厚生労働省も重視する従業満足度調査とは?質問項目や実施方法を紹介 |HR NOTE

厚生労働省も重視する従業満足度調査とは?質問項目や実施方法を紹介 |HR NOTE

厚生労働省も重視する従業満足度調査とは?質問項目や実施方法を紹介

  • 労務
  • 福利厚生

従業員たち

「従業員満足度調査に厚生労働省が注目しているのはなぜ?」

「従業員満足度調査はどのように実施すればいい?」

「従業員満足度調査を実施する際の注意点を事前に知りたい」

厚生労働省が注目していることから、従業員満足度調査について上記のような疑問をおもちではないでしょうか。

従業員満足度調査は、従業員に対して仕事内容や職場環境の満足度を測るアンケート調査です。近年注目されている人的資本の考えからも重要な取り組みといえるでしょう。

本記事では従業員満足度調査の概要や厚生労働省が注目する理由、背景を解説します。また、従業員満足度調査を実施するために必要なことを紹介しているため、自社での実施の際に参考にしてください。

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1. 従業員満足度調査とは

福利厚生

従業員満足度調査とは、会社が従業員へ職場環境や仕事に対する満足度を測定するアンケート調査です。従業員の会社に対する意見や感情を収集でき、職場環境や労働条件の改善に効果を発揮します。

満足度を測定する具体的な調査内容は以下のとおりです。

  • 職場環境
  • 給与
  • 評価制度
  • 福利厚生

調査結果による改善がおこなわれることで企業価値の向上が見込まれ、今後の業績向上や人材確保につなげられるでしょう。

2. 従業員満足度調査に厚生労働省が注目する理由

上向きの矢印

従業員満足度調査に厚生労働省が注目する理由として、厚生労働省は「魅力ある職場づくり」を呼びかけている背景があります。魅力ある職場づくりの取り組みで重視するポイントは以下の2点です。

  1. 顧客満足度だけでなく従業員満足度も重視
  2. 従業員目線で継続した取り組みの実施が重要

上記のポイントは、厚生労働省が発表した「今後の雇用政策の実施に向けた現状分析に関する調査研究事業報告書」の調査結果を元にしています。具体的な結果は以下のとおりです。

業績状況

企業の経営方針で重視する満足度

従業員満足度と顧客満足度

顧客満足度のみ

5年前からの売上高の増加割合

57.1%

48.2%

過去5年間の量・質ともに人材確保できた割合

25.7%

21.6%

参考:取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保|厚生労働省

従業員満足度と顧客満足度の両方を重視する企業は、顧客満足度のみを重視する企業より、業績改善や人材確保ともに良くなりました。

【従業員目線で継続した取り組みをおこなう企業の業績】

業績状況

「魅力ある職場づくり」の取り組みの実施期間

10年以上前

4年以内

未実施

5年前から売上営業利益率が増加

35.8%

26.4%

32.2%

10年前から売上高の水準が増加

59.0%

49.8%

47.2%

参考:取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保|厚生労働省

従業員目線での取り組みを実施した期間が長いほど、企業の業績が改善しています。

【量・質ともに人材の確保ができている企業がおこなっている取り組み】

従業員目線での取り組み内容

「魅力ある職場づくり」の取り組みの実施期間

10年以上前

4年以内

未実施

人事評価制度の改善やキャリア支援

33.6%

20.1%

15.9%

ワークライフバランス促進や女性登用促進の取り組み

53.3%

21.0%

14.9%

参考:取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保|厚生労働省

採用活動でも従業員目線にたった取り組みは効果的であり、求職者のニーズにも合うでしょう。

調査結果からも従業員満足度を重視した取り組みが企業の将来性に重要であることがわかります。従業員満足度を把握して改善するためには、従業員満足度調査が最適な手段です。

