退職金制度の導入・見直しの方法は?相場・計算方法・廃止の可能性について解説 |HR NOTE

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退職金制度の導入・見直しの方法は?相場・計算方法・廃止の可能性について解説

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見直しをする

「退職金制度の導入・見直し方法を知りたい」

「退職金制度の廃止を検討している」

「退職金制度の相場や計算方法がわからない」

上記の悩みを抱えている経理・労務担当者の方は多いでしょう。

退職金制度を導入するタイミングは、創業時から成長期になります。また、見直すタイミングは、退職金制度の法律が変更されたり、定年制を変更したりした場合です。

本記事では、退職金制度の導入と見直し方法、相場、計算方法、廃止の可能性について解説します。

退職金制度を効果的に利用し、従業員が働きやすい職場作りの参考にしてください。


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1. 退職金制度の導入・見直しの方法

退職金制度の導入と見直し方法について、以下でそれぞれ解説します。

  1. 導入
  2. 見直し

1-1. 導入

導入する方法は、以下の3つです。

  1. 退職金制度を導入する目的を決める
  2. 従業員に退職金制度について周知する
  3. 労働基準監督署に届ける

導入には、従業員の協力と、労働基準監督署への提出が必要になるため、適切に理解しておきましょう。

1-1-1. 退職金制度を導入する目的を決める

最初に、退職金制度を導入する目的を明確にしましょう。目的が明確であることで、どのような退職金制度を設置すべきかがわかります

また退職金制度は一度導入すると廃止することが困難です。何を目的としているのか明確にしないまま退職金制度を導入すると、社内の経営状況に長期的に大きな影響を与えるおそれがあります。

従業員獲得の一助にしたいのか、現在の従業員が長く働ける環境を整備したいのか、自社における退職金制度導入の目的を十分に検討しましょう。

1-1-2. 従業員に退職金制度について周知する

退職金制度の導入を決めたら、従業員に周知しましょう。退職金制度の理解を広げることで、従業員の不安を解消し、社内全体で前向きに受け入れやすくなります

具体的には、以下の点を説明することが大切です。

  • 退職金制度を導入する背景・理由
  • 退職金制度の概要
  • 退職金制度を導入することによる影響

従業員の中には、退職金制度を設けることで毎月の給与金額が下がるのではないか、と不安に思う人もいます。企業と従業員間の信頼関係を損なわないためにも、しっかりと導入の背景や目的を説明してください。

1-1-3. 労働基準監督署に届ける

退職金制度を導入するには、労働基準監督署に届け出て就業規則に記載する必要があります。

就業規則は、労働基準法第89条に則り作成しなければなりません。常時10名以上を雇用する企業は、就業規則を作成し届け出ることが義務化されています。

退職金制度の導入が確定し、詳細の検討が完了したら、労働基準監督署に追加する旨を届けましょう。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

1-2. 見直し

退職金制度の見直し方法は、以下の2つです。

  1. 現状把握
  2. 課題の明確化

見直しは、適当に対応すると効果は薄くなります。しっかりポイントを押さえて効果的に実施しましょう。

1-2-1. 現状把握

まずは、企業内の現状を把握しましょう。現状を把握することで、改善すべき点が見つかります。

見直すポイントは、以下のとおりです。

  • 退職金制度がうまく活用されているか
  • 法律の改正に対応できているか
  • 自社の状況に適した退職金制度であるか

また、企業の経営方針が変更された場合、退職金制度が変更に即したものか、確認しておきましょう。

1-2-2. 課題の明確化

現状把握が終われば、課題を明確化させましょう。課題がはっきりすると、解決に向けた行動を起こせるようになります。

見直したポイントから、変更が必要な箇所や機能していない部分を明らかにし、課題として把握してください。

退職金制度を効果的に運用させるためにボトルネックとなっていることを見出し、改善につなげましょう。

2. 退職金制度の導入・見直しをするべきタイミング

退職金制度の導入・見直しをするのに最適なタイミングは以下のとおりです。

導入

創業から成長期

見直し

・退職金制度の法改正があったとき

・定年制を変更したとき

創業期で人事評価や給与体系を検討する際に、退職金制度も整備することがおすすめです。

企業が成長していく段階で、従業員の増員は必要になるでしょう。就職を検討している就活生や、転職希望者は、福利厚生の一つとして退職金制度の有無を見ています。

退職金制度を設けておくことで、競合他社との差別化や、従業員の職場環境の整備につながるでしょう。

また、退職金制度に関する法律は定期的に改正されています。そのため、法律の変更が実施されるタイミングに合わせて見直しましょう。

定年制は、60歳で定年を迎えるのが一般的でした。しかし、高年齢者雇用安定法の改正により、65歳を定年とする、もしくは65歳以降は再雇用を検討するなど、状況が変化しています

