企業が成長していく上で欠かせない採用活動。求める人材を採用できるかどうかが、企業の未来を左右すると言っても過言ではありません。
しかし、採用手法の多様化などにより、採用担当者の負担は増加するばかりです。「人手が足りない」「採用のノウハウがない」など悩みを抱えている企業も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、そのような方におすすめしたい「採用代行サービス」について解説します。今回は特に、多様化が進む新卒採用における採用代行についてです。新卒採用代行でできること、メリット・デメリット、費用相場、どの代行会社を選べばいいかなどをまとめました。新卒採用にお困りの皆さんのお役に立てれば幸いです。
目次
1. 新卒採用代行サービス(RPO)とは
新卒の就職市場は現在「売り手市場」です。募集を出して応募を待つだけでは、求める人材を採用できないことが当たり前になりつつあります。そうした課題を解決するためにおすすめなのが、採用代行(RPO)サービスです。
1-1. 新卒採用代行サービスとは新卒者の採用を代行するサービス
新卒採用代行とは、新卒採用の過程で発生する採用業務を代行会社に委託することを言います。新卒採用も多様化やオンライン化など、手法が複雑化している上に長期化する傾向にあります。そのため、採用担当者の負担が増え、コア業務に集中しづらい状況が生まれています。
採用代行は採用担当者の負担を軽減するだけでなく自社の採用スキルを向上させることにもつながるため、昨今注目されています。
1-2. 採用代行のニーズが高まっている背景
新卒に限らず、採用代行のニーズが高まっています。その背景には、以下のような事情があると考えられています。
- 採用手法が多様化・複雑化している
- 採用活動が長期化する傾向にある
いずれも、採用担当者のリソースを圧迫する大きな要因となります。また、リソースを割いても企業が求める人材を確保できず、採用そのものに課題を抱える企業も少なくありません。
採用代行は、このような課題を解決する手段の1つです。うまく活用できれば採用業務の負担を軽減できるだけでなく、質の高い採用を効率よく進めることもできるので、導入を検討する価値があると言えるでしょう。
2. 新卒採用で代行できる主な業務
採用代行といえども、どの範囲までを外部の会社に委託できるのでしょうか?まずは委託可能な業務を、プロセスごとに見ていきましょう。
2-1.採用計画立案
- 課題の把握
- 採用戦略の検討
- 採用競合や市場の分析
- 採用ターゲットの設定
採用計画の立案には多くの時間ノウハウを必要とします。採用代行(RPO)サービスでは、この業務も委託することが可能です。採用成功のプロである代行会社を活用することで、効率化を図ることができます。
2-2.母集団形成
- 求人掲載の媒体選定や掲載手配
- 求人原稿制作
- 媒体管理・運用
- 採用管理システム運用
- DMやスカウト代行
- 説明会会場の手配
応募を増やすためのさまざまな業務を委託することが可能です。昨今、利用が増えつつある「ダイレクトリクルーティング」で欠かせないスカウトメールやDMの作成・配信も委託でき、これまで出会えなかった学生と出会う機会を増やすことが期待できます。
2-3.応募受付・選考
- スクリーニング
- 会社説明会案内
- 会社説明会代行
- 適性検査案内
- 面接日時設定
- 欠席者フォロー
- 評価シート作成
- 面接官代行
採用人数が多い企業では、応募書類の管理や選定、通過者との面接の日程調整などの業務にはかなりの工数が必要になります。こうした業務ももちろん委託可能です。代行会社によっては面接官の代行も依頼することができるため、内定承諾率向上を図ることもできます。
2-4.内定・入社
- 内定者への連絡
- 入社案内や入社書類の作成
- 入社日調整
- 内定者フォロー
入社案内や書類作成など、内定者の管理も委託可能です。さらには、内定通知書を出した後のフォローまで委託することもできます。内定辞退の多い企業様は是非、委託を検討してみてはいかがでしょうか。
このように採用代行(RPO)サービスは、すべての採用活動のフェーズで導入できるのが大きな魅力と言えるでしょう。
3. 新卒採用代行の費用相場
次に、気になる費用相場を見ていきましょう。代行会社や委託する内容によって変動するため、あくまで目安として参考にしてみてください。
3-1.料金体系
