福利厚生の確定拠出年金とは?導入するメリット・デメリットを解説 |HR NOTE

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福利厚生の確定拠出年金とは?導入するメリット・デメリットを解説

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「福利厚生として確定拠出年金を導入・運用するメリットは?」

「福利厚生として確定拠出年金を導入・運用する流れは?」

「福利厚生として確定拠出年金を導入・運用する際の注意点が知りたい!」

投資に関心のある従業員が多く、確定拠出年金の導入を検討している企業も多いのではないでしょうか。

確定拠出年金は福利厚生として導入できるため、大企業を中心に導入が増えています。導入するには確定拠出年金に関する正しい知識と手順を踏まえたうえで、メリットやデメリットも把握しなければなりません。

本記事では、福利厚生の確定拠出年金に関するメリット・デメリットを解説します。また導入する方法や注意点についても解説するので、ぜひ参考にしてください。

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1. 福利厚生の確定拠出年金とは?

確定拠出年金とは、掛金を拠出して運用した利益の合計額をもとに給付額が決定する年金制度のことです。企業が掛金を拠出する「企業型確定拠出年金」と、個人で掛金を拠出する「個人型確定拠出年金(iDeCo)」があります。

企業型確定拠出年金は、企業の福利厚生として設置が可能です。加入対象者は企業型確定拠出年金を実施する企業に在籍している従業員で、厚生年金保険の被保険者と定められています。

ほかの加入条件(年齢など)については、企業が作成する「企業型年金規約」にて定められます。2022年5月からは加入可能な年齢上限が引き上げられ、厚生年金被保険者である70歳未満の従業員も加入可能です。

ただし加入条件を見直すには、企業型年金規約を変更しなければなりません。確定拠出年金制度の詳しい概要については、以下の厚生労働省ホームページを確認してください。

参考:確定拠出年金制度の概要|厚生労働省

参考:企業型DC加入者の加入可能年齢が引き上げられます|厚生労働省

1-1. 確定拠出年金が導入された背景

確定拠出年金が導入された背景のひとつとして、少子高齢化が進んでいることが挙げられます。日本においては少子高齢化が加速していることにより、公的年金の支給額引き下げや、支給開始年齢の引き上げなどがおこなわれました。公的年金だけに頼っていると老後の生活が苦しくなる可能性があるため、確定拠出年金に注目が集まっているのです。

また、低金利の状態が続いていることで、企業が資産運用をおこなう確定給付企業年金の運営が難しくなっていることも、確定拠出年金の導入が進んでいる背景といえるでしょう。

1-2. 企業型確定拠出年金と個人型確定拠出年金の違い

確定拠出年金は、企業型と個人型の2つに分けられます。企業型確定拠出年金は、企業が掛金を拠出して、従業員が運用をおこなう制度です。運用実績によって将来の支給額が変わってしまうため、従業員は運用リスクを負うことになります。とはいえ、老後の資金を確保する手段のひとつになるため、導入する企業も増えてきました。

一方の個人型確定拠出年金は、運用だけではなく、加入の申し込みや掛金の拠出なども含めて、すべて従業員が個人でおこなう制度です。運用商品なども個人で自由に選べますが、その分、知識が求められます。また、運用実績によって将来の支給額が変わり、元本割れになるケースもあるため注意しなければなりません。

2. 福利厚生として確定拠出年金を導入している企業数の推移

確定拠出年金の統計資料によると、確定拠出年金を導入している企業は2023年3月末時点で4万7千件以上と公表されました。2013年3月末と比較すると、10年間で約3万件の企業が増加しています。

また確定拠出年金の加入者数は、2024年3月末時点で830万人であると公表されました。2023年3月末の加入者数は805万人であったことから、前年よりも25万人増加した結果です。

企業数や加入数が増えた要因として加入者の年齢引き上げや、中小企業向け制度の対象範囲を広げたことなどが挙げられます。

参考:確定拠出年金統計資料(2023年3月末)|運営管理機関連絡協議会

参考:確定拠出年金(企業型)の統計概況(令和6年3月末現在) |生命保険協会

3. 企業が福利厚生として確定拠出年金を導入・運用する3つのメリット

企業が福利厚生として確定拠出年金を導入・運用するメリットは以下の3つです。

  1. 従業員満足度の向上が期待できる
  2. 退職金制度のように積立する必要がない
  3. 税負担の軽減につながる

それぞれのメリットについて順番に見ていきましょう。

3-1. 従業員満足度の向上が期待できる

確定拠出年金は加入する従業員側のメリットも多く、従業員満足度の向上が期待できます。従業員側のメリットについて以下にまとめました。

  • 運用益は非課税
  • 従業員の掛金は全額所得控除
  • 積立金は原則60歳から引き出し可能
  • 転職先での移換やiDeCoへの変更も可能

上記のようなメリットがあることから、確定拠出年金に加入したいと考える従業員も多いです。従業員満足度が高いと、企業の定着率向上も期待できます。

3-2. 退職金制度のように積立する必要がない

退職金制度とは、従業員の働いた年数や業績などに応じて金額を支給する制度のことです。企業側が退職金を支給するためには資金を積み立てておく必要があり、経営状況によっては積立不足が発生する場合もあります。

確定拠出年金は企業側が拠出することで退職金を支払ったと判断されるため、積立をおこなう必要はありません。また積立不足を心配する必要もないため、現在運用している退職金制度から確定拠出年金への移行を検討する企業も増えています。

