ガバナンスとは?コンプライアンスとの違いやガバナンス強化について詳しく解説

企業の人事担当者として、最近「ガバナンス」という言葉をよく聞く機会は多いのではないでしょうか。しかし、詳しく言葉の意味について理解している人は、意外と少ないように思います。

企業が健全に経営していくために、特に上場企業にとって必要とされる企業の「ガバナンス」。

今回は、「ガバナンス」という言葉の意味を理解するだけでなく、類似する言葉との違いやガバナンス強化のポイントについても詳しく解説します。

現在上場されている企業の人事担当者様だけでなく、今後上場を検討している企業の人事担当者の方にとっても、お役に立てれば幸いです。

1.ガバナンスとは

1-1 ガバナンスとは

ビジネスの現場では「コーポレートガバナンス」とも呼ばれている「ガバナンス」。一般的に「支配・統治・管理」などを表す言葉です。

企業におけるガバナンスとは「企業統治」を表しており、企業が健全な経営をするために、自分たちで自社を管理・統制するということを意味します。

この言葉は、バブルが崩壊した1990年以降、企業の不祥事が続いたことから注目されるようになりました。

ステークホルダーとの信頼関係を築き、健全な企業経営していくことがガバナンスの目的です。

「ガバナンス」の使い方
  • 最近のニュースを見ると、ガバナンスの効いていない企業が多く見受けられる。
  • ○○法人は公益性が高いので、ガバナンスの強化が重要だ。
  • 近年、コンプライアンスがより厳しくなってきているので、ガバナンスの強化が必要です。

「ガバナンスを効かせる」「ガバナンスの強化」などのワードはよく使われるので覚えておきましょう。

1-2 東証のガイドラインである「コーポレートガバナンス・コード」

コーポレートガバナンス・コードとは、2015年に金融庁と東京証券取引所が共同で策定した上場企業が守るべき原則のことです。

5つの基本原則、30個の原則、38個補充原則から構成されています。

コーポレートガバナンス・コードの基本原則
  1. 株主の権利・平等性の確保
  2. 株主以外のステークホルダーとの適切な協働
  3. 適切な情報開示と透明性の確保
  4. 取締役会等の責務
  5. 株主との対話

上場企業はコーポレートガバナンス・コードに関する報告書の提出が義務づけられており、5つの基本原則を守る必要があります。

一般的に中小企業には適用されませんが、最近では中小企業でも長期的な収益性の向上を目的に、コーポレートガバナンス・コードの活用が増えています。

コーポレートガバナンス・コードを遵守しない場合はどうなる?
コードに従わない場合には、報告書に「なぜしないのか」という理由を明記する必要があります。また、理由もなしにコードを無視した場合は、違反行為とみなされる場合があり、改善報告書の提出や上場契約違反金の支払いを求められる可能性があるので注意が必要です。

2.「ガバナンス」と似ている用語の違い

ガバナンスと似ている用語は複数あるので、しっかりと意味の違いを把握し理解するようにしましょう。

2-1 ガバナンスとコンプライアンスの違い

コンプライアンスとは、ビジネスの用語では企業活動における「法令遵守」を意味しています。

ただし、コンプライアンスが遵守するのは法令だけでなく、就業規則や企業倫理・社会規範なども含まれます。

コンプライアンスは法令や社内の規範に「従う」ことであるのに対し、ガバナンスは企業が自らを「支配する」ことで、2つの言葉の意味としては真逆の意味を表していることになります。

