転職市場で回復傾向にある業界はどこか?!データからみるこれからの採用に求められること | Sansan株式会社 |HR NOTE

転職市場で回復傾向にある業界はどこか?!データからみるこれからの採用に求められること | Sansan株式会社 |HR NOTE

転職市場で回復傾向にある業界はどこか?!データからみるこれからの採用に求められること | Sansan株式会社

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※本記事は、SanSan株式会社さんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

2020年からの日本国内での新型コロナウイルス感染症の拡大は、ビジネスに多大な影響を与えました。

転職市場を見ても(※1)、2020年の有効求人倍率の月平均は1.18倍と、2019年の1.60倍と比較して0.42ポイント下回る結果となっています。

しかし、初めて緊急事態宣言が発出された2020年4月からその年の12月までの平均有効求人倍率が1.08倍だったのに対して、2021年1月から12月までの平均有効求人倍率は1.13倍。プラス0.05ポイントと上回っており回復傾向にあります。

また、2021年は、2020年4月以降と同様にコロナ禍による制限は続いていたものの、企業が状況の変化に対応し、人材獲得に向けた動きが回復し始めている様子が見受けられることから、転職市場はコロナ禍の影響から徐々に脱却しつつあると言えるのかもしれません。

そこで、実際にどの業界で回復の動きが見られるのか、今回はSansan株式会社の名刺アプリ「Eight」に登録されている名刺情報をもとに分析をおこない、その実態について明らかにしていきます。

※1:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和3年12月分及び令和3年分)について」(2022年2月)

1. 回復傾向にある4つの業界

今回、ダイレクトリクルーティングサービス「Eight Career Design」は、名刺アプリ「Eight」に登録されている名刺情報から、2021年の転職トレンドを分析しています。

Eightでは、ユーザー自身の名刺が変わった場合に、新しい名刺をアプリ上に登録することで、転職や異動、昇進など、最新の情報をプロフィールに反映することができます。

この調査では、Eightに登録されている名刺の社名変更を「転職」と定義。2019年から2021年までの変化を分析することで、2021年の転職トレンドを紐解いています。

1-1 「金融」「運輸・物流」「人材」「コンサルティング」は、一時コロナ禍の影響を受けたものの回復傾向

それでは早速、分析の結果を見てみましょう。

最初に、2020年はコロナ禍の影響を受けたものの、2021年には回復傾向にある4つの業界の動向を紹介しています。

4つの業界とは、「金融」「運輸・物流」「人材」「コンサルティング」になります。

下のグラフも合わせて見ていきます。

2019年と比較して、新型コロナウイルス感染症の拡大がはじまった2020年は「人材業界」、「運輸・物流業界」において入職に対する離職の割合が増加し、人材の確保が難しい期間に突入したことが伺える結果となっています。

しかしコロナ禍の二年目となった2021年には、2020年に低下した「人材業界」や「運輸・物流業界」は2019年水準に回復しているようです。

また、「コンサルティング業界」や「金融業界」においては、2020年に若干の低下が見られましたが、2019年を上回る数値で推移していることが読み取れます。

このグラフにおいて、入職者数と離職者数が同等の場合は1.0となり、離職者に対して入職者が多い場合には1.0以上となります。

そのため、「コンサルティング」や「運輸・物流」は入職者の方が多い業界といえます。

1-2 IT業界の経験が求められる傾向に

次に、2021年には回復傾向が見られている「金融業界」「運輸・物流業界」「人材業界」「コンサルティング業界」にはどの業界から入職しているのかを分析した結果を見てみましょう。


表:回復傾向にある業界への入職元業界のランキング

上の表にあるように、いずれの業界においてもIT業界からの入職者が多いことが分かります。

この結果を踏まえて、Eight Career Designでは、近年各業界が注力しているDX推進の上でも、IT業界で実績を持つ人材が即戦力として求められているのではないかと分析しています。

またコンサルティング業界は、一つ目の分析であったように離職者よりも入職者が多い一方で、金融業界や人材業界への入職者も多いようです。

分析結果から、人材が流動的な業界であることや業界の相性が良い可能性があることが読み取れます。

■調査概要
調査対象期間:2019年1月1日から2021年12月31日
調査対象:調査対象期間内で転職のあったEightユーザー121,289人(対象の累計転職回数は142,345)
調査方法:Eightユーザーの登録名刺の履歴を、転職時期の分かるものに限定し、個人や企業が特定できないように匿名化した上で、Eightの利用規約で許諾を得ている範囲で使用・集計。
*本調査では、Eightに登録されている名刺の社名変更を「転職」と定義。
出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000275.000049627.html

2. データから読み解く、採用活動で注目すべき点|小川 泰正氏 インタビュー

これらのデータを発表したEight Career Designの責任者であるSansan株式会社 執行役員/Eight事業部 Enterprise solutions部 部長の小川 泰正氏に、その狙いや、これらのデータにおいて採用活動で注目すべき点を伺いました。

ー今回、なぜこのような分析を発表したのでしょうか?


