「パルスサーベイとはどういう意味?」
「パルスサーベイを実施する意味はない?」
「パルスサーベイを効果的に実施する方法が知りたい」
上記のような悩みを抱えている労務担当者も多いでしょう。
パルスサーベイは、短い期間に調査を繰り返す方法で、従業員満足度調査などで用いられます。パルスサーベイを活用して、組織内の問題をリアルタイムに把握しましょう。
本記事では、パルスサーベイの概要や効果がないといわれる理由、効果を発揮させるための方法について解説します。パルスサーベイを活用して、効果的に従業員満足度を調査できるように参考にしてください。
人材不足が課題の昨今、職場定着率の低さ・若年層の早期退職は深刻な問題です。
このようなケースに該当する企業において、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
この解決方法として、職場改善を目的とした従業員のモチベーション管理の仕組みを積極的に取り入れる企業が増えており、従業員満足度の調査ツールが注目を集めています。
当サイトでは、「モチベーション管理において、まず何から始めていいのかわからない」「具体的にどのような分析・活用をすべきなのか知りたい」という人事担当者の方に向けて「従業員満足度調査のハンドブック」を無料配布しています。
ツールの選び方から調査方法、結果の活用方法までわかりやすく解説していますので、従業員のモチベーション向上や社内制度の改善を図りたい方はこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. パルスサーベイとは|短期間で反復的に実施する調査
パルスサーベイとは、パルス(脈拍)とサーベイ(調査)を合わせた単語であり、脈拍のように短期間で何度も調査を繰り返す手法です。従業員満足度調査などにおいて、組織内の問題をリアルタイムに把握するために利用されます。
パルスサーベイは調査頻度が多いことが特徴です。短期間に何度も調査するため、従業員個人の様子や組織内の状況を把握しやすくなります。
1-1. パルスサーベイとエンゲージメントサーベイの違い
パルスサーベイと似た調査手法が、エンゲージメントサーベイです。両者の違いを以下の表にまとめました。
調査の種類 |
調査期間 |
調査目的 |
パルスサーベイ |
1週間もしくは1カ月 |
社内課題の発見 |
エンゲージメントサーベイ |
半年もしくは1年 |
従業員の会社に対する愛着を調べる |
エンゲージメントサーベイはパルスサーベイと比べると、半年〜1年に1回など期間を空けて調査するため、リアルタイムでの反映が困難です。その分、深い分析ができ、課題の発見や解決方法が見つけやすい傾向にあります。
2. 「パルスサーベイは意味ない」といわれる理由
「パルスサーベイは意味ない」といわれる理由は、以下の3つです。
- 調査回答がマンネリ化する
- 企業の対応が追いつかない
- 効果が出ないケースもある
2-1. 調査回答がマンネリ化する
「パルスサーベイは意味ない」といわれる大きな理由は、回答がマンネリ化することです。パルスサーベイでは、短期間で同じ質問による調査を実施します。従業員目線では、短い期間に何度も同じ質問に回答しなければならないため、回答への意欲が下がりやすいです。
その結果、従業員は質問に対して適当な回答をする傾向があります。
2-2. 企業の対応が追いつかない
企業の対応が追いつかないことも「パルスサーベイは意味ない」といわれる理由のひとつです。パルスサーベイは短い間隔でおこなうため、企業の課題を早期に発見できます。しかし、企業側が課題に対応して解決に至る前に、次の課題が発生する状況になりやすいです。
こうしたループが継続されることで、企業側の対応が追いつきません。調査したデータがあるものの、分析や検討する時間がなく、情報収集で止まります。
2-3. 効果が出ないケースもある
パルスサーベイを実施したからといって、必ず効果が出るとは限りません。質問数がそれほど多くはないため、企業の課題をうまく抽出できないケースもあるでしょう。
また、従業員が調査に協力的でない場合、回答が集まらなかったり、正確性を確保できなかったりして、効果が出ない可能性もあります。
3. パルスサーベイの目的
パルスサーベイの主な目的は、以下の3つです。
- 新しい施策を改善する
- 従業員満足度を向上させる
- 課題にリアルタイムに対応する
3-1. 新しい施策を改善する
目的の1つ目は、新しい施策を改善することです。新しい施策は実際に効果が見込めるかを短期間で見極め、改善を図る必要があります。
