年末調整の計算方法について具体例を挙げながら解説 |HR NOTE

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年末調整の計算方法について具体例を挙げながら解説

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悩む女性
経理職にとって欠かせないのが年末調整の際の計算です。正しい所得税を計算し、納めすぎの場合は還付、足りない場合は徴収を行わなくてはいけません。しかし、年末調整とは具体的にどのような計算を行うのかわからないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では年末調整の計算方法について解説いたします。具体的な計算例や注意点についても紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:年末調整とは|確定申告との違い、対応方法、注意点など基礎からわかりやすく解説!

関連記事:年末調整のキホン|今さら他人に聞けない担当者必見の内容をご紹介

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1. 年末調整の計算方法

計算

年末調整の計算方法としては、以下の流れで進めていく必要があります。

1-1. 年間給与額を算出する

まずは従業員ごとに年間給与額を算出していきます。給与から差し引いた健康保険料や社会保険料、源泉徴収額についても計算の中で使用する必要があるため、給与額を算出していく中で値段をメモなどで残しておくようにしてください。

1-2. 控除額を差し引く

次に給与額から控除額を差し引いていきます。給与所得控除額と所得控除がくを全給与額から引いていかなくてはいけません。

給与所得控除額とは、勤務先から給与所得を受けている従業員に適用される控除のことです。給与所得として計算をするのは、給与収入から給与所得控除額を引いたものなので注意してください。

給与所得控除額は以下の表によって決定されます。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1625000円まで 550000円
1625001円から1800000円まで 収入金額×40%+100000円
1800001円から3600000円まで 収入金額×30%+80000円
3600001円から6600000円まで

収入金額×20%+440000円

66000001円から8500000円まで 収入金額×10%+110000円
8500001円以上 1950000円(上限)

給与等の収入金額が660万円未満の場合は、所得税法別第五によって給与所得の金額を合算して計算する必要があります。上記の表には関わらないので注意してください。

所得控除額とは「給与所得者の扶養控除等申書」と「給与所得者の保険料控除申告兼給与所得者の配偶者特別控除申告書」を元にして計算される控除額のことです。

1-3. 所得税率をかける

次に給与の総額から所得控除額を差し引いて、それに所得税額をかけます。所得税の税率は以下の表の通りです。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 ~ 1,949,000円まで

5%

0円
1,950,000円 ~ 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 ~ 6,949,000円まで

20%

427,500円
6,950,000円 ~ 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 ~ 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円 ~ 39,999,000円まで 40% 2,796,000円

40,000,000円 以上

45% 4,796,000円

関連記事:所得税率の計算をわかりやすく解説!所得税率表・計算例付き

1-4. 住宅ローン控除額を差し引く

次に住宅ローン控除額を差し引きます。住宅ローン控除を行うと、各年で最大40万円の所得税が戻ってくる仕組みになっています。住宅ローン控除が必要な従業員には、住宅借入金等特別控除申告書を提出してもらわなくてはいけないので注意してください。

控除を受ける最初の年については、従業員自身が確定申告を行う必要があります。事業主が年末調整で控除する必要はないので覚えておいてください。

1-5. 源泉徴収額と照らし合わせる

所得税を正しく計算できたら、給与支払いの際に発生した源泉徴収額と照らし合わせます。源泉徴収額が正しい所得税よりも多ければ差額を還付して、少ないときは追加で徴収するなどの対応が必要です。

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1-6. 必要書類を作成する

最後に源泉徴収票を発行して、従業員に配布します。これは従業員の転職や確定申告、住宅ローンの審査において必須の情報となっているので確実に作成して渡さなくてはいけません。

また、1月31日までには「法定調書合計表」を税務署に提出して「給与支払報告書」を市町村に提出する必要があります。これらの書類についても作成する必要があるので覚えておいてください。

関連記事:年末調整の必要書類は?書き方・提出先も一からわかりやすく解説!

2. 年末調整の計算例

計算年末調整の計算方法について紹介をしましたが、実際の計算を見ないとわからない部分も多いと思います。そこで年末調整の具体的な計算例について紹介いたします。

例として、18歳の子供が1人いる42歳の独身男性で、子供はアルバイトなどの収入がなく、一年間の給与総額が4,000,000円、給与所得控除後の給与等の金額は2,800,000円、源泉徴収が年間100,000円されていたとします。

そして社会保険料控除がくや生命保険料控除額、扶養控除、ひとり親控除、基礎控除などを計算した結果、課税所得金額が1,000,000円になったとしましょう。

この場合は課税所得金額が1,000,000円であるため、所得税の税率が5%です。課税所得金額の1,000,000円に所得税の5%をかけて、算出所得税額の計算を行います。

計算をすると算出所得税額は50,000円となります。それに復興特別所得税の計算を行うと、50,000円に102.1%の復興特別所得税率をかけ合わせて、51,000円が最終的な計算結果です。

最後に源泉徴収税額と比較を行います。源泉徴収税額は100,000円なので51,000円との差額である49,000円の還付を受けることができます。

これはあくまでも一例ですが、このようにして年末調整の計算は行います。既婚かどうか、子供はいるか、住宅ローンはあるかなどによって計算方法は異なるので、計算ミスがないように注意しなくてはいけません。

3. 年末調整の計算に関する注意点

注意点

年末調整の計算をする際には、以下のポイントに注意をしてください。

3-1. 提出漏れや書類紛失

従業員が書類の提出を忘れていたり、そもそも書類を紛失していたりする場合は、事業主が自分で年末調整を行うことができません。従業員に個別に連絡をしていると書類作成作業が遅れてしまう可能性があります。

書類の提出が遅れる従業員がいる場合は、従業員自身に確定申告をしてもらうようにしてください。こうすることで控除を受けられる仕組みになっています。締め切りを確実に伝えて、それでも間に合わない場合は、自分で確定申告をしてもらってください。

関連記事:年末調整はいつまでに提出すべき?提出期限を過ぎたときの対応も紹介

3-2. 書類をすぐに破棄しない

給与所得者の扶養控除等申告書等の提出を受けた源泉徴収義務者は、翌年1月10日の翌日から7年間保存しなくてはいけないと定められています。そのため、書類をすぐに破棄してはいけません。適切に保管し、税務調査が行われた際には年末調整の書類を提出できるようにしてください。

4. 年末調整は計算ミスに注意しよう

経費 注意

年末調整は非常に大切な作業です。計算にミスがあると従業員に迷惑をかけることになってしまいますし、何より税務署から指摘を受ける可能性もあります。会社としての信用にも大きく関わってくるので、確実にミスが起こらないように工夫しなくてはいけません。

単純な計算ではあるため、さまざまなソフトやツールなどを活用して計算ミスが起こらないようにしてください。業務量が多くなりがちなので、システムを導入するのもおすすめです。

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