小川さん:
名刺アプリ「Eightは、名刺管理をしたり、ビジネスSNSとして活用いただく機会は多いのですが、他にもユーザー自身のキャリアを蓄積していける特徴があります。

例えば過去の名刺の登録ができたり、職歴をキャリアサマリとして記載することができたり、ビジネスパーソンのキャリア形成に伴走するサービスとしての機能も備えているのです。

しかしユーザーには、「Eight」と「キャリア」がまだまだ結びつかないこともあり、キャリアに関わるような情報発信をしていく必要があると考えていました。

またコロナ禍の影響を受けて、ビジネスが大きく変化していく中で先行きが不安になり、自身のキャリアを考える機会が増えたビジネスパーソンも多いのではないかと思います。実際に転職を考えた人も多かったのではないでしょうか。

そうした中で、Eightに登録されている名刺情報から最近の転職の状況を分析し、情報として発信することで、キャリア形成の後押しになるのではないかと考えました。

分析対象となるEightのデータについては個人を匿名化し、Eightの利用規約で許諾を得ている範囲で使用しているのですが、分析結果から転職市場で回復の兆しが見られる業界が分かってきました。

この結果を発表することで、転職市場に明るい話題を提供できるとともに、ビジネスパーソンのキャリア形成の参考になるのではないかと思い、今回の発表をおこないました。


ー実際に採用の現場でも今回のデータと同様の傾向が見られるのでしょうか?


小川さん:
はい、Eight Career Designにおける採用活動を見ても、実際に「金融業界」、「運輸・物流業界」、「人材業界」、「コンサルティング業界」の4つの業界は積極的な動きが見られます。

特に注目すべきはどこの業界から入職しているのかです。IT業界からの人材の流出が多く見られますが、やはり各社が業務のデジタル化やDXを推進するにあたり、即戦力となるIT人材を求めているのではないかと捉えています。


ーIT業界での経験は“つぶしがきく”ということでしょうか?


小川さん:
技術的な経験は以前からも人材獲得の競争が激化していますが、それだけではなくITに関するリテラシーが一定求められているという点では、ニーズは高まっているのではないでしょうか。

例えば業界に対する知識があることはもちろんですが、IT業界ではさまざまなITツールを使用する機会も多いと思います。

こうしたツールを使いこなせるかは、デジタル化やDX推進においても一つの要素になります。

そうしたツールを使ってきた経験があるのか、また使っていくことに抵抗がないのかは、企業にとっても関心のあるポイントだと思います。


ーニーズが高まる人材を獲得するために、採用する側はどうしていけばよいのでしょうか?


小川さん:
今回のデータで触れているようなIT業界からの人材に限らず、転職市場でニーズがある人材やそもそも母数が少ない希少な人材を獲得するには、従来型の採用手法だけでは十分とは言えません。

特に近年は転職市場での人材獲得が激化している状況ですので、採用側も新しいことに取り組んでいかなければならない状況です。

一般的には、求人情報を出したり、エージェントを活用して、転職市場に顕在化している人材に対してアプローチする方法が多いですが、昨今は転職潜在層、つまりまだ転職市場に現れていない人材に対してアプローチする方法も注目されています。

例えば、当社が提供する「Eight Career Design」は、転職顕在層だけでなく、現職で活躍する優秀な人材にアプローチできることから、利用企業数も増加傾向にあります。

こうしたサービスを活用することで、候補者に早い段階から自社とのマッチングを図ることができるようになります。

実際に自社が求める人材の獲得に至る企業は、さまざまな採用手法を取り入れることで、機会を広げているのではないでしょうか。

また、今回のデータなど転職市場に関わる情報を集めていただくことも、採用戦略を検討する上では必要になってくると思います。


ー最後に、これからの採用に必要なことについて小川さんの見解をお聞かせください。


小川さん:
繰り返しになりますが、終身雇用の崩壊やコロナ禍の影響により、人事を取り巻く環境は、目まぐるしく変化しています。

その中で、事業成長を加速させるためには、人事と経営層が同じ目線を持ち、変化を恐れず、新たな挑戦をする必要があります。

そうした挑戦をするためには、採用の現状や市場の変化、また実際に採用がうまくいっている企業の取り組みなど、情報を収集しながら、自社で戦略を立てていかなければなりません。

Eight Career Designでは、『Professional Recruiting Conference』という、これからの時代に必要な新人材戦略について考えるカンファレンスの開催や、今回のようなデータの発表など、企業の採用活動におけるヒントを提供しています。

こうした取り組みを通じて、少しでも企業の採用を後押ししていける存在になっていきたいですね。

 

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