パルスサーベイを実施することで、施策を検証し、課題を見つけて解決するサイクルを回しやすいです。従業員の声を即座に施策に反映でき、スピーディーに改善できます。
3-2. 従業員満足度を向上させる
目的の2つ目は、従業員満足度を向上させることです。パルスサーベイにより、従業員が勤務するうえで感じている不満や発見した課題を早期に把握・改善し、満足度向上を図れます。
改善する行動を企業が取ることで、従業員が働きやすい環境を整備できるでしょう。企業が従業員のためになる行動や、対策を講じることで、従業員は企業を信頼できるようになり、満足度も向上します。
3-3. 課題にリアルタイムに対応する
課題にリアルタイムに対応することもパルスサーベイの目的のひとつです。パルスサーベイにより課題の把握・解決をすることで、大きなトラブルの発生を防げます。たとえば、1人の従業員から出た不満が時間とともに社内全体の問題へと発展するケースがあるでしょう。
パルスサーベイで早い段階でアプローチすることで、問題を大きくさせず、解決可能です。課題をリアルタイムで解決する目的としてパルスサーベイが実施されます。
4. パルスサーベイのメリット
パルスサーベイを実施する主なメリットは、以下の3つです。
- 調査にかかる費用が抑えられる
- 業務内容を反省する機会が生まれる
- 従業員満足度をリアルタイムに把握できる
4-1. 調査にかかる費用が抑えられる
1つ目のメリットは、調査にかかる費用が抑えられる点です。パルスサーベイは質問数が少なく、自社での実施・分析が可能なため、外部機関への委託と比較してコストが抑えられます。
また、反復して調査するため、自社で一度用意しておくことで、次回の調査もスムーズに実施できます。外部機関に委託した場合の費用をかけることなく、調査が可能です。
4-2. 業務内容を反省する機会が生まれる
2つ目は、業務内容を反省する機会が生まれる点です。従業員が成長するためには、反省する機会が必要になります。パルスサーベイを実施すれば、調査のタイミングで従業員は定期的に自分の業務内容の振り返りが可能です。
上司との定期的な面談を実施した際に、改善点を指摘されることもあるでしょう。しかし、従業員が自分で反省点に気が付くことに意味があります。
自分自身で気が付くことで、深く理解でき、より改善したい気持ちが湧くでしょう。
4-3. 従業員満足度をリアルタイムに把握できる
従業員満足度をリアルタイムに把握できることもパルスサーベイのメリットです。パルスサーベイは1週間〜1カ月に1回という短いスパンで実施するため、従業員満足度の変化を把握しやすいでしょう。たとえば、新しい施策を試す前後などに実施すれば、施策の効果を把握できます。
5. パルスサーベイのデメリット
パルスサーベイのデメリットは、以下の3つです。
- 従業員の負担が増加する
- 効果が得られるとは限らない
- 対応策は企業側で考えなければならない
パルスサーベイのデメリットを適切に理解することで、本当に実施する価値があるかを検討できます。パルスサーベイの導入を検討している労務担当者は、参考にしてください。
5-1. 従業員の負担が増加する
デメリットの1つ目は、従業員の負担が増加することです。パルスサーベイは、1週間や1カ月など短期間のうちに繰り返す調査方法になります。普段の業務に加えて調査への回答時間を設ける必要が生まれるため、従業員の負担が増加するでしょう。
調査への回答時間が1回につき、10分と仮定した場合、毎週実施すると1カ月で40分も時間を空けなければなりません。とくに繁忙期やトラブルが発生したタイミングと重なることで、従業員にとっては負担になります。
5-2. 正確に回答してもらえない可能性がある
2つ目は、効果が得られるとは限らない点です。調査は、従業員が正確に回答してくれることが前提となります。しかし実際には、ほかの業務に追われている従業員が早く終わらせるために、深く考えず回答することもあるでしょう。
そのため、調査結果が従業員の状態を反映していないこともありえます。不正確な結果をもとに改善に取り組んだ場合、得られる効果は薄いです。
上記を防ぐためには、なぜパルスサーベイを実施しているのか、実施した結果、どのような効果が得られるのかを従業員にしっかり説明してください。
5-3. 対応策は企業側で考えなければならない
3つ目は、対応策は企業側で考えなければならない点です。パルスサーベイは小規模な調査のため、一般的には社内で実施することが多いでしょう。調査の実施から結果の分析、改善のための対応策の提示・実行までを一貫しておこなう必要があります。
社内で試行錯誤しながら、改善しなければなりません。もちろん外部に委託する方法もありますが、リアルタイムでの把握は困難です。
