3社のCHROと考える、2021年に人事が意識したい次の一手|HR-Study#8 |HR NOTE

3社のCHROと考える、2021年に人事が意識したい次の一手|HR-Study#8 |HR NOTE

3社のCHROと考える、2021年に人事が意識したい次の一手|HR-Study#8

  • 組織
  • 組織・その他

※本記事は、主催企業や登壇者/登壇企業に内容を確認のうえ、掲載しております。

2020年は新型コロナウイルスの影響で、リモートワークの導入やオンライン選考など、人事を取り巻く環境も大きく変化した年だったかと思います。

そこで、2021年最初のHR-Studyは3社のCHROをお迎えし、2020年を振り返りながら「今、人事担当者が考えるべき次の一手」をテーマに議論。

ニューノーマルな働き方が定着しつつある中、今人事担当者が考えるべき施策とはなにか?

各社の実践してきたノウハウや、これからの人事にとって求められるスタンスなどを知ることができ、非常に学ぶことの多いイベントとなりました。

※本記事は、2021年1月15日(金)に実施されたイベント内容の一部をまとめてご紹介します。

登壇者紹介

江澤 身和|株式会社スープストックトーキョー 取締役副社長兼店舗営業部長

短大卒業後、フリーターを経て2005年にスープストックトーキョーのパートナー(アルバイト)として株式会社スマイルズに入社。1年後に社員登用されて複数店舗の店長を歴任し、法人営業グループへ異動。2016年、株式会社スープストックトーキョーの分社に際して取締役兼人材開発部部長に着任。2019年4月に取締役副社長兼店舗営業部長となる。「Forbes JAPAN WOMEN AWARD 2018」では個人部門・チェンジメーカー賞を受賞した。

島田 由香|ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス株式会社 取締役 人事総務本部長

1996年慶応義塾大学卒業。2002年米国ニューヨーク州コロンビア大学大学院にて組織心理学修士取得。学生時代からモチベーションに関心を持ち、キャリアは一貫して人・組織にかかわる。高校生の息子を持つ一児の母親。日本の人事部「HRアワード2016」個人の部・最優秀賞、「国際女性デー|HAPPY WOMAN AWARD 2019 for SDGs」受賞。Team WAA! 主宰/YeeY Inc. 代表/Delivering Happiness JapanチーフコーチサルタントJapan Positive Psychology Institute 代表/米国NLP協会マスタープラクティショナー/マインドフルネスNLP®トレーナー

曽山 哲人|株式会社サイバーエージェント 常務執行役員CHO

上智大学文学部英文学科卒。高校時代はダンス甲子園で全国3位。1998年に株式会社伊勢丹に入社し、紳士服の販売とECサイト立ち上げに従事。1999年に当時社員数20名程度だった株式会社サイバーエージェントに入社。インターネット広告事業部門の営業統括を経て、2005年人事本部長に就任。 現在は常務執行役員CHOとして人事全般を統括。

モデレーター

西村 創一朗|株式会社HARES CEO/複業研究家/HRマーケター

新卒でリクルートキャリアに入社後、法人営業・新規事業開発・中途採用などを歴任。在職中の2015年に「二兎を追って二兎を得られる世の中を創る」をミッションに株式会社HARES(ヘアーズ)を創業後、2017年に独立。今回のテーマである「オンボーディング」を含め採用・人事領域を中心に多数の企業のアドバイザーを務めるほか、人事系イベントのモデレーター/ファシリテーターとしても活躍。著書に『複業の教科書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン刊)がある。

[勉強会の内容をまとめたスケッチノート|拡大する]

「人事の2020年」を振り返る

本日はみなさん、よろしくお願いします。

まず、このイベントに先立って、人事の方100名に「今年の人事業務を振り返る9の質問」というアンケートをとらせていただきました。

このアンケート結果をもとにCHROの3名に、2020年の振り返りを伺いたいと思います。

Q1|2020年を一言で表すとしたら、どんな1年でしたか?

まず、1つ目のアンケートの質問と回答です。

2020年を一言で表すと?」に対して、「テレワーク・強制改革・混沌・我慢・変化・手探り」など、コロナ関連のキーワードが多く挙げられていました。

このキーワードを見て、みなさんはどのように受け取れられますか?

