社会保険の随時改定はいつから必要?おこなうための条件や手続き方法を紹介 |HR NOTE

社会保険の随時改定はいつから必要?おこなうための条件や手続き方法を紹介 |HR NOTE

社会保険の随時改定はいつから必要?おこなうための条件や手続き方法を紹介

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手続きの流れ

社会保険料は一定額ではなく、従業員の賃金によって金額が変動します。

通常であれば、毎年定期的に賃金を元に計算し直されますが、年の途中で給料が大幅に変動した場合は申請することで、社会保険料を随時改定することができます。

本記事では、社会保険の随時改定とは何なのか、どのような条件のもと、随時改定ができるのか、手続き方法や注意点を詳しく解説します。

関連記事:社会保険とは?代表的な4つの保険と今さら聞けない基礎知識 

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1. 社会保険の随時改定とは?

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社会保険の随時改定とは、通常のタイミング以外で社会保険料を変更することです。

社会保険料は従業員の賃金から算出する標準報酬月額によって決まります。

通常であれば一定期間の標準報酬月額から計算して確定した社会保険料は決定から1年間適用されますが、雇用形態や条件によっては賃金が大きく変わり、社会保険料が賃金に応じた金額と大幅に異なるケースもあります。

そのときには随時改定の手続きをおこない、賃金に応じた適切な社会保険料を算出しなければなりません

1-1. 社会保険の随時改定はいつから手続きが必要?定時決定との違い

通常、社会保険料を計算する期間は4月から6月です。

この期間の平均賃金を求めて、従業員の標準報酬月額を求めます。その標準報酬月額に対応した社会保険料を算出します。7月に社会保険料が確定したのち、9月から翌年の8月までは算出した金額がその年度の社会保険料となります。

このように、毎年7月に定期的な社会保険料の算出をします。これが、社会保険料の「定時決定」です。

一方で、7月から3月までの間に大幅な賃金の変更があった場合は随時改定の手続きが必要です。大幅な賃金の変更とは具体的に、直近3ヵ月で支払う固定の賃金が増減し、標準報酬月額が2等級以上上下した場合のことです。

このような場合は、賃金に応じた社会保険料と支払う社会保険料が大幅に異なるため、定時決定以外のタイミングで改定をします。直近3ヵ月で支払った標準報酬月額が変動した場合は、4ヵ月目に手続きをおこなう必要があります。

4ヵ月目に手続きをおこなった場合、随時改定は4ヵ月目の給与から反映されます。

関連記事:社会保険の定時決定とは?算定基礎届の作成手順も紹介

1-2. 社会保険の随時改定をしないとどうなる?

社会保険の随時改定の届出をおこなわなかったり、虚偽の届出をした場合には、6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

社会保険の随時改定は従業員の保険料や年金にかかわってくる重要な手続きのため、罰則の有無にかかわらず正確に対応する必要があります。

随時改定をしなかった場合、年金事務所調査で指摘されることや、定時決定の際に発覚する場合があります。

必要な場合に随時改定をおこなっておらず、社会保険料を賃金に応じた金額よりも少なく支払っていた場合、支払うべき月から遡及して社会保険料を請求される場合もあります。そのため、支払った3ヵ月間の賃金に大きな変動が生じた場合はすみやかに4ヵ月目に手続きをおこないましょう。

