュニティ専用オウンドプラットフォーム「OSIRO」を提供するオシロと、企業の「リブランディング支援」を事業の核とするYRK and。事業アプローチの異なる両社により語られた「A面」と「B面」それぞれのコミュニケーションのあり方、その要諦についてレポートします。

登壇者杉山 博一オシロ株式会社 代表取締役社長

世界一周後、アーティスト&デザイナーとして活動、30才を機にアーティスト活動に終止符。32歳で日本初の金融サービスを共同で創業(2024年3月IPO)。外資系IT企業の日本法人代表を経て、2017年コミュニティに特化したオウンド・プラットフォーム「OSIRO」を開発・提供するオシロ株式会社を創業。以来クリエイターやアーティスト、ブランド企業、メディア、国のプロジェクトなどを含む300強のコミュニティを創出。

登壇者木村 昌紘株式会社 YRK and NG事業部長兼 BCU/A&D統括責任者

ブランドクリエイティブセクションのストラテジスト。医薬品、教育という特殊な分野のプランニングにも精通し、あらゆる業態のブランド戦略を構築することができる異色のストラテジスト。ブレインキャンプ®(YRK&独自のワークショップ)を活用することで、共創型でのプロジェクトからブランドストラテジーを構築し、企業の本質的な問題点に向き合う。YRK&のクリエイティブ、プロデュース、デジタル、メディアプランニングの機能活用はもちろん、あらゆる外部ネットワークをフル活用し、最速でクライアントを目的へと導く。また、クリエイティブディレクション経験も持ち合わせ、右脳的な感性と左脳的な論理を絶妙にマッチングさせた新しいコミュニケーションを創造する。

従業員幸福度を高めるためのB面コミュニケーションの重要性

第1部には、オシロの杉山氏が登壇。本セミナーを通底するテーマ「A面」と「B面」とはどのようなものか、現在なぜ両面を意識したコミュニケーションが求められるのかについて説明されました。

OSIROが重視する「1:n:n」コミュニケーションの仕組み

オシロが提供するコミュニティ専用オウンドプラットフォーム「OSIRO」は、もともとはアーティストやクリエイター向けにサービスを展開してきたものでした。

しかし、サービスの成長とともに企業ブランドのコミュニティ、そして企業のエンゲージメント向上や社内コミュケーション活性化に「OSIRO」を導入する企業が増えてきているといいます。

杉山氏:

OSIROはアーティストやクリエイターが自身の世界観を表現しつつ、継続的に”お金”と”エール”をもらえる仕組みづくりが出発点です。そのため、ファンの熱量が高い状態を維持していくために、コミュニティの中でファン同士が交流を深め、より高い熱量と強固な絆を深めることが求められます。

だからこそ、OSIROはコミュニティオーナーとファンがつながる(1:n)だけではなく、ファン同士がつながり、盛り上がれるコミュニケーション(1:n:n)を重視した仕組みを構築してきました。

このようなコミュニケーション・デザインをご評価いただき、徐々にブランドを持つ企業様に導入いただけるようになりました。その結果、コミュニティの中で顧客インサイトを得るだけでなく、ファンとファンが交流することで体験価値やつながり価値によるエンゲージメント向上にも寄与する効果を生み出しています。

そして現在では、従業員向けに社内コミュニケーション活性化やエンゲージメント向上にフォーカスした導入も目立ちます。

コミュニティの構築や世界観の醸成、さらには縦横のつながりを生むコミュニケーションの仕組みづくりに豊富な実績とノウハウを持つオシロ。

そのような同社の強みから、現在では企業文化の醸成や組織の心理的安全性の向上に悩む企業からの相談が増加しているといいます。

では、同社は社内コミュニケーションの「A面」と「B面」をどのように定義しているのでしょうか。

杉山氏:

私たちはA面を『業務』B面を『非業務』のコミュニケーションと定義しています。非業務とは、例えば趣味や仕事以外の興味関心などの話です。

このようにお話しすると、『職場で仕事以外の話をするのはいかがなものか』とお考えになる方もいるかもしれません。しかし、現代のエンゲージメントが低下しがちな働き方のなかで、非業務のコミュニケーションを活発化させることには、非常に多くの効果があります。