スープストックトーキョーとしても「変化」が大きい1年でしたね。

一時は全店舗が閉店し、接客スタイルの変化、休業補償の対応手続きなど、今までとは状況が一気に変わったので、それにあわせて攻めと守りのバランスをとることが本当に大変でした。

しかし、この変化は決してネガティブにとらえていません。コロナのタイミングで一気に変化・進化することができると、前向きにとらえていました。

実際に、スープストックトーキョーの社内メンバーは、この環境を変革ととらえ「うまくひっくり返すぞ」と意気込んでいたのは嬉しかったことです。

2020年はいろいろありすぎて、一言で表すのは難しいですよね。

私は、先ほどアンケート結果で出てきた「価値観の再構築」というキーワードにとても共感します。

2020年はとにかく内省の1年で、「本当に大切なことはなにか?」と考えました。

その結果「社員の安全がもっとも大切」であることを改めて痛感し、社員を守る想いが一層強くなりましたね。

ユニリーバはメーカーですので、特に工場勤務の社員には本当に感謝をしています。

コロナによって、一気にオンラインに切り替わりましたよね。

これまでのサイバーエージェントは、渋谷オフィスにメンバーが集まり、オフィス内での偶発的な出会いから生まれるイノベーションを大事にしてきたのは事実です。

しかし昨年は、オンラインで働くことのポジティブな価値を感じることができたことが、新たな気付きとなりました。

現在はオンラインの価値も残しつつ、「週3日を出社日×週2日リモートワーク」とするなど、うまくミックスしながら運営をしています。

また、1回目の緊急事態宣言のときは、毎日新聞やメディアで情報収集しながら「わが社はどういう軸で動くべきか?」とひたすら考えていました。

各社、価値観が分かれる1年だったなと感じています。

Q2|2020年、人事が注目したニュースは「リモートワーク対応」

ありがとうございます。続いて、人事のみなさんが気になったニュースについて見て行きたいと思います。

リモートワーク対応に関心を寄せている人事の方が多かったのですが、サイバーエージェントさんはリモートワークに関してどのように取り組まれましたか?

緊急事態宣言が出たタイミングで、リモートワークに舵を切りました。

しかし、小さいお子さんがいる家庭や、出社を希望する社員がいるなど、多様な価値観がある中での軌道修正は大変でした。

今は、週2日のリモートワーク日を「リモデイ」と呼び、リモートワークを取り入れています。

週2日というのは絶対ではなく、「リモートしたい人はいつでもOK」になっています。

また、週3日の出社日を残したことで、オフィス内で「久しぶり~!」という社員同士の偶発的な出会いが継続できていることはよかったことです。

なかでも若手社員は、「先輩の動きを側で見たい」という方が多かったので、出社日はうまく残していこうと考えていました。

リモートと出社の良いところを活かしながら運営をされているのですね。

ユニリーバさんはもともと「WAA(Work from Anywhere and Anytime)」という考え方をお持ちかと思いますが、コロナ禍ではどのような運営体制をとられていましたか?

私たちは5年以上、当たり前のようにリモートワークを取り入れてきました。しかし、ここまで長く在宅で仕事をするというのは初めてのことです。

そこで、完全在宅勤務のあいだにオフィスの在り方を考え直し、オフィスで偶発的な出会いを生み、ユニリーバのカルチャーを感じる場とするために全面改装をおこないました。

在宅でも仕事はできますが、サイバーエージェントさんがおっしゃるように、オフィスはアイデアやイノベーションを生むために残しておきたいと思ったんですよね。

完全在宅では、意図していなくても目から自然に入ってきていた会社に関する情報が減ってしまうんです。

そこで新しいオフィスでは、壁のデザインや部署ごとの配置にもこだわり、各所に会社のカルチャーを感じられるような仕様に設計しました。

リモートが増えた今だからこそ、オフィスの価値を考え直したんですね。カルチャーを感じられるデザインとは、具体的にどのようなものですか?

