経済産業省の調査では、2030年にIT人材の不足数が最大で79万人になるという試算が出ています。
今後20年で労働人口の20%が減少すると言われる昨今、新しいビジネスの担い手として、生産性向上に寄与できるDX人材(IT人材・エンジニア)の確保が重要になってきています。
一方で、このようなDX人材の確保は非常に難しいものです。絶え間なく技術が進展するテクノロジーの分野では、人材に求められるスキルや能力が状況によって変化しやすく、各企業、個別案件に対応したDX人材を確保していくことが求められています。
そのようなDXの課題を踏まえて、
- 株式会社コアコンセプト・テクノロジー
- 株式会社INDUSTRIAL-X
- 日鉄ソリューションズ株式会社
上記3社による「DX組織づくり」をテーマにしたイベントを実施。
DXの現状やDX推進組織の立上げに関するポイント、エンジニアの市場動向などについて触れており、今回は、当日のレポート記事として、DX組織づくりの先端事例をご紹介させていただきます。
登壇者紹介
金子 武史 | 株式会社コアコンセプト・テクノロジー 代表取締役社長CEO
八子 知礼 | 株式会社INDUSTRIAL-X 代表取締役
齋藤 聡 | 日鉄ソリューションズ株式会社 執行役員 DX&イノベーションセンター所長
目次
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。
【第1部】DX現状に関する基調講演|INDUSTRIAL-X 八子氏
八子さん:いろいろなメディアでDXが取り上げられていて、DXという単語を見ない日はないと言っても過言ではないのではないでしょうか?
デジタルトランスフォーメーションとは、私どもの定義においては、「デジタル技術を使ってそして新しい姿に変わること」としています。
デジタル化にフォーカスが当たりがちですが、それを通じて「どのような姿になりたいのか」が重要なポイントです。
そして、そのためには「デジタルツインを目指すことですよ」と伝えています。
図の左側にあるアナログの世界を、あらゆるデータを収集しデジタル上に再現することによって、シミュレーションできるようにします。
特にアナログの世界では、時間を止めることはできません。
一方で、デジタルの世界では時間を止めたり、過去にさかのぼったり、未来の傾向、異常値が発生するリスクなどを予測をすることができます。
また条件を変えてみれば、未来に対して様々なシナリオを変数が変わったときにも、どのようになりうるのかということを何百通りも、今のクラウドの力を使えばシミュレーションすることができるわけですね。
変化に対してあらかじめ予測をしておき、その予測した結果のもと行動する。仮説にもとづいてこのサイクルをぐるぐる回していくことによって、より良い世界、より良い暮らし、より良いビジネスを目指していく。
そのような環境をつくれればと考えています。
DX推進の課題
八子さん:デジタルの力で大きく会社の姿、ビジネスの形を変えていくことが重要であると考えていますが、日本の企業には、推進上の課題がいくつかあります。
左側のパートに代表されるように、売上高が小さくなればなるほど、次第にDXに取り組んでいる企業は少なくなってしまいます。特に1億円未満の会社においては、実に42%ほどの会社が何もしていないという回答です。
とはいえ、残りの58%は何らかのDXに取り組んでいるわけですよね。ただ一方で右側のように、その取り組み内容はテレワークやペーパーレスといった、IT化の延長線上のみにとどまっています。
私たちとしては、ピンク色の部分である、新商材の開発、新規顧客開拓、顧客行動分析など、こういった部分が本来のDXで目指していただきところになります。
この裏付けとして、上位の回答をされている方々は、「DXが何かを理解していない」ことが、クロス集計結果からわかっています。
「今後、何が新たな検討事項となると考えられますか」という設問に対して、やはりまだまだコロナ禍の影響を背景に、「リモートでDXを推進していくことが重要である」という回答が多くなっています。
求められるDX人材の採用・育成
八子さん:その一方で、「DX人材の確保・育成が重要である」という回答が、前年のほぼ倍になっています。
2020年度は、「DX人材は市場から調達できる」と考えていた企業が非常に多かった。ところが市場から調達しようと思っても難しいことがわかり、社内を振り返ると社内にもいないということに気づいた。
このように、DXを推進するリーダーが採用しにくいし、育成も簡単にはできないということが、課題感となって回答に表れているという解釈を持ちました。
