遅刻早退控除の計算方法とは?残業代との相殺や時短勤務中の遅刻についても解説! |HR NOTE

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遅刻早退控除の計算方法とは?残業代との相殺や時短勤務中の遅刻についても解説!

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日々業務に取り組むなかで、従業員が遅刻をしてしまったり、早退してしまったりすることもあるでしょう。そのような場合、遅刻や早退をした時間分の給与を本来の給与から控除する必要があります。しかし、具体的にどのような計算をすればよいか理解できていない担当者もいるでしょう。
本記事では、遅刻早退控除の原則や計算式、遅刻早退控除に関する「よくある疑問」について解説します。給与計算を正しくおこなうためにも理解を深めておきましょう。

関連記事:労働時間とは?労働基準法に基づいた上限時間や、休憩時間のルールを解説!

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1. 遅刻早退控除とは?

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ここでは、遅刻早退控除の原則や、「減給の制裁」との違いについて解説します。

1-1. ノーワーク・ノーペイの原則

遅刻早退控除に限らず、賃金支払いの基本的な考え方は「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づいています。ノーワーク・ノーペイの原則とは、「労働者が働いていない時間に関しては、賃金を支払う必要はない」というルールです。

このノーワーク・ノーペイの原則に基づき、遅刻や早退、欠勤などによって労働が発生していない時間に対して給与を支払う必要はありません。

1-2. 違法となる遅刻早退控除の例

前項では、ノーワーク・ノーペイの原則に基づいているため、遅刻早退控除が認められるということを解説しました。しかし、下記のような場合は違法となります。

・「3回遅刻した場合、1日分の欠勤扱いとなる」といった罰則を設けている場合
・5分の遅刻を10分と切り上げて、賃金控除をおこなう場合

ノーワーク・ノーペイの原則は、逆に考えると、「労働者が働いている時間に関しては、全額賃金を支払わなければならない」ということを示しています。
そのため、上記の場合は従業員の労働時間に対して全額給与を支払っていないことになるため、違法と見なされます。

1-3.「遅刻早退控除」と「減給の制裁」の違い

控除減給は非常に似ているので、同じ意味を指す言葉であると考えている人も多いのではないでしょうか。しかし、両者には明確に違いがあります。

控除とは、遅刻や早退などによって、従業員が働いていない時間分を給与から差し引くことです。それに対して減給は懲戒処分の一つであり、就業規則などのルールに抵触した従業員に対し、ある一定の額まで給与を減らす措置のことです。

減給は下記の2つの原則に基づいて、おこなう必要があります。

・一回の減給額が、平均賃金の1日分の半額を超えない
・減給する総額が一賃金支払期※における賃金の総額の10分の1を超えない
※一般的には1カ月。

上記の原則の通り、無制限に従業員の給与を減額することは許されていないため、注意しましょう。

ここまで、遅刻早退控除はノーワーク・ノーペイの原則に基づいておこなう必要があることや「減給の制裁」との違いについて解説しました。

ここからは、遅刻早退控除を実施する場合の注意点について解説します。

2. 遅刻早退控除をおこなうための必要事項

ルール 注意点 青い服

遅刻早退控除をおこなうためには、就業規則を通じてルールを従業員に周知する必要があります。従業員への周知をおこなうために、事前に2つの対応が必要になります。一つひとつ、順番に解説します。

2-1. 遅刻・早退の定義を就業規則に明記する

1つ目の対応は「遅刻・早退の定義を就業規則に明記する」ことです。

実は、労働基準法には遅刻や早退の定義が定められていません。そのため、遅刻早退控除をおこなうためには、必ず就業規則で遅刻・早退の定義について明記する必要があります。

また、定義だけでなく、遅刻や早退があった場合の連絡方法なども就業規則に明記しておくことが望ましいです。

2-2. 遅刻早退控除の計算方法を決めておく

2つ目の対応は「遅刻早退控除の計算方法を決めておく」ことです。

労働基準法には、遅刻や早退に関する賃金控除についても定められていません。そのため、各企業ごとに就業規則にて賃金控除のルールについて定める必要があります。ただし、労働基準法に定められていないからといって、遅刻早退控除に関して自由に決めることはできません。

とくに、賃金控除計算のなかで発生する端数処理に関しては、ノーワーク・ノーペイの原則に基づいて、切り上げるのではなく、1分単位で計算することを明記しておきましょう。

2-3. 従業員に周知する

就業規則のなかにルールを記載したら、従業員へ周知します。遅刻早退控除について、しっかりと理解できていない従業員もいるでしょう。とくに新入社員などはルールを知らない可能性が高いため、丁寧に説明しておくことが大切です。