ユニリーバのロゴや、コーポレートブランドで使っている配色、メッセージを壁のデザインに採用し、会社のカルチャーに関する情報が視界に自然に入ってくるようにデザインしました。

また、さまざまなブランドをはじめ、ダイバーシティ、ウェルビーイングなど、ユニリーバが大切にしている価値観をデザインに取り入れています。

リモートワークの話とは少し逸れますが、当社のコロナ対策は、お客様や働くメンバーの安心安全を第一に考えて取り組みました。

一例として、休業補償については国から話が降りてくる前に、「スープストックトーキョー独自で休業補償を100%出す」ことを、真っ先に全従業員に伝えています。

お給料がなくなることが社員にとって一番の不安です。その不安を払しょくするために、素早く経営判断をしました。

これは「社員を大切にしています」という、スープストックトーキョーのメッセージでもあります。

結果として社員のパートナーの方から、感謝のお手紙をいただくこともありました。

早期に判断したからこそ、「社員が大事、人が1番大切」という会社の価値観を浸透させることができたと思います。

店舗の休業期間中はどのような取り組みをされていたのでしょうか。

店舗が閉まっている時間を活用して、社内研修を活性化させたり、毎日社員同士で顔を合わせる朝礼の場を設けました。

休業期間は、時間管理がどうしても不規則になると思ったため、朝礼は9時半から毎日30分、リモートワークで出勤する社員で集まって雑談をするようにしていました。

この朝礼をおこなったことで、各自宅からの参加でもお互いの距離を近く感じられて良かったなと思います。

そのほかにも、店舗ごとに「改善に向けたお題」を出し合って、営業の再開に向けて、良いスタートが切れるように準備をしていました。

Q3|2020年に最も力を入れた人事業務は?

2020年に最も力を入れた人事業務」についてですが、みなさんは振り返ってみていかがでしょうか。

正直なところ、通常の人事業務での新たな施策についてはほとんど考えられませんでした。

それよりも社員全員のセーフティ、そしてウェルビーイングに注力しました。

たとえば、マインドフルネスやヨガを取り入れたり、オンラインでのコミュニケーションに関するナレッジシェアをしたり・・・、社員の心と身体の安全を考えながら、1つずつ取り組んできました。

採用もインターンシップもすべてリモート化できていましたし、私は個人的にリモートワークでもコミュニケーションはとれると思っています。

ただ、オンラインだと“相手に触れる”ことができないので、そこは物足りなさはありますね。

人事業務については、アンケート結果に記載があるものは一通り実施しました。

さまざまな取り組みをしたものの、社員と対面の食事に行けなくなったのは残念でしたね。

やはり、オンラインの飲み会だとどうしても味わえないものが食事や飲み会にはありますし、サイバーエージェントでは毎週2~4回くらいは社員同士のランチや飲み会をおこなっていましたから。

そこで、私たちは食事ができなくなった代わりに、オンラインのトレーニングを進めました。

「Leaders Online Training」、略して「LOT」と社内で呼んでいるのですが、このオンライントレーニングはマネージャー向けに実施しています。

内容は、「オンラインでどのように部下に向き合えばいいのか」「オンライン下でチームビルディングをどう進めていくか」というものです。

LOTについて
  • フレーム:サイバーエージェントで実践されているフレームーワークを使う。
  • 共通言語:フレームワークを材料に議論することで、自分たちの共通言語を増やせる。
  • 実践学習:次の回までに学んだものをひとつ実践。実践によって知恵が増える。

