健康経営優良法人認定制度とは?認定基準や申請方法を解説 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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健康経営優良法人認定制度とは?認定基準や申請方法を解説

  • 労務
  • 労働安全衛生

働き方改革が推進されている中で、社員の健康をいたわる「健康経営」が注目されています。

そして、健康経営をしている企業を見える化する仕組みとして「健康経営優良法人認定制度」があります。

本記事では、健康経営優良法人認定制度の目的やメリット、認定基準から申請方法まで解説します。

1. 健康経営優良法人認定制度とは

健康経営優良法人認定制度とは、優良な健康経営により組む企業を「見える化」し「社員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として顕彰する制度です。

2016年大手広告会社の新入社員が過労死でなくなったことは世間に衝撃をあたえました。企業にとっても、取引先との関係悪化はもちろん、優秀な社員の離職や新規採用が停滞するなど、社会的制裁を受けました。

これを契機に、各企業は、”過労死”や”長時間労働”が、貴重な社員を失うことはもちろん、多額の慰謝料や損害賠償だけでなく社会的信用の失墜につながることを意識しました。

そこでキーワードとして注目されているのが「健康経営」です。健康を社員個人の問題ではなく社員に対する企業の責任ととらえ、積極的に経営課題として取り組む考え方です。

しかし、どのような取り組みが健康経営となるのか、企業によっては戸惑いがあります。

先例として個人情報保護の取組みがあります。”きちんとやっています”と言っても、何をどう取り組んでいるのか第三者にはわかりません。

そこで、JISQ14001規格に則って要件を満たし、PDCAで進めていることが明確になれば説得力が増します。さらに、第三者機関がプランバーマークを付与するとユーザーは目に見える形で安心です。

健康経営優良法人認定制度は、こういった背景があり誕生しました。

1-1. 健康経営優良法人認定制度のメリット

健康経営優良法人認定制度のメリットは、認定を受けることで社員を大事にするだけでなく、社会やステークホルダーから評価される点にあります。

【健康経営優良法人認定制度のメリット】

  • 社内では、過重労働が減り、社員のモチベーションが向上する
  • 同時に、働き方の見直しが始まり、生産性の向上につながる
  • 新規採用では、ホワイト企業のイメージが伝わり、優秀な人材の確保につながる
  • 過重労働によるメンタル疾患が減り、離職防止につながる
  • 投資家や金融機関からも企業価値の向上が認められ、出資や融資が受け入れられやすくなる
  • 「健康経営」が入札や業者指名の条件になる場合もある

2. 健康経営優良法人認定制度の内容

健康経営優良法人の認定主体は日本健康会議です。経済産業省は、顕彰制度の設計をおこなっています。

健康経営優良法人認定制度には、次の3つのカテゴリーがあります。

【健康経営優良法人認定制度のカテゴリー】

  • 大規模法人部門
  • 中小規模法人部門
  • 健康経営銘柄

健康経営優良法人認定制度は、規模の大きい企業を対象とした「大規模法人部門」と、中小規模の企業を対象として「中小規模法人部門」に分かれています。

さらに、大規模法人部門の中で、東京証券取引所の上場企業の中から、健康経営に優れた企業を選定されます。これを健康経営銘柄といいます。

健康経営銘柄の目的は、投資家にとって魅力ある企業として紹介することです。健康経営銘柄は、原則1業種1社と決められています。

選ばれた企業は、「アンバサダー」としての役割を担い、健康経営がいかに生産性や企業価値の向上に効果があるかを積極的にステークホルダーに発信していく役目を果たします。

3. 健康経営優良法人の認定基準

健康経営優良法人の認定を受けるためには、次の認定要件を満たす必要があります。

3-1-1. 経営理念

経営者が社員の健康管理を重視する経営方針を打ち出し、経営理念などに明文化し、社内外に周知します。

社内でのプロジェクトチームを編成し、トップヒアリングをおこない、方針を明確化します。

3-1-2. 組織体制

全社的な取り組みであるため、健康経営責任者を任命し、各職場に健康管理責任者や担当者を任命します。

また、全社の組織体制を明文化し、社内外に周知します。この取り組みを成功させるためには、トップダウンでの実行が欠かせません。推進する組織は社長や担当役員の直轄とすると良いでしょう。