そしてもう一つ、経営陣がDXに向けて本気度を増しています。
左側の辺りのように、社員から見ると、「経営陣のDX本気度を感じる」という回答が50%を超えています。ただ逆に、社員からも「まだ経営陣本気じゃないな」と見えているのが50%もあるとも言えます。
また一方で、「従業員がDX理解している」と感じている経営者は36%ほどで、悩ましい「親の心子知らず」です。そして、その親もDXについて完全には理解し切れていない、という状況かと思います。
アメリカと日本の比較
八子さん:また悩ましいことに、社員のITリテラシーや、DX人材の質や量について、アメリカと日本を比べてみた場合に非常に大きな乖離があることがわかっています。
表を見ると、量も質の確保でも、下段のアメリカは、「過不足はない」と答えている企業が半数いるのに対し、日本企業は「やや不足している」「大いに不足している」と回答しています。
また、それに対してITリテラシー教育に関する取り組みにも差が出ています。
量も質も足りないのに、取り組みもしていない。これはなぜか。それだけ経営がITデジタルへの理解がない、もしくは軽視していると言えるかもしれません。
こういったことには非常に大きな課題があろうと思っています。ITを活用してDX化をしていこうとした場合に、やはりデータ活用というものは避けて通れません。
ところが日本の場合には、全社的にデータ活用のカルチャーがない。もしくはシステムがない。人材の確保が難しい。そして既存システムがデータの利活用に向いていない。
こうした背景があり、デジタル化が進みにくいのが、今の日本の課題ではないでしょうか。私たちはこういったことを踏まえながら改革を推進していかねばならない、非常に難易度の高い環境にあります。
その中で、いかにしてDX人材を拡充していくのか、デジタル化を推進していくのか。その方策について議論をしていければなと思っています。
【第2部】DX推進組織の立上げに関するポイント(日鉄ソリューションズ 齋藤氏)
斎藤さん:本日は「サスティナブルなDX実現に向けたDX推進組織の作り方」というタイトルでお話させていただきます。
弊社には専門組織としてDX&イノベーションセンターが設置されておりまして、私はそこの所長を務めております。
まずサスティナブル(持続可能)なDXとは何か、簡単にご紹介します。
地球環境における持続可能性が最初にあり、そのために持続可能な社会をつくっていこう、企業もそれに順ずる形で持続可能な経営をおこない、環境社会に貢献し続けていく必要がある。こういうことを考えています。
そのためには、従来の経営事業を変革し続けなければなりません。そして事業の変革にはDXが必須であると言われています。
経営事業を変革し続けるすなわち、DX推進を続けサスティナブルに取り組むことが大事になってきます。
DX推進組織づくりのポイント
斎藤さん:そのためにDX推進組織作りのポイントについて、内製化を踏まえてお話させていただきます。
結論から言うと、全社的にDX戦略を策定して統合的に推進していくためには、司令塔となるDX推進組織が必要になります。
このDX推進組織には、経営層のコミットメントが必要になります。また事業部もコーポレートスタッフ、IT部門、製造部門などからさまざまな人材を集める必要がありますし、カルチャー醸成みたいなものも必要になってきます。
加えて、DXを共に進める外部のITパートナーとの共創も不可欠になってきます。
これらのキーワードを含めて、DX推進組織について掘り下げてみたいと思います。
最近、既存のIT情報システム部門とは別に、IT推進組織を企業内でつくる動きが加速しています。これがDX推進組織になりますが、私たちのお客様の取り組みを拝見していると、大きく3つに分けられることがわかります。
- 各部門から人材を選出し、新しく独立したハードの組織を作る「DX専門組織」
- 特定の部門内にDX推進組織への兼務発令をおこなって、バーチャル組織を作る「内包型のDX推進組織」
- 各部門にDX推進担当を任命し、経営などでDX推進会議を作り、DXを推進していく「タスクフォース型DX推進組織」
の3つになります。
このように、DX組織の持ち方はいくつかのパターンがあり、メリットデメリットがありますし、各企業の重点課題のありよう、もしくはカルチャーなどを踏まえ、企業に合う形態選択をしていくべきだと思います。
その中で、どのパターンの採用が多く、どのパターンがDX推進に効いているのか、お話していきます。
まずご覧のように、約4割の企業が「DX専門組織」を設立してます。