まずは料金体系についてご紹介します。期間、採用人数、業務量などに応じて料金体系を設定している代行会社が一般的です。
・定額制
パッケージプランや3ヶ月・6ヶ月・1年など期間を決めて契約するタイプです。オプションを付けない限り追加費用は発生しません。あらかじめ予算が決められている企業におすすめの料金体系です。
・成果報酬制
採用決定時や面接実施時に報酬が発生するタイプです。採用が決定するまで費用は発生せず、無駄なコストを最小限に抑えることが可能です。他の料金体系と比べると費用は高くなりますが、採用決定数や採用学生の質にこだわりたい企業様におすすめです。
・業務量に応じた従量単価請求制
業務量に応じて費用が発生するタイプです。費用をできるだけ抑えるために負担の大きい業務だけを依頼したいという企業におすすめです。
このようにさまざまな料金体系がありますので、自社にとってどれが最適なのかを見極めた上で委託するようにしましょう。
3-2.新卒採用代行の費用例
次に、委託する業務ごとにどのくらい費用がかかるのか、一般的な費用相場を見ていきましょう。
業務ごとの例
業務内容 | 料金 |
DM・スカウト配信 | 月3万円~ |
面接日時設定 | 月5万円~ |
面接実施 | 1回1万円~ |
評価シート作成 | 1回3千円~ |
欠席者フォロー・別日程案内 | 月2万円~ |
次回面接日時連絡 | 月2万円~ |
合否連絡 | 月2万円~ |
内定通知書発送 | 月2万円~ |
母集団形成だけを委託する、一次選考動員までを委託する、内定後のフォローまで委託するなど、企業の課題や予算によって代行を依頼する業務を決定することができます。
4. 新卒採用代行(RPO)を利用するメリット・デメリット
次に、採用代行(RPO)サービスを導入するとどんなメリット・デメリットがあるのかを見ていきましょう。
4-1.採用代行(RPO)を利用するメリット
コア業務に専念できる
採用担当者が本来やるべきコア業務に専念できます。生産性が上がれば企業の利益向上にもつながるため、「コア業務に人員を割ける」というのは大きなメリットと言えます。
採用業務の質を高めて歩留まりUP
コア業務である「面接」に専念できるようになれば、自社にマッチする人材をより見極められるようになります。また、委託した業務もプロのノウハウに基づいておこなわれるため、効率化や質の向上、歩留まりの向上などに繋がります。
多くの学生に出会えるチャンスが高まる
より多くの学生に自社のことを知ってもらい、母集団形成をしたいと思っていても、リソース不足により対応できていないと悩む担当者の方も多いと思います。そこで、求人原稿作成やDM・スカウトメール配信、会社説明会の運営など、母集団形成を採用のプロに委託することで、より多くの学生に出会えるチャンスが高まります。
採用効果の定期的な検証と対応
現在の採用手法でいいか、競合への対策など、採用代行会社は効果検証も行ってくれます。PDCAを回し、採用計画の見直しにもつながります。
採用コストを削減できる
採用担当者を新たに採用するよりも代行した方がコストを抑えられる可能性が高いでしょう。採用した場合、採用から育成、毎月発生する給与や社会保険料も発生しますが、採用代行であれば繁忙期だけ、一部の業務だけ、という風に業務量を調整できるため、無駄なコストを抑えることができます。
4-2.新卒採用代行(RPO)を利用するデメリットと解決策
応募者との接点が減る
採用代行を利用することで必然的に応募者との接点が減るため、信頼関係を構築しづらくなります。応募者との接点が減ることにより、入社後のミスマッチを招く可能性も高まります。
人事採用を代行会社に任せっきりにせず、選考が進んできたら積極的にコミュニケーションを図るようにしましょう。また、採用の中核となる面接以外の業務を委託することで、面接に割く時間を増やして積極的に新卒応募者とコミュニケーションを図る企業もあるようです。
認識のズレが起こりやすい
委託会社との関係を構築できないと、委託する範囲や求める人物像などにズレが発生しやすくなります。業務のミスや入社後のミスマッチに繋がる恐れがあるため、日頃から依頼通りに業務ができているかをチェックすることが大切です。定期的に進捗状況を把握してくれる代行会社を選ぶことも重要なポイントと言えるでしょう。
自社内で採用ノウハウが蓄積されない
代行会社にすべて丸投げしていると、自社に採用ノウハウが溜まりません。採用活動のアドバイスをもらうなど、あくまでサポートとして採用代行(RPO)サービスを活用し、いずれは自社採用のみに切り替えられるように自社のノウハウとして蓄積していきましょう。
