「離職防止研修はいつやるべき?」
「離職防止研修の実施には何が大切?」
上記のように悩んでいる人は多いのではないでしょうか。従業員の勤続年数や立場などによって適切な時期や方法は異なるため、それぞれに合った研修が必要です。
そこで本記事では、離職防止研修に適切なタイミングと実施のコツを解説します。記事の後半では、実際に離職防止研修を実施した企業の成功事例も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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1. 離職防止研修とは
離職防止研修とは、従業員の定着率を高め、優秀な人材の流出を防ぐことを目的とした教育プログラムのことです。
新入社員から管理職まで各階層に応じたプログラムを提供することで、組織全体の定着率向上を目指します。
離職防止研修の目的は、主に以下の通りです。
- コミュニケーションスキルの向上
- ストレスマネジメント
- チームワークの強化
- 育成能力の向上
離職防止研修を通じて従業員は自身の価値を再認識できます。結果、生産性の向上や組織の活性化にもつながり、企業の持続的な成長につながるでしょう。
2. 離職防止のために研修を実施することで得られる3つの効果
離職防止のために研修を実施することで得られる効果は、主に以下の3つです。
- 採用・育成にかかるコストを削減できる
- 従業員満足度の向上につながる
- 優秀な人材の確保につながる
それぞれ具体的に解説します。
2-1. 採用・育成にかかるコストを削減できる
離職防止研修を実施することで、採用や育成にかかるコストを大幅に削減可能です。
新規採用には、求人広告費や人材紹介料などのコストや、採用担当者の人件費や面接にかかる時間などのコストが発生します。また、新入社員の育成には研修費用や教育担当者の時間など多くのリソースが必要です。
離職防止研修を実施して離職率の低下を実現できれば、新規採用者数を減らせます。結果、採用・育成にかかるコストの削減につながるでしょう。
2-2. 従業員満足度の向上につながる
離職防止研修は、単に社員の退職を防ぐだけでなく、従業員満足度の向上も期待できます。研修を通じて社員のキャリア形成や成長の機会を提供することで、会社が自分たちの成長に投資してくれていると感じられるためです。
また、研修でコミュニケーションスキルを向上させることで職場の人間関係の改善も期待できます。職場環境が良好だとストレス軽減や仕事の満足度向上につながり、結果として離職率の低下につながるでしょう。
2-3. 優秀な人材の確保につながる
離職防止研修を実施し、社員の定着率が向上することで、優秀な人材の確保にもつながるでしょう。
定着率の高い企業は、求職者から「働きやすい環境」「キャリアアップの機会がある」と好印象を持たれやすくなるためです。採用市場での競争力が高まり、より質の高い人材を惹きつけられます。
また、社内で育成された優秀な人材が長期的に活躍することで、企業の競争力も向上可能です。経験や知識が蓄積され、後進の指導にも活かされることで、組織全体の能力の底上げも期待できるでしょう。
3. 離職防止のための研修を実施する適切なタイミング
離職防止のための研修を実施するのに適切なタイミングは、以下の通りです。
- 入社時
- 入社2~3年目
- リーダー層
それぞれ具体的に解説します。
3-1. 入社時
入社時は、新入社員の離職防止に非常に重要なタイミングといえるでしょう。新入社員は、まだビジネスの経験が浅く、新しい環境と仕事への適応に苦労することがあるためです。
よくある入社時の研修として、主に以下の3つが挙げられます。
- 企業理念やビジョンの理解
- 業務知識・スキルの習得
- ビジネスマナーの教育
また、研修期間を長めに設定したり、短期間に複数回の集合研修を実施したりすることで、同期同士のつながりも深められます。
新入社員の一体感を醸成し、大変な時期に励まし合える関係性を構築できるでしょう。