6. パルスサーベイの効果を高める方法
パルスサーベイの効果を高めるためには、以下ような点を意識しましょう。
- ゴールを明確にする
- 実施目的を従業員へ周知する
- 質問項目を精査する
- 結果をフィードバックする
- 集計と分析を効率よく進める
- 専門のチームを結成する
パルスサーベイは意味がないといわれやすい調査方法ですが、ポイントを押さえておくことで効果を高められます。
6-1. ゴールを明確にする
パルスサーベイの効果を高めるためには、ゴールを明確にすることが重要です。ゴールを決めることで目的意識が生まれ、調査の形骸化を防げます。
たとえば、ゴールを「残業をなくすため」と設定して調査を実施した場合、従業員は残業をどうしたらなくせるかを意識し、協力的な姿勢で回答することになります。結果的に、調査結果から残業が発生している原因や課題がわかりやすくなり、効果的な改善を期待できるでしょう。
一方で、何のゴールもなくただ調査を実施した場合、従業員はなんとなく回答することになります。何のために調査するのかがわからず、形だけの調査となりかねません。パルスサーベイを活用して、どういう組織にしたいのか、従業員にどういう職場環境を提供したいのか検討しておきましょう。
6-2. 実施目的を従業員へ周知する
パルスサーベイの実施目的を従業員へ周知することも重要です。実施目的がわからないと、仕事以外の作業が増えることに不満を感じる従業員が出てくるかもしれません。
また、評価に関わるのではないかと不安を感じる従業員もいるでしょう。働く環境を整備するために実施すること、評価に影響しないことなどを伝え、安心して回答してもらうことが大切です。
6-3. 質問項目を精査する
パルスサーベイの効果を高めるためには、質問項目を精査しましょう。目的に応じた質問項目を揃えることで、効率よく現状把握ができ、課題を明確にできます。
現状を把握するといっても、質問項目の内容を絞らずにいると、何のための調査か不明確になりかねません。また質問項目の数が多すぎると従業員の負担になり、少なすぎると現状を十分に把握できないでしょう。適切な内容・数であるかを意識して質問項目を精査することが大切です。
6-4. 結果をフィードバックする
パルスサーベイを実施したら、集計結果や分析結果を従業員へフィードバックしましょう。結果を非公開にすると調査に協力した手応えが感じられず、「意味がないのでは?」と感じる従業員が出てくる可能性もあります。また、結果をもとにどのような施策を実施するのかも伝えておきましょう。
6-5. 集計と分析を効率よく進める
パルスサーベイは短いスパンで繰り返し実施するため、1回の調査に関する集計・分析は効率よく進めなければなりません。集計や分析に時間がかかると、次の調査のタイミングが来てしまい、作業が追いつかなくなるケースもあります。
パルスサーベイの集計や分析を効率よく進めたい場合は、便利なツールを導入するのがおすすめです。質問の作成や配布はもちろん、集計や分析を自動化できるため、作業が効率よく進むでしょう。
6-6. 専門のチームを結成する
パルスサーベイを実施するための専用チームを結成するのもよい方法です。チーム内で協力して作業をおこなうことで、調査を効率化しつつ、集計や分析に関するノウハウを蓄積できます。また、チームを立ち上げることで、社内外へアピールすることもできます。
7. パルスサーベイについて理解して適切に運用しよう
今回は、パルスサーベイの意味や実施するときのポイントなどについて解説しました。パルスサーベイは、短期間のうちに調査を繰り返す手法です。従業員満足度や企業内の課題を明確にするために用いられます。
パルスサーベイは意味がないといわれることもあるものの、メリット・デメリットやポイントを理解すれば、効果的に活用可能です。正確なデータを収集するためにも、従業員にはパルスサーベイの目的をしっかり共有しておきましょう。ゴールが明確であれば、従業員の協力も得やすくなります。パルスサーベイを効率よく進めたい場合は、便利なツールの導入を検討しましょう。
人材不足が課題の昨今、職場定着率の低さ・若年層の早期退職は深刻な問題です。
このようなケースに該当する企業において、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
この解決方法として、職場改善を目的とした従業員のモチベーション管理の仕組みを積極的に取り入れる企業が増えており、従業員満足度の調査ツールが注目を集めています。
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