そして次に、DX推進体制別のDX推進レベル。
これを見てみますと、DX推進レベルが一番高いと回答した企業の組織形態は、「DX専門組織+情報システム」という体制になってます。
加えて、「DX専門組織+情報システム部門の関与なし」が2番目であることからも、専門組織がDX推進に効く体制だと見てとれます。
一点補足させていただきますと、DX専門組織を立ち上げる場合に、現行の情報システム部門をDX専門組織に変えていくという方法もあるかと思います。
しかし、先に示したデータで、DX専門組織が情報シスとは別で設置されている例が多く、情シスの関与関係なくDX推進レベルが高かった。
これは、情報シスが抱える業務量の多さ、組織的な変革の難しさが表れているのではないかと捉えています。
DX推進組織を立ち上げる際のポイント
斎藤さん:ではDX推進組織を立ち上げる際のポイントに話を移しましょう。
まずは何はともあれ、「経営のコミットメント」から始まります。コミットメントといいましても、「DXは大事だよね」「IT部門、後は任せたぞ」ということではなく、適切な推進者をアサインし、事業部門からキーマンをアサインする。
ここまで経営主導で実施し、課題があれば、経営自らが取り組むこと、これがコミットメントになります。
では、DX専門組織をリードする推進役を立てて、キーマンを招聘し、DX専門組織を立ち上げた企業が直面している課題。これは何でしょうか。私たちがよくご相談をもらう2つのケースがあります。
1つは、DX専門組織を立ち上げたけれども、人材不足でテーマ推進がうまくいかない。もう1つが内製化推進と言われているが、内部人材登用も中途採用が進まないケースです。
どちらも組織を拡充したいのに、人の確保がうまくいかない、どうすればいいのかという観点の内容になります。
やはり、DX人材不足が顕著に目立っております。プロジェクトマネージャー、ビジネスデザイナーというビジネスの人材も不足していますし、テックリード、データサイエンティストなど、先端技術エンジニアも不足しています。
日本ではこういった人材の多くがベンダーやSIerに所属している状態で、中途採用での獲得も難しい状況であります。
このような状況を踏まえて、どのような手を打つべきか。私たちは、「まず自社のリソースを選択集中しましょう」と話をしています。
その上で、ITパートナーと共創で進めていく。この2つのポイントが重要だと考えています。
例えば、「事業に直結する領域」と「事業と緩やかな関係性を持つ領域」に分けると、企業が集中すべき領域、ITパートナーに任せる領域はこのようになると考えております。
「事業に直結する領域」で言えば、企業は内製化の方針のもと、主体として推進を担う。技術者支援やプラットフォーム提供などはITパートナーに任せるという分担になるでしょう。
自社の社員を投入するという領域に対して、高いITスキルを持った外部パートナーを補佐役として投入する例も多く見受けられます。
私たちはこの外部パートナーを、ITパートナーと自社社員、自社事業を繋ぐ重要な役割だと考えております。
現在、ビジネスではITが不可欠になっており、ビジネスの形も刻々と変化しています。まさにビジネスに関連するITシステムを迅速に変える必要があります。
そのために内製化。自分たちでITを活用したシステムを構築運用するんだという話になっているわけです。IT人材白書によると、実際に企業の50%以上が内製化を進めているというデータもあります。
そんなIT化を進めている企業が抱えてる課題はなにか。人材もしくはスキルに関する課題になります。
ノウハウや経験不足により、IT部門が内製化をリードしていくことが難しい。内製化をおこなうIT人材の総数確保ができない。この2つの課題であります。
この2つの課題について対応すべき方策が3つあります。
1つは、内製化を推進する組織の設置。2つ目がIT活用のハードルを下げる。俗に言うローコード・ノーコードです。3つ目が内製化領域の選択と集中およびITパートナーとの共創になります。
以上が、本日お話させていただきたかったことになります。
最後になりますが、今後不確実性が増すような中で、社会環境のサステナビリティをお客様と目指す。世の中の変化を捉えながら共に進化する、お客様のファーストDXパートナーとして存在したいと思っております。
【第3部】「エンジニアの市場現状と今後について」3社鼎談
八子さん:DXを推進していく上で人材は確保しにくいなかで、内製するか、もしくは外から人をとってくるかというのがよく議論になるんですけれども、内製というものは簡単なものでしょうか。それともやはり外部から人をとってこないといけないでしょうか。