また、コア業務は自社でおこなってノンコア業務を委託する、というように、委託する業務を適切に仕分けることも必要です。
5. 新卒採用代行(RPO)を導入したほうがいい企業の特徴
便利な採用代行(RPO)サービスですが、すべての企業に有効とは限りません。闇雲に導入しても効果的な結果が得られないことも考えられます。ここでは導入した方が良い企業の特徴を見ていきましょう。
認知度が低い企業
採用成功の第一歩は、とにかく応募を集めることです。認知度が低い企業は、母集団形成の段階で採用代行を導入しましょう。認知度が高まれば、求める人材に出会えるチャンスも高まります。
人手やノウハウが不足している企業
人材不足や採用のノウハウがない企業は、採用計画立案〜応募者管理の段階での導入がおすすめです。候補者の絞り込みや応募者対応は工数がかかる上にミスも発生しやすいため、代行会社を活用して効率化を図りましょう。
応募が集まりにくい企業
応募が集まりにくい業界や職種は導入を検討しましょう。採用計画立案~母集団形成の段階で導入し、求める人材にアプローチできているか、どうアプローチすれば興味を持ってもらえるか、求人原稿やDM配信を見直すことで、志望度UPに繋がります。
応募者が多い人気企業
意外かもしれませんが、応募者多数になる人気企業も採用代行に向いています。導入のタイミングは、応募者管理の段階がおすすめです。書類選考の段階でできるだけスクリーニングすることで、優秀な人材や求める人材をより効率よく見つけられるようになります。
大量採用をおこなう企業
一度に大人数の採用を行う企業は、応募者管理や内定者フォローの段階での導入がおすすめ。特に、内定通知後の辞退を防ぐことは重要です。内定者との連携を確実におこない、人材をしっかりと確保しましょう。
6. 採用代行会社を選ぶポイント
採用代行会社を選ぶ際は、以下のポイントを満たしていることを確認しましょう。
- 同じ業種での実績が豊富
- 秘密保持の体制が確率されている
- 採用システムで進捗などを一元管理できる
- 委託先に信頼できる担当者がいる
- 委託先の教育体制などが整っている
- 自社の考えや希望に寄り添ってくれる
- 進捗状況を逐一報告してくれる
- 採用ノウハウが豊富で、マニュアルが完備されている
- 明確な料金形態で、委託できる業務の種類が豊富
- 使い勝手がいい
7. 新卒採用代行(RPO)に強いおすすめ代行会社11選
ここでは、新卒採用に適した採用代行会社11選をご紹介します。是非、採用代行会社の比較検討にお役立てください。
□ 委託したい業務に対応しているか
□ 実績が豊富か
□ アウトソース先の担当者が熱心で信頼できるか
□ 自社の社内ルールに沿って業務をしてくれるか
□ 定期的にミーティングの機会があるか
□ 見積りが適切か
□ マニュアルが完備されており、ノウハウが豊富か
7-1.株式会社キャリアマート
特徴
- RPAを活用したロボットによる大量データの高速対応
- 最短1ヶ月からの支援が可能!柔軟なサポートで満足度95.8%
- 採用活動が終わったあと、経営会議でもそのまま使えるような採用統括レポートの作成まで対応
URL:https://www.careermart.co.jp/lp/outsourcing3/
7-2.株式会社クリーク・アンド・リバー社
特徴
- 実績30年以上クリエイター・デザイナー採用の専門知識を持ちコアからノンコア業務まで貴社の採用活動を効果的にサポート。
- ニーズに合わせて柔軟なオーダーメイドのプランをご提案。需要の増加や減少に合わせて採用サポートを拡張・縮小が可能。
- 採用プロフェッショナルに業務を委託することで、内部の人材やリソースを節約できるため、コスト(時間や費用)が削減。
URL:https://hr.high-five.careers/new_graduate/
7-3.ESSTNER株式会社
特徴
- 求職者の募集から選考業務、内定者のフォローまで採用業務全般を幅広くサポート
- 稼働時間当たりの料金設定であるため、仕事内容によって料金の変動がない
- 低価格で質の高い、お客様に寄り添ったサービスを提供し、リピート率96%の実績
URL:https://i-recruit.jp/
7-4.株式会社ネオキャリア
特徴
- 業界トップクラス10,000社以上の採用支援実績。
- 新卒、中途、アルバイト問わず、豊富なノウハウで採用全般を委託可能。