社会情勢の変化がもたらす社内コミュニケーションの課題

杉山氏は、企業がコミュニケーション不足に陥りやすい要因は「大きく二点ある」と説明します。

まず一点は「世代間でのコミュニケーションの違い」

現代の日本企業では昭和世代と平成世代、そして令和世代の3世代が働く状況です。杉山氏はそれぞれの世代のコミュニケーションの違いを例示しつつ、「世代間の相互理解が進まず、エンゲージメントが低下する傾向にある」と指摘します。

二点目の要因は「日本的経営のあり方の変化」

従来の日本企業のような帰属意識の高いメンバーシップ型からジョブ型の雇用への移行が進んでいます。また、キャリア形成において転職が当たり前となっている現代では、従業員同士のエンゲージメント向上は非常に難しくなっているのが現状です。

また、企業に目を向ければM&Aの増加により、異なる企業文化を持つ企業同士を融合させた新たな企業文化の醸成を求められることも増えています。

杉山氏:

現在企業や組織では『生産性の低下』『離職率の増加』『採用コストの増加』が深刻な課題となっています。一方で、2023年3月期からは上場する全企業に対して、有価証券報告書における非財務情報の記載・開示が義務化されました。

組織づくりとしては非常に難しい状況にあるにも関わらず、離職率や定着率、エンゲージメントの情報を開示しなければならない。経営者や組織づくりのご担当者の方々にとっては悩みの多い時代です。

 B面で心理的安全性を育み、円滑で建設的なA面を創出する

このような課題を踏まえ、杉山氏は「B面のコミュニケーションの活性化は組織力やエンゲージメント強化のソリューションになる」と述べ、その具体的な理由を以下のように説明しました。

杉山氏:

私たちはA面とB面のコミュニケーションに相関があると考えています。つまり、社内で豊かなB面コミュニケーションが生まれれば、相互理解が進み組織に心理的安全性が生まれます。それがA面での建設的なコミュニケーションにつながり、生産性や売上が向上していく良いサイクルを生むことにつながります。

実際、マサチューセッツ工科大学(MIT)組織学習センター共同創始者のダニエル・キム氏が提唱し、現在世界的な支持を集める組織開発モデル『成功の循環(Theory of Success)』でも、組織の人間関係と成果の相関性について言及されています。

杉山氏はOSIROの強みについて「長年のコミュニティ設計や運営支援のノウハウを活用した制度設計のサポートに加え、社内コミュニケーションを活性化できるコミュニティプラットフォームをワンストップで提供できる。3世代コミュニケーションの時代、制度やノウハウだけでも難しい、システムだけでも難しい、両方で設計運用することが大事になる。」と語り、以下のように講演を締めくくりました。

杉山氏:

B面のコミュニケーションを促進していけば、結果としてA面の業務やマネジメント上のコミュニケーションも改善に繋がり仕事で結果が出やすくなる、同時に社員のエンゲージメントは向上し、生産性も高まる理想的な流れができます。

このようなA面とB面のコミュニケーションを活性化する仕組みづくりは、今後人的資本経営を実践する上で必要なソリューションになると考えています。

 MVV構築と浸透のためのA面コミュニケーションのケーススタディと実践方法

続いて、YRK andの木村氏からA面、業務上のコミュニケーションによるビジョン浸透や組織づくりの要諦について講演されました。

 求められる「人的資本経営時代」にふさわしい経営マネジメント

YRK andは「リブランディング支援」を事業の核に、組織変革やエンゲージメント向上を支援することで、さまざまな企業の業績を改善してきました。

同社も明治29年(1896年)の創業からさまざまな社会的・経済的変化をリブランディングと事業変革によって乗り越え、128年間にわたり事業を維持・成長させてきた背景を持ちます。

そのような同社でも、現在企業を取り巻く環境は「予断を許さない状況にある」といいます。

木村氏:

現在、職場・組織を取り巻く環境は大きく変化しています。現在は人手不足倒産が大きく増加しており、今後も深刻化すると予測されています。

そして、先ほど杉山氏のお話にもあった通り中途入社の割合が増え、同時に人材のグローバル化も進んでいます。また、世代ごとの仕事に対する意識も非常に大きく変化している状況です。

そして、M&Aによる合併後、企業文化がなかなか交わらないという相談は当社にも非常に多く寄せられるお悩みごとです。

これらの変化は良し悪しの話ではなく当たり前と捉え、同じ職場で働く仲間同士が違いを受け入れてより良い企業を目指していく。そんな時代になっていると思います。

木村氏は同時に、コロナ禍を経てリモートワークが普及したことも、企業にとってエンゲージメントを低下させやすい要因となっていると指摘します。

木村氏:

このような背景から、悲しいことに現在の日本企業は世界的に見ても従業員エンゲージメントが低い状況にあります。

さまざまな環境変化のなか、従来の経営マネジメントに固執していると、生産性は下がる一方で離職者が増え続け、採用難から事業自体を縮小せざるを得ない『負のスパイラル』に陥ってしまう企業が増えているのが現状です。

そのため、今回の論点であるA面のコミュニケーションでは、人的資本経営の時代にふさわしい経営マネジメントへの転換を提唱します。

具体的には、損益のPLを追いかけ続ける経営から、弊社が提唱する『VL™︎経営(ビジョナリー・リーダーズ経営)』という手法をご紹介しながら説明していきます。

「VL™︎経営」のメリットと重要ポイント

YRK andが提唱する「VL™︎経営」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。木村氏はPL経営との違いについて、以下のように説明します。

木村氏:

VL™︎経営は、ビジョンの実現を起点とし、従業員のベクトルを合わせて従業員一人ひとりに浸透させていく経営マネジメントの手法です。

VL™︎経営を実現させる最初のステップは、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)やパーパスといった、企業の目指すべきゴールと理由を定めること。ステップ2は、全従業員がゴールの意味や目的を理解し、実現に対して共感している状態をつくることです。

企業がこのような状態へと変化することによって、より成果が生まれやすく、アイデアが生まれやすくなっていくグッドサイクルが生まれていきます。

木村氏は続けて、「MVV構築と浸透に重要なポイント」を解説します。

木村氏:

順を追って説明すると、まずは『自社の理想となる姿を議論する』。そして『理想となる姿を実現するために何ができていて、何ができていないのかを明確に洗い出す』。それから『理想の姿になるために一番大事な価値を言語化する』こと。この3点がMVV構築には重要になります。

そして、MVVを構築したあとは、これを浸透させていくステップとなります。このときには組織には『2:6:2』の法則を意識することが大切です。

つまりMVVに共感し自ら動いてくれる2割の人には『伝道者』になってもらえるように働きかけ、6割を占める大多数の人には期待感の醸成する取り組みが求められます。そしてなかなか温度感が高くない2割の人には変化を促すルールをつくっていきます。

木村氏はケーススタディとして、M&Aによってグループインしたあるメーカーの事例を紹介。VL™︎経営のメソッドを活用してMVVを明確化し、グループ内でもシナジーを発揮できる組織へ変革するまでのプロセスについて説明しました。

最後に、木村氏は自社サービスについて紹介しつつ、以下のように締めくくりました。

木村氏:

当社では『ゴールを設定すること』と『ゴールに対する組織浸透』というA面コミュニケーションについて、豊富なコンサルティングスキームを用意しています。それぞれの企業様のコンディションに合わせてカスタマイズしながら、ふさわしいやり方を設計していきます。

一方で、未来を語り合う時には、普段の会議体では『できないこと』を考えてしまいがちです。そのため、私たちは独自のメソッド“ブレインキャンプ®”と呼ぶ、独自のワークショッププログラムを用意しています。

これは、役職・部署関係なく様々な視点からコミュニケーションを重ね、プロジェクトメンバーが一丸となってブランドの方向性を考え、自分たちの”在りたい姿”を捉え直す機会です。固定観念に囚われない発想を生み出すため、視覚・嗅覚・聴覚を刺激する、非日常空間でのワークショッププログラムです。

普段の業務から切り離した開放的で心理的安全性が保たれた環境で、ブランドの理想像を具現化するイノベーション体験を提供します。ぜひご興味があればお問い合わせいただけると幸いです。

まとめ

今回のセミナーは、企業のコミュニケーションを「A面」と「B面」の側面に着目し、それぞれのコミュニケーションに特化する企業から専門的な知見が持ち寄られた非常にユニークなものでした。

A面とはつまり業務、特に企業経営には欠かせないMVVの策定や浸透のプロセスついて重点的に語られました。YRK andは明治期から激動の時代を乗り越えて現在もなお成長を続ける、まさにリブランディングのプロ集団としての豊富なノウハウが共有されたことが印象的でした。

一方でオシロは創業以来300以上のコミュニティを育成してきたことから、そのノウハウとシステムを従業員同士の「コミュニケーション」や社内コミュニティの醸成にも活かし、社内コミュニティソリューションという新しい扉を開こうとしています。そういった意味では、戦略と具体的な方法論を提供する両者の知見が持ち寄られたセミナーであったといえます。

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