3-1-3. 制度・施策の実行

認定のための施策は、大きく3つの要件と14項目があります。

【健康経営優良法人に認定されるための施策】

(1)従業員の健康課題の 把握と必要な 対策の検討

①定期健診受診率(実質100%)
②検診勧奨の取組
③ストレスチェックの実施
④健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標(計画)

(2)健康経営の実践に 向けた基礎的な 土台づくりと ワークエンゲイジメント ⑤管理職又は一般社員に対する教育機会の設定

⑥適切な働き方実現に向けた取り組み
⑦コミュニケーションの促進に向けた取り組み

(3)従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策

⑧保健指導の実施又は特定保健指導実施機会の提供
⑨食生活の改善に向けた取り組み
⑩運動機会の増進に向けた取り組み
⑪受動喫煙対策
⑫従業員の感染症予防に向けた取り組み
⑬長時間労働者への対応に関する取組み
⑭不調者への対応に関する取組み

大規模法人部門では、上記の14項目のうち、11項目以上の取組が要件です。

一方、中小規模法人部門では、上記の①から④のうち2項目、⑤から⑦のうち1項目、さらに⑧から⑭のうち3項目が要件です。

4. 健康経営優良法人の申請方法

健康経営銘柄は、各業種で1企業だけが選ばれます。アンバサダーとしての役割があり、業種を代表して積極的に活動に取り組んでいく企業が選ばれます。

健康経営優良法人の申請から認定までの流れは、「大規模法人部門」「中小規模法人部門」「健康経営銘柄」のそれぞれで異なります。

 (1)ホワイト500・大規模法人部門の申請方法

【ホワイト500・大規模法人部門の申請方法】

  1. 「従業員の健康に関する取り組みについての調査」に回答する
  2. 回答結果をもとに、健康経営優良法人(大規模法人部門)の判定を受ける
  3. 認定審査の申請先は日本健康会議認定事務局になる
  4. その後、認定基準に適合すれば、日本健康会議において認定される

(2)中小規模法人部門の申請方法

中小規模法人部門では、はじめに協会けんぽ支部や健康保険組合連合会支部が実施する「健康宣言」事業に参加します。健康宣言とは、協会けんぽが用意している企業の健康への取り組みのフレームです。

次の項目を「宣言」し、取り組むことで健康に配慮した企業であることを就活生やステークホルダーにアピールします。

【協会けんぽが用意する健康への取り組みのフレーム】

  • 検診を全社員受診
  • 法令を遵守(以下から任意で選択)
  • 社員の家族の健康づくりに取り組む。
  • 社員の健康課題の把握と必要な対策の検討をおこなう
  • 健康経営の実践に向けて環境を整える。
  • 社員の心の身体の健康づくりに取り組む。

健康宣言は、健康経営優良法人認定制度の評価項目に沿った内容となっています。

健康宣言に取り組み、社内の仕組みが整備でたら、健康経営優良法人認定制度へステップアップしましょう。協会けんぽに申請書表紙兼誓約書を提出します。

中規模法人は、秋に経済産業省および地方経済産業局主催の説明会が各地で開催されますので最新の情報を入手しましょう。

認定基準に適合すれば、日本健康会議において認定されます。大規模法人部門の令和元年の申請期間は8月30日から10月31日となっていました。

(3)健康経営銘柄の申請方法

【健康経営銘柄の申請方法】

  1. 経済産業省が実施する、「従業員の健康に関する取り組みについての調査」に回答する
  2. 回答結果をもとに、健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定基準に適合しているか判定を受ける
  3. 健康経営度が上位20%である上場企業を候補として選定される
  4. 東京証券取引所で、財務指標のスクリーニングを実施
  5. 経済産業省と東京証券取引所が共同で選定をおこなう

5. まとめ

いかがでしたでしょうか。

社員が健康な状態で働くことができれば、業務の生産性が上がり、企業としても業績を高められる可能性があります。

一方で、「社員が健康である」ことを可視化している企業も少なくありません。健康経営に取り組んだいる事実を見える化すれば、社員の満足度が高くなるだけでなく社会からの評価も上がるでしょう。

健康経営の取り組みを可視化できる健康経営優良法人認定制度を活用してみてはいかがでしょうか。

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