大事にしていることは、「自分たちで共通言語を決めてもらう」こと。言葉がズレると、組織がズレる。

参考:デキタン(できるヤツ探求アメブロ)|曽山 哲人 https://ameblo.jp/dekitan/entry-12595252704.html

これからの人事が担う役割と、今後人事担当者が注力すべきポイントとは

第2部では、以下9つの質問の中から視聴者の方が気になるテーマに対してディスカッションを進めてまいります。

視聴者に投票いただいた結果はこちらです。

最も多かった「2021年に実践したい次なる一手」は最後にとっておいて、まずはコロナ禍における従業員エンゲージメントについてお話を伺いたいと思います。

エンゲージメントの話をする前に、「そもそもエンゲージメントとはなにか?」を考えなくてはなりません。

従業員エンゲージメントと類似した言葉で「モチベーション」がありますが、モチベーションは自分一人で完結すること。

一方、エンゲージメントは対峙する他者・チームがいて成り立つものだと考えています。

自分一人ではなく、社長、同僚、チーム、会社など相手ありきで考えるのがエンゲージメントです。

最近私がエンゲージメントに関して、色々と取り組んでいるものの一つにラジオがあります。

オンラインが増えた中で、どうしても雑談が減ってしまったこと、ウェブ会議だと音声が途切れて話しづらいなと感じたことをきっかけにラジオを試してみました。

ラジオのやり方はとってもシンプルで、たとえオーディエンスが2名くらいでも構わず、私ともう一人のメンバーがオンライン会議の音声だけを使って一方的にしゃべりまくっている感じです(笑)。

「この日に参加してください」と強制をすることなく、聞きたい人だけその日の気分で集まってきてくれます。

聞いているメンバーはチャットで質問もくれるので盛り上がっていますよ。

音でなにか情報提供をすることの価値は、2020年新たに気付いたことの一つですね。

エンゲージメントの取り組みとしては、ラジオのほかにもオンラインのチームビルディングもおこなっています。

オンラインだと話している人の声が耳に入りやすいので、意外と活性化するんですよね。

今までも月に1度、「All HRセッション」という名でチームビルディングをおこなってきましたが、これがオンラインでもうまく取り組むことができています。

エンゲージメントの施策が上手くいっているなと、手ごたえを感じたポイントはどのような点でしょうか?

ラジオ施策が上手くいっていると思ったのは、リスナーが0名になったことがない点です。

あとは、話している私たちが楽しいと感じているところも手ごたえですね。

ラジオの時間は朝の8時45分~9時までの15分くらいで、あえて短くしています。

とにかく2人で好き勝手に話すのが楽しくて、このラジオは他の部署でもやってみようかなという声がでています。

続いて、スープストックトーキョーさんはエンゲージメントについてなにか施策を実施されていますか?

スープストックトーキョーでは、店舗の休業期間中に毎日朝礼をおこなっていましたが、休業が明けたあとも継続して朝礼を実施しています。

朝礼をおこなう前は、自店舗の情報はわかるものの、他部署や他の店舗の状況が見えなかったんですよね。

だからこそ朝礼の頻度を増やして、社内の広い範囲で情報シェアをするようになりました。

スープストックトーキョーは12月が繁忙期となりますが、昨年末はどうしてもコロナの自粛ムードでやりきれない状況がありました。

そんな状況だからこそ、各店舗で動画を撮り合って共有し、お互いがエールを送り合う形でエンゲージメントを高めるよう工夫しました。

送り合った動画は全部つないで1つの動画に編集し、社内で共有することで一体感を持てた実感があります。

それぞれが「やってるよ!頑張ってるよ」とコメントをし合えたのはよかったと思っています。

日本人はエンゲージメントが他国と比べて低いと言われています。

エンゲージメントを量るギャラップの12個の指標に当てはめると、日本人はたったの6%しかイエスと言わないという調査があります。

サイバーエージェントでは、この12個を見ながらなにか取り組めることはないか、考えているところですね。

ギャラップのQ12
  1. 仕事上、自分が何を期待されているかがわかっている。
  2. 自分の仕事を遂行するために必要な資源を持っている。
  3. 仕事上、毎日、自分の最も得意とすることを行う機会がある。
  4. この一週間で、良い仕事をしていることを褒められたり、認められたりした。
  5. 上司または同僚は、自分を一人の人間として扱ってくれている。
  6. 仕事上、自分の成長を励ましてくれる人がいる。
  7. 仕事上、自分の意見が考慮されているように思える。
  8. 自分の会社の使命/目的は、自分の仕事を重要なものと感じさせてくれる。
  9. 自分の同僚は、質の高い仕事をすることに専念している。
  10. 職場に最高の友人と呼べる人がいる。
  11. この半年間、同僚が自分の進歩について、自分に話してくれた。
  12. この一年間、仕事上での学び、成長する機会があった。

これからの人事が実践すべきこと、求められていることとは?

では、一番アンケート回答が多かった「2021年に実践したい次なる一手」に触れていきたいと思います。

その前に、そもそもお三方は人事部門の統括立場として、これからの人事に何を求めていらっしゃいますか?

