変形労働時間制とフレックスタイム制の違いについて徹底解説 | 人事部から企業成長を応援するメディアHR NOTE

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変形労働時間制とフレックスタイム制の違いについて徹底解説

  • 労務
  • 勤怠管理

変形労働時間制とフレックスタイム制は、出勤・退社時間が変動するという点で非常に似ています。しかし、実際はさまざまな点で異なり、導入の目的によっては向き不向きがあるので注意が必要です。
本記事では2つの違いを解説し、変形労働時間制ならではのメリットとデメリットをお話します。
デメリットの解消方法もご案内しておりますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事:1ヶ月単位の変形労働時間制を採用事例で具体的に詳しく紹介

変形労働時間制の運用でお悩みの方へ

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1. 変形労働時間制とフレックスタイム制との違い

AとBの違い労働時間を調整できる変形時間労働制とフレックスタイム制は、上手に活用すれば残業を減らし、労働者のプライベートを充実させることが可能です。
それぞれの違いを4つ解説します。

1-1. 労働時間の決定権が違う

変形時間労働制とフレックスタイム制の最大の違いは、「労働時間の決定権が誰にあるか」という点です。
【変形時間労働制】
始業時刻・終業時刻は労働基準法で定められた範囲内で使用者が決定します。労働者は使用者が決定した時間帯を守って勤務しなくてはいけません。
何らかの事情で労働時間を守れない場合は、遅刻や早退などの調整により勤怠管理がおこなわれます。

【フレックスタイム制】
使用者は1日の所定労働時間を定め、始業時刻・終業時刻は労働者が自由に決められます。
会社によっては、必ず労働をしていないといけない時間帯を定めており、これを「コアタイム」といいます。それ以外の時間帯は「フレキシブルタイム」といい、フレキシブルタイムとされている時間帯は好きな時間に出社・退社することが可能です。

1-2. 導入の目的が違う

変形時間労働制とフレックスタイム制は、制度を導入する目的も大きく違います。
【変形時間労働制】
変形時間労働制を導入する目的は、閑散期・繁忙期に合わせて合理的に労働力を投入することです。
閑散期は労働時間を短くし、その分を繁忙期の労働時間に組み込むことで、残業時間を減らして残業代の削減が可能になります。加えて、突発的な時間外労働による労働者のストレスの緩和も期待できます。

【フレックスタイム制】
フレックスタイム制を導入する目的は、個々のライフワークを尊重し、プライベートを充実させることです。
たとえば、

  • 保育園の送り迎えの都合に合わせて勤務する
  • 取引先からの連絡が来るから早めに出社する
  • 勉強や息抜きのために勤務時間をずらす
  • 子どもの誕生日に間に合うように早く帰る

など、就業規則で定められた範囲内で、業務を効率的にこなし、プライベートも大切にした働き方が可能です。

1-3. 労働時間の計算期間が違う

変形時間労働制とフレックスタイム制の違いとして、人事担当者が忘れてはならないのが労働時間の計算期間です。

【変形時間労働制】
変形時間労働制の労働時間の計算は、日・週・月・対象期間の通算で行います。それぞれの法定労働時間や所定労働時間を超えた場合は、その分が残業となり時間外労働賃金の支払いが必要です。

【フレックスタイム制】
フレックスタイム制では「清算期間」を決めます。清算期間は1ヶ月~3ヶ月の間で、企業ごとに決められるものです。
この期間を通算して労働時間を計算し、時間外労働が発生した場合はその分の割増賃金を支払う必要があります。

1-4. 所定労働時間に満たなかった場合の扱い方が違う

変形時間労働制とフレックスタイム制は、実労働時間が所定労働時間を下回った場合の扱い方が異なります。
【変形労働時間制】
1年・1カ月単位の変形時間労働制の場合は、実労働時間の過不足に関係なく、所定労働時間を変更することはできません。そのため、所定労働時間を超過したからといって、超過分を次の期間に繰り越すことはできないので注意してください。また、所定労働時間に満たなかった場合は遅刻・早退などの扱いとなり、給与から不足分の賃金を差し引いて支給します。
【フレックスタイム制】
フレックスタイム制も変形労働時間制と同様、所定労働時間を超過した場合は時間外労働として割増率を乗じた賃金を当月分の給与として支払わなくてなりません。
しかし、所定労働時間に満たなかった場合の対応は変形労働時間制と異なります。もし、実労働時間が所定労働時間を下回った場合は、次の清算期間に組み込んで新たな総労働時間としても問題ありません。