斎藤さん:まず、「内製化」という言葉から自分達の中のリソースだけでやることを内製化という風に感じている方が多いと感じますが、実際そういう内製化を実現できている会社は極めて少ない。
そうではなく、内製化というキーワードは「自社で主体的にITに関わる」状態を内製化と使っている企業も多いと思います。
その上でも自社だけで主体的にマネジメントするためのリソースやスキルもが充分ではない状況で、志をともにし密に連携して開発、IT利活用を進めていけるベンダーが少ないということに課題感を感じている企業が多い状況であると理解しています。
八子さん:全部を内部で抱えてしまうというよりは、企業側が自分達でマネジメントをしながら、主体的にベンダーに依頼をしつつ推進していくべき、ということですね。
日本ではベンダー側にIT人材が集中してしまっているため、社内のIT人材を確保するというのが難しいという構造的な問題はありますよね。
この構造変化は、将来的に少しずつでも進んでいく傾向はありますでしょうか。
斎藤さん:構造変化としては、3つあると思っています。
1つ目の大きな構造変化としてはITベンダーとクライアント企業の関わり方です。今までのように発注要件を決めてそれを任せる、ではなくて課題の抽出や設定、要件設定からワンチームで一緒に仕事をするというような場面が増えてきています。これはDXに関する開発業務で特に増えていると考えています。
2つ目の変化としては、先ほど述べた場面の増加に伴い、私どものようなSIerの中に、クライアント企業の立場として、クライアント企業と常時一緒に、ビジネスの在り様含めて考えるような人材や、徴用が増えてきています。
3つ目の変化は、クライアント企業の人内部材の方で、人材育成に力を入れているケースもかなり増えてきています。全社員をまずデータサイエンティストの初級にする、みたいな形の取り組みもあり、そういった取り組みに私たちもご一緒させていただいております。
八子さん:IT部門だけではなく、社員の意識レベルも上げなければならないということですよね。
斎藤さん:おっしゃる通りですね。特にDXの文脈ですと、事業部側が「自分たちがどう変わっていくべきなのか」という意識を持つことが大切だと思います。
現状と将来のギャップを理解して、DXでそのギャップを埋める。「私事化」の考えですね。
金子さん:非常に共感します。
DXを実現する手段として、内製化を進めるための採用の他に、ベンダーとワンチームで進めていける仕組みづくりも急務です。
最近「アジャイル」という言葉がありますが、企業とベンダー側のチームで、1つのチームとして一緒になって開発をしていく「半内製化」の取り組みが一般的になっています。
同じ目線のビジネス目標を持ち、物事をクイックに進めていく取り組みは、DXの実現手段として日本でも多く取り上げられてきています。
内製化しきれない日本での解決手段としては有効だと思います。
八子さん:外部の方々と一緒になってワンチームで「社内外」の概念を無くす推進の仕方が、内製化という概念だということですね。
金子さん:しかし、社内外関係なく「ワンチーム」を実現するのも至難の業です。
アジャイル開発で一緒にお互いの目線を広げていきながら、生産性高いやり方を実現していくために、それぞれが足りないところをお互いから学び合い、その経験値を実務能力に変えながらやっていく。これは、技能だけではない部分が大きいと思います。
斎藤さん:おっしゃる通り、アジャイル開発を企業とベンダー側が一緒に進めていく機会はこれから増えていくと思っています。
アジャイル開発は精神論だけではなく、基本的にプロセスだと考えています。そのプロセスを一緒に経験していくことで、お互いがより良い状態のアジャイル開発プロセスを作っていくことが重要かなと思っております。
実際にアジャイルを始めてみよういう時に、助走期間を設定し、始めの、1〜2ヶ月のサイクルを回すためのスケジュール感や方法を一緒におこなうと、「こういうやり方で、こんな役割分担になって、得意・不得意が補填し合えるからこそ円滑に仕事が進められて楽しいな」と、徐々に醸成が進んでいく形が望ましいですね。。
金子さん:アジャイル開発は、「小さい成功を積み上げていき最終的な結果を出す」という段階的な実現にフィットするやり方なので、プロジェクトの中間目標をどれだけ適切に定めるかに焦点を絞って考えるべきだと思います。
八子さん:ちなみに、DX推進部門を作る上での課題というのは、どんなものがあるでしょうか?