3-3. 法人税の軽減につながる

企業が掛金を拠出した場合、拠出した金額はすべて損金として算入可能です。損金として算入できると所得額が抑えられるため、法人税の軽減につながります。

従業員だけでなく企業側にも税制優遇のメリットがあるため、導入を検討する企業が多いです。

参照:確定拠出年金制度の概要|厚生労働省

4. 企業が福利厚生として確定拠出年金を導入・運用する3つのデメリット

企業が福利厚生として確定拠出年金を導入・運用するデメリットは以下の3つです。

  1. 毎月の掛金を確保しなければならない
  2. 導入・運用コストがかかる
  3. 従業員に対する投資教育をおこなわなければならない

各デメリットの詳細は以下のとおりです。

4-1. 毎月の掛金を確保しなければならない

確定拠出年金を導入した場合、企業側は毎月の掛金を拠出しなければなりません。掛金を確保するためには、入念な資金計画や掛金の設定が必要です。なお選択制確定拠出年金の場合は、一部の掛金を従業員負担にできます。

現行の拠出限度額は月額5万5千円で、確定給付企業年金と併用の場合は月額2万7,500円です。しかし2024年12月の制度改正により、確定給付企業年金と併用する場合は合算で月額5万5千円が拠出できるように変更されます。

詳しい概要については、以下の厚生労働省ホームページを確認してみてください。

参照:確定拠出年金の拠出限度額|厚生労働省

4-2. 導入・運用コストがかかる

確定拠出年金を運用するには、運営管理機関や資産管理機関などと契約しなければなりません。導入コストだけでなく、運用する際も毎月の手数料などが発生します。

また、企業型確定拠出年金は一度導入すると、すぐに廃止できる制度ではありません。導入・運用コストを算出したうえで、導入を検討しましょう。

4-3. 従業員に対する投資教育をおこなわなければならない

確定拠出年金を運用する際は、従業員の投資教育に努めなければならないと法律で定められています。従業員が正しい投資知識を身につけられるように、企業側は定期的な投資教育を計画しなければなりません。

投資教育は専門的な知識が必要なため、企業が単体でおこなうには難しい場合も多いです。講師を招いて説明会を実施したり、資料や映像を配布したりなど、従業員に最適な教育方法を検討しましょう。

参照:確定拠出年金法 | e-Gov法令検索

参照:確定拠出年金の投資教育|厚生労働省

5. 企業が福利厚生として確定拠出年金を導入・運用する流れ

企業が福利厚生として確定拠出年金を導入・運用する流れは以下のとおりです。

  1. 労使合意を得る
  2. 企業型年金規約を作成する
  3. 厚生労働大臣の承認を受ける
  4. 確定拠出年金の運営管理機関と資産管理機関を選定する
  5. 運用商品を選定する
  6. 従業員へ周知をおこなう

以下、それぞれのステップについて簡単に解説します。

5-1. 労使合意を得る

企業が福利厚生として確定拠出年金を採用するには、従業員の合意(労使合意)を得なければなりません。従業員に対して確定拠出年金のメリットや注意点などを説明し、半数以上の同意を得ましょう。

5-2. 企業型年金規約を作成する

その後、労使合意に基づいた企業型年金規約を作成します。対象とする従業員の範囲など、企業の状況に合わせて適切なルールを設定することが大切です。

5-3. 厚生労働大臣の承認を受ける

企業型年金規約の作成後は、厚生労働大臣の承認を受けなければなりません。厚生労働省の承認までに2カ月ほどかかるため、運用日までに余裕をもって申請しましょう。

申請の際は、就業規則や会社情報を確認できる書類などを準備する必要があります。

5-4. 確定拠出年金の運営管理機関と資産管理機関を選定する

厚生労働省の承認を得たら、確定拠出年金の運用に必要な「運営管理機関」「資産管理機関」を選定します。「運営管理機関」は、制度の運営や管理を依頼する機関、「資産管理機関」は加入者の年金資産を管理する機関です。それぞれ信頼できる機関を選びましょう。

5-5. 運用商品を選定する

次に運用商品を選定しましょう。安定した収益が得られるもの、高い利回りが期待できるものなど、さまざまな商品があるため、幅広い視点で検討することが大切です。

5-6. 従業員へ周知をおこなう

すべての選定を済ませたら、従業員への周知に必要な資料や情報を収集しましょう。従業員への周知が完了したら、確定拠出年金の運用が開始されます。

6. 福利厚生として確定拠出年金を導入・運用する際の注意点

確定拠出年金を導入・運用する際の注意点は以下のとおりです。

  • 導入コストと運用コストを確認する
  • 運用開始までのスケジュールを把握する

それぞれの注意点について簡単に確認しておきましょう。

6-1. 導入コストと運用コストを確認する

確定拠出年金を導入・運用するには、運営管理機関や資産管理機関に対する手数料が発生します。また従業員に対する投資教育をおこなうために、教材代や講師料も必要です。導入・運用までに、どのくらいの費用が発生するのか事前に確認しましょう。

6-2. 運用開始までのスケジュールを把握する

運用開始までのスケジュールを把握しておくことも重要です。確定拠出年金を運用開始するまでに、早くて約半年〜1年程度かかる場合があります。スムーズに運用を始められるように、細かなスケジュールを把握しましょう。

7. 福利厚生としての確定拠出年金の導入を検討しよう!

今回は、福利厚生としての確定拠出年金を導入するメリット・デメリットや導入方法を解説しました。確定拠出年金を導入することには、従業員の老後の生活をサポートできる、法人税の節税につながるなどのメリットがあります。ただし、導入や運用のコストがかかる、従業員に対する教育が必要になる、といったデメリットもあるため注意しましょう。

また、確定拠出年金を導入するためには申請手続きが必要であり、運用を開始するまでに半年〜1年程度かかります。すぐに導入できるわけではないため、スケジュールを把握したうえで準備を進めることが大切です。

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