2. 変形労働時間制のメリット

変形労働時間制のメリットここからは変形労働時間制を導入するメリットについてお話します。

関連記事:変形労働時間制を採用するデメリット・メリットをわかりやすく解説

2-1. 残業代の削減ができる

使用者側が受けられるメリットとして大きいのは、やはり残業代の削減です。
閑散期と繁忙期の差が大きな業種の場合、一般的な労働条件では繁忙期の残業代が大きくなります。変形労働時間制を導入すれば、閑散期は所定労働時間を短くし、その分を繁忙期の所定労働時間に組み込むことで、法定労働時間内で業務を遂行しやすくなるでしょう。

閑散期と繁忙期がはっきりとわかる業種、具体的には運送業・引越業・アパレル業・ブライダル業などは、このメリットを特に大きく得られるはずです。

2-2. メリハリのある働き方ができる

労働時間の変化により、閑散期と繁忙期の境目が分かりやすくなることは労働者のメリットです。
これによって、閑散期中に繁忙期に備えて業務を前倒しでおこなうことや、リフレッシュがしやすくなるため、繁忙期に入ったときに士気が高い状態で業務に打ち込むことができます。
「この時期が終われば楽になる」という線引きができるため、忙しい時期を乗り切る英気にも繋がるでしょう。

2-3. 従業員のプライベートを尊重できる

変形労働時間制により、明確に労働時間の変化が分ると、労働者はプライベートの予定を立てやすくなります。繁忙期は仕事に打ち込み、閑散期に入ったら勉強や趣味、旅行などの予定を立てるというように、プライベートを充実させやすくなります。
急な残業や想定外の休日出勤で予定が潰れることが少ないため、労働者の不満やストレスを緩和できるでしょう。
このような変形労働時間制のメリットを知った上で、導入をお考えのご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

当サイトでは、変形労働時間制の細かなルールや残業時間の考え方など、変形労働時間制について詳しく解説した資料を無料でお配りしています。導入を検討中で必要な手続きや変形労働時間制の勤怠管理について知りたいご担当者様はこちらからダウンロードしてご活用ください。

3. 変形労働時間制のデメリット

変形労働時間制のデメリット変形労働時間制は残業代の削減やメリハリのある働き方ができるなど、メリットが多い制度です。しかし、社内環境や業種によってはデメリットが発生することもあります。注意したい3つのデメリットとそれぞれの対策方法を知っておきましょう。

3-1. 人事関連の業務が増える

変形労働時間制を導入すると、週や月単位で所定労働時間が変化します。そのため、労働者の勤怠管理が複雑になり、今までと同様のやり方では人事関連の業務に割く時間が大幅に増える可能性があります。その結果、人事担当者の残業や負担が増えては、本末転倒です。

しかし、このデメリットは勤怠管理方法を見直すことで解消できる可能性があります。後述する「人事業務を効率化できる勤怠管理システム」で解説いたしますので、勤怠管理にお悩みの際はぜひお読みください。

3-2. 繁忙期の負担が大きくなる

繁忙期に労働時間が長くなるケースがほとんどである変形労働時間制では、当然ですが繁忙期中の労働者への負担が大きくなります。
長時間忙しく働き続けることは心身を疲弊させるため、労働者のケアができていないと不満が蓄積されてしまうでしょう。退職者や休職者が出る可能性も否めません。
心身の限界を超えるような業務を強いることがないように配慮することが大切です。

3-3. 連携がとりにくくなる

複数の部署があり、それぞれが変形労働時間制を導入している場合、就業時間にずれが生じることがあります。
業務上必要な連絡を取りたいのに退社した後で対応が遅れた、伝達がうまくいかずトラブルになったなど、慣れないうちは小さな問題が発生するかもしれません。
また、他部署に合わせるために労働時間を延長してしまうケースもあるため、連携が必要な部署間で就業時間を相談する必要があります。

4. フレックスタイム制のメリット

フレックスタイム制にもメリットがあります。変形労働時間制のメリットと似ているものもありますが、フレックスタイム制はより自由度が高いのが魅力です。

4-1. 業務効率アップが期待できる

フレックスタイム制は、始業・終業時間を従業員の意思で決定します。会社に拘束されているという感覚が少ないためモチベーションを維持しやすく、業務に専念できるので効率アップが期待できるでしょう。

ただし、フレックスタイム制はどのような業種にも向いているわけではありません。以下のような特徴を持つ業種・職種であれば、フレックスタイム制を導入してもよいでしょう。
個人のペースで進められる仕事
細分化できて計画を立てやすい仕事
個人の裁量が大きい仕事

