コロナ禍における企業のメンタルヘルスケアの現状|Mental-Fit |HR NOTE

コロナ禍における企業のメンタルヘルスケアの現状|Mental-Fit |HR NOTE

コロナ禍における企業のメンタルヘルスケアの現状|Mental-Fit

  • 労務
  • 労働安全衛生

※本記事は、Mental-Fitさんより寄稿いただいた記事を掲載しております。

こんにちは、Mental-Fitです。

新しい挑戦をするすべての人が、まるで体重計に乗るように当たり前にストレスを計測し、筋トレをするように自分でマインドフルネスをする。「Mental-Fit」は、そんなメンタルヘルスの新しい習慣づくりを目指す、セルフメンタルケアプラットフォームです。

様々な労働環境や労務における制約が近年増加したことに加えて、2年を超える新型コロナウイルスのまん延により、働く世代のメンタルヘルスケアに対する需要が増加しています。

近年、強いストレスによるうつ病などの発症報告や、過剰な労働によって裁判が行われているという報道を見かける機会が増えました。海外では、日常生活、夫婦関係や仕事に伴うメンタルトラブルについて、専門のカウンセリングを受けることが極めて一般的ですが、日本においてはそのカルチャーの基盤がまだ確立されていません。

日本のメンタルヘルスの現状や今後、企業などはどういった対策をしていくべきなのか。本記事では、ストレス社会であると言われる日本のメンタルヘルスの現状や問題点について紹介していきます。

1.コロナ以降の日本のメンタルヘルスの状況

現在、週に49時間以上働いている日本の一般的な労働者の割合は、他国の労働者の約2倍ほども大きいという状況です。

日本ではワーク・ライフ・バランスを意識する企業の数が依然として少なく、高度経済成長を経験していた当時の考え方から脱却できていないと言われています。

その証拠に「労働者1人あたりの生産性」は先進国中ほぼ最下位であり、もっとも長時間働いているにも関わらず、生産性の低い労働環境に置かれています。

こういった状況の中、新型コロナウイルスのまん延という新たな社会問題も抱えることになります。単純なストレスの増加やメンタルヘルスの悪化は、世界的に見ても同様のデータがあります。

OECD(経済協力開発機構)が2021年に調査したデータによると、日本では新型コロナウィルス流行以前には「うつ病」を抱えている方の割合が7.9%であったのに対して、2020年には17.3%まで上昇しています。

これは、あくまでも表面上のデータであり、うつであることを自覚していない、または、いわゆる「仮面うつ病」のようなうつだと言い出せないような方々を含めると、少なくとも約5人に1人がストレスなどによってメンタルヘルスが悪化しているということになります。

仮に、50人の従業員が働いている企業であれば、約10人がうつ病などを含めた何らかの不安や潜在的な精神疾患を抱えている可能性も考えられます。

もちろん、ストレスの原因は様々ですが、こういった人々を積極的にケアしていくという意識が企業側に存在しなければ、労働人口が減少する将来において企業側にとっても従業員にとってもマイナスにしかならないことは明白なのです。

2.メンタルヘルス対策の課題点

新型コロナウイルスへの感染拡大による、企業の健康経営の取り組みと企業による従業員の働き方への影響について2020 年に経済産業省により調査が実施されました。

企業の人事の多くは「従業員の実態を把握するためのツール」や「オンラインでの研修実施」等の施策が必要であると認識していますが、実際は実施までには至っておらず、実施できてない理由として、他の施策との優先」や、「現状が把握できていない」が多数を占めます。

 

さらに、イギリス企業の人事担当者による団体であるReward & Employee Benefits Association(REBA)によって、2020年に実施された調査によると、雇用主と従業員の間には大きな意識のずれが生じていることも課題とされています。

3.ストレスとレジリエンスの関係性

当社は、2021年に全国の人事担当者315人を対象に調査を行いました(参照:「人事6割がテレワークで「従業員のメンタル不調が増加」と回答」)。

人事担当者の約6割が、テレワークを導入して以降、従業員のメンタルヘルスの不調が増加していると回答しています。

メンタルヘルス対策の実施に前向きだと回答した人事担当者に、具体的なメンタルヘルス対策の内容を質問をしました。

その回答はタレントマネジメント系のサービスをはじめ組織内コミュニケーションを活性化させようとする試みが目立つ一方、マインドフルネスやヨガ等、ストレッサーに対して個人のレジリエンスを高める取り組みは、まだ主要なポジショニングを取れていないことがわかりました。

