メンタルヘルス対策はどうすればいい?|不調になる原因から企業の対応方法までご紹介

多くの企業で必要とされている「メンタルヘルス対策」ですが、具体的にどのようなことをすれば良いかよくわかっていないという方も多いのではないでしょうか。

「メンタルヘルス対策が必要だ」とは言うものの、従業員のメンタルヘルスが不調になる原因とその対策は、簡単にできるものではありません。

今回は、企業が実施する従業員へのメンタルヘルス対策について、基本となることから具体的な対応方法までご紹介いたします。

1. メンタルヘルス対策とは?

そもそもメンタルヘルスとは、「心の健康状態」を意味する言葉です。

メンタルヘルスが不調になると、以下のような症状が現れます。

  • 気持ちが落ち込みやすくなる
  • 不安になったり落ち着かなくなったりする
  • 不眠や食欲不振になる
  • お酒の量が以前より増える
  • 生活リズムが乱れ、遅刻や欠勤が増える
  • 今までできていた家事や仕事ができなくなる
  • 単純なミスが増える

従業員のメンタルヘルスが崩れると、普段の業務に様々な支障をもたらすことになるため、経営リスクにもつながってきます。

そのため、企業が従業員のメンタルヘルス対策をおこなうことは非常に重要なこととされています。

2. メンタルヘルス対策の基本

一口にメンタルヘルス対策と言っても、具体的に何をすれば良いのかわからない方も多いでしょう。

まずは、メンタルヘルス対策に関する基本的な考え方からご紹介します。

2-1. メンタルヘルス対策には「3つの段階」がある

メンタルヘルス対策において、従業員がストレスに対してどのように予防・対策するのが良いでしょうか。

このストレスに対しての枠組みを示したものが下記の「3つの段階」です。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

①メンタルヘルスを未然に防ぐ

まず、大切なことは、従業員のストレスを発生させないことです。

職場の人間関係がギスギスしていたり、ハラスメントが起きていたり、残業時間が長すぎたり、従業員のメンタルヘルスに不調をきたす原因を企業が作っている場合はよくあります。

このような状況下では、従業員のストレスレベルも高まってしまいます。

職場環境を見直し、メンタルヘルス不調を未然に防げる組織作りをおこないましょう。

②メンタルヘルス不調を早期発見する

従業員のストレスが溜まり、メンタルヘルスが不調になってしまった従業員が現れてしまった場合は、早期発見と対処が鍵となります。

そして、従業員のメンタルヘルスが悪化してしまう前に、原因を突き止めて改善する必要があります。

また、その際にはメンタルヘルス不調になっている本人だけでなく、周囲にいる従業員にも気を掛けることが大事になります。

③メンタルヘルス不調の治療と再発防止

メンタルヘルスの不調により、休職した従業員に対しては精神面のフォローや職場復帰のための支援、そして再発防止策を取ることが必要になります。

メンタルヘルスの不調に陥ってしまった従業員の中には、繰り返しメンタルヘルスの不調に陥ってしまう従業員も多いです。

特に、真面目な従業員ほどメンタルヘルスを治すことに焦ってしまい治るのが遅くなったり、たとえ復帰できても再発してしまったりすることがあるので、注意が必要です。

2-2. メンタルヘルス対策では「4つのケア」をおこなう

ここまで、メンタルヘルス対策における3つの段階についてご紹介しましたが、ここからはメンタルヘルス対策における4つのケアについてご紹介します。

4つのケアとは、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフによるケア」「事業場外資源によるケア」となります。

①セルフケア

セルフケアは、従業員が自らの心の健康のために実施するケアのことを指します。

具体的には、

「従業員自身が自分の持つストレスに気づくこと」

「企業側がストレスへの対処法を従業員が理解できるようにしてあげること」

が挙げられます。

従業員にとって、忙しく働く毎日の中では、自分が抱えるストレスに向き合うことをおろそかにしてしまいがちかもしれません。

まずは、従業員自身がセルフケアをできるような環境を作ることが大事です。

②ラインによるケア

ラインケアとは、職場の管理監督者が従業員に対しておこなう、「職場環境等の改善」や「労働者に対する相談対応」のことです。

管理監督者の中には、業務に専念するあまり職場の環境に目を向けたり、従業員の相談にゆっくり時間を取ったりすることが難しい方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、ラインケアも管理監督者の業務の中で重要なものの一部ですので、しっかりと時間を確保するようにしましょう。

③事業場内産業保健スタッフによるケア

事業場内の産業保健スタッフとは、産業医、衛生管理者等、保健師等のことです。

また、精神科・心療内科等の医師、心理職等の専門スタッフや、人事労務管理スタッフも関わってきます。

事業場内産業保健スタッフの役割は、以下の4点となります。

メンタルヘルス対策においては、前述した「セルフケア」や「ラインケア」だけで補いきれない部分がどうしても出てきてしまいます。

しかし、産業医や保健師などの産業保健スタッフにサポートしてもらうことできれば、医療的な立場からメンタルヘルス対策のための意見を従業員にしてくれるため、非常に効果的でしょう。

また、 産業保健スタッフがいない場合には、事業場内の従業員がその役割を担う必要がありますが、この場合は衛生管理者や人事労務スタッフが該当することになります。

そのため、社内でメンタルヘルス対策のための組織を新たに作ることも有効でしょう。

④事業場外資源によるケア

4つ目の事業場外資源によるケアとは、「都道府県メンタルヘルス対策支援センター」「地域産業保健センター」「医療機関」など、事業場外でメンタルヘルスケアへの支援を行う機関及び専門家とのネットワークを日頃から形成して活用することを言います。