企業は、定年制を変更する場合、退職金制度についても見直すことが望ましいです。

3. 退職金制度の導入・見直しで検討したい主な種類

退職金制度は大きく以下の3種類に分類でき、さらに細分化されます。

種類

制度名

内容

退職一時金

社内積立型

退職金を社内で積み立てる

社外積立型

退職金共済制度を利用し、社外で積み立てる

退職金年金

確定給付年金

企業が従業員に退職金の給付を約束させる

確定拠出年金

掛金と運用益の合計をもとに給付額が確定する

退職金共済

中小企業退職金共済と企業が契約し、掛金を納付する。その後、従業員が退職した際、中小企業退職金共済から退職金が給付される

退職金の種類は一つではなく、さまざまです。どこに掛金を積み立てるのか、どのように運用するのかで内容が大きく異なります。

種類と違いについて適切に理解し、自社の事情に合わせた退職金制度を導入しましょう。

4. 退職金制度の導入・見直しで押さえたい金額相場

退職金の相場は、以下のとおりです。

企業の種類

相場

大企業

大卒:約2,648万円

高卒:約2,010万円

中小企業

大卒:約1,091万円

高卒:約994万円

参考:賃金事情等総合調査 退職金、年金及び定年制事情調査 |e-Stat政府統計の総合窓口

参考:中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)|東京都産業労働局

退職金制度の金額相場は、大企業と中小企業で大きく異なります。金額は企業の任意で決まるため、体力の多い大企業の方が金額が高くなる傾向にあるでしょう。

相場を知っておくことで、従業員が納得できる金額を提示でき、企業の負担が大きくなることを抑えられます。

5. 退職金制度の見直しで廃止する企業は多い

近年、退職金制度の見直しで、廃止する企業が増加しています。以下は厚生労働省が調査した退職金制度に関するデータです。

今後3年間で廃止する予定の企業の割合

退職金(一時金・年金)制度がある企業の割合

平成30年

1.9%

80.5%

令和5年

6.6%

74.9%

参考:令和5年就労条件総合調査概況|厚生労働省

参考:平成30年就労条件総合調査結果の概況|厚生労働省

厚生労働省の調査によると、退職一時金の制度を見直した際に今後3年間で廃止する予定の企業は平成30年で1.9%、令和5年は6.6%でした

さらに、退職給付(一時金・年金)制度がある企業割合は平成30年時点では80.5%、令和5年時点で 74.9%と減少しています。

調査結果からも、退職金制度の見直しにより廃止している企業が多いことがわかるでしょう。

退職金を廃止する背景は、以下の2つです。

  • 年功序列が崩壊している
  • 退職金を給付する体力がない

現在の日本では、長期にわたって同じ企業に勤務する考えが薄くなっています。新入社員の早期退職や、企業に合わないと感じて転職する人の割合が増加傾向です

さらに、コロナ禍による売上の減少、人件費の上昇など、企業の経営状況が悪化する要因が重なっています。そのため、退職金にお金をまわす余裕が無くなった結果、退職金制度を廃止した企業が増加しました。

6. 退職金制度の見直し・変更・廃止をする際の注意点

退職金制度の見直し・変更・廃止する場合の注意点は、以下の2つです。

  1. 専門家に相談する
  2. 従業員のモチベーションを管理する

6-1. 専門家に相談する

まずは、専門家に相談するようにしましょう。自社に適した退職金制度を取り入れるには、一定の知識が必要になるためです。

そのため、社労士などの専門家に相談し、プロのアドバイスを受けるようにしましょう。退職金制度そのものだけではなく、変更・廃止にともなう従業員への説明についても意見をもらえます。

上記のプロセスを踏むことで一方的に廃止した印象を軽減でき、従業員と揉めるリスクを軽減できるでしょう。

6-2. 従業員に十分な説明をする

退職金制度を見直して変更・廃止する場合、従業員に十分な説明をしましょう。

退職金は従業員にとって働く意欲を高めるものであり、人生における老後の経済的な計画にも影響します。

丁寧に対応しなければ、日常的な業務における生産性の低下や不満が発生したり、従業員が退職する要因にもなったりするリスクがあるでしょう。

退職金制度を変更・廃止する際には、合理性のある説明が必要です。きちんと準備をして、従業員の理解や納得を得るよう努めましょう。

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