ここまで、遅刻早退控除をおこなうための必要事項について解説しました。事前に就業規則について明記していない場合、従業員とのトラブルに発展する恐れもあるため、注意しましょう。ここからは、遅刻早退控除の計算方法について解説します。

3. 遅刻早退控除の計算方法

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ここでは、賃金の控除について、「遅刻の場合」と「早退の場合」に分けて解説します。

3-1. 遅刻の場合の計算方法

従業員が遅刻した場合の賃金控除の計算式は、以下の通りです。

「遅刻の控除額 = 月の給与額 ÷ 月平均所定労働時間 × 遅刻の時間」
月平均所定労働時間=[365日 – (年間の休日日数)]× 1日の所定労働時間 ÷ 12カ月

例)年間休日が125日、1日の所定労働時間が8時間、月の給与額25万円の従業員が1時間の遅刻をした場合

まず、月平均所定労働時間を算出します。
年間休日が125日、1日の所定労働時間が8時間なので、計算式は下記のようになります。

[365日 – 125日(年間の休日日数)]× 8時間(1日の所定労働時間)÷ 12カ月 = 160時間

これにより、この従業員の月平均所定労働時間は160時間であるとわかりました。
ここから、遅刻の控除額を算出しましょう。月の給与額が25万円、月平均所定労働時間が160時間、1時間の遅刻なので、計算式が下記のようになります。

25万(月の給与額)÷ 160時間(月平均所定労働時間)× 1(遅刻した時間)=1,562.5

したがって、この従業員の遅刻の控除額は1,562円であると求めることができます。

5分の遅刻を1時間の遅刻と見なすなどの処理は、従業員に不利に働くため、労働基準法違反となります。控除額の計算は1分単位でおこないましょう。

3-2. 早退の場合の計算方法

従業員が早退した場合の賃金控除の計算式は、以下の通りです。

「早退の控除額 = 月の給与額 ÷ 月平均所定労働時間 × 早退の時間」
月平均所定労働時間=[365日 – (1年間の休日日数)]× 1日の所定労働時間 ÷ 12カ月

例)年間休日が120日、1日の所定労働時間が8時間、月の給与額30万円の従業員が定時より2時間前に早退した場合

まず、月平均所定労働時間を算出しましょう。
年間休日が120日、1日の所定労働時間が8時間なので、計算式は以下のようになります。

[365日 – 120日(年間の休日日数)]× 8時間(1日の所定労働時間)÷ 12カ月 = 163.333時間

これにより、この従業員の月平均所定労働時間は163時間(※1)であることがわかりました。
ここから、早退による控除額を算出しましょう。月の給与額が30万円、月平均所定労働時間が163時間、定時の2時間前の早退なので、計算式が下記のようになります。

30万(月の給与額)÷ 163時間(月平均所定労働時間)× 2(早退した時間)= 3,680.981円

したがって、この従業員の早退による控除額は3,680円(※2)であると求めることができます。

(※1)労働時間に関する端数処理は30分未満を切り捨て、30分以上を切り上げて計算します。
(※2)遅刻や早退の控除額の小数点の切り上げは、従業員に不利に働くため、労働基準法違反となります。控除額の計算は1分単位でおこないましょう。

ここまで、遅刻や早退による賃金控除額の計算について解説しました。月平均所定労働時間や、賃金の控除額の計算は端数処理を間違えやすいため、注意が必要です。
ここからは少し特殊な勤務形態である、フレックスタイム制における遅刻早退控除について解説します。

4. フレックスタイム制における遅刻早退控除

3人の人間 綺麗なテーブル

フレックスタイム制においては、「コアタイムがある場合」と「コアタイムがない場合」によって、遅刻や早退への認識が異なります。それぞれのケースについて順番に確認しておきましょう。

4-1. コアタイムがある場合

コアタイムが設定されている場合、従業員はその時間帯は必ず出社しなければなりません。そのため、コアタイムが始まる時間までに出勤できなければ、「遅刻」となります。

たとえば、コアタイムを11時から15時までと設定している企業で、従業員が11時半に出勤した場合、その従業員は30分の遅刻となる可能性があります。また、この企業の従業員が14時に退勤した場合、1時間の早退と見なされる可能性があります。

ただし、遅刻や早退をしたとしても、実働時間が清算期間中の所定労働時間を満たしていれば、その分の賃金を控除することはできません。

4-2. コアタイムがない場合

コアタイムが設定されていない場合、従業員は何時に出勤しても「遅刻」にはなりません。

また、同様にコアタイムが設定されていないため、従業員が何時に退勤しても「早退」にはなりません。

4-3.フレックスタイム制において遅刻早退控除をおこなう際の注意点

前項では、「コアタイムありの場合は遅刻や早退が発生する可能性があること」と「コアタイムなしの場合は遅刻や早退扱いができないこと」について解説しました。

そのほか、フレックスタイム制における遅刻や早退について注意すべきことは以下の2つです。

・コアタイムがある場合において、遅刻したとしても実働時間が清算期間中の所定労働時間を満たしていれば、遅刻した分の賃金を控除することはできない
・コアタイムがない場合においては、社員が事前申告していた時間に遅れたとしても、遅刻扱いにはできない