このような事業場外の資源を利用することも、メンタルヘルス対策にとって非常に有効です。

専門的な知識を有する機関なので事業場が抱える問題の解決がしやすく、また、従業員が事業場内に知られたくない、言いづらい悩みを抱えているときにも役立ちます。

3. メンタルヘルスが不調になる原因

では、従業員はなぜメンタルヘルスに陥ってしまうのでしょうか。

メンタルヘルスが不調になる原因には、「外因性」「内因性」「職場要因」「私的要因」の4つがあります。

それぞれについて詳しく解説します。

①外因性

外因性とは、環境によって起きるメンタルヘルス不調です。

人間の能力を超える業務負荷や人間関係におけるトラブルが主な要因となります。

急激な環境の変化があった場合も、ストレスが増大しやすくなります。

②内因性

内因性とは、個人的な感覚によって起きるメンタルヘルス不調です。

失敗して無気力になることや、達成感が得られないといったことが要因となります。

内因性はすぐに解消することが難しいケースが多いです。

③職場要因

職場要因とは、職場の人間関係や業務環境などにより起きるメンタルヘルス不調です。

メンタルヘルス不調の要因の中で最も多いとされています。

自分一人ではコントロールできない要素があるため、ストレスが大きくなりやすいことが特徴です。

④私的要因

私的要因とは、プライベートの問題によって起きるメンタルヘルス不調です。

離婚や病気、転職、介護、さらには金銭トラブルなどが要因となり、仕事とは直接関係はありませんが、ストレスが大きくなれば仕事にも支障が出ます。

このように一口に「ストレス」と言っても、原因は様々です。

従業員一人ひとりの悩みと向き合い、解決方法を探ることの重要性が理解できるのではないでしょうか。

4. 企業がメンタルヘルス対策として実施すべきこと

4-1.ストレスチェック

メンタルヘルス対策の代表的な例として、ストレスチェック制度というものがあります。

ストレスチェックを実施すれば、従業員自らストレスに気づくことができるので、メンタルヘルスの不調を未然に防ぐことができます。

なお、このストレスチェックは2015年に法律で義務化されています(※労働者数50人未満の事業場では努力義務)。

ストレスチェックをアウトソーシングできるサービスもあるので、ぜひ活用してみましょう。

4-2.メンタルヘルス対策の教育研修・情報提供

メンタルヘルス対策には、従業員の教育研修や情報提供も欠かせません。

従業員にセルフケアやラインケアの重要性について事前共有することが大事でしょう。

また、ストレスへの対応の仕方や困った時に頼れる機関の紹介が書かれたリーフレットなどもあると便利です。

こうしたメンタルヘルス対策は小規模の事業場でも取り組みやすく、大いに役立つのではないでしょうか。

4-3.社内環境の把握、改善

従業員がストレスを感じる職場環境とは、どのようなものでしょうか。

作業環境や作業方法、長時間労働をしなければならなかったり、人間関係に問題があったり、ハラスメントが起きているなど、物理的なものから心理的なものまで多岐にわたります。

まずは、こういった物理的環境の改善から手を付けてみるなど、施策を段階的に実施すると取り組みやすいかもしれません。

小さな部分からでも、メンタルヘルス対策にはつながっていきます。

4-4.産業医を頼る

効果的なケアや対策をするには、人事や労務だけで取り組むのではなく、産業医と連携することや、病院・クリニックなどの外部サービスを活用することも重要です。

産業医と連携、あるいは外部サービスを利用する際には、事前に情報共有をしておくことが非常に大切です。

産業医の多くは非常勤であり、職場の普段の状況を熟知しているわけではありません。

産業医との円滑なコミュニケーションや、適切な解決策の模索のために、ぜひ参考にしてみてください。

5. もし社内にメンタルヘルス不調者が出てしまったら

ここまで企業のメンタルヘルス対策についてご紹介してきましたが、実際にメンタルヘルス不調になってしまった社員が出た場合はどのように対応すれば良いでしょうか。

5-1.従業員が就業中の場合

メンタルヘルスの不調がみられる従業員が就業中の場合は、職場内で否定や励ましはするのではなく、まずは「話を聴く」ことを意識しておこなうと良いでしょう。

相手に対して「味方」であることを示すことによって、信頼を得ることができ、また相手に安心してもらいながら、一緒に解決方法を模索できれば、メンタルヘルス改善にも繋がります。

ここで、「セルフケアで間に合いそうなのか」「クリニック等の受診を勧めるのが良いのか」といった適切な解決策を見つけていくようにしましょう。

5-2.従業員が休職中の場合

従業員が休職中の場合は、治療に専念できるように連絡は最低限にするなど配慮をすることが大切です。

連絡する頻度としては、月に1回程度が最適でしょう。

職場復帰が可能になっても、焦らずゆっくり復帰することができるようにサポートすることが大切です。

6. まとめ

企業がおこなうべきメンタルヘルス対策について、ご理解いただけたでしょうか。

今回ご紹介したメンタルヘルス対策を参考にしていただき、メンタル不調に陥る従業員を一人でも少なくしていただければと思います。

また、万一、メンタルヘルス不調になってしまった従業員が現れても、焦らず対応できるようにメンタルヘルス対策に取り組んでいきましょう。

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