3. 従業員満足度調査を重視する厚生労働省が提案する取り組み

仕事をする女性

厚生労働省が提案する魅力ある職場づくりで必要になる従業員の視点に立った主な取り組みは以下の3点で分けられます。

  1. 職場環境の改善
  2. 賃金・評価制度の見直し
  3. 福利厚生の充実

それぞれの内容を見ていきましょう。

3-1. 職場環境の改善

従業員視点に立った主な取り組みとして、職場環境の改善が挙げられます。

職場環境改善の中でも特に働き方に対する社会的環境の改善は、働き方の多様性が進む現代では重要です。社会的環境の改善は従業員満足度に直接的な影響を与えます。

従業員の視点にたった取り組み例は以下の表のとおりです。

従業員の視点

取り組み例

長時間勤務が多く退社時間が遅い

業務見直しによる効率化から労働時間を短縮

育児や介護によるフルタイム勤務が難しい

柔軟な勤務制度の導入

・短時間正社員制度

・フレックスタイム制

・テレワーク

参考:取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保|厚生労働省

従業員の視点からの取り組みで職場環境を改善することは、従業員のワークライフバランスを向上させます。職場環境へのストレスが軽減され、企業全体の生産性向上が期待できるでしょう。

3-2. 賃金・評価制度の見直し

従業員視点に立った主な取り組みとして、賃金・評価制度の見直しが挙げられます。具体的には以下のとおりです。

従業員の視点

取り組み例

成果を上げても賃金が上がらない

賃金制度の見直し

・能力評価制度の導入

・成果に応じた報酬を制定

・賃金テーブルの見直し

どのように評価されているかわからない

人事考課の評価方法の見直し

・1on1面談の導入

・フィードバックする機会の増加

長く働き続けても収入が少ない

退職金制度の導入

参考:取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保|厚生労働省

仕事に対する賃金は従業員のモチベーションに直結するため、従業員満足度に大きく影響する要素です。

成果が適切に評価されることで従業員の仕事へのモチベーションが上がり、企業全体の生産性の底上げにつながります。

3-3. 福利厚生の充実

従業員視点に立った主な取り組みとして、福利厚生の充実が挙げられます。具体的には以下のとおりです。

従業員の視点

取り組み例

福利厚生制度がない

・人間ドック・健康診断等の導入

・休暇制度の導入

 (リフレッシュ休暇、誕生日休暇等

・育児支援

・リモートワーク支援

参考:取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保|厚生労働省

福利厚生を充実させることは、従業員の生活の質を向上させ、企業への信頼を高められます。

福利厚生の充実についてもっと知りたい方は以下の記事もご覧ください。

関連記事:良い福利厚生の基準とは?従業員に人気の待遇ランキングや最低ラインの必須項目を紹介

4. 従業員満足度調査に効果的な3つの質問項目例

話し合う人

従業員満足度調査を実施する際に盛り込みたい効果的な質問項目例を3つ紹介します。

  1. 会社に関する満足度
  2. 仕事に関する満足度
  3. 職場環境に関する満足度

それぞれの内容について見ていきましょう。

4-1. 会社に関する満足度

経営方針や上司の指導などの会社に関する質問項目です。従業員が会社に対してどのように感じているかを把握でき、満足度や信頼度を測れます。

例えば、以下の質問です。

  • 会社のビジョンや価値観に共感していますか?
  • 上司のサポートに満足していますか?

会社のリーダーシップやサポート体制に対する従業員の評価を明確にできます。従業員の仕事への気持ちや成果に影響するため、調査結果の分析は注意深くしましょう。

4-2. 仕事に関する満足度

従業員の業務に対する満足度を測るための質問項目です。従業員の仕事への意欲や継続意思などを測ります。

例えば、以下の質問です。

  • 現在の仕事内容に満足していますか?
  • スキルアップのための教育・研修制度は充実していますか?

上記のような質問の回答を得られれば、退職されるリスクの把握や軽減にもつながるでしょう。

4-3. 職場環境に関する満足度

職場の環境や雰囲気に対する満足度を把握するための質問項目です。従業員がどのような点で働きやすさを感じているか、働きにくさを感じているかがわかります。

例えば、以下の質問です。

  • 職場の雰囲気に満足していますか?
  • 育児休業制度を利用しやすいと感じますか?