ここまで解説した通り、フレックスタイム制における遅刻早退控除は、コアタイムの有無やその他のルールに留意する必要があるため、常に複雑です。人事担当者は慎重に給与計算をおこないましょう。

5. 遅刻早退控除に関する「よくある疑問」

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ここでは、遅刻早退控除に関するよくある疑問について解説します。

5-1. 従業員が遅刻した場合、残業代で相殺することは可能?

遅刻による控除額を残業代で相殺することは、同日内で労働時間が8時間を超えなければ可能です。ただし、遅刻した日と別の日の残業で相殺することはできません。
下記に例を3つ挙げます。

例)
①1時間の遅刻をした日に、1時間の残業をおこなった場合
総労働時間は8時間であり、遅刻と残業をおこなったのは同日であるため、相殺可能。

②1時間の遅刻をした日に、2時間の残業をおこなった場合
遅刻と残業をおこなった日は同日であるが、総労働時間は9時間であるため、相殺不可。

また、1時間分の残業代(割増賃金)が発生する。

③1時間の遅刻をした翌日に、1時間の残業をおこなった場合
遅刻と残業をおこなった日が同日ではないため、相殺不可。

5-2. 時短勤務中の遅刻・早退は、どのように計算する?

従業員が時短勤務をしている場合の遅刻・早退の扱いは、定められた時間に労働していたかどうかで決まります。そのため、コアタイムありのフレックスタイム制に非常に似ています。

例)定時が9時から18時で、9時から16時を時短勤務時間としている従業員の場合

・10時に出勤した場合は1時間の遅刻
・15時に早退した場合は1時間前の早退

5-3. 遅刻早退の回数に応じて欠勤扱いにすることは可能?

遅刻や早退の回数に応じて欠勤扱いにすることはできません。たとえば、遅刻を3回したら欠勤扱いとする、欠勤を5回したら有給休暇が1日消化されるなど、会社独自のルールを設定しても無効となります。遅刻や早退の時間分のみを、正確に控除することが大切です。

5-4. 完全月給制の場合も遅刻早退控除は適用される?

完全月給制の場合は、遅刻早退控除は適用されません。完全月給制とは、1カ月の賃金が完全に固定されている制度です。

たとえば月給が30万円であれば、遅刻や早退をしても30万円支払う必要があります。遅刻や早退の時間分を間違えて控除しないよう注意しましょう。

5-5. 諸手当から控除することは可能?

遅刻早退控除は、基本給のみを対象とするのが一般的です。役職手当や住宅手当などからは、控除しないようにしましょう。

ただし、就業規則に記載しておけば、各種の手当から控除することも可能です。労使間の認識の差が生まれないよう、しっかりとルールを設定し、周知しておきましょう。

6. 遅刻早退控除を効率よく処理する方法

遅刻早退控除を効率よく処理

ここまで解説した通り、遅刻早退控除を正しく処理するためには、さまざまなルールを把握したうえで、複雑な計算をおこなわなければなりません。計算ミスが発生すると、従業員へ正確な給与を支給できなくなるため注意しましょう。

ヒューマンエラーを防止しつつ、業務を効率化したい場合は、勤怠管理システムを導入するのがおすすめです。勤怠管理システムを導入すれば、従業員の出勤時刻や退勤時刻から、遅刻・早退の時間を自動計算できます。また、給与計算までを自動化できるシステムもあるため、担当者の負担を大きく軽減できるでしょう。

クラウド型のシステムであれば、自動アップデートにより法改正にもスムーズに対応できます。さまざまな機能が搭載された勤怠管理システムがあるため、自社のニーズに合うものを選択してみてください。

7. 遅刻早退控除について理解し、法令に遵守した職場づくりを!

向かい合う人達 長いテーブル

本記事では、遅刻早退控除の原則や計算式、「遅刻による控除を残業代で控除できるのか」といった疑問について解説しました。遅刻や早退による控除額計算は少しでも間違えてしまうと、従業員とのトラブルにつながってしまう可能性が高いです。

従業員へ正確な給与を支給するためには、遅刻早退控除のルールを把握したうえで、複雑な計算をしなければなりません。勤怠管理システムを導入するなど、計算ミスの防止と業務効率化を図ることも大切です。今回の記事を通して、遅刻早退控除についての理解を深め、法令に遵守した職場づくりを心掛けましょう。

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