しかし、コンプライアンスを強化すれば、ガバナンスの強化にもつながります。

なので、この2つの言葉は強い因果関係で結ばれ、「法令や社内規範を守る(コンプライアンス強化)ために管理体制を強化する(ガバナンス強化)」といえるでしょう。

2-2 ガバナンスとリスクマネジメントの違い

リスクマネジメントとは、企業経営において想定されるリスクに対して、発生しないように予防する取り組みのことです。

時代の流れが早く、企業を取り巻くリスクが多様化している現代では、事業拡大や事業存続のために必要な取り組みになります。

ガバナンス強化をするための一つの手法が、リスクマネジメントということです。

2-3 その他よくガバナンスとともに用いられるビジネス用語

ガバメント

ガバメントとは、「政治」や「政府」を表す言葉で、「統治者」と表す場合もあります。

「ガバナンス」は組織が管理・統治するのに対し、「ガバメント」は国や政府が統治することを指すので、統治する主体が異なります。

グローバル・ガバナンス

グローバル・ガバナンスとは、世界で起こる一つの国では解決できない問題を、地域や国境を越えて解決するための政治的相互作用のことです。

例えば、ジェンダー平等推進や平和の構築などの取り組みが挙げられる。

ステークホルダー

ステークホルダーとは、企業が経営するうえで、影響を受ける利害関係者のことです。クライアントや従業員、株主などが含まれます。

ストックホルダー、シェアホルダーとの違い

ストックホルダー:株を保有している株主のこと
シェアホルダー:株主のなかでも議決権を持つ株主のこと

ステークホルダーとは意味が違うので区別するようにしましょう。

3.ガバナンス(コーポレートガバナンス)強化のメリット・デメリット

ガバナンス強化とは、ガバナンス(管理体制)を強化するということなので、企業の管理体制や内部統制を強化するということになります。

3-1 ガバナンスを強化するメリット

ガバナンスを強化するメリットは以下の4点があります。

  • 企業の価値が向上する
  • 株主に安心して投資してもらえる
  • 企業内での不正の防止
  • 財務の強化

①企業の価値が向上する

ガバナンスを強化すると、「法律や規則などをしっかり守る企業だ」と社会的に認識されるため、信用が高くなります。

信用が高くなれば、事業の成長も見込めるでしょう。社会的な信頼が、企業の事業成長に及ぼす影響は大きいです。

②株主に安心して投資してもらえる

不祥事が頻繁に起きたり、健全な経営をしていない企業には、株主は投資をしたくないものです。

そこで、ガバナンスを強化することによって、健全な経営をすることにつながるので、株主に安心して投資してもらえるのです。

また、株価の上昇が企業価値の向上にもつながるでしょう。

③企業内での不正の防止

ガバナンスを強化することにより、企業が自らを管理する管理体制が整うため、不正の防止につながります。

企業の不祥事はステークホルダーに莫大な被害を与える可能性があるので注意が必要です。

④財務の強化

ガバナンスを強化することにより、社会的な信用が向上するため、金融機関からの融資も受けやすくなります。

企業成長に活かすことができるでしょう。

3-2 ガバナンス強化により起こりうるデメリット

ガバナンスによるデメリットは以下の2点があります。

  • 企業の成長機会を妨げる場合がある
  • 企業活動が円滑に行えない

①企業の成長機会を妨げる場合がある

ガバナンスにおいて重要事項とされているのがステークホルダーの利益です。

そのため、企業は短期的な利益を求めるようになり、新規事業や事業再編などの長期的な経営戦略を実行することが困難になってしまいます。

②企業活動が円滑に行えない

コーポレートガバナンス・コードに従って運営をしている企業は、取締役会が「中長期経営戦略」を示すことが求められます。

その際、監査機能によって事業のスピードが失速してしまうため、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性があります。

4.ガバナンスを強化するために

ガバナンスを強化することによるメリット・デメリットは分かりましたでしょうか。

本章では、ガバナンスを強化するためには具体的にどのようにしたら良いのかについて解説します。

4-1 ガバナンス強化のためのガイドライン

ガバナンスの強化は、企業がガイドラインを策定して実施されるものです。

具体的な内容は企業によって異なりますが、今回は代表的な内容を解説します。

基本方針は最初に記載

基本方針は最初に記載します。この基本方針は、コーポレートガバナンス・コードの5つの基本原則に対応した5項目です。

記載すべき項目

コーポレートガバナンス・コードは全73個の原則で構成されており、具体的に開示すべきものとして規定されているものは以下の項目です。

  • 政策保有株主
  • 関連当事者間の取り引き
  • 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮
  • 情報開示の充実
  • 経営陣に対する委任の範囲
  • 独立社外取締役の独立性判断基準および資質
  • 取締役会の全体としての知識、経験、能力のバランス、多様性および規模に関する考え方

記載を検討する項目

コーポレートガバナンス・コードに規定はありませんが、ガイドラインへの記載を検討する項目もあります。

「取締役会議長の条件」などは、ガイドラインを作成する際に記載を検討する必要があります。

4-2 ガバナンスを強化する方法

ガバナンスを強化するために行うべきことは以下の3点があります。

  • 内部統制機能を構築・強化する
  • 監査体制をつくる
  • ガバナンスの取り組みを社内外へ周知する
内部統制機能を構築・強化する

ガバナンスを強化するためには、内部統制の構築・強化が重要です。

法令やルールに従った経営や業務ができているのかをしっかり管理することによって、ガバナンスの強化につながります。

また、内部監査が行われることによって、透明性の高い情報の開示も可能になります。

監査体制をつくる

ガバナンスの強化には、内部での統制だけでなく、第三者視点からの監査体制も重要となります。

客観的な評価や社内だけでは気づかなかった問題の発見にも繋がります。

社外取締役や社外監査役などの設置をおすすめいたします。

ガバナンスの取り組みを社内外へ周知する

ガバナンスの強化をしたいのであれば、従業員の理解は必要不可欠です。

社内の従業員にガバナンスの取り組みを周知することにより、法令やルールを遵守するという意識が従業員の中にも生まれるようになるでしょう。

また、社外のステークホルダーに対しても周知することにより、企業の価値の向上や信頼性の向上につながります。

5.まとめ

ガバナンスについて理解はできたでしょうか?

上場企業として株主からの信頼を得たり、金融機関からの融資を得やすくするためには、ガバナンスを強化する必要があります。

上場を検討している企業、上場企業はもう一度ガバナンスについて検討してみることをおすすめします。

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