また、何らかの理由で標準報酬月額が下がり、社会保険料が下がる場合もすみやかに手続きをおこなわなければ、必要以上の社会保険料を支払うことになります。

手続きに遅れが生じると、従業員が不利になったり、遡及して精算する場合の手続きが通常よりも煩雑になったりするなどの影響があります。

できるだけ手続きが必要なタイミングで遅れの内容に対応しましょう。

2. 社会保険の随時改定をおこなうための3つの条件

黒背景に数字の3

社会保険の随時改定をおこなうための条件は3つあります。

固定賃金が変わった、3ヵ月の支払い基礎日数が17日以上、2等級以上の差があるといった条件を満たしているか確認してください。

それぞれの詳細を解説します。

2-1. 固定賃金が変わった場合

昇格、降格によって固定賃金が変わった場合に随時改定をすることができます。

賃金には固定賃金と非固定賃金があり、非固定賃金の変動は随時改定ができる条件には含まれないので注意してください。

固定賃金は労働時間、実績に関係なく一定期間で必ず支給する賃金です。

従業員の昇格や降格の他、給与体系が変わった、基礎単価が変わった、歩合率が変更になった場合にも随時改定の条件に該当します。

2-2. 3ヵ月間の支払い基礎日数が17日以上の場合

支払い基礎日数は、賃金を計算する際の基礎の日数です。

月末締めの場合、4月1日から4月30日までを計算する場合は支払い基礎日数は30日になります。

3ヵ月間で支払い基礎日数が17日以上なければ、社会保険の随時改定の手続きはできません。

2-3. 2等級以上の差がある場合

固定賃金が変動した結果、改定前後の標準報酬月額に2等級以上の差が出た場合に随時改定の手続きをおこなえます。

あくまでも固定賃金の変動の差によるもので、非固定賃金に大きな差があった場合は適用されないので注意してください。

残業代は非固定賃金なので、残業時間の増減によって社会保険の随時改定はおこなわれません。

3. 社会保険の随時改定の手続き方法

退職手続きの対応

社会保険の随時改定の手続き方法を解説します。

随時改定には月額変更届の入手、記入、提出が必要です。

それぞれどのように手続きを進めるのか見ていきましょう。

3-1. 月額変更届を入手する

まずは月額変更届を入手しなければなりません。

月額変更届は略して「月変」と呼ばれることもありますが、正しくは「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届」です。

長くなるので本記事では月額変更届として説明します。

月額変更届は年金事務所、健康保険組合に申請すれば発行してもらえます。

わざわざ出向く時間や余裕がない場合は日本年金機構のホームページからダウンロードして印刷することができます。

参考:健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届|日本年金機構

複数の従業員の社会保険を随時改定したい場合、1枚の月額変更届に最大5人分の記入をすることが可能です。

3-2. 月額変更届を記入する

月額変更届が手元に届いたら各項目を埋めていきます。

月額変更届に記入しなければならない項目は、提出日、届出事業者の情報、個人別の情報です。

個人別情報は、被保険者整理番号、氏名、生年月日、さらに改定する年月を記入しなければなりません。

月額変更届をダウンロードできる日本年金機構のホームページでは、どの部分に何を記入すればいいのかが丁寧にかかれた記載例があるので、こちらを確認しながら必要事項を埋めていきましょう。

参考:健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届/厚生年金保険 70歳以上被用者月額変更届(記入例)|日本年金機構

3-3. 月額変更届を提出する

書類の記入ができたら提出します。

提出方法としては窓口へ提出する他、郵送、電子申請の方法もあります。

いずれも管轄の年金事務所、事務センターへ提出します。

窓口へ提出すればその場でミスなどを修正できますが、郵送、電子申請の場合は時間がかかる可能性があるので注意してください。

  • 資本金や出資金などが1億円を超えている企業
  • 相互会社
  • 投資法人
  • 特定目的会社

上記に当てはまる企業の場合、提出方法は電子申請が義務になっています。

月額変更届を提出した後、当月から翌月までには社会保険料が変更されます。

再度随時改定をしない限り、次の8月まで変更後の標準報酬月額が適用されます。

4. 社会保険の随時改定をおこなうときの注意点

注意点

社会保険の随時改定をおこなう際は固定賃金と非固定賃金の違いに注意しなければなりません。

何が固定賃金に含まれ、何が非固定賃金に含まれるのかを事前に確認しましょう。

4-1. 固定賃金に含まれる手当を確認する

固定賃金とは、賃金を計算する期間において必ず支給される一定の金額のことです。

固定賃金には、基本給にプラスしてさまざまな手当も含まれます。

毎月変動しない手当としては通勤手当、家族手当があります。

各手当の中でも毎月金額が変動する手当、一時的に支給される手当は固定賃金には含まれません。

この違いを正しく理解しておかなければ随時改定の手続きができない可能性もあるので注意しましょう。

4-2. 残業代などは固定賃金に含まれない

非固定賃金は上記で紹介した以外の、期間ごとに変動する賃金です。

時間外労働や休日労働で発生した賃金は毎月固定ではないので非固定賃金として計算します。

精勤手当てや出産、育児、介護にかかる手当、慶弔見舞金など、一時的に支給する手当も非固定賃金です。

給与の金額がこれまでから一気に増えた場合は、その金額が固定賃金によるものなのか、非固定賃金によるものなのかを確認しなければなりません。

5. 社会保険の随時改定を正しく理解しよう

白背景とメガホン

本記事では社会保険の随時改定を解説しました。

固定賃金が変動した場合、一定期間を待たずに随時改定の手続きをすることができます。

随時改定をおこなうには複数の条件を満たす必要があり、固定賃金と非固定賃金を明確に分類して計算しなければなりません。

正しく手続きができていないと社会保険料に差が出て、将来的に受け取れる年金の金額も変動してしまいます。

正しい知識を身に着け、計算ミス、処理漏れのないように作業を進めましょう。

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