3-2. 入社2~3年目
入社2〜3年目は、いわゆる「3年目の壁」とよばれる時期であり、離職率が増加する傾向があります。
業務に慣れてきた一方で、モチベーションの低下やキャリアアップへの不安を抱えやすくなるためです。
2〜3年目社員向けの研修には、主に以下のものが挙げられます。
- キャリアビジョンの設定
- モチベーション管理
- ビジネススキルの向上
- ストレスマネジメント
- タイムマネジメント
自身の強みや弱みを再確認し、中長期的なキャリアビジョンを描くワークショップが効果的です。また、高度な業務スキルを習得するためのトレーニングなども効果があります。
さらに、責任が重くなりプレッシャーを感じやすい時期なため、ストレスマネジメントを学ぶ機会を設けることも重要です。
3-3. リーダー層
リーダー層に離職防止研修をすることで組織全体の離職率低下につながります。リーダー層は、従業員の研修・育成や職場環境の改善に直接的に携わるためです。
リーダー層向けの研修として、主に以下の3つが挙げられます。
- 部下とのコミュニケーション能力の向上
- モチベーションの維持・向上
- フィードバック・評価スキルの向上
具体的には、1on1ミーティングの効果的な実施方法やフィードバックの与え方、チーム内の問題解決手法などを学びます。
また、リーダー自身のキャリア開発や自己成長に焦点を当てることも効果的です。組織の中核を担うリーダー層が将来のビジョンを明確に持つことで、より組織への貢献意欲を高められるでしょう。
4. 離職防止研修を実施する際のコツ3選
離職防止研修の実施で失敗しないためには、以下の3点に注意しましょう。
- カリキュラムは階層別に作成する
- 4:2:4の法則を意識する
- 単発ではなく継続的に実施する
それぞれ具体的に解説します。
4-1. カリキュラムは階層別に作成する
離職防止研修を効果的に実施するためには、カリキュラムを階層別に作成することが重要です。それぞれ立場や経験に応じて抱える課題や不安は異なるため、一律の研修内容では効果が限定的になります。
例えば、新入社員向けには社会人としての基本スキルやビジネスマインドの醸成に重点を置くことが重要です。一方、中堅社員には後輩指導や部門を超えた連携スキルの向上が適しています。
階層別にカリキュラムを作成することで、各層の従業員が自身の課題に即した学びを提供可能です。結果、モチベーション向上や組織への帰属意識の醸成につながるでしょう。
4-2. 4:2:4の法則を意識する
離職防止研修を計画する際は、「4:2:4の法則」を意識することも大切です。研修効果を高めるために重要な比率のことで、研修前が40%・研修中が20%・研修後が40%の配分を意味します。
多くの企業が研修当日のプログラム内容に注力しがちですが、実はこれは研修効果を高める要因の20%に過ぎません。研修前の準備と研修後のフォローアップの方が重要で、2つ合わせて80%を占めています。
研修前の40%では、主に受講者の動機づけや目的意識の明確化を図りましょう。研修の意義や目標を明確に伝えることが大切です。
研修後の40%では、学んだ内容の実践や振り返り、フォローアップをおこないます。上司との面談や実践の機会提供、定期的な評価などを通じて、研修内容の定着と実務への応用を支援しましょう。
4-3. 単発ではなく継続的に実施する
離職防止研修を効果的におこなうためには、単発の研修で終わらせるのではなく、継続的に実施することが重要です。一回限りの研修では、一時的なモチベーション向上は見込めても、長期的な効果は期待できません。
数ヵ月後に再度集まり、研修内容の復習や実践状況の共有をおこなうことで、学びの定着を実現可能です。また、OJT(On-the-Job Training)と組み合わせ、研修で学んだ内容を日々の業務の中で実践することも効果的でしょう。
さらに、eラーニングやオンラインセミナーなどを活用し、従業員が自主的に学習を継続できる環境を整備することも重要です。