- 自社の大型コールセンターがあり、高品質でスピーディーな対応力。
- 月額10万円からの利用も可能で安く利用したい企業にもおすすめ。
URL:https://www.neo-career.co.jp/service/rpo/lp/
7-5.株式会社トライアンフ
特徴
- 3,000社以上の導入実績。採用業務全般を委託可能。
- 現状把握から来期に向けた提案まで、長期的な視点で採用代行サービスが受けられる。
- 常駐型アウトソーシングも実施しており、採用経験の豊富なスタッフ派遣も可能。
URL:https://www.triumph98.com/recruitment/recruitmentoutsourcing/
7-6.株式会社ONE
特徴
- 約3,000案件を誇る導入実績。
- 会社の人材戦略に合わせたオーダーメイドプランで、費用対効果の良い採用を実現。
- 中小企業から大企業まで数多くの企業をサポート。
URL:http://one-group.jp/humanresource/outsource/index.html
7-7.ランスタッド株式会社
特徴
- アジアに4箇所の採用センターを保有し、国内のグローバル企業にも対応。
- 企業に常駐してサポート運営も実施。
- バイリンガルのリクルーターが複数名在籍。
URL:https://services.randstad.co.jp/lineup/rpo
7-8.アデコ株式会社
特徴
- 世界一の売上高を誇る総合人材サービス会社。
- 新卒、中途、契約社員、パート・アルバイト問わず、トータルでサポート。
- 的確な応募者の見極めなど、きめ細かな対応でミスマッチのない採用を実現。
URL:http://www.adecco.co.jp/client/lineup/contract/outsourcing/rpo/
7-9.株式会社ツナグ・ソリューションズ
特徴
- アルバイト・パート採用に特化し、約330社、90,000店舗の採用支援実績。
- インターンシップやアルバイトから社員登用の採用コンサルティングも手がける
- 365日稼働の応募受付専門コールセンターにて、スピーディー且つ高品質な対応
URL:https://solutions.tsunagu-grp.jp/service3/
7-10.マンパワーグループ株式会社
特徴
- 世界第3位の総合人材サービス会社。
- 新卒採用・中途採用において豊富な支援実績。
- 費用対効果の高い採用方法を提案し、内定・入社後の定着まで支援。
URL:https://www.manpowergroup.jp/client/serve/employ/
7-11.株式会社HRアソシエ
特徴
- リピート率90%以上。豊富な採用支援実績で、継続的な付き合いを実現。
- 最適なプランを適正価格で提供し、費用対効果を最大限に高める。
- 企業の採用状況に柔軟に対応し、採用業務のほぼすべてを代行可能。
URL:https://www.hr-a.jp/service/
8. 採用代行会社に依頼する前におこなうべき準備
自社の採用の方向性が決まらないうちに採用代行業者に依頼しても、期待するような結果が得られないかもしれません。もちろん、採用代行会社のアドバイスを受けながら採用を進めることになりますが、採用成功を勝ち取るためには事前準備が必要です。
採用代行会社に依頼する前におこなうべき準備は3つあります。
- 採用における自社の課題を把握する
- 自社で対応する業務と、採用代行会社に依頼する業務を仕分ける
- 採用代行サービスをおこなう会社の特徴やサービス内容を比較して選定する
いずれの準備も重要ですが、特に自社の課題を把握することに重点を置きましょう。例えば、採用担当者が不在でノウハウが全くない、採用計画・目標が明確に定まらないなど、具体的に把握することが大切です。
課題がわかれば、採用代行会社が自社に見合う採用プランを提案してくれるので、プロによる人材採用をスタートさせることができます。
9. 採用代行(RPO)サービスで新卒採用の効率・質を向上しよう
今回は、新卒採用で採用代行(RPO)サービスを取り入れる際のさまざまなポイントを詳しくご紹介しました。是非、本記事を参考にしていただき、自社で導入するべきか、どのように活用していくか、検討してもらえればと思います。
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