【テレワークが主流の今こそ大事】組織を強固にする社内報のつくりかた|ベーシック 長田 華凜 |HR NOTE

【テレワークが主流の今こそ大事】組織を強固にする社内報のつくりかた|ベーシック 長田 華凜 |HR NOTE

【テレワークが主流の今こそ大事】組織を強固にする社内報のつくりかた|ベーシック 長田 華凜

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※本記事は、株式会社ベーシックの長田華凛さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

こんにちは。株式会社ベーシック広報の長田(@KARINattakarin)と申します。

【執筆者】株式会社ベーシック 人事広報部 広報グループ 長田 華凜(おさだ かりん)

新卒で株式会社ベーシックに入社し、フォーム作成管理サービス「formrun(フォームラン)」のカスタマーサクセス・マーケティングを経験。2021年から人事広報部に所属し、事業広報・採用広報・社内広報と、広報機能全般を幅広く担う。

私は現在編集長として、弊社の社内報である「b-ridge」の運営を行っています。

コロナ禍により、テレワークを中心とした働き方が急速に根付いてきている中で、社内広報により一層注力し、社内のコミュニケーション活性化やカルチャー浸透に力を入れている企業も多いのではないでしょうか。

ベーシックにおいても、社内広報の一環で社内報の運営には特に力を入れています。

実は過去には運用がうまくいかず廃止の危機に瀕したこともあったのですが、その後は安定して従業員の9割に読まれるようにまで復活を遂げ、ウィズワークス株式会社が主催する「社内報アワード」にて2年連続でのブロンズ賞の受賞、経団連が主催する「経団連推薦社内報審査」でも総合賞を受賞するなど、ありがたいことに外部的にも評価されるようになっています。

今回はそんなベーシックでの事例を元に、社内報を運用する上でのポイントについてまとめていきたいと思います。社内報の運営に悩んでいる方、これから社内報の立ち上げを検討している方などに読んでいただけると幸いです。

<社内報「b-ridge」(社内限定公開にて運用中)>

STEP① 社内報として目指すゴールの明確化

まずは何より、何を軸に社内報を運営していくかを考え抜くことが重要です。

目的が明確ではない場合やそれが運営メンバーの間で腹落ちしていない場合、記事のクオリティが低くなったり、方向性の統一されていない記事が多くなったり、最悪の場合「なんで社内報ってやってるんだっけ?」と運営メンバーが疲弊してしまい、運用自体が継続できない事態にもなり得ます。

過去にベーシックで廃止の危機に瀕した時もまさにその状態でした。会社によって目的自体は異なると思いますが、まずは徹底的に議論し、社内報運営についての共通認識を持つことが大切です。

ちなみにベーシックの場合は「経営課題の解決」を社内報を通じて支援することを目的としており、具体的には以下の3つをゴールとして設定しています。

<社内報の目指すゴール>

「社内情報共有」

制度や福利厚生などを紹介しています。これらはオンラインミーティングやSlack等で全社に共有はするものの、理解度が低ければ利用されず、その後新入社員が増えた際にも浸透しません。社内報を通じ、記事として網羅的かつ分かりやすく説明をすることで、社員への情報共有と浸透を行っています。

「定着」

新入社員、出戻り社員、復職社員の入社の理由や趣味など、共に働く「人」について公私両面から紹介しています。その結果、社員同士のコミュニケーションが活性化され、それぞれの社員が早期に環境に馴染みやすい状態になることを目指しています。

「コンピテンシー強化」

MVP受賞者や昇進者など、行動規範が社内でも優れている社員の考えや仕事に対する姿勢をインタビュー形式で紹介しています。記事を見た他の社員が刺激を受けたり、模範として心掛けたりすることで、会社として目指している行動規範の浸透・強化を図っています。

また、その上で、運営の主観ではなくあくまで客観的に社内報を評価してもらうために、社員に対して四半期に一度アンケートを取っています

これにより、社内報が当初設定した目的から逸脱した内容になっていないかを確認することはもちろん、仮に目的として設定していた課題が既に社内で解決しているようであれば、その時の最新の経営課題に応じて、ゴール自体を再度適切に見直すことも行っています。

<アンケート内容(一部)>

STEP② 安定した運用体制の構築

ベーシックでは現在、2名体制で週に1度の頻度で記事を更新しています。

社内報以外の仕事も兼務した状態での運営の中、発行頻度の割には決して多いとは言えない人数での運営体制であるため、いかに効率的かつ安定的に運営していけるかの視点を常に意識しています。

こちらも同じく廃刊の危機に瀕した時がまさにそうだったのですが、工数がかかりすぎて本業を圧迫したり、目指す頻度での記事更新が行われなかったり、メンバーが疲弊して結局運営から抜けてしまったりすることは避けなければいけません。

そのため、効率的な運用を実現するため、ベーシックでは以下の3つを取り入れています。

1.記事の「型」を作成し、ネタ出しに疲弊しない!