例えば、IT系やWEB系のエンジニア・デザイナーなどはフレックスタイム制が向いています。一方、製造業や飲食業のように、実店舗で仕事をする場合は不向きです。

4-2. 残業代が削減できる

フレックスタイム制の場合は、コアタイムを避ければ労働時間を日によって変えることができます。ある日は法定労働時間まで働き、また別の日は法定労働時間よりも2時間少なく働くなど、業務量や裁量を考慮しながら従業員のペースで仕事をすることができます。

仕事がないのに定時まで拘束されるといったことがないので、残業時間を減らすことが可能です。

4-3. 人材の流出を減らし、優秀な人材を確保しやすい

従業員の都合に合わせて働けるので、育児や介護人材、長距離通勤などを理由に退職する人を減らすことができます。また、自由度の高い働き方なので、優秀な人材の確保にもつながりやすいでしょう。

5. フレックスタイム制のデメリット

フレックスタイム制にもデメリットがあります。

5-1. 連携が取りにくくなる

フレックスタイム制は、従業員の始業・終業時間を固定できません。そのため、従業員同士が顔を合わせる機会が減り、コミュニケーションを取りにくくなります。これにより、仕事の進捗状況が把握できず、納期遅れなどのトラブルが起こりやすくなる恐れがあります。

5-2. 出勤時間が管理できず会議などの予定を調整しにくい

従業員の出勤時間が異なるため、会議などの予定を立てにくいのもフレックスタイム制のデメリットです。フレキシブルタイム中に急な打ち合わせが必要になった場合は、対応が遅れる可能性があります。

このような場合に備え、コアタイムを長く設定したりオンラインで打ち合わせをしたりすることもできますが、それではフレックスタイム制を採用する意味があまりありません。

フレックスタイム制が本当に必要か、しっかりと見極めることが大切です。

5-3. 労働時間の管理や残業代の計算が煩雑になる

フレックスタイム制の場合、残業時間は実労働時間から総労働時間(企業が清算期間内に労働すべきであると定めた時間)を引いて算出します。そのため、対象従業員の勤務時間を正しく管理し、ルールに従って残業時間を計算して給与を支給しなくてはなりません。

フレックスタイム制の対象従業員は自由な働き方ができますが、経理などは業務量が増えミスが起こりやすくなります。フレックスタイム制を導入する場合は、バックヤード業務にも考慮し、必要に応じて勤怠管理や給与計算の方法を見直しましょう。

6. 人事業務を効率化できる勤怠管理システムが必要

勤怠管理システムを活用している変形労働時間制においても、フレックスタイムにおいても、人事担当者の負担増はデメリットです。しかし、この問題は比較的解消しやすいでしょう。効果的な対策法の1つが勤怠管理システムで、導入直後から大幅に業務を削減できます。
勤怠管理システムとは、これまでアナログで行っていた出勤管理表や、タイムカードの管理を1つのシステムにまとめて、データ化や集計ができるものです。
変形労働時間制やフレックスタイム制の出勤・退社の管理はもちろんですが、煩雑化しやすい残業時間の計算や、休日出勤の管理など、あらゆる業務をスムーズに行えます。

これによって複雑な変形労働時間制・フレックスタイム制の勤怠管理がシンプルになり、人事担当者の負担増を最小限に抑えられます。導入にはコストがかかりますが、変形労働時間制・フレックスタイム制の採用で削減できる残業代や勤怠管理にかかる手間暇を比較すれば、導入が必要かどうか判断しやすいでしょう。ぜひ、この機会に勤怠管理システムの導入を検討してみてください。

7. 変形労働時間制・フレックスタイム制の煩雑な業務は勤怠管理システムに任せるのがおすすめ

勤怠管理システムの画面

閑散期と繁忙期で労働時間を調整し、残業代や労働者の負担を削減できる変形労働時間制です。一方のフレックスタイム制は、始業・終業時間を労働者が決められる自由度の高い働き方で、こちらも残業代の削減やストレス軽減などの効果が期待できます。
それぞれにメリットがある反面、勤怠管理や残業時間の計算が複雑化し、人事担当者の業務が膨れ上がることが問題でした。
しかし、IT化が進んだ現代では、そうした問題を勤怠管理システムの導入によって解消しやすくなっています。

変形労働時間制・フレックスタイム制の導入を、勤怠管理の複雑さを理由にためらう必要はありません。勤怠管理システムの導入には一定のコストがかかりますが、制度の導入に伴う残業代の削減や勤怠管理の工数削減を考慮すれば、導入する価値があると言えるでしょう。

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