これからの人事が何を大切にすべきか、ご意見を伺えますでしょうか。

コロナの前後で、人事の本質的な部分は特に変わらないと考えています。ただ、社員から見ると人事の存在は変わったかもしれません

コロナの影響で、人事担当者がいかに社員の日常に関わる立場なのか、受け手にとっての感情は変わったのではないでしょうか。

でも私たちの追求するものは変わらないと思います。

私たちが経営人事に求めていることは、「成果の定義から始めろ」という考え方です。

「自分の会社が、経営上でなにを成果ととらえているのか?」。この指標がずれたまま人事が取り組んでしまうことは良くありません。

自己満足で人事業務をおこなうのではなく、「会社にとって目標はなにか?ゴールはどこに設定するか」を話してから、取り組むべきだと考えています。

それがこれからの人事に求められることだと思っています。

[経営人事の考え方|https://ameblo.jp/dekitan/entry-12640913280.html]

今まで飲食業界は採用難が続いていたので、「人事に求められること=採用」でした。

しかし、コロナで職を失った方からの応募が増えている今、採用難易度が変わり、採用市況感は追い風となっています。

ですので、今までのように「人がいないからできない」という言い訳を無くしたいですね。

そして、自分たちが求める採用人物像を固めて、より人材を強化していくことが我々に求められることだととらえています。

さまざまな変化があった今、2021年の人事担当者は具体的にどう動いていくべきか。みなさんのご意見を伺わせてください。

今後の人事担当者は、社員の健康に対するアンテナをあげるべきだと思っています。

この1年間、想定外のことに振り回され、コロナに向き合ってみなさん疲れていますよね。

このあと2~3年は、このストレスが続くかもしれません。この疲れやストレスがじわじわと心身に悪影響を及ぼす可能性はあるでしょう。

だからこそ、社員の心身の健康のために、心理カウンセラーや産業医との面談などを進めていきたいと考えています。

実際、社員のアンケートを見てみると、「コロナ禍でも前向きにチャレンジできている」という声がある一方で、「リモートに疲れた」という声もあるのが事実です。

積み重なった疲労が、メニエール病のような症状などを出してしまわないよう、人事は社員の健康に意識を向けて動く必要があるでしょう。

曽山さんのおっしゃる通り、社員の健康に関しては大いに賛同します。

実は私、以前受けた健康診断で、再検査項目が出てしまったんですね。

今まで健康診断は引っかかったことがないのに、ストレスによる不整脈と診断されました。

どんなに元気だと思っていても、精神的、肉体的なストレスがあるのだと実感しました。コロナは先が見えませんし、誰しもが初めてのことですもんね。

曽山さんがおっしゃる通り「疲れや症状は後からくるもの」だと思うので、人事担当者はまず第一に自分の健康を大切に。そして、その次に社員の健康を考えましょう。

もう1つ、人事担当者に限ったことではありませんが、それぞれが改めて自分の人生、仕事、家族について考えて欲しいですね。

このイレギュラーな事態は、「自分はなんのために存在しているのか」と考えるチャンスだと思います。

わたしたち人事担当者はなんのために存在しているのかを話し合って、組織目標を持ち、皆で共通言語で会話して目線合わせをするのがよいと思いました。

コロナ禍の1年間は、働き方について、自分自身について深く考えました。

なかでも今後、より加速させていきたいのは副業(複業)への取り組みです。

自分の働き方を自分で決めていけるような環境づくりをしたいと思っているためです。

2021年は、それぞれがなにに興味を持ちこだわっていきたいのか「個性」を色濃く出していく年になると思っています。

自分のやりたいことを意思表示してもらいながら、それぞれが自分で働き方を選択できる制度を作っていけたらいいなと思います。

これが2021年の人事担当者として動いていきたいことです。

視聴者からのQ&Aコーナー

ここからは、視聴者からいただいた質問に対する3名のCHROからの回答をご紹介していきます。

Q.オンライン施策で、他に取り組んだことはありますか?