会社の物理的および制度的環境が職場の雰囲気やコミュニケーション、人間関係に対してどのように影響しているかがわかるでしょう。

5. 従業員満足度調査を自社で実施する方法

積み木

従業員満足度調査は以下の一連の流れで実施します。

  1. 従業員満足度調査を実施する目的を確認
  2. 従業員満足度調査の質問を設定
  3. 従業員満足度調査の回答を依頼
  4. 従業員満足度調査の回答を集計および分析
  5. 従業員満足度調査の結果をフィードバックして改善策を策定

それぞれの項目について見ていきましょう。

5-1. 従業員満足度調査を実施する目的を確認

従業員満足度調査を実施する目的を明確にします。何を改善するかを明確にしないと調査内容があいまいになりかねません。

従業員の仕事の生産性を向上させたいのかや従業員が働きやすい環境作りをしたいのかなど具体的な目標の設定が重要です。

5-2. 従業員満足度調査の質問を設定

目的にあった質問項目を設けましょう。従業員の意見を幅広く収集できるように設計する必要があります。

例えば、目的に応じて「評価制度についてどう感じていますか?」など、考えを記入してもらう質問を含めましょう。

「職場環境に満足していますか?」のように「はい/いいえ」で答える質問と使い分けることが大切です。

5-3. 従業員満足度調査の回答を依頼

質問項目が決まったら、従業員に回答を依頼します。従業員満足度調査の重要性を説明し、率直な意見を求めることが調査を成功させるにあたって重要です。

回答を匿名で求めることで従業員が安心して意見を述べられるでしょう。

5-4. 従業員満足度調査の回答を集計および分析

従業員満足度調査の回答を集計した結果から分析します。従業員からの会社に対する意見を把握でき、必要な改善をするためのデータとして活用できるでしょう。

会社として従業員満足度を高めるために優先しておこなうべきことの把握が可能です。例えば、時間外労働が長いことが一番不満になっていれば、業務内容の見直しにより効率化できないか分析します。

5-5. 従業員満足度調査の結果をフィードバックして改善策を策定

従業員満足度調査の結果から具体的な改善策を策定し、従業員にフィードバックしましょう。回答内容を反映した改善策の実行により、従業員から信頼を得られます。

従業員満足度調査の実施から時間をあけずにアンケート結果を社内で共有し、改善策を発表することが効果的です。

6. 従業員満足度調査を実施する3つの注意点

喜ぶ会社員

従業員満足度調査では3つの注意点があります。

  1. 従業員満足度調査の目的を従業員に伝える
  2. 従業員満足度調査の質問の設計を工夫する
  3. 従業員満足度調査の結果に基づいて実行する

それぞれの注意点を見ていきましょう。

6-1. 従業員満足度調査の目的を従業員に伝える

従業員へ従業員満足度調査の目的を正しく伝えます。目的が正しく理解されれば、従業員から真剣な回答を期待できるでしょう。

調査の重要性を伝えずに回答を依頼すると、適当な回答や本音ではない回答が多くなり、調査が効果的ではありません。

6-2. 従業員満足度調査の質問の設計を工夫する

質問の設計には、回答しやすい質問と質の高い質問を用意する工夫が必要です。質問数が多くなると回答する負担が大きくなります。

選択式の質問を取り入れたり、表面的でない切り込んだ質問をしたりすることで、回答しやすくなるでしょう。

6-3. 従業員満足度調査の結果に基づいて実行する

従業員満足度調査で得られた結果に基づいて、具体的な改善策を策定して実行することが重要です。得られた貴重なデータを活用しなければ、従業員の満足度が下がりかねません。

調査の目的を理解して回答した従業員は、調査結果から何かしらの改善を期待しているでしょう。

調査の結果に基づいたフィードバックを従業員におこない、どのように改善していくかを報告することで、従業員の信頼と満足度が上がります。

また、実際に改善して働きやすさにつながることで従業員の仕事へのモチベーションを向上できるので、会社の業績アップにもつながるでしょう。

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