レジリエンスとは物理学用語で「外力による歪みを撥ね返す力」とされています。

心理学分野における外力による歪み、これはストレスを指しており、ストレスに対するレジリエンスが高いほど意欲が高まったり、適応性が高まると言われています。もちろん、自然にこういった流れが出来れば大きな問題やリスクにはならないでしょう。

また従来のストレス・マネジメントとは、単に職場のストレス要因の排除のみを指すことが多い概念でした。しかし現代においては、従業員自身によるセルフケアの重要性が認識されるようになったため、ストレス低減と生産性向上を同時に担うような施策が求められています。

4.企業はメンタルヘルスに関する取り組みを再考すべき

世界的に見てもメンタルヘルスに関わる状況が悪化していることを踏まえると、雇用側である企業が率先してメンタルヘルス対策やサポート環境を整えていくことが重要です。

うつ病をはじめとする精神疾患の多くは過度なストレスなども原因の1つに挙げられるものです。近年では「働き方改革」として一部の従業員への配慮をした結果、従業員同士に対立が生まれたという事例も少なくありません。

ストレスは誰にでもあるもの、であるからこそ、企業や雇い主は従業員に対するメンタルヘルスサポート体制を拡充させる必要があるのです。

新型コロナウイルスという社会的不安の緩和や今後のアフターコロナに向けた社内の健全化という意味でも、今一度企業としてのメンタルヘルスに対する意識を向上しなければなりません。

人事業務に役立つ最新情報をお届け!メールマガジン登録(無料)

HR NOTEメールマガジンでは、人事/HRの担当者として知っておきたい各社の取組事例やリリース情報、最新Newsから今すぐ使える実践ノウハウまで毎日配信しています。

メルマガのイメージ

関連記事

企業年金の受け取り方は一時金と年金のどちらがおすすめ?手続き方法や注意点を紹介

企業年金の受け取り方は一時金と年金のどちらがおすすめ?手続き方法や注意点を紹介

「企業年金の受け取り方にはどのようなものがある?」 「企業年金の受け取り方ごとの利点は?」 「従業員にとって、企業年金は一時金と年金のどちらがお得?」 企業年金の受け取り方について、このような疑問をもつ人事労務の担当者も […]

  • 労務
  • 福利厚生
2024.12.04
HR NOTE 編集部
企業年金とは?種類や導入するメリット・注意点を解説

企業年金とは?種類や導入するメリット・注意点を解説

「企業年金とは?」 「退職金と何が違うの?」 上記のような疑問をお持ちではありませんか。 企業年金とは、企業が国の年金に上乗せして支給する、退職後の従業員を支援する制度です。 従業員に安心をもたらすだけでなく、企業にとっ […]

  • 労務
  • 福利厚生
2024.12.03
HR NOTE 編集部
キャリア開発とは?導入する意義とメリット・デメリットをくわしく解説

キャリア開発とは?導入する意義とメリット・デメリットをくわしく解説

「キャリア開発とは」 「キャリア開発を取り入れる企業のメリットが知りたい」 「キャリア開発を進める正しい手順が知りたい」 上記のようにお考えの方は多いでしょう。 キャリア開発とは、従業員のより良いキャリア構築のため、企業 […]

  • 労務
  • タレントマネジメント
2024.09.30
HR NOTE 編集部
【社会保険適用拡大前にチェック!】2024年10月へ向けた準備リスト

【社会保険適用拡大前にチェック!】2024年10月へ向けた準備リスト

10月からの社会保険適用拡大が迫ってきました。従業員数51人以上*の事業所は、短時間労働者の社会保険適用拡大に備えて準備を進められていることと思います。 *適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済 […]

  • 労務
  • 社会保険
2024.09.05
金井一真
退職金制度なしの会社の割合とは?メリット・デメリットも解説

退職金制度なしの会社の割合とは?メリット・デメリットも解説

「退職金制度なしの会社について、違法性や割合を知りたい」 「退職金制度なしに関して企業・従業員のメリット・デメリットを知りたい」 上記のような疑問をもつ方も多いでしょう。 実際、2023年時点において4社に1社の割合で退 […]

  • 労務
  • 福利厚生
2024.08.30
HR NOTE 編集部

人事注目のタグ