広報担当者の間で話している際によく話題に上がる悩みの1つが「社内報で何を書けばいいのかわからない…」というものです。

せっかく運営の目的やゴールを定めても、毎週・毎月のようにネタをゼロから探しだしていては、運営担当者のストレスにもなり、定期的に記事を更新することは難しくなります。

そのためベーシックでは、社内報の「型作り」、言い換えれば、社内報発行の目的・ゴールに沿って設計されたコンテンツ案を作成しています。

都度ネタを考えるのではなく、あくまでゴールから逆算したコンテンツをあらかじめ用意しておくことにより、ネタを考える時間が削減できますし、何より最も重要である”ゴール”から逸脱した記事になることを避けられます。

<社内報のゴールに沿ってコンテンツを出しています>

2.工数がこれまでの1/3に!取材ではなくアンケートの形式を活用

社内報の記事で最も工数がかかるのがやはりインタビュー形式の記事です。

MVP受賞者へのインタビューなど特に話が深くなりがちなコンテンツで、一人で取材・書き起こし・執筆・確認依頼・修正・入稿・公開…となると、1記事の公開にあたり6時間以上を費やすこともありました。

そこで、現在は取材(会議)をするのではなく、アンケートを作成し回答を依頼するようにしています。

取材対象者自らがアンケートに回答する形で文章化し、それを元に編集部が肉付けすることで、取材工数・確認工数を大幅に削減しつつ、取材時とほとんど変わらないクオリティの記事を公開できるようになっています。(アンケートのツールとしては、自社サービスであるフォーム作成管理ツール「formrun」を使っています。)

これにより、インタビュー記事であっても、全ての工程を合わせても2時間程度で記事を完成できるようになりました。

<実際のアンケートフォーム>

3.マイルストーンを組み、守る

社内報を運営する上では、「頻度を重視するあまり、行き当たりばったりな記事になる」「事業部・編集メンバー共に他の業務で逼迫して更新頻度を守れない/更新が後ろ倒しになる」という課題が発生することも多いです。

ベーシックではそのような事態を防ぐために、マイルストーンとその締め日(曜日)を固定しています。

何度か試行錯誤した結果、以下を守り切ることで、クオリティを担保した記事を余裕を持って公開できるようになりました。

《公開日が金曜日の場合》

  • 取材対象者へアンケート回答を依頼:公開2週間前の金曜日
  • 取材対象者によるアンケート回答:公開前週の火曜日
  • 回答内容を基に編集メンバーが記事化と情報の補足:公開前週の木曜日
  • 取材対象者によるチェック:公開週の月曜日
  • 運営メンバー間でのクオリティチェック:公開週の水曜日
  • 入稿&最終チェック:公開週の木曜日

<毎週固定でカレンダーを設置し、タイムリーに依頼を行っています>

STEP③「読みたい!」と思ってもらうための仕掛け作り

更新のための体制をここまで整えたら、社員にきちんと読んでいただきたいですよね。いえ、そうでなければ残念ながらSTEP①で定めた社内報の目的は達成できません。

少しでも多くの社員に社内報を読んでもらうために、ベーシックで行っている取り組みを以下にて3つご紹介します。

1.メディアとしての基本を徹底

国内最大級のWebマーケティングメディア『ferret』を運営しているベーシックとして、基本に立ち返り、メディア運営としては以下の通り、ある意味当たり前のことを徹底するようにしています。

  • 投稿時間の最適化
  • 記事タイトルへの徹底的なこだわり
  • 目を引くOGP画像の選定
  • 記事カテゴリーの分類

Googleアナリティクスでの計測に基づいて、公開する曜日については前述のように金曜日、その上で投稿時間についてはお昼の12時としています。

また皆さんも一度は経験があるかと思いますが、「読みたいタイトル」もしくは「目を引くアイキャッチ」でない限り、記事をクリックしないですよね。

社内向けのメディアであっても、これらにはしっかりとこだわって運営しています。

<Shutterstockで素材を用意し、Googleスライドでアイキャッチを作成しています>

さらに、公開記事には必ずカテゴリーを割り振ることで、読み手である社員が3つのゴール(社内情報共有・定着・コンピテンシー強化)の中から読みたい記事をすぐに見つけられるようにしています。