オンラインだからこそ意識的に1on1を実施しています。また、月に1度のアンケートや、社長や私に直接連絡ができる窓口(メールアドレス)を公開するなど取り組みました。

これは、なにか不安や不満があったときに、誰にも相談できないのが1番よくないと考えたためです。

「話を聞きます」というスタンスで、個々の声を聴く頻度を高めるようにしていました。

Qリモートできる職種と、できない職種の不公平感をなくすためには?

逆に私は「不公平ってなに?何が平等なの?」と聞き返しています。

必ずしも、同じものを全社員に行き渡らせることが平等ではありません。

たとえば工場勤務の社員はリモートができない、それは本当に不公平なのでしょうか。

工場のオペレーターの皆さんが望んでいることは「カレンダー通りの休みをとりたい」ということであり、必ずしもリモートをしたい人ばかりでもありません。

優しさからかもしれませんが、結局のところ工場の外にいる人から「リモートできなくて不公平だ」という声が上がっていたように思います。

平等を考えるときに、必ずしも全員に同じものを与える必要はないということです。

Qコロナで副業(複業)希望者が増えてきましたが、社内の承認基準はありますか?

基本的には副業(複業)をNGにすることはほぼありません。強いて言うなら、「自社サービスと競合になるものは控えてください」ということです。

たとえば「Uberの配達員をやりたい」と言ってきたら、「事故の無いように気を付けてね」と安全配慮はしますが、基本的には本人がやりたいことを後押しするのが大切だと考えています。

私も基本的には断ったことはないですが、2つのポイントで見ています。

1つは競合になっていないか。もちろん性善説ですけどね。もう1つは報酬が発生するときに、税務管理はきちんとやってくださいね、ということです。

あと一応、「1週間にどのくらい時間をかけるか?」というのは聞くようにしています。

ルールとしては、本業に支障をきたさないことと、ブランドに傷をつけないことですね。

自身の言動でブランドを毀損しないようにして、年末調整も自分でやるようにお伝えしています。

Qリモートワークの中での評価基準を教えてください。

当社は、社員が出した結果しか見ていません。

管理職の役目は、社員の細かい業務をチェックすることではなく、チームや会社の目標を達成できるようにメンバーの強みをファシリテートしていくことだからです。

結果で評価をおこない、細かいところ(プロセスなど)は社員本人が「私はこう取り組みました」とプレゼンすればいいと思っています。

1週間に1度しっかりコミュニケーションをとっていれば、結果が出るまでにどのような動きをしたかはわかるはずですから。

もともとは、定量と定性の2軸で評価を見てきました。

しましこれからは、成果とミッションという軸に変えようと思っています。

成果とは「組織で求められた目標への結果」のことで、ミッションは「組織貢献につながるもの」を指します。

リモートだとどうしても成果を見がちになるので、それ以外のミッションやチームプレーを大事にするために、今新たな評価制度をディスカッションしてるところです。

評価制度は、その時々の会社を表すものですよね。私たちも今、評価制度を変えようと動いているところです。

とくに「変革・チャレンジ・企画する」という、一人ひとりが頭を使って動いていく姿勢についてもっと評価をできるような仕組みを考えて、見直しています。

経営における「人」の重要性。人事が変われば経営が変わる

最後にお一人ずつメッセージをお願いします。

昨年は世の中が一変し、不要不急と叫ばれ、考えさせられることが多かった1年となりました。

この状況下だからこそ、今私たちはなにをすべきか、なにが大切なのかを見つめ直せたと思います。

大切なことはなにか突き詰めていくと、結局は「人」が重要であり、一人ひとりがどう動くかで会社の在り方が変わるのだ実感しています。

一人ひとりの社員の思いを受け止めながら一緒に成長していけるよう、人事が中心となって前に進んで行かなくてはいけないと思っています。

みなさんも一緒に頑張っていきましょう。

人事が変われば会社が変わる、会社が変われば日本が変わる、そして世界が変わります。

人事から世界を変えていくために、どんどんよいナレッジはシェアしあって、お互い頼りながら進んでいきましょう!

健康だけでなく幸せ(ウェルビーイング)に気を付けましょうね!

今後はより一層、コミュニティに力を入れていきたいと思っています。

会社の管理職だけの空間を作るのではなく、社内コミュニティ、人事コミュニティに力を入れたいということです。

今後もみなさんと関わりを持ちながら、視野を広げていきたいと思っています。

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