継続的な研修実施により、従業員の成長実感や組織への帰属意識が高まり、結果として離職防止が期待できます。
5. 離職防止研修の導入事例
ここからは、離職防止研修の導入事例を2つ厳選して紹介します。
- 若手社員向けの教育研修整備で3年以内の離職者が大幅減少
- 新入社員と若手リーダー向けの研修で離職率10%以内まで減少
それぞれ詳しく解説します。
5-1. 若手社員向けの教育研修整備で3年以内の離職者が大幅減少
まずは、横浜市に拠点を置く独立系IT企業の事例です。
この企業では、採用した人材の約半数が顧客企業に常駐してシステム開発などの業務を担当しています。常駐先によって求められる能力が異なり、技術の進歩も早いことから、常に学び続けることが必須です。
そこで、6ヵ月間の新入社員研修と入社2年目以降のフォローアップ研修、eラーニングを活用したスキルアップ支援を実施しました。
結果、若手社員の定着率が向上し、入社3年以内の離職者は3〜4人程度にまで減少しています。充実した教育研修体制が、若手社員の成長と定着に大きく貢献したといえるでしょう。
5-2. 新入社員と若手リーダー向けの研修で離職率10%以内まで減少
次に、兵庫県神戸市に位置する食品製造業の事例です。
離職防止研修を実施するまでは、新入社員の指導・育成は先輩社員の背中を見て学ぶ方式が主流でした。しかしこの方式では、新入社員が多忙な先輩従業員や管理職を気遣うため、分からないことがあってもすぐに相談できません。
そこで、配属後の約6ヵ月間、指導員に任命された若手社員が、新入社員にマンツーマンで指導を実施する制度を導入しました。
結果、当初約50%だった入社3年以内の離職率が、約10%と大幅な減少に成功しています。
6. 研修以外の離職防止施策
研修以外でよく実施される離職防止施策は、主に以下の3つです。
- フレキシブルワークの採用
- 1on1ミーティングの実施
- 従業員エンゲージメント調査の実施
それぞれ具体的に解説します。
6-1. フレキシブルワークの採用
フレキシブル・ワークとは、従業員のワーク・ライフ・バランスを向上させ、離職防止に効果的な施策のことです。
以下のような、働く場所や時間を柔軟に選択できる制度を導入することで、従業員の多様なニーズに対応できます。
- テレワーク
- フレックスタイム制
- 短時間勤務
例えば、育児や介護との両立が必要な従業員も、フレキシブル・ワークによって仕事を続けやすくなるでしょう。
また、通勤時間の削減やプライベートの充実によって従業員の満足度やモチベーションも向上します。離職率の低下が期待できるでしょう。
6-2. 1on1ミーティングの実施
1on1ミーティングとは、上司と部下が定期的におこなう個別面談のことです。業務の進捗確認だけでなく、キャリアの希望や職場環境の改善点など、幅広いテーマについて話し合います。
上司は、部下の考えや感情を早期に発見・理解し、適切なサポートを提供可能です。部下は、自身の課題や目標を明確にし、モチベーションを高められます。
1on1ミーティングの効果を高めるためには、オープンな雰囲気作りやフォローアップの実施などが重要です。また、1on1ミーティングに携わる上司側のコーチングスキル向上も忘れないようにしましょう。
6-3. 従業員エンゲージメント調査の実施
従業員エンゲージメント調査は、従業員の会社や仕事に対する満足度や帰属意識を測定する取り組みのことです。調査結果を分析することで、離職リスクの高い従業員や部署を特定し、適切な対策を講じられます。
調査で収集する項目は、主に以下の4つです。
- 仕事のやりがい
- 職場環境
- 上司との関係
- キャリア展望
従業員の声を真摯に受け止め、実際の改善につなげるように心がけましょう。
福利厚生を充実させることは採用・定着にもつながるため重要ですが、よく手段としてとられる賃上げよりも低コストで従業員満足度をあげられる福利厚生サービスがあることをご存知でしょうか。
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