特に新入社員の場合は、早く会社に馴染むためにあらゆる手段で情報のキャッチアップをしているため、知りたい情報を探しやすくすることは重要だと考えています。

2.公開後に全社案内をする

例えば、イベントページを作成した際やオウンドメディアで記事を執筆した際は、記事を公開して終わりではなく、メールマガジンやSNS等で拡散をすることで内容を読んでもらえるように工夫をしている方がほとんどではないでしょうか。

それと同様、社内報においても記事を更新した際は必ずSlack等で全社案内を行い、その際に

  • 中身を見たくなるような告知文章の作成
  • 該当記事内で取り上げたメンバーのメンション

を行うことで、少しでも「この記事を読みたい!」と思ってもらえるようにしています。

<絵文字や箇条書きを用いた「視覚的な見やすさ」も重視しています!>

上記の画像をみて「おや?」と感じられた方もいらっしゃるかもしれませんが、自分で投稿した全社案内スレッドに自らスタンプをつける(リアクションする)ことも必ず行っています。

全社案内の場合、「自分には関係ないや」と瞬時に判断し、スレッドを読み飛ばしてしまった経験は皆さんもあるのではないでしょうか。リアクションが何もない投稿の場合はなおさら自分事化しにくいですよね。

1つ目のスタンプを自ら押すことで、他のメンバーもスタンプを押しやすくなり、スタンプ数が増えることで盛り上がっている感も表現できるため、記事を読んでもらえる確率もあがりやすくなります。

これは地味ですがとても重要な施策だと思っています(笑)

3.反応に応じて適宜内容を変更する

社内報を2,3回読んだうえで「つまらないな」と思われてしまうと、社内報への期待値が下がるため、残念ながらその後読んでもらえる可能性が低くなってしまいます。

そのようなことを防ぐために、前述の定期的な社員へのアンケートに加え、定性的な反応を見ることも重視しています。出社時に社員から感想を聞いたり、Slackで「社内報」という言葉が呟かれたら通知がくるようにして反応を見るようにするなどです。

反応をみて改善点がわかれば、インタビュイーへの質問内容、リード文、編集後記などで改善を行い、また反応を伺う。とても小さなことではありますが、この小さな改善を繰り返せるかが非常に重要だと感じています。

実際、ベーシックでも新入社員紹介記事で「趣味」や「話してみたい人」を取り上げても、新しい交流はあまり生まれていないことがありました。

そこで新入社員と共通の趣味を持っているメンバー複数名をわかる範囲で編集後記に書き出し、それを全社案内の際に告知したところ、「新しい仲間は、自分/同じ事業部のあの子と同じ趣味なんだ」ということをすぐに把握ができ、ミーティング時のアイスブレイクになったりランチをしたりなどのコミュニケーションが生まれるようになりました。

<実際の社内報の編集後記。あだ名があるメンバーは「あだ名(苗字)」で記載しています>

今後ますます高まっていく社内報の重要性

新型コロナウイルスをきっかけに多くの企業がテレワークに移行し、同じ会社に属しながらも社員同士がコミュニケーションを取る機会は、会社によって程度の差はあるものの、基本的には相対的に減っていると思います。 

コミュニケーション量がこれまでよりも減少することで、「社員が働きやすいような制度を整えたが、利用率が低く、制度導入の目的が達成されていない」「せっかく採用した新入社員が組織に馴染めず早期退職に至ってしまう」「チームワークが弱まり組織成果の最大化に至っていない」などの弊害が生まれるリスクもあると考えています。

withコロナの時代においては、一緒に働く仲間や会社の制度など、社員にとって必要な情報を着実に届けることの重要性は確実に高まっており、その手段として、記事という形式に想いをしっかりと載せることができる社内報の重要性はますます高まっていると感じています。ベーシックでも、今後もさらなる会社の成長のために、社内報の運営には引き続き力を入れていきたいと思っています。

なお、このような社内報のノウハウを自社のみならず他社にも広げるため、社内報コミュニティも私が管理者として運営しています。社内報についてお悩みがある方、ノウハウがある方、共にご参加いただき、社内報活動を盛り上げていければと思っています!

今回ご紹介したベーシックでの取り組みが、少しでもお役に立てていたら幸いです。皆様の会社においても、社内報により会社が活性化することを願っています!

 

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