斎藤さん:そうですね、DX推進部門を作ること自体は、経営側が「うん」と言えば作れるので、そこに大きなハードル、課題はないですが、実際にそこにキーマンを集めてくるというところが1つ目のハードルになると思います。
特に、実はIT部門からではなくて、事業部門側からキーマン、すなわちビジネスの第一線にいる人を集めてくることがかなりハードルが高い。
逆を言えば、そのハードルを越えられたDX組織は概ね成功の道を歩むようになっています。
八子さん:悩ましいですね、現場の戦いで活躍するエースを抜いて来いということですね。
斎藤さん:お客様の事例から考えると、DX推進組織をIT部門だけで作ったのですが、3年鳴かず飛ばずだったと。これがキーマンを全員集合させたら、瞬く間に成果が出はじめたんです。
小さい成果でも出はじめると社内の機運が変わってくるので、そういった成果を重ねて、機運を醸成しながら、事業部門もしくは業務部門のキーマンを取り込めるかどうか。それが1番のハードルになるかなと思います。
八子さん:内部からのキーマンを集めてくるのと同様に、外部の採用マーケットからIT人材を集めるのも同じく難しいですよね。
金子さん:そうですね。活躍しているIT人材はマーケットに多くは存在しますが、そういった人材がその時にプロジェクトに従事していると引っ張ってくるのは難しいと思います。
現実「なかなか良い方が見つからない」という課題をお持ちの事業会社がほとんどだと思います。
八子さん:社内外関係なくマーケットから優秀な人材を採用する場合、社内との融合も必要になってきます。社内と社外のエースを集め、パズルのように組み合わせるのも非常にハードルが高いと思います。
最後に、今後DX推進の展望について、お二人の考えをお聞かせください。
斎藤さん:繰り返しになりますが、アジャイル組織は事業成長を担う重要な役割を担うと考えています。
その中で、組織自体が企業の人材だけで構成されるのではなく、エンジニアの方々をいろんなところから調達する仕組みと、SIer、ITベンダーとの掛け合わせみたいなもので構成されていくことが多くなると感じますね。
全てを自分たちだけでできる企業は極めて少ないと思います。それを補う会社は当然必要でしょうし、社内外を繋ぐ仕組みも必要だと考えます。
金子さん:私たちはIT人材調達プラットフォーム「Ohgi」というサービスを提供しています。
現在は首都圏中心ですが、今後のIT人材不足を補うため、日本全国のエンジニアが活躍するような場を提供していきたいと思っています。
Ohgiを通して、多様な背景を持つ方々に対して、彼らが活躍できるような場を提供し、利便性の向上を図っていく、それが私たちでいうSDGsの貢献の一つの姿だと考えていまして、そういったところも実現できれば嬉しいです。
【豪華ゲスト多数登壇!】変化に負けない「強い組織」を育むためにHRが果たすべき役割を考える大型カンファレンス『HR NOTE CONFERENCE 2024』
「人的資本経営」「ウェルビーイング」「DEI」といったトレンドワードが、HR領域だけでなく社会全体に拡がり始めた昨今。自社組織に漠然と"停滞感"を感じ、「うちは取り残されていないだろうか?」「何かやらないといけないのでは・・・」といった不安や悩みを抱える人事・経営者の皆様も多いのではないでしょうか。
本カンファレンスでは、HR領域の有識者の皆様に、様々な組織課題を解決するためのアプローチ方法について解説いただきます。強い組織を育む企業が実践している事例には、組織強化に必要な考え方や人事が果たすべき役割について学べるポイントが多くあります。ぜひ有識者の皆様と一緒に、組織を強化する「